少年と銀貨 第一章：始まりの世界

第一章：始まりの世界 ”チーム対抗戦”

♯１０７．チーム対抗戦の始まり㉙ 向き合う二人

　砂場の中央部分に置かれた円板は、二人立つだけの
スペースしかなかった。絶妙な位置にあるので危険対
策は充分確保されているのが分かった。

　陸城は田中が円板に向かう直前に最初から勝てると
は思っていないからプレイして感じた情報を必ず持ち
帰ってくる事を義務付けさせた。メンバー皆で情報を
共有して最後に勝てば良いという考え方を打ち明けた。
　田中は、その事を思い出しながら静かに台の上に、
乗って対戦相手を待った。

　一方、大山は先に円板付近まで移動し堀部が円板に
乗る直前でハイタッチを交わし気分を向上させる行動
を取り、最後に「楽しんで来て」と告げた。それを受
けた堀部は両手を握りこんで腰の位置で力強く引き、
気合いを入れてから台に飛び乗った。

「では先ず両選手、両方の手の平を重ねた状態でスタ
ートしますので準備をお願いします」
　進行役の立花が口を開いた。

「了解っ」
「りっりょうかい」
　気合いが入った堀部の声に圧されたのか、やや遅れ
て緊張気味の田中が返事をして堀部の差し出された手
の平に自らの手の平を重ねて準備が整った。

「では、始めの最後を伸ばす声を私が出しますので、
それを受けた後、相手を台の上から落として下さい。
態勢がもつれた状態で台に、ひざがついても失格では
ありませんが最初から、ひざをついて落とす行為は、
失格となります。なお、ボール投げやビンゴの詳しい
説明は実際に始まってから同時に説明していきますの
で、よろしくお願いします」
　観客も含めて、異様な緊張感の中、いよいよチーム
対抗戦が始まる瞬間が目前に迫ってきていた。