少年と銀貨 第一章：始まりの世界

第一章：始まりの世界 ”自己啓発編”

♯２３． トランプゲームのルール説明①

「先ず最初に基本的な流れから説明すると参加するプレ
イヤーにカードを５枚ずつ配って残った札は中央に置い
て積み札とする。私達の間では”銀行”と呼んでたけど、
好きに読んで貰って構わないわ。ここまで準備が整った
ら、お約束のじゃんけんで一番勝った人から時計回りで
順番に手札を減らしていき、手持ちのカード（手札）を
全て無くした人が”上がり”となって勝者となる。ここま
では問題なく頭に入ってるわよね？」
「霞実ちゃん。特に問題はないぜ」
　明石が理解したと言う事で全員が理解したと判断して
話を続ける霞実。
「じゃあ、肝となるポイントを説明するわよ。トランプ
ゲームやＵＮＯを遊びなれている人なら定番のルールだ
けど一番最初は銀行から一枚出して、そのカードに対し
て最初のプレーヤーが同じマークor同じ数字に該当する
手持ちのカードを出していくの。もし無かったら銀行か
ら一枚貰って手札に加える訳なんだけど”引いたカードが
出せる条件を満たしていても直ぐに出す事は出来ない”
のをしっかりと覚えてて欲しい。無いときは一回保留で
手札は減らせないと覚えておくと良いかもね。そして、
このゲームの由来になったページワンの最大の醍醐味は
手札が残り一枚になったら「ページワン！」と宣言しな
ければいけないの。この宣言を忘れた場合はペナルティ
として銀行（積み札）からカードを5枚とらなければな
らない決まりがあるの。上級者同士の場合は１０枚に増
やす事もあるけど今回は基本の５枚で行きましょう。で
ページワンの言い忘れ判定なんだけど例えば私が二枚持
ってる状態で自順が来て一枚減らせた状態で次の人が、
アクションを起こす前までに宣言したなら原則ＯＫとす
るの。言い忘れって本人は周りから指摘されて気が付く
事が多いんだけど指摘されて銀行から５枚取っていく間
に、このルールの奥深さに気付く訳よ。最初の方は簡単
に宣言出来るんだけど慣れて来るとページワン言っても
上がる条件に満たさなくて手持ちカードが増えて、そこ
からまた減らして宣言しての繰り返しも多い時があるか
ら言ったと思い込んでるケースもあるのよ！」
「後一枚って所でページワンの宣言忘れで５枚増えて、
手札が６枚になったら順位が最後尾に転落なんて事も、
十分にあり得るって事ですね！」
「良い意見ね！　タカフミ君はプレイした事あるのかし
ら？」
「はい。知り合いの男性に教えて貰いました」
「ルールに違いはありそう？」
「未だ全部を聞いていないので何とも言えませんが概ね
知ってる範囲です」
「そう、なら良かった。知ってる人が居るのは、心強い
から後でサポートをお願いね！」
「僕で良ければ喜んで引き受けさせて貰いますっ」
　急速に仲良くなっていく感じに、あからさまに不満げ
な態度を取る中学生と少年と少女が居た。中学生は足を
投げ出して視線を天井に向けて少年はタカフミの脇腹を
肘で突つき、少女はソッポを向いていた。