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捜査最終日
注意:71. 十一日目(謹慎三日)、サユリ宅にて⑧ 恩田の過去Ⅵ
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香川がコーヒーを飲み終えて肉切り包丁とノコギリを抱えながら
戻ってくると恩田に手渡して言葉を掛けた。
「解体作業は手伝ってやれないけどブルーシートの片付け等の雑用
は俺と植田で済ませるから硬い果物だと思って現実を直視しないの
が良いと思う。早くて一時間で死後硬直が始まるらしいから切断が
より困難になるし作業時間が長ければ精神的な疲労も蓄積されて、
パニックに陥る可能性があるから二時間を目安にすると良いと思う」
「……」
コクンと頷く事しか出来なかった恩田ではあったが頭部が切断さ
れていた事は良かったのかもしれないと思うようになっていた。
「ザクっザクつザク……」
手から切断を選んで間接に切り込みを入れて骨まで達するとノコ
ギリに持ち替えて一心不乱に削っていく。切り慣れないせいか作業
がサクサクと進む筈もなく、植田さんから手渡されたゴム製のエプ
ロンとゴム手袋がどんどん血で染まっていき、額から汗が滴り落ち、
時間がだけが経過して行った。
切断が終わりを迎えようとしていた頃、途中経過を見に植田さん
が来て蒼乃さんは切断の最速記録保持者で30分という記録は現在
も破られていない事を知った。
一部分の切断が終わったところで切断されてない部分に移動して
ゴミ袋に入る大きさをイメージしながら大きさを整えていく。手→
足→腰の順に解体が終わると切り取られた部位が10個となり、頭
部を加えて11個となっていた。切断作業そのものは、一時間半で
終わったが洗浄している段階になって非現実だと錯覚していた状態
が解かれた。
「ウォェッ~っ」
数回の嘔吐の後、涙と鼻水が止まらなくなって訳が分からない精
神状態に陥っていた。
「何で俺がこんな事しなきゃならないんだよ! こんな事する為に
この世界に入った訳じゃないのに……。かと言って蒼乃さんに逆ら
う勇気は持ってない。あの人はネジが一本外れてる気がする」
身体は拒絶反応を示しながらも正気を保ちながら洗面台で、ひた
すら部位を洗う作業に没頭した。作業をやらなきゃ、今度は俺が消
される。同期で作業をしなかった奴に対して蒼乃さんが有無を言わ
さずフロントネックチョーク(前方首絞め)で締め上げて命を奪っ
てからの冷酷な目を忘れる事が出来なかったのもある。相手は降参
を意味するタップを何度も繰り返して絞め技を解いてくれる様に、
訴えたが何も起こっていないかのように、そのまま締め上げて命を
奪っていった非常な側面を目の当たりにした瞬間でもあった。その
格闘技の実力は幹部も認めてる程で、その蒼乃が自分の喋り方を変
えて(下っ端を演出する軽い口調)まで対応する程の真の実力者が
現、頭の法海候だと今日、思い知らされたのだ。生きたままの状態
で首をぶった切る事をやってのけるのは、正気の沙汰とは思えなか
ったし現実で起こった事として認識するのに時間を必要とした。
「俺は分厚い胸板や他人に誇れる程の筋肉を持っている訳じゃない
し今から鍛える気にもなれない。骨格も小さいし格闘技には向いて
ないのは自分で理解してる。だから俺だけの武器を必ず見付けてや
る! こんな惨めで悔しい想いは今日で終わりにしたい……」
洗い終えると使命感から解き放たれた解放感からか「ウォオオオ
ォーーーーーっ!!」と絶叫しながら失禁してブルーシートに気絶
していた。
戻ってくると恩田に手渡して言葉を掛けた。
「解体作業は手伝ってやれないけどブルーシートの片付け等の雑用
は俺と植田で済ませるから硬い果物だと思って現実を直視しないの
が良いと思う。早くて一時間で死後硬直が始まるらしいから切断が
より困難になるし作業時間が長ければ精神的な疲労も蓄積されて、
パニックに陥る可能性があるから二時間を目安にすると良いと思う」
「……」
コクンと頷く事しか出来なかった恩田ではあったが頭部が切断さ
れていた事は良かったのかもしれないと思うようになっていた。
「ザクっザクつザク……」
手から切断を選んで間接に切り込みを入れて骨まで達するとノコ
ギリに持ち替えて一心不乱に削っていく。切り慣れないせいか作業
がサクサクと進む筈もなく、植田さんから手渡されたゴム製のエプ
ロンとゴム手袋がどんどん血で染まっていき、額から汗が滴り落ち、
時間がだけが経過して行った。
切断が終わりを迎えようとしていた頃、途中経過を見に植田さん
が来て蒼乃さんは切断の最速記録保持者で30分という記録は現在
も破られていない事を知った。
一部分の切断が終わったところで切断されてない部分に移動して
ゴミ袋に入る大きさをイメージしながら大きさを整えていく。手→
足→腰の順に解体が終わると切り取られた部位が10個となり、頭
部を加えて11個となっていた。切断作業そのものは、一時間半で
終わったが洗浄している段階になって非現実だと錯覚していた状態
が解かれた。
「ウォェッ~っ」
数回の嘔吐の後、涙と鼻水が止まらなくなって訳が分からない精
神状態に陥っていた。
「何で俺がこんな事しなきゃならないんだよ! こんな事する為に
この世界に入った訳じゃないのに……。かと言って蒼乃さんに逆ら
う勇気は持ってない。あの人はネジが一本外れてる気がする」
身体は拒絶反応を示しながらも正気を保ちながら洗面台で、ひた
すら部位を洗う作業に没頭した。作業をやらなきゃ、今度は俺が消
される。同期で作業をしなかった奴に対して蒼乃さんが有無を言わ
さずフロントネックチョーク(前方首絞め)で締め上げて命を奪っ
てからの冷酷な目を忘れる事が出来なかったのもある。相手は降参
を意味するタップを何度も繰り返して絞め技を解いてくれる様に、
訴えたが何も起こっていないかのように、そのまま締め上げて命を
奪っていった非常な側面を目の当たりにした瞬間でもあった。その
格闘技の実力は幹部も認めてる程で、その蒼乃が自分の喋り方を変
えて(下っ端を演出する軽い口調)まで対応する程の真の実力者が
現、頭の法海候だと今日、思い知らされたのだ。生きたままの状態
で首をぶった切る事をやってのけるのは、正気の沙汰とは思えなか
ったし現実で起こった事として認識するのに時間を必要とした。
「俺は分厚い胸板や他人に誇れる程の筋肉を持っている訳じゃない
し今から鍛える気にもなれない。骨格も小さいし格闘技には向いて
ないのは自分で理解してる。だから俺だけの武器を必ず見付けてや
る! こんな惨めで悔しい想いは今日で終わりにしたい……」
洗い終えると使命感から解き放たれた解放感からか「ウォオオオ
ォーーーーーっ!!」と絶叫しながら失禁してブルーシートに気絶
していた。
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