1 / 1
こんなことって…
しおりを挟む
私は世間一般的に言ういじめられっ子だ。
いじめられっ子だからなんだと言う人もいると思う。
いじめられっ子にも原因があると世間は言う。
そう、原因。
私に原因があるとしたら、鞄をずっと持っていなかったこと。
鞄をずっと持っていたら私はいじめられていなかった。
何故かって?
元々いじめてる側の人達とは仲が良かったのだ。
でも、どうしていじめられているのかって?
グループは私を含めて8人
私たちのグループには、誰のものかわからない形見のイヤリングを持っていると、いじめられるというルールがある。
そして私たちのグループでは1日に1回荷物検査をすることになっている。
みんな、誰の鞄の中に入っているのかを知っているため、逃げ場はない。
そして、そのイヤリングを別の誰かの鞄の中に入れたら、そこでそのいじめはなくなり、別の人のいじめが始まる。
そして、そのイヤリングを入れた人はいじめられなくなる。
だから、今日私は行動する。
いじめられるのが嫌だから。
イヤリングを入れられるかもしれないので、ずっと鞄を持っていないといけないのだが…
「やばい!次移動じゃん!」
「早く移動しないと!」
「行こ行こー!」
と、移動教室の時はとても簡単なのだ。
そして私は別の人の鞄にイヤリングを入れる。
「行くか…」
誰もいない教室で1人、私は呟いた。
放課後…。
「さ、荷物検査するよー」
入れた奴がどんな反応をするかがとても見物だ。
「とりあえずあんた、鞄開けな」
元々私が持っていたため、一番最初に荷物検査をされる。
検査後…
「ない…」
「え?全部調べたの?」
「調べたよ」
「まあいいや。じゃあ、次あんたね」
こうして次々と荷物検査をされ、最終的に…。
「今からいじめられるのはあんたね」
「なんであんた私の鞄にイヤリング入れたのよ!?」
そういいながら私の胸ぐらを掴んでくる。
それに私はニヤリと笑い…。
「こういう決まりだからしょうがないじゃん」
そう小声で言った。
そして周囲から…。
「ちょっとあんた何胸ぐら掴んでんの?放しなさいよ」
「!?」
「苦しい…」
「ほら苦しいって言ってるじゃん!放せよ!」
そして私は解放される。
「わ!カハッ…ケホケホ…」
「大丈夫?」
そう、これがいじめられていない時の扱いだ。
「うん。大丈夫」
「あんた最低だね」
「行こ」
そして、明日からいじめられる奴を放って家に帰った
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今まで仲が良かったのに、鞄の中にイヤリングが入っているだけでこの扱いだ。
この負の連鎖ここで止めないといけないのかもしれない。
次の日…
「おはよう!」
「え?話しかけてきたんですけどwめっちゃうざい」
「え…」
そう、いくら話しかけてもウザいの一言で終わってしまう
「そもそも昨日胸ぐら掴んできたのに仲良くできるわけないじゃん」
「あれは…」
「気安く話しかけないでくれない?」
「そんな…」
一日中無視を続けられ、放課後に…
「荷物検査しまーす」
今日は私は行動を起こした。
何かって?
あのイヤリングを別の人の鞄ではなく、誰にも気づかれない所に放置したのだ。
だから今日荷物検査してもイヤリングは出てこないのだ。
「じゃあ、あんたからね?」
そして私は荷物検査をされる。
しかし、鞄の中からはイヤリングは出てこない。
そりゃあ出てくることはないだろう。
私が別の所に置いたから。
逆にこれで出てきたら、今日1日いじめを我慢した意味がなくなってしまう。
「え?イヤリングないよ?」
「んなバカな。だって今日移動教室なかったろ?」
「でもないものはないんだって」
「…ほんとだ…」
「じゃあ、別の人の鞄見てみようよ」
そしてみんなの鞄を見られる。
でも一向に出てくる気配はない。
「なんで出てこないの!?」
「あれ、私の形見なのに…」
「じゃあなんでその形見をいじめる対象に渡したの?」
「なんでって…」
「そもそもなんでこんなゲームを始めようと思ったわけ?」
「それ…は…」
「何?理由言えないの?」
「あー面倒くさーないんなら帰ろー」
「え、待って…」
「次、あんただから」
「そんな…」
これではまた負の連鎖が…
…自分に火の粉が降りかかることがないからいいかな…?
「そもそも形見のイヤリング別の人に渡す?」
「確かに~」
「それは…!」
「喋りかけてんじゃねーよ」
「前々からウザかったけどまさか私たちに擦り付けようとしてんの?」
「そんなこと…」
「しないよね~。あんたなら」
「ねーねーこんな奴相手にしててもキリないから帰ろー」
「そうだね、意味ないし」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私はどうするのが一番得策だったんだろう?
でも、こんなに脆い関係でいる必要があるのか
私がいじめられるのは確実なんだから、もうどうだっていいんじゃないのか?
これ以上私以外の誰かがいじめられることはなくなるんだから
これで良かったのかもしれない
これから引越しと転校を考えなきゃいけないね…
「おはよー!」
「おはおは!」
「ねえ、今日何する?」
「何しよっかー…」
お昼ご飯は屋上で一人で食べる
教室にはうるさい女子達が沢山いるから
静かだと思って屋上に行ったら…
「Zzz…」
あれは…?寝てるのかな?
「んあ?」
関わると面倒くさそうだからちょっと違う場所で…
「こんな所で何してんの?」
「…ご飯を食べに来たんです」
「…良かったら一緒に食べない?」
そうやってお弁当を掲げてくる
「…いいですけど、お弁当の中身取らないでくださいね?」
「それくらいの常識はあるよ」
そうしてお弁当の蓋を開けると…
「わ!それどうしたの!?」
…何となく予想はしていた
お弁当の中身がぐしゃぐしゃになっているのだ
誰がやったのかはだいたい見当がつく
「…きっとここまで来るのにぐしゃぐしゃになっちゃったんですよ」
「…そんな雰囲気には見えないけど?」
「…」
「私は最近ずっとここでご飯を食べてるんだけど君が来るのは初めてだから、クラスで何かあったとか?」
「…」
「ごめん。詮索しすぎたね。言いたくなかったら無理に言わなくていいよ。私が聞きたいだけだから」
「…昨日から…私いじめられ始めたんです。…私のグループ、イヤリングを持ったらいじめられるんですけど、そのイヤリング、私の形見で…なんで渡してるのかが問題になって…結果的に私がいじめられるように…」
「…でもそれって、使おうって言いだした人がいけないんじゃないの?」
「確かに使おうって言ったのは私達のグループのリーダーです。でも私のイヤリングを使うってことは私自身が否定できたんじゃないのかなって…」
「だからって人の形見を使うのはどうかと思うけど…」
「仕方なかったんです!ものを提供すること以外私があのグループにいる方法が見つからなかったからです」
「そこまでして…居たいグループだった?」
「それは…思いません。もしかしたら今別のグループでワイワイしてた私もいるかもしれないし…」
「…世の中って理不尽だよね」
「?」
「自分が正しいとは思った事は本当は正しくないことが多いから…」
「それはどういう…?」
「私もクラスでいじめられてたんだ。しかもクラス全員に。そんなクラスにはやっぱりいられないからさ…気が付いたら私学校に行かなくなってた。行かなきゃいけないのは分かってた。でもまたいじめられるんじゃないのかなって不安で行けなかった。」
「私は学校を辞めようと考えてました。でもあなたは話を聞いてるとなんかやめるのって相手に負けたみたいで嫌ですね。もしかしたら辞めない方がいいのかもしれないし」
「部活でもそうだよね。もし部活で嫌なことがあったとしても辞めたら嫌なことしてくる人に負けてるってことになっちゃう、そうやって考えても嫌だって思うと思うよ。でもやっぱり私は嫌なことしてくる人から逃げたくはないな」
「でも、逃げていい時もあるかもしれない。どんなに頑張ってもその人が嫌でどうしようもない時は逃げてもいいかもしれない」
「でも、だからって何も反抗せずに逃げるのはダメだと思う。本当にダメなら反抗はしなくてもいいかもしれない。でも少しでも何とかなりそうだったら反抗してみるのもありだと思う」
「いくら抵抗してもダメなら、先生に言ってみるのもありかもしれない。でも先生に言ったからといって解決するわけではない。先生に言ったとしても解決しないことも多々ある。そんなことが日常で起きるこの世界は、理不尽だよね」
「…そんなこと言ってる私は部活に入ってないんだけどね」
「私もです」
2人して苦笑いする
そんな時…
「あ!アカリこんな所にいた!」
見知らぬ少女がやって来た
…でも私はアカリという名前ではない
ということは…
「…ヒカリ」
今、ここにいる人で心当たりがある人はアカリと呼ばれたこの人
「ヒカリ、何しに来たの?私と関わるといい事ないって言ったのはヒカリでしょ?」
「それがそうも言ってられなくなっちゃったんだよね~。クラスの人にアカリを呼んでこいって言われたからね~」
このヒカリっていう人も強引だな…
さっきアカリが言っていたことはクラスでいじめられていること
そんな中ヒカリって人が強引にクラスに連れて行こうとする
ということはヒカリはアカリをいじめようとしているということ
…私は
「…どうしてアカリさんを教室に連れていこうとするんですか?」
「は?あんたには関係ないよね?」
「関係ありますよ。今までアカリさんと一緒にご飯を食べて談笑していたんです。それなのに関係ないことは無いと思いますが?」
「はあ…めんどくさ…。今日はいいけど、明日は絶対来てね。来てくれなかったら私がいじめられるハメになっちゃうから」
ヒカリという少女はこの屋上から去った
「ごめんね。巻き込んじゃって」
「アカリって名前だったんですね」
「自己紹介してなかったね。そう私はアカリ。よろしくね」
「私はマユです」
「マユちゃんか」
「2年です」
「私も!」
「えっ?ほんとですか?」
「うん」
「タメだったんだ…」
「あははっ」
…そう、笑えていたのは今日まで…
ちゃんと笑えていたのかな?
教室に戻ったらいじめられる
…しかもクラス全員から
私はその時から精神が崩壊していたのかもしれない
いじめられても何も感じなくなってしまったのだ
ああ、こんなものか、そう思うようになってしまった
それからは早かった
次の日に屋上に行くとアカリという少女はいなかった
アカリは家で自殺したらしい
…私も人のことは言えないのかもしれない
私が立っているのは屋上のフェンスの前
後ろには誰もいない
こんな絶好の機会はない
誰もいないことをもう一度確認して私はフェンスに手をかけ、登り、フェンスの向こう側に立った
ガチャリと扉が開く音がした
振り返るとそこに…
先生が立っていた
「君!そこで何をしている!危ないだろう!こっちに来なさい!」
…どうしてなのだろう
どうしてこういう大人達は偽善者ぶるのだろう…?
危ないから戻れ?
「…嫌ですよ」
「な…」
「嫌です。それにあなた方大人が私たち生徒に何かしてくれましたか?もう少し生徒に目を配っていたら、こうやって…自殺する生徒もいなくなると思います」
そうして私は思い切って屋上から飛び降りた
先生は止めようと手を差し伸べたと思う
でも手をさしのべられてももう手遅れ
私は飛び降りているから…
そうして地面を見る
綺麗な地面が見える…
アカリ…今あなたの所に行くよ…
終
いじめられっ子だからなんだと言う人もいると思う。
いじめられっ子にも原因があると世間は言う。
そう、原因。
私に原因があるとしたら、鞄をずっと持っていなかったこと。
鞄をずっと持っていたら私はいじめられていなかった。
何故かって?
元々いじめてる側の人達とは仲が良かったのだ。
でも、どうしていじめられているのかって?
グループは私を含めて8人
私たちのグループには、誰のものかわからない形見のイヤリングを持っていると、いじめられるというルールがある。
そして私たちのグループでは1日に1回荷物検査をすることになっている。
みんな、誰の鞄の中に入っているのかを知っているため、逃げ場はない。
そして、そのイヤリングを別の誰かの鞄の中に入れたら、そこでそのいじめはなくなり、別の人のいじめが始まる。
そして、そのイヤリングを入れた人はいじめられなくなる。
だから、今日私は行動する。
いじめられるのが嫌だから。
イヤリングを入れられるかもしれないので、ずっと鞄を持っていないといけないのだが…
「やばい!次移動じゃん!」
「早く移動しないと!」
「行こ行こー!」
と、移動教室の時はとても簡単なのだ。
そして私は別の人の鞄にイヤリングを入れる。
「行くか…」
誰もいない教室で1人、私は呟いた。
放課後…。
「さ、荷物検査するよー」
入れた奴がどんな反応をするかがとても見物だ。
「とりあえずあんた、鞄開けな」
元々私が持っていたため、一番最初に荷物検査をされる。
検査後…
「ない…」
「え?全部調べたの?」
「調べたよ」
「まあいいや。じゃあ、次あんたね」
こうして次々と荷物検査をされ、最終的に…。
「今からいじめられるのはあんたね」
「なんであんた私の鞄にイヤリング入れたのよ!?」
そういいながら私の胸ぐらを掴んでくる。
それに私はニヤリと笑い…。
「こういう決まりだからしょうがないじゃん」
そう小声で言った。
そして周囲から…。
「ちょっとあんた何胸ぐら掴んでんの?放しなさいよ」
「!?」
「苦しい…」
「ほら苦しいって言ってるじゃん!放せよ!」
そして私は解放される。
「わ!カハッ…ケホケホ…」
「大丈夫?」
そう、これがいじめられていない時の扱いだ。
「うん。大丈夫」
「あんた最低だね」
「行こ」
そして、明日からいじめられる奴を放って家に帰った
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今まで仲が良かったのに、鞄の中にイヤリングが入っているだけでこの扱いだ。
この負の連鎖ここで止めないといけないのかもしれない。
次の日…
「おはよう!」
「え?話しかけてきたんですけどwめっちゃうざい」
「え…」
そう、いくら話しかけてもウザいの一言で終わってしまう
「そもそも昨日胸ぐら掴んできたのに仲良くできるわけないじゃん」
「あれは…」
「気安く話しかけないでくれない?」
「そんな…」
一日中無視を続けられ、放課後に…
「荷物検査しまーす」
今日は私は行動を起こした。
何かって?
あのイヤリングを別の人の鞄ではなく、誰にも気づかれない所に放置したのだ。
だから今日荷物検査してもイヤリングは出てこないのだ。
「じゃあ、あんたからね?」
そして私は荷物検査をされる。
しかし、鞄の中からはイヤリングは出てこない。
そりゃあ出てくることはないだろう。
私が別の所に置いたから。
逆にこれで出てきたら、今日1日いじめを我慢した意味がなくなってしまう。
「え?イヤリングないよ?」
「んなバカな。だって今日移動教室なかったろ?」
「でもないものはないんだって」
「…ほんとだ…」
「じゃあ、別の人の鞄見てみようよ」
そしてみんなの鞄を見られる。
でも一向に出てくる気配はない。
「なんで出てこないの!?」
「あれ、私の形見なのに…」
「じゃあなんでその形見をいじめる対象に渡したの?」
「なんでって…」
「そもそもなんでこんなゲームを始めようと思ったわけ?」
「それ…は…」
「何?理由言えないの?」
「あー面倒くさーないんなら帰ろー」
「え、待って…」
「次、あんただから」
「そんな…」
これではまた負の連鎖が…
…自分に火の粉が降りかかることがないからいいかな…?
「そもそも形見のイヤリング別の人に渡す?」
「確かに~」
「それは…!」
「喋りかけてんじゃねーよ」
「前々からウザかったけどまさか私たちに擦り付けようとしてんの?」
「そんなこと…」
「しないよね~。あんたなら」
「ねーねーこんな奴相手にしててもキリないから帰ろー」
「そうだね、意味ないし」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私はどうするのが一番得策だったんだろう?
でも、こんなに脆い関係でいる必要があるのか
私がいじめられるのは確実なんだから、もうどうだっていいんじゃないのか?
これ以上私以外の誰かがいじめられることはなくなるんだから
これで良かったのかもしれない
これから引越しと転校を考えなきゃいけないね…
「おはよー!」
「おはおは!」
「ねえ、今日何する?」
「何しよっかー…」
お昼ご飯は屋上で一人で食べる
教室にはうるさい女子達が沢山いるから
静かだと思って屋上に行ったら…
「Zzz…」
あれは…?寝てるのかな?
「んあ?」
関わると面倒くさそうだからちょっと違う場所で…
「こんな所で何してんの?」
「…ご飯を食べに来たんです」
「…良かったら一緒に食べない?」
そうやってお弁当を掲げてくる
「…いいですけど、お弁当の中身取らないでくださいね?」
「それくらいの常識はあるよ」
そうしてお弁当の蓋を開けると…
「わ!それどうしたの!?」
…何となく予想はしていた
お弁当の中身がぐしゃぐしゃになっているのだ
誰がやったのかはだいたい見当がつく
「…きっとここまで来るのにぐしゃぐしゃになっちゃったんですよ」
「…そんな雰囲気には見えないけど?」
「…」
「私は最近ずっとここでご飯を食べてるんだけど君が来るのは初めてだから、クラスで何かあったとか?」
「…」
「ごめん。詮索しすぎたね。言いたくなかったら無理に言わなくていいよ。私が聞きたいだけだから」
「…昨日から…私いじめられ始めたんです。…私のグループ、イヤリングを持ったらいじめられるんですけど、そのイヤリング、私の形見で…なんで渡してるのかが問題になって…結果的に私がいじめられるように…」
「…でもそれって、使おうって言いだした人がいけないんじゃないの?」
「確かに使おうって言ったのは私達のグループのリーダーです。でも私のイヤリングを使うってことは私自身が否定できたんじゃないのかなって…」
「だからって人の形見を使うのはどうかと思うけど…」
「仕方なかったんです!ものを提供すること以外私があのグループにいる方法が見つからなかったからです」
「そこまでして…居たいグループだった?」
「それは…思いません。もしかしたら今別のグループでワイワイしてた私もいるかもしれないし…」
「…世の中って理不尽だよね」
「?」
「自分が正しいとは思った事は本当は正しくないことが多いから…」
「それはどういう…?」
「私もクラスでいじめられてたんだ。しかもクラス全員に。そんなクラスにはやっぱりいられないからさ…気が付いたら私学校に行かなくなってた。行かなきゃいけないのは分かってた。でもまたいじめられるんじゃないのかなって不安で行けなかった。」
「私は学校を辞めようと考えてました。でもあなたは話を聞いてるとなんかやめるのって相手に負けたみたいで嫌ですね。もしかしたら辞めない方がいいのかもしれないし」
「部活でもそうだよね。もし部活で嫌なことがあったとしても辞めたら嫌なことしてくる人に負けてるってことになっちゃう、そうやって考えても嫌だって思うと思うよ。でもやっぱり私は嫌なことしてくる人から逃げたくはないな」
「でも、逃げていい時もあるかもしれない。どんなに頑張ってもその人が嫌でどうしようもない時は逃げてもいいかもしれない」
「でも、だからって何も反抗せずに逃げるのはダメだと思う。本当にダメなら反抗はしなくてもいいかもしれない。でも少しでも何とかなりそうだったら反抗してみるのもありだと思う」
「いくら抵抗してもダメなら、先生に言ってみるのもありかもしれない。でも先生に言ったからといって解決するわけではない。先生に言ったとしても解決しないことも多々ある。そんなことが日常で起きるこの世界は、理不尽だよね」
「…そんなこと言ってる私は部活に入ってないんだけどね」
「私もです」
2人して苦笑いする
そんな時…
「あ!アカリこんな所にいた!」
見知らぬ少女がやって来た
…でも私はアカリという名前ではない
ということは…
「…ヒカリ」
今、ここにいる人で心当たりがある人はアカリと呼ばれたこの人
「ヒカリ、何しに来たの?私と関わるといい事ないって言ったのはヒカリでしょ?」
「それがそうも言ってられなくなっちゃったんだよね~。クラスの人にアカリを呼んでこいって言われたからね~」
このヒカリっていう人も強引だな…
さっきアカリが言っていたことはクラスでいじめられていること
そんな中ヒカリって人が強引にクラスに連れて行こうとする
ということはヒカリはアカリをいじめようとしているということ
…私は
「…どうしてアカリさんを教室に連れていこうとするんですか?」
「は?あんたには関係ないよね?」
「関係ありますよ。今までアカリさんと一緒にご飯を食べて談笑していたんです。それなのに関係ないことは無いと思いますが?」
「はあ…めんどくさ…。今日はいいけど、明日は絶対来てね。来てくれなかったら私がいじめられるハメになっちゃうから」
ヒカリという少女はこの屋上から去った
「ごめんね。巻き込んじゃって」
「アカリって名前だったんですね」
「自己紹介してなかったね。そう私はアカリ。よろしくね」
「私はマユです」
「マユちゃんか」
「2年です」
「私も!」
「えっ?ほんとですか?」
「うん」
「タメだったんだ…」
「あははっ」
…そう、笑えていたのは今日まで…
ちゃんと笑えていたのかな?
教室に戻ったらいじめられる
…しかもクラス全員から
私はその時から精神が崩壊していたのかもしれない
いじめられても何も感じなくなってしまったのだ
ああ、こんなものか、そう思うようになってしまった
それからは早かった
次の日に屋上に行くとアカリという少女はいなかった
アカリは家で自殺したらしい
…私も人のことは言えないのかもしれない
私が立っているのは屋上のフェンスの前
後ろには誰もいない
こんな絶好の機会はない
誰もいないことをもう一度確認して私はフェンスに手をかけ、登り、フェンスの向こう側に立った
ガチャリと扉が開く音がした
振り返るとそこに…
先生が立っていた
「君!そこで何をしている!危ないだろう!こっちに来なさい!」
…どうしてなのだろう
どうしてこういう大人達は偽善者ぶるのだろう…?
危ないから戻れ?
「…嫌ですよ」
「な…」
「嫌です。それにあなた方大人が私たち生徒に何かしてくれましたか?もう少し生徒に目を配っていたら、こうやって…自殺する生徒もいなくなると思います」
そうして私は思い切って屋上から飛び降りた
先生は止めようと手を差し伸べたと思う
でも手をさしのべられてももう手遅れ
私は飛び降りているから…
そうして地面を見る
綺麗な地面が見える…
アカリ…今あなたの所に行くよ…
終
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……
紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz
徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ!
望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。
刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる