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第一章:始まりの世界 ”チーム対抗戦” 

♯86.チーム対抗戦の始まり⑧ 不審者登場4

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「その体格で俺の左手がしびれてやがる。一体何しや
がった?」
 男は左手で楽に受け止めてから足をうばう作戦を考
えていただけに想像以上の攻撃力にとまどっていた。
「何って。鉄板入りの靴で蹴っただけだけど文句ある?」
「なるほどーって随分とクレイジーな事してくれてる
じゃん。まぁ体格差のハンデを埋めるには、好都合な
アイテムな事は認めるけどよ」

 立花は左肘を相手のあごにヒットさせてダメージを
追加させて地面に着地すると同時に左手ににぎりこん
でいた催涙スプレーを男の顔面に噴射させた。
「ゴホッゴホッ」
 唐辛子入りエキスのスプレーで視界を奪う作戦に出
たが男は苦しむどころか関心した様子で話し始める。
「クックックックッ。お前、ネジが外れてるよな? 
攻撃されてもないのに一方的に相手をブチのめそうっ
て奴は初めてかもな。あーっ。最初に言っとくけど、
俺に目つぶしとか効かないから。いつでも涙流せる体
質あるからよ。勝ち逃げすんなよ!」
 言ってるそばから大量の涙が頬を滑り落ちていった。
その様子を見て立花は只ならぬ不安を覚えて逃げる選
択肢を選ばずに腹部に空手の正拳突きを放つ。
「うっ痛っーーーーーーい」
「はっはっはっはっはーーーーーー。まんまと引っ掛
かりやがったぜ。こういう事もあろうかと鉄板を腹部
に隠してたんだよ」
「あーっ。マジむかつくっ!!」
「ムカついてんのはお前だけじゃないぜ。あーっアゴ
も痛いぜっ」
 アゴを右手で擦りながら、腰を落としてうずくまっ
ている立花に話しかけ続ける。
「ちなみに後30秒もしたら視力は問題なしだ。名前
教えろよ。その右手はしばらく使い物にならないし、
痛み止めまでは持ってないよな?」
「鉄板を仕込んでるような男に名前は絶対に教えないっ」
「あぁ。嫌われちゃったかなー俺」
(このままだと負けるの!?)
 半開きの目で腕組みをしながらワクワク感を前面に
出している不気味な男に対抗する策が思い浮かばず、
相手の攻撃が来るのを待つしかなかった。



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