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捜査開始
35. 九日目(謹慎初日)、目的地の公園にて
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時刻を確認すると午後九時四十五分を過ぎていた。空になったグラスをシンク
へ片付けて出掛ける準備を始める。下着姿になると紺のTシャツに、デニムの短
パンと運動靴を選択して着替えを終えた。
外に出ると周りを警戒しながら裏道に入り、最寄りの駅までジョギングをする。
地下鉄に乗って目的地の公園に着いた頃には脇の部分が、うっすらと滲んでいた。
昔から足の速さには、自信があったので格闘技の習得には手を抜いていたのだ。
それに相手を一方的に叩きのめす手段も好きでは無かったのが理由だ。
夜の公園はカップルや不審者たちが占領していた。まだ人気が少なくなるには
早いと判断して芝生で横になる後藤。綾部の説得を振り払った手前、引くに引け
ない事態を招いてしまった。本当にこれで良かったのか自問自答を繰り返して、
夜空を眺め続ける。今日は半月だった。二時間もすると日付が替わり、零時五分
を過ぎていた。辺りに人影はない。
後藤は公衆トイレに移動すると男性用へ足を踏み入れて中を念入りに調べ始め
る。大の個室の壁に書かれた伝言のチェックやタンクの蓋を外しての中身の確認
作業。壁や床に外れる箇所が無いかの確認を重点的に行った。
十五分が経過した事が分かるとTシャツは汗でピッタリと肌に張り付いていた。
気持ちが悪くなったのでTシャツを脱ぐと鍛え上げられた筋肉が姿を現す。大胸
筋の膨らみが常人のそれとは大きく異なっていた。洗面台で染み込んだ汗を数回
に分けて搾り出すと喉が渇いていた事に気付き、休憩も兼ねて自販機がある所へ
と移動する。もちろん、服は着ている状態だ。夜中に上半身裸の男が通報されて
後で刑事だと分かったとしたら、週刊誌の格好の餌食となるであろう。そんな物
を提供するつもりは更々なかったので、この時点では理性が残っていると判断で
きた。
ベンチに座り、自販機で買ったスポーツ飲料で、喉を潤すと反対側の女性用の
トイレを観察する。
「あれ? 一つだけ照明が暗い気がする」
異なる照明の位置を瞬時に記憶すると忍び足で中へと侵入し個室へ入り鍵を掛
けた。
(女性用トイレで誰かに目撃されでもしたら刑事を続けられないかもしれない)
そんな想いが頭を過ぎりながらも真相へと続くであろう探究心が勝り、タンク
の上に足をかけて体を押し上げ、便器を囲う外壁の囲いの最上部に左右の足を乗
せる。人が乗ることを想定していない為、ミシミシと音が漏れ始めると急いで、
天井に着いている電球を外して中を触ってみる。
(何かあるぞ!)
長方形の薄い金属板と思われる物が接着剤で固定されているのが判り、試しに
引っ張ると簡単に剥がれて右の掌に納まる。と同時に足元がグラつき始めたので
急いで電球を元に戻して通路側へと身体を放り出した。
「グキッ」
変な体勢で踏み出した為、バランスを崩して着地する際に左足を捻ってしまっ
たのだ。そもそも乗る事を前提に作られた部分では無いので乗ったまま作業をし
ている方が完全に悪い事を理解している後藤だった。
へ片付けて出掛ける準備を始める。下着姿になると紺のTシャツに、デニムの短
パンと運動靴を選択して着替えを終えた。
外に出ると周りを警戒しながら裏道に入り、最寄りの駅までジョギングをする。
地下鉄に乗って目的地の公園に着いた頃には脇の部分が、うっすらと滲んでいた。
昔から足の速さには、自信があったので格闘技の習得には手を抜いていたのだ。
それに相手を一方的に叩きのめす手段も好きでは無かったのが理由だ。
夜の公園はカップルや不審者たちが占領していた。まだ人気が少なくなるには
早いと判断して芝生で横になる後藤。綾部の説得を振り払った手前、引くに引け
ない事態を招いてしまった。本当にこれで良かったのか自問自答を繰り返して、
夜空を眺め続ける。今日は半月だった。二時間もすると日付が替わり、零時五分
を過ぎていた。辺りに人影はない。
後藤は公衆トイレに移動すると男性用へ足を踏み入れて中を念入りに調べ始め
る。大の個室の壁に書かれた伝言のチェックやタンクの蓋を外しての中身の確認
作業。壁や床に外れる箇所が無いかの確認を重点的に行った。
十五分が経過した事が分かるとTシャツは汗でピッタリと肌に張り付いていた。
気持ちが悪くなったのでTシャツを脱ぐと鍛え上げられた筋肉が姿を現す。大胸
筋の膨らみが常人のそれとは大きく異なっていた。洗面台で染み込んだ汗を数回
に分けて搾り出すと喉が渇いていた事に気付き、休憩も兼ねて自販機がある所へ
と移動する。もちろん、服は着ている状態だ。夜中に上半身裸の男が通報されて
後で刑事だと分かったとしたら、週刊誌の格好の餌食となるであろう。そんな物
を提供するつもりは更々なかったので、この時点では理性が残っていると判断で
きた。
ベンチに座り、自販機で買ったスポーツ飲料で、喉を潤すと反対側の女性用の
トイレを観察する。
「あれ? 一つだけ照明が暗い気がする」
異なる照明の位置を瞬時に記憶すると忍び足で中へと侵入し個室へ入り鍵を掛
けた。
(女性用トイレで誰かに目撃されでもしたら刑事を続けられないかもしれない)
そんな想いが頭を過ぎりながらも真相へと続くであろう探究心が勝り、タンク
の上に足をかけて体を押し上げ、便器を囲う外壁の囲いの最上部に左右の足を乗
せる。人が乗ることを想定していない為、ミシミシと音が漏れ始めると急いで、
天井に着いている電球を外して中を触ってみる。
(何かあるぞ!)
長方形の薄い金属板と思われる物が接着剤で固定されているのが判り、試しに
引っ張ると簡単に剥がれて右の掌に納まる。と同時に足元がグラつき始めたので
急いで電球を元に戻して通路側へと身体を放り出した。
「グキッ」
変な体勢で踏み出した為、バランスを崩して着地する際に左足を捻ってしまっ
たのだ。そもそも乗る事を前提に作られた部分では無いので乗ったまま作業をし
ている方が完全に悪い事を理解している後藤だった。
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