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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

♯45.立花マイカの交渉②

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「もちろん無料とはい言いません。引き受けてくれるな
ら、こちらを献上けんじょう致します」
「ほぉー、こう来たか。ジェットストリームアタックで
有名な機体の赤く塗装された専用機。1/100か」
「いかがでしょうか?」
「アニメには登場してないゲームや小説に登場するレア
な機体ではあるし中々、筋は良いな!」
「では引き受けてくれますか?」
「俺の空手を覚えたいのは、どうして何だ?」
「強くなって両親のかたちを討ちたいんですっ!」
「思いっきり私情な訳だ。本来なら私怨しえんで空手を使う事
を禁じている事は知っているとは思うが俺は自分の事を
真の空手家だとは思っていない。現に投げ技が好きだし
な。君の嘘偽うそいつわりない正直な気持ちは分かった。エアーで
構わんから蹴りを一度だけ見せて貰おうか。弟子は取ら
ない主義だが、それを見てから判断するっ」
 前向きな返事が返ってきた事で立花は弟子認定の試験
合格の為に空手でつちかった呼吸法を始めて精神集中状態へ
と入ると余分な力を抜いていく作業に入った。
「フゥーーッ」
「シュッーー」
 呼吸し終わったと同時に立花が前蹴りを披露し一瞬で
終わる。そこから両腕をクロスさせてからの押忍の動作
を終えて一礼を済ませ両目を閉じ、結果をじっと待った。

「成程、ノーモーションからの蹴り技を選んできたか。
スピードも悪くないし、筋も悪くない。指先を丸く握り
込んでるのは目つぶしを狙っての事だな。まぁ合格だ!」
「良かったぁー」
 空手モードとは対照的に小刻みに飛び跳ねる無邪気な
少女の姿があった。
「そうそう、ウイッグにしている意味は何かあるのか?」
「師匠、そんなに簡単に分かりますか!?」
「いや、普通は気付かないんじゃないかな。俺はこの街
で知らない事はない。お前の知人のB探偵の個人情報も
きっちり抑えてある。まぁ、お前の両親の事は本当に、
残念だったしな。但し、相手が屈強くっきょうな男とは限らない。
主犯はあくまでも知能犯であるパターンも十分に考えら
れるが犯人探しに興味はない。俺が教えるのはあくまで
実践じっせんで使える格闘術のみだ」
「はい。犯人探しや用心棒ようじんぼうをお願いするつもりはありま
せん」
「それなら問題ない。地下にシャワー室完備の道場があ
るから着替えを持参して来週から稽古けいこに励むぞ」
「はい。こちらこそ宜しくお願いしますっ!」
 観察眼の鋭さも一流な事が分かり、最大限の敬意けいいを表
して御辞儀を直角まで傾けた立花だった。

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