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27.主が居ぬ間になんとやら

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 夕方17時。重たそうなトランクやバッグを抱える絋亮を見送ると、ようやく洗濯物や布団を取り込んで、ベッドルームでシーツを取り替えて畳んだ洋服はしまわずにベッドの上に乗せておく。
 ヘドニス子の衣装部屋を一度確認するが、ここの片付けの前に買い物を済ませてしまおうと、外に出掛ける準備をする。
 預かった合鍵を自分のキーホルダーにつけると、財布やスマホを持っていることを確認してから、コートを羽織って部屋を出る。
 スマホのマップアプリを頼りに、散歩がてらのんびりと歩くと、すぐにお目当てのスーパーに到着した。
「便利なところに住んでるなあ」
 思わず呟いてスマホをポケットにしまうと、買い物カゴを持ってスーパーの中を歩いて回る。
 悠仁が作れる料理と言っても限られた物で、チャーハンにカレーやオムライス、冷凍餃子を焼いたり、うどんやパスタを茹でて市販のソースを温めてかける程度だ。
 頑張ればハンバーグや唐揚げくらいなら作れるかも知れないが、今日のところは無難にカレーの材料をメインに、タマゴや食パン、お米は様子見で2キロ分を買って、牛乳や納豆、足りない調味料などを次々とカゴに入れて行く。
 缶ビールはパックの方が割安なのでそれをカゴに入れると、そろそろカゴの中身がパンパンになってきた。
 レジ袋をつけてもらって会計を済ませると、ヘドニス子の部屋の掃除があるので、スーパーの隣のドラッグストアでゴミ袋や、他にも足りないと感じてメモしてきたものを次々と買って行く。
 最後に100均で小物入れの箱などを何個か買って店を出ると、結果的に大荷物になったが、この程度なら一人で持つことは不可能じゃない。
 もし今度買い物するときは、エコバッグを使った方が楽かも知れないなと、両手いっぱいの荷物を抱えて帰り道を歩くと、すっかり暗くなった路地の街灯が辺りを照らす。
 帰宅するとすぐに具沢山のシーフードカレーを作って、ご飯を忘れずに炊く。炊飯器はほとんど使われることがないらしいが、結構高い良いやつなので、つくづくもったいないと思う。
「さて。じゃあ衣装部屋の整理整頓と掃除だな」
 絋亮が作った資料と、掃除用具や買い物してきた物を持って、いよいよヘドニス子の部屋に突入する。
「あー今日も散らかってんな」
 まずはドレッサー周りから片付ける事にする。
 一旦全部物をどかせると、鏡や台をきれいに磨いて拭く。化粧品の汚れなのか、取れにくい汚れもあったが、丁寧に掃除すればなんとかきれいになってホッとする。
 退かした化粧品は100均で買ってきた箱を使って、カテゴリごとにまとめて台の上に置き直すと、物は溢れかえっているが、ドレッサー周りは幾分見栄えが良くなった。
 次は床に散らばって放置された衣装をとりあえず全て買ってきたハンガーに掛ける。
 資料を見ながら自宅で洗濯出来るものを分類して、表示を確認しながら、大丈夫な物はネットに入れて洗濯機に放り込んですぐに洗濯を開始する。手洗いが良さそうな物はまた別に分けて洗面所に置いておく。
 クリーニングが必要な物は、クローゼットの左側に寄せて掛けるとだいぶ部屋がスッキリしてきた。
 あとは無造作に床に置かれたウィッグや小道具だ。
 クローゼットの中にウィッグスタンドが入っているらしいので、ヘアセットされたウィッグの埃をハタキで払うと、スタンドに飾るように被せて上の段に丁寧に並べ、入り切らないものは右側の足元、小道具も同じように紙袋や箱に入れて、とりあえずはクローゼットの中に片付ける。
 そしてセットされていない普通のウィッグに関しては、思い切って手洗いする事にした。
 バスルームに移動すると、買ってきた洗面器と専用のシャンプーを使って、ぬるま湯で濯ぐように洗い、トリートメントも使って丁寧に仕上げる。
 洗い終わったら固く絞って水気を切って、最後にドライヤーで乾かしてブラッシングしてから、これまた100均で買ってきた洗濯用のピンチに引っ掛けて吊るしておく。これはこれでシュールな見た目だ。
 そして今度は手洗いが必要な衣装を、洗面器やバケツを使って優しく揉み洗いして暫くつけ置きする。
 その間に部屋全体に掃除機をかけてから、フロアモップで床掃除を終わらせると、見違えたように部屋がスッキリした。
 洗濯機に放り込んでいた衣装の乾燥が終わると、手洗いした衣装を手で絞ってから乾燥にセットして洗濯機を再び回す。
 先に洗い終えた衣装を確認するが、ほつれたりはしていないのでホッとする。そのままハンガーに掛けて衣装カバーを付けてクローゼットに吊るす。
「まあ仕事しながら、これだけのことを頻繁にするのは厳しいよな」
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