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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯121.チーム対抗戦の始まり㊸ 潜入者

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 鈴木は大山チームが盛り上がっている前から砂場
の上に置かれた円板の近くで待機していた。昔から
仲間意識というものが、どうにも苦手で長時間居る
と頭が痛くなる程だ。なら何で参加しているんだと
言う話になるがB探偵と幼なじみで大山チームを勝
たせる為、バレないようにワザと負けるように言わ
れたのだ。もちろんスパイみたいな行為は断ってい
たが相手が諦める気配がなく、根負けしたのだ。

 もちろん、只で引き受けた訳ではない。B探偵の
知り合いにプロレス関係の人が居て入手困難な大会
のチケットを貰えるというのだ。趣味は、プロレス
観戦で選手名鑑に載っている主要団体の選手の情報
(好物や趣味)をスラスラと言えるマニアぶりだ。
しかも真夏に開催されるリーグ戦はヘビー級最強を
決める一番熱い大会なのだ。優勝者は夏男となり、
現ヘビー級チャンピオンへのタイトルマッチの挑戦
権が得られるので夏のビッグイベントなのだ。団体
の珠宝であるヘビー級ベルトの憧れが強すぎて装着
したまま寝たレスラーも存在する。

 運動が得意でないだけに果敢に挑んでいく、その
姿に憧れが強く好きな選手の必殺技はラ・ケブラー
ダとイーグルダイブだ。派手な飛び技が大好きなの
だが寝技(グラウンドテクニック)も一流で足四の
字固めも得意としている。愛称はイーグルヘッドだ。

 自分がスパイである事は絶対にバレないようにし
なければ約束のプレミアチケットは貰えない事にな
っている。自然な動きを心掛けようと対戦相手であ
る堀部が来るまでイメージトレーニングを繰り返す
のだった。

*リーグ戦とは総当たり戦です。
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