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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

#167.チーム対抗戦の始まり”72”  バトル開始3 決着後の結末

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「ふぅーん。そうきたか。確かに複数の人間に囲ま
れて命の危険でも無ければ空手を覚えた人間が頭突
きはしないわよね。分かった。喧嘩じゃないなら、
仲直りの握手だけしてちょうだい。それが終われば
私から言う事はないわ。友情の握手って意味だから
想いを込めてよねっ」
 霞実は二人のタッグ技の隙の無さに半ば誇らしい
気持ちとなり、先程までの怒りは何事も無かった事
のようになり、普段の明るい表情に戻っていた。

 森元と哀川は、しばらくの間、視線を合わせた。
長引かせれば解散時間が大幅に遅くなる事は二人も
理解していた。どちらからというのではなく自然と
手が出る二人。そしてガッチリと握手を交わした。

 その瞬間、新たな感動が巻き起こり、参加してい
るメンバーはもちろんの事、会場全員からも拍手が
沸き起こっていた。

「霞実先生、思ったよりダメージが大きくてボール
が投げられそうにないんで代投げを許可してくれる
ように、お願いできますか?」
「えぇ、その事なら、もちろん良いわよ」
 霞実は森元の提案を素直に受け入れた。
「俺、出番無くなったんで、デカいコイツを医務室
まで運んで行きます」
 哀川は自分から率先して申し出ていた。
「デカくて悪かったな」
 強調されてるのが勘にさわった森元。
「それくらい憎まれ口を言えれば回復も早そうねっ」
「霞実先生が言うなら俺も安心です」
 森元は密かに憧れていた女医を見詰めながら怪我
をするのも案外悪くないのかもしれないと思った。

 哀川は森元の右腕の下に自分の左肩を入れて肩を
担ぐ方法を試して見る。そこから歩行の手助けを試
みたが身長差があり過ぎて前屈みになり、今にも転
びそうだったのだが正面から心配で近くに来ていた
明石が現れ二人を受け止めて選手交代となった。
「お前の気持ちだけ受け取っておくから後は先輩に
任せておきなさい」
 明石先輩の大きな背中を見詰めながら、いつか俺
も大きい身体になってやると心に誓う哀川だった。
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