108 / 281
第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”
♯8. 立花マイカの切り札登場①
しおりを挟む
二人の初対決が終わろうとした30秒前に立花からの
HELP!!メールを受け取った男が視聴覚室の側に到
着して見張り役の男子二人をあっと言う間に気絶させて
出口付近で待機していた。一人を軽々と持ち上げて隣り
合わせにしてからスーツの内側から折り畳み式の下敷き
サイズの厚手のゴムシートを緩衝材に代用して男子二人
の頭をゴッチンさせたのだった。
「何だかしゃくに触るけど授業を休む訳にはいかないし」
ヒカルが視聴覚室の扉から出ると前を塞ぐように大人
の男性が立っていた。
「失礼ですが中邑ヒカルさんでしょうか?」
「えっ。私に用ですか!? 私はあなたに会った事が無
いと思うんですけど……」
足元には入室する前に扉を押さえてくれていた男子が
意識を無くして横になっているのが分かる。
驚いた声が本人の意識よりも大きかった事で、博士は
状況を確認するべく、リモコンで視聴覚室の外に仕掛け
ておいた盗聴器の電源をONにしてタカフミと二人だけ
に聞こえるようにボリュームを調整する。カーテンの外
へ出ても良いという指示は立花からは未だ出ていないの
で待機のままとなっている。哀川は、聴覚だけが頼りの
状況で教室内で起きた事に対する現状を把握していたが
体操座りしながらの姿勢で孤立しているので早く外に出
たい衝動に駆られていた。
「やっぱり、そうですか。写真で見るよりキレイですね」
「キレイとは、あまり言われた事が無いので反応に困り
ますが授業がありますので用があるのなら後で構いませ
んか?」
ヒカルが目の前に居るオールバックにしてスーツを着
こなす男が何者なのかを見定めようとした時、男が後手
を組みながら話を続けた。
「容姿を褒めるときにカワイイの言い方が私は好きでは
ないので気を悪くしてしまったなら謝ります。自己紹介
が遅れました。初めまして城ヶ崎家の執事をしておりま
す。私、宮間と申します。お急ぎのようなので、要件を
単刀直入に話します。この部屋の中で、つらい事があっ
たのでしたら、その記憶を封印する事も出来ます!」
「どうやって、そんな事ができるの?」
「いわゆる催眠術です」
「嫌だと断ったら?」
「先ずは私の話を聞いて下さい。結論を急ぐのは今後、
詐欺に引っ掛かるおそれも出てきますのでご注意下さい」
言葉は丁寧だったが話を聞かなければ、この先に進む
ことが出来ない程の威圧感が伝わっていたので反論は避
けた方が良いと判断したヒカル。
「話を聞くだけならOKよ!」
宮間が後手を組んだ事で女性に対して乱暴をしてくる
ようには見えなかったので警戒心を解いたヒカルだった。
HELP!!メールを受け取った男が視聴覚室の側に到
着して見張り役の男子二人をあっと言う間に気絶させて
出口付近で待機していた。一人を軽々と持ち上げて隣り
合わせにしてからスーツの内側から折り畳み式の下敷き
サイズの厚手のゴムシートを緩衝材に代用して男子二人
の頭をゴッチンさせたのだった。
「何だかしゃくに触るけど授業を休む訳にはいかないし」
ヒカルが視聴覚室の扉から出ると前を塞ぐように大人
の男性が立っていた。
「失礼ですが中邑ヒカルさんでしょうか?」
「えっ。私に用ですか!? 私はあなたに会った事が無
いと思うんですけど……」
足元には入室する前に扉を押さえてくれていた男子が
意識を無くして横になっているのが分かる。
驚いた声が本人の意識よりも大きかった事で、博士は
状況を確認するべく、リモコンで視聴覚室の外に仕掛け
ておいた盗聴器の電源をONにしてタカフミと二人だけ
に聞こえるようにボリュームを調整する。カーテンの外
へ出ても良いという指示は立花からは未だ出ていないの
で待機のままとなっている。哀川は、聴覚だけが頼りの
状況で教室内で起きた事に対する現状を把握していたが
体操座りしながらの姿勢で孤立しているので早く外に出
たい衝動に駆られていた。
「やっぱり、そうですか。写真で見るよりキレイですね」
「キレイとは、あまり言われた事が無いので反応に困り
ますが授業がありますので用があるのなら後で構いませ
んか?」
ヒカルが目の前に居るオールバックにしてスーツを着
こなす男が何者なのかを見定めようとした時、男が後手
を組みながら話を続けた。
「容姿を褒めるときにカワイイの言い方が私は好きでは
ないので気を悪くしてしまったなら謝ります。自己紹介
が遅れました。初めまして城ヶ崎家の執事をしておりま
す。私、宮間と申します。お急ぎのようなので、要件を
単刀直入に話します。この部屋の中で、つらい事があっ
たのでしたら、その記憶を封印する事も出来ます!」
「どうやって、そんな事ができるの?」
「いわゆる催眠術です」
「嫌だと断ったら?」
「先ずは私の話を聞いて下さい。結論を急ぐのは今後、
詐欺に引っ掛かるおそれも出てきますのでご注意下さい」
言葉は丁寧だったが話を聞かなければ、この先に進む
ことが出来ない程の威圧感が伝わっていたので反論は避
けた方が良いと判断したヒカル。
「話を聞くだけならOKよ!」
宮間が後手を組んだ事で女性に対して乱暴をしてくる
ようには見えなかったので警戒心を解いたヒカルだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
平安学園〜春の寮〜 お兄ちゃん奮闘記
葉月百合
児童書・童話
小学上級、中学から。十二歳まで離れて育った双子の兄妹、光(ひかる)と桃代(ももよ)。
舞台は未来の日本。最先端の科学の中で、科学より自然なくらしが身近だった古い時代たちひとつひとつのよいところを大切にしている平安学園。そんな全寮制の寄宿学校へ入学することになった二人。
兄の光が学校になれたころ、妹の桃代がいじめにあって・・・。
相部屋の先輩に振り回されちゃう妹思いのお兄ちゃんが奮闘する、ハートフル×美味しいものが織りなすグルメファンタジー和風学園寮物語。
小学上級、中学から。
時空捜査クラブ ~千年生きる鬼~
龍 たまみ
児童書・童話
一学期の途中に中学一年生の教室に転校してきた外国人マシュー。彼はひすい色の瞳を持ち、頭脳明晰で国からの特殊任務を遂行中だと言う。今回の任務は、千年前に力を削ぎ落し、眠りについていたとされる大江山に住む鬼、酒呑童子(しゅてんどうじ)の力の復活を阻止して人間に危害を加えないようにするということ。同じクラスの大祇(たいき)と一緒に大江山に向かい、鬼との接触を試みている間に女子生徒が行方不明になってしまう。女子生徒の救出と鬼と共存する未来を模索しようと努力する中学生の物語。<小学校高学年~大人向け> 全45話で完結です。
星のプリン王子と夜のおうち
中村音音(なかむらねおん)
児童書・童話
目を閉じて眠ったあと、目を開けると決まって朝。夜と朝の間にはなにがあるんだろう?
きっとそこには「夜のおうち」があるに違いない。
毎晩、夜のおうちにいくことを夢見る僕が見たもの、聞いたもの、あった人とは?
中の人なんてないさっ!
河津田 眞紀
児童書・童話
奈々瀬紗音(ななせしゃのん)は、春から中学二年になる十三歳の少女。
幼い頃から歌が大好きで、子ども向け番組の『歌のおねえさん』になるのが夢だった。
しかし、七歳の時に受けた番組オーディションで不合格になり、そのショックで夢と歌から目を背けるようになる。
そんな時、大好きだった子ども向け番組が終了することを知り、紗音は気づく。
時間は永遠じゃない。
どんなに楽しいことも、いつかは終わりを迎える。
だから、"今"を精一杯生きなければならないのだ、と。
そうして紗音は、もう一度夢に向き合い、新しく始まる子ども向け番組のオーディションを受けた。
結果は、合格。
晴れて東京の芸能事務所に所属することになった。
期待に胸を膨らませて臨んだ、番組の打ち合わせ。
そこで紗音は、プロデューサーから衝撃的な言葉を言い渡される。
それは……
「マスコットキャラクターの着ぐるみと中の人が、失踪……?!」
『中の人』を捜索する中で、紗音は不思議な空間に迷い込む。
そこで彼女の前に現れたのは……
異星人を名乗る『青い狼人間』と、『お喋りなうさぎ』と、『角の生えた女の子』だった。
本物だらけのマスコットたちと『歌』を通じて絆を深める、ドタバタスペースファンタジー!
【完結】ふしぎな三人組 ~ モフモフ変装した宇宙人が来たら友達になるしかないよね?
天田れおぽん
児童書・童話
チビで運動神経抜群の天然系女子ハルカと、ジェンダーフリー系男子のマスミ、フンワリ女子だけどツッコミ強めのリオは、仲良し三人組。
o(⁰ꇴ⁰o) ᕙ( ÒㅅÓ)ᕗ (◕◡◕)o
個性バラバラ *゚♫·* 共通点がいまひとつ見えないため、不思議な三人組と呼ばれている。
♦♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚·*:..。♦♫♦*゚¨゚゚·*:..。♦♫♦*゚¨゚·*:..。♦♫♦*
そんな三人が暮らす街に、宇宙人がやってきた?
モフモフなワンコや猫に変装した宇宙人が来たら友達になるしかないよね?
٩(ˊᗜˋ*)و
でも大人たちは、そう考えないようで……
ƪ(΄◉◉‵;)))ʃ o(ŎㅿŎ o≡o ŎㅿŎ)o ヾ(◎o◎,,;)ノぁゎゎ
ふしぎな仲良し三人組が、自分達の未来を守るために頑張ります☆
黒い鍵の令嬢と陰陽師執事は、今夜も苦しむ魂を救う
柚木ゆず
児童書・童話
罪のない者には救いを。罪を犯した者には罰を。
救いの力を持つ令嬢・宝城エリスと、陰陽師の力を持つ執事の青年・安倍(あべの)蓮。
2人は今夜も、誰かによって苦しめられている魂を救うのでした――。
※8月5日に追記させていただきました。
少なくとも今週末まではできるだけ安静にした方がいいとのことで、しばらくしっかりとしたお礼(お返事)ができないため感想欄を閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる