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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

66.霞実先生の告白①

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「あれっ。切株が転がってるんだけど誰か知ってる?」
「それは先程、ごじし……」
 タカフミが真実を告げようとするのを明石が手で口を
ふさいで制止してしまう。もちろん転がった木の周りには
誰も居ないのだから誰がやったかは明白な事実ではある
のだが、それを伝える事をこばんだ理由を小声で問い質す
と怒りが沸点に達すると攻撃的となり、習得した空手を
繰り出した後、前後の記憶だけが一時的な記憶喪失きおくそうしつとな
ってしまう事を教えて貰った。

「そこは植木の入れ替え場所ですから先生が気にする事
は無いと思います」
「そうね。そう言えば約束の時間が大幅に遅れちゃった
から、時間もあるし、先程の質問に答えるわ」
「先程とは?」
「何で名古屋から来たかって話」
「あぁ、それ聞きたいです!」
 二人、同時に返事をするが色々な意味で衝撃度MAX
だった事もあり、質問の答えが直ぐに出て来なかったの
だが額に汗をかきながら好感度を上げる方を選んでいた。

「名古屋に居た時に付き合ってた彼氏が浮気したんだけ
ど直ぐに別れるって選択肢は私には無かったの?」
「ずいぶんと寛大かんだいですね」
 色恋の話なので明石が会話をつなぐ役目を始めた。
「別にそういう訳じゃないんだけど私が構って無かった
かもしれない訳でしょ。だったら継続的けいぞくてきな浮気で無いな
ら別れる理由もないし……」
「それから、どうなったんですか?」
「とりあえず、浮気防止の為に一人暮らしを始めてた私
の部屋に同棲どうせいする事になって男女のスキンシップ終わり
小言こごとを一時間程してからサンドバッグに蹴りをする打
ち込み稽古けいこの見学15分間を毎日続けたの! 愛がある
でしょ?」
「そうですか……」
(まるで、生き地獄じごくみたいな生活だ)
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