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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯122.チーム対抗戦の始まり㊹ 堀部の提案

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「次の対戦相手の鈴木くんだね。確かプロレス好き
で有名な人だよね?」
 堀部は大山から事前に渡された資料の内容を思い
出して目の前の相手に告げる。
「だったら何、心理戦でも仕掛けてくるの?」
 警戒心を強める鈴木。
「いやいや、心理戦は僕の得意分野じゃなくて大将
の大山くんだよ。僕は運動神経の担当だからさ」
「ずいぶんと自信があるんだね?」
 想像と違うタイプに戸惑うが何とか話を合わせる
鈴木だった。

「まぁ最近、自信がついてきたんだけどさ。足が速
いって分かったとたん。周りの反応は本当に大きか
ったんだ。男友達も増えるし女子からも話し掛けら
れる機会が多くなってね!」
「だから何? 堀部君って話長いんだね!」
 長い会話が苦手な鈴木はまゆ毛をピクピクさせな
がらイライラしていた。

「まぁまぁ、そう言わないで。実は、話す事は嫌い
じゃないんだ。で相談なんだけどプロレス要素を盛
り込んだショーを演じないか?」
「何だ。君もプロレス知ってんだぁ」
 当然の提案に激しく、どうようして気持ちが高ぶ
る鈴木だった。
「まぁ僕は派手より地味な寝技タイプだけどね!」

「って事は手四つの力比べから始めるのかい?」
「そうそう、そこからロックアップで後はアドリブ
入れない?」
 父親がレスリングをしていた事もあってプロレス
番組は、野球を観る感覚とさほど変わらない環境で
育っていた堀部だけに会話にいつわりの情報が無い。

「手押し相撲でガッチリ組んだら思いっきり怒られ
そうだけどな。それでもやるのかいっ」
 大好きなプロレスの演技が出来るかもしれない期
待に胸が大きく膨らむ鈴木は真剣な眼差しで堀部を
見ていた。
「あぁ、もちろんだとも。不自然にならない流れは
僕が作るよ」
「このチーム戦が終わったら君とは友達になれそう
だっ」
 二人がガッチリと握手を済ませると第二回目の対
戦が始まろうとしていた。 
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