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第一章:始まりの世界

36.父親の存在②

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 タカフミは、『少年と銀貨』と書かれた本から銀貨を
取り出して手の平に乗せてしばらく眺めていると重かっ
た本が本当に軽くなり、楽々と片手で持てる様になって
いた。
「この本の目的は友達を100人作る事を想定していて
達成すれば報酬ほうしゅうを得る事が出来る」
「えっ! 父さん。100人はさすがに無理だよ」
「……」
 返事が返って来ず、変な間が出来たので言い間違えた
事に気付き、訂正ていせいする。
(家の家訓かくんに母親はママと呼び、父親は父ちゃんと呼ば
ないといけない厳格げんかくな決まりがあり、統一感の無さから
一緒に通学している生徒とにも話せていなかった。もち
ろん他所様よそさまが居る場合は統一感を前面に出した言い方に
なり、普通の母さん、父さんである。成人してから、そ
の制約から解放されたのだが正直、子供の頃はその使い
分けが本当に面倒だったのを覚えている)


「父ちゃん。100人は流石に無理だよ!」
「確かにいきなり100人は無理だと思う。最初は25
人のチャレンジからになってるから心配する事はないさ」
「25人なら出来ない事も無いかも!?」
「前向きな考えなら私も嬉しいよ。じいちゃんとの約束
遺言ゆいごん)を守れそうだからな。この本には、いくつかの
制約とルール(決まり)があり、説明は私が受け持つ。
一度にたくさんの情報を与える事はしないつもりだから
存分ぞんぶんに楽しんでほしい。このチャレンジに関しては全面
的に協力きょうりょく(バックアップ)するつもりだ」
「うん。分かった。友達作りを頑張ってみるよ」
 母親から担任の先生へのお知らせでクラスの雰囲気ふんいき
なじめていないとの相談を度々受けていたので気にはな
っており、武道を習わせようにもちょっとした事で病気
になりがちな虚弱体質きょじゃくたいしつで運動神経もにぶいので全て母親
任せだった事にい目を感じていたのだ。

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