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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯117.チーム対抗戦の始まり㊴ ボール投げの新たなルール

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 黒服の男が拡声器を使ってボール投げの練習時間
が終わった事を告げる。両チームはボールに触れる
のを止めて各自の持ち場に戻る。その様子を見てか
ら新たにルールの説明を始めた。
「ボール投げに関しては各チーム、またぐ事を禁止
とする。つまり、各自設けたボール投げの台に部外
者が近づく事は反則とする!」
 黒服男の力強い言葉が響き渡った。

「反則って具体的にはどうなるんだ?」
 初めて聞くルールに対応するために陸城の口が誰
よりも早く動いた。
「具体的に言うと失格というのではなく減点方式を
取らせてもらう」
「内容は分かった」
 陸城は言葉では理解できたが新たな問題が発生し
た事に頭を悩ませる事となった。自分たちの投げて
いる回であれば目の前で情報は収集できるが相手の
投げている回は場所が離れすぎていて情報を得る事
は出来そうにないからだ。その事に一早く気付いた
西島マコトが荷物の中から子供用の望遠鏡を取り出
し陸城に手渡した。
「あれ位の距離なら、これで十分観れるだろうよ」
「あぁ、俺とした事がこっちには戦略が得意な君が
居たことを忘れていたよ」
「別に気にする事はないさ。選手の失格は後半で、
いくらでも巻き返せるが減点はシャレにならないか
らな」 
「そうだな」
「ルールの範囲内なら立派な戦略という訳だし何も
気にする事は無い」
「あぁ」 

 西島は、リーダーである陸城の傾きかけた精神状
態を自らのアイデァで立ち直らせる事に無事成功し
、さっきまで悩んでいた事など無かったかのように
不気味に笑う陸城だった。 
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