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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

#160.チーム対抗戦の始まり”65”  バトル開始3 直前の様子

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 何とか哀川を説得したタカフミは哀川の妹である
トモコに出番は早いかもしれない事と川邑ヒカルと
入れ替わって欲しい事を伝えた。もちろん、早くに
兄である哀川が負けた場合は大山自身が迎えに行く
事も忘れずに伝えておいた。妹だけは流石に普段の
様子と違う事に気付いていたみたいで、すんなりと
納得して行動に移してくれた。後は試合再開を待つ
ばかりだ。

 2連敗している陸城チームは3連敗だけは避ける
べく3番手である森元は気合十分の様子だ。自分が
、ここで勝って流れを変えるんだという気持ちで、
相手を円板の上で今か今かと待っている。陸城チー
ムの中でも高身長で体重も一番重い。実家が柔道教
室を営んでいて父親は、学園の柔道部のコーチ陣の
一人でもある事は有名である。

 一方の哀川は相変わらずの落ち着きのなさで空手
の公式試合よりも緊張している程で未だ柔軟体操(
屈伸や開脚など)を続けて円板に近づく様子もない。
もちろん、コールされていない状態なので必ず円板
に居る必要はなく、ここは、各自の選手が自己判断
して行動に移しても良い事になっている。対照的な
二人となった感じが巨大スクリーンに映し出されて
観客のボルテージが再び上がり始めていく。

 格闘技好きの観客は柔道VS空手の異種格闘技とい
いう位置づけでも観ているらしかった。ちなみに、
森元は同学年では負け知らすの神童と呼ばれている。
得意技は背負い投げだ。哀川は公式試合で結果を出
すタイプではなく危機が迫った時に力が開放される。
いわゆるスイッチが入らないと強くならないタイプ
だった。

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