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代償の重さ

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 「お前に協力する」
 「ありがとう」
 皆さんこんにちは。ラティスです。私は今、モールド家の初代当主と手を組み、ルークが逃げる時間を稼いでる真っ最中です。
 「......」
 代償を使ったからセリファの崩壊が止まらない。このままだと一時間も持たずに私は死ぬ。
 「ラティスだったか?お前は本当にルーク様を助けたいのか?」
 初代当主はまだ少し迷いがある。私の言葉が真実なのか偽物なのか知りたいのかもしれない。
 「私はルークを助けることが出来なかった。だから今度こそ助けるの。たとえそれが世界に恨まれようとも関係ない!」
 私はそうはっきりと答えた。だって、ルークが死んだのは私達、モールド家のせいでもあるの。その償いも未来も守る。少しでも可能性があるなら私はなんだって縋るよ。
 私は他にも言いたいことがあった。だけど、心臓がいきなり痛くなりその場に立って居られなくなった。
 「ぐぅぅ!」
 ドサッ
 「お、おい!?」
 私が突然倒れたから初代当主は驚き私の体仰向けにした。
 「大丈夫か⁇」
 私は息が切れながらも必死に答えた。
 「う、うん。へ、へい、き。だ、だい、だい、しょ、うを、つか、ったか、ら」
 私がそう言うと、初代当主は顔を顰めた。
 「平気なんてそんなわけあるか!」
 初代当主はそう叫び、私の手を握る。
 「代償はなんだ?」
 そう言った。
 「せ、せり、ふぁ......」
 「セリファ!?」
 初代当主は驚いて声を上げた。
 私はもう息をするので精一杯だ。
 「お前は代償を使ってまで、ルーク様を助けたかったのか?」
 上級当主はそう質問してきたので、私は頷いた。
 「み、みら、いじ、ゃ。で、きなく、ても......か、こを、かえて、あげた、かっ、た」
 ルークを傷つけてたくさん傷つけたのに、私を助けてくれた人。私が記憶を失った時、記憶を取り戻す手伝いをしてくれた。辛いはずの過去を私に見せてくれた。
 私はそんな人を拒絶するしか出来なくて情け無い。
 その頃ルークは
 「ノル。やっぱり私は戻るよ」
 「な、何言っているんだ!?」
 あの子のことが心配。なぜかはわからないけど、何か大きなものを抱え込んでいるように見えた。
 「私ねぇ、本当は死んでも構わないって思ってたの」
 「は?」
 ルークがいきなりノルに自分の内を明かした。
 「だって私の人生って意味があるのって思ってたの」
 そんな日々が嫌だった。
 「でもノルに君に出会えたから私の人生の意味が変わった。そしてあの子に言われた。ノルと幸せに生きなさいって......」
 「ルーク。俺は......」
 「今でもレイセリファを使ったことは後悔してないよ。私にとって大切な友達だもん」
 ルークはそう言ってにっこりと微笑んで来た道を引き返した。
 今ならまだあの子は居るはず。まだ間に合うはず。
 あんな奴どうでもいいだろ⁇
 「......っ!?」
 黒のモヤが聞いてきた。
 お前はまた捨てるのか?自由を?お前を人間だと思って居ない輩を殺したくないのか?
 「私は......」
 「「人を殺す前にこの村から出なさい!!!!!!!」」
 今このこと言葉胸を響いた。あの子がたったひと言そう言っただけなのに心の中で何度もこだまする。何度だって全身に響き渡る。
 「私は......君の言うことを聞かない」
 そうだよ。自分の人生は自分で決める。最初からあの村を出て行こうと思えば行けた。それをしなかってのは怖かったから。独りぼっちになりたくなかったから。でも今はノルが居る。あの子だって居る。だからもう怖くない。
 ルークはまた一歩前に進みラティスの元へと急いだ。
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