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12話

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(え?え?いやいや!!友達として仲良くしたいって事だよね!まさかこんなちんちくりんを好きになるとかありえないし!!)

「分かりました!ではノア様と」

「はい。ラバール嬢」

と言ってイケメンさん改め、ノア様は微笑む。

(えー、わたしだけ家名呼び?)

「あの、ノア様?ぜひわたしのこともレティシアと呼んでください」

「へ?」

「え?」

ノア様は意味がわからないといった顔で固まっている。

(・・・?)

「あの、ラバール嬢?ご自身が言った言葉の意味わかっています?」

「え?意味?」

「もしかして知らない?・・・ラバール嬢、ご令嬢が異性にファーストネームを呼ばせる意味は、、」

とノア様がわたしに耳打ちで教えてくれる。
その時だった。

「ノア・ハーネス殿?何しているのですか?」

とにっこにこの目が据わっている笑顔のアルお兄様がノア様に近づいた。

「いえ、ラバール嬢が僕にファーストネームで呼んでほしいとおっしゃっていたのでその意味を教えようかと近づいただけですよ」

「はっ!?シア!!?それは本当かい?」

(なにかダメだったのかな、)

「お兄様なにかダメでしたか?」

「はぁ、シア。令嬢から異性にファーストネームを呼ばせるというのは相手に気があると言っているようなものなんだよ。基本令嬢はファーストネームは呼んでも呼ばせないんだ」

「へぁ!!!?」

(じゃぁ、わたしノア様に気になってますって言ったようなものってこと!?うわぁぁ!!!恥ずかし~!男性から女性にファーストネームを呼ばせる時だけの意味かと思ってた・・・)

「うぅ、ノア様ごめんなさい、、」

つい恥ずかしくて手で顔を覆った。

「ふふっ大丈夫ですよ。ラバール嬢、いえ、レティシア様?」

ノア様はくつくつと笑いながらぱちんっとウィンクをしてくれた。

「は、はひ!」

(んんん!!イケボ!!!!やばいやばい!耳で妊娠しそう♡)

実はわたし超声フェチだった。
前世でも、登場人物全員がイケボの乙女ゲーム『聖の乙女にキスを。』という、題名は痛々しいのだがとても人気があったゲームにどハマりしていた。

特殊な力に目覚めた16歳の主人公が学園で様々な攻略対象と出会って恋に落ちていく物語。
まぁ、内容的にはよくあるような物語なのだが、最大の魅力は登場人物全員がイケボなのだ!!
イケボ好きなわたしはもちろん沼った。
特にわたしが推していたのは侯爵子息のノア・ハーネス様。ノア様は頭脳明晰で、所謂メガネキャラ。ノア様はあまーい声で主人公に愛を囁く。その声に一瞬で恋をした。
ノア様が出てくるルートは全部クリアしたし、
キャラ1人1人が歌う曲も何百回と聞いたししっかりオタクしていた。
しかし、声だけならその声優さんを追いかければ?と思うだろう。
わたしも最初はそう考えてその声優さんが出てるアニメキャラの声も聞いたけどあまりしっくり来なかった。

なぜかノア様の声だけが刺さるのだ。
だからハマりまくった。
もちろん他のキャラの声も最高だけど、やっぱり一番好きだったのはノア様だったなぁ。

さて、皆様お気付きな方もいるだろう。
ノア・ハーネス様という名前聞いた事ないだろうか?
わたしは数秒前にある。

そう、この世界乙女ゲームの世界だったのだ!!!!!







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