少年と銀貨 第一章：始まりの世界

第一章：始まりの世界 ”チーム対抗戦”

♯８４．チーム対抗戦の始まり⑥ 不審者登場２

　Ｂ兄さんと名乗る怪しい男は、辺りをキョロキョロ
見回して誰も居ない事を確認して首の後ろからフード
を取り出して被った。

「少し見ないうちに綺麗になったね！　今日はお兄さ
んの家でＴＶゲームをしよう。ねっ」
「あのっ。知らない人の家に行く事はありませんし、
ＴＶゲームもやりたくないです。しかも今から約束し
てる事があるので失礼させていただきます！」
　辺りを見回してからのフードを被ってきた時点で、
危険信号が点滅しており、逃げる選択しか無かった。
　
「付き合い悪いね～。ちなみに何の用事？」
「言う必要はないと思いますが保険医の霞実先生も来
ます」
「へぇー。中等部の保険医の彼女か。確か蹴り技に、
定評があると聞いた事がある。こいつは少し厄介だな」
　二人が押し問答している所に遅れていた立花マイカ
が通り掛かった。ヒカルは直ぐに気付き、険しい表情
で助けを求めるサインを送ると立花は二人に声を掛け
た。
「知り合い？」
「知らない人よ。でも向こうは私を知ってるみたい」
　ヒカルの答えが聞き終わる前に体重移動を終えて、
男の背後に回り込むと股間に一発放つために前蹴りを
繰り出す。
「シュッ」
　相手は視界から消えた少女の動きが手慣れた者とし
ての動きのそれと瞬時に理解して後方からの攻撃に対
して備えるべく前転で距離を取った。男の判断が少し
でも遅かったら今頃、床に寝転んでいたであろう位の
急所攻撃ではあったが起き上がるなりヒカルの正面に
陣取った。