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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

♯28. トランプゲーム”練習プレイ”その②

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「ここから二週目に突入だよねっ。でも残念ながら出せ
る手札が無いんです」
 立花は積み札から一枚(立=残り5枚)取った。霞実
は立花の背後に回り込んで新たに増えたカード、ダイヤの
9を瞬時に記憶する。
「次は俺の番だな。ツイてるぜ」
 明石はダイヤのKを出して順当に枚数を減らしていく。
(明=残り3枚)
「霞実先生。哀川くんの手札の量から逆転って出来るん
ですか?」
「率直に言わせて貰うと二人でのタイマンプレイなら、
連続で減らす事が可能ではあるけど三人以上では先ず、
難しいと言えるわね」
 霞実が極めて冷静に解説するので哀川の表情が曇って
いく。
「だってさ」
 トドメを指すような明石の言葉遣いで涙目になる哀川
だったが霞実が手で制して話を続けた。

「あくまでも練習プレイなんだから、哀川君の勝率が低
いとは言え、一回勝っての勝ち逃げは許しませんから!」
「僕が負ける前提の話は一旦、おしまいにしましょうよ。
勝つか負けるかは置いといて、流れを変えますよ」
 哀川は頬を少し膨らませながらもダイヤの3を出して、
初の特殊カードを場に登場させた。先生の勝ち逃げさせ
ない宣言は素直に嬉しかったので頬の膨らみも次第に、
落ち着いて行く。(哀=残り14枚)

「一つ飛び(スキップ)だから明石さんの番です!」
 ルールを覚えるのが早い立花だったが枚数が減らせな
い苛立ちからか語尾が強くなっていた。
「もう三週目かよ。特殊カードが混ざると忙しくなるね」
 明石は出せるカードが無いので積み札から一枚(明=
残り4枚)取った。霞実は明石の背後に回り込んで新た
に増えたカード、ダイヤの10を瞬時に記憶した。
 
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