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神殺しの滝の小さな小屋

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 「......」
 「ラティス。おーい!ラティス‼︎」
 「......」
 「ラティス.ハンル.モールド‼︎」
 「きゃあああああああ!?」
 ドドドドバーン
 「何事だ!?」
 「ご、ごめっ......そこまで驚くなんて思わなかった。なぁ?だから許してくれよ」
 「うぅ......酷いよ。いきなり脇腹を突くなんて......」
 「ノワール。貴様殺されたいようだな?」
 「げっ!?公爵⁇す、すみません」
 「娘に近づくなこのゲスが!」
 ガーン
 「ラティスに会えなんて死んだも同然だ」
 「いや。重いから」
 こんにちは。ラティス.ハンル.モールドです。私は今、少しだけ考え事をしています。何を考えているかって?それは記憶を失う前の私は何をしていたのか考えていました。
 「......」
 「ラティス⁇お前マジで大丈夫かよ?」
 「......うん。少し考え事をしているだけだから」
 「そうか。なら良いけど......」
 王宮内
 「アリアスを説得してルークを止める。今出来ることはそれしかないからね」
 「私を君が止める?出来るのかなぁ?」
 「る、ルーク!?」
 「やあ!久しぶり。前は君に負けたけど、あの時よりも力をつけたから......だからラティスに負けないよ?」
 「え⁇」
 ゴキッ
 「ぐあああああ!?」
 「痛い?」
 「ぐっ......」
 シュル
 「風ね?そうはさせないよ!」
 バキッ
 「ぎゃあああ!?ンアアアア‼︎」
 「ねぇ?痛い?苦しい?君の泣き叫ぶ声をもっと私に聞かせて!」
 「ラティス!?」
 「ん?ああ......アリアスか。良いところでお邪魔虫が出たね」
 ドン
 「うぐっ!」
 ドサッ
 「ラティス‼︎怪我を見せて!どのぐらい怪我をしたの?」
 「うふふ。今日はこの辺で......またね。アリアス。ラティス。次は殺すから」
 「......」
 「酷い怪我。少なくても......右腕と肩と肋骨を確実に折ってる」
 それに頭を少し打っていて意識が朦朧としている。まずい。ラティスみたいに回復魔法は使えない。どうしたら?
 「なんの騒ぎだ!」
 「ノワール!ちょうど良いところに!早くラティスの怪我を治して!このままじゃラティスは......」
 「なんだよ?この怪我は?」
 「怪我の手当てをさせるほど私は甘くないよ」
 そう誰にも聞こえないところでそっと指を鳴らす。
 パチィン
 「え......ラティスは何処?」
 ドサッ
 「あがっ!?」
 何?何処かに落ちた⁇
 「うゔっ!身体中痛っ‼︎」
 私は辺りを見回して唖然とした。何故なら此処は昔神の間と言われた小屋だからだ。
 「私はどうやって中に入ったの?確か外側から鍵がかかっているはず......」
 ズキッ
 「何?この記憶?ルークの記憶なの?」
 「私はもう誰も信じない」
 「違う。これは......私の......記憶を失う前の私の記憶だ」
 「貴方の名前はラティス.ハンル.モールド」
 「......」
 「誰かを信じたらまた裏切られて辛くなる。愛なんて所詮おとぎ話の世界だけ」
 「......」
 「セスにーだよ」
 また来たの⁇
 「僕とたくさん遊ぼうね」
 「これって......セスお兄様⁇」
 「ラティス。お前に会うのが遅くなってすまない」
 「お父様⁇」
 「ラティス!?すごい熱だ!早く医者を呼べ!」
 「君は抜け出せる。君を縛る鎖からいつか必ず抜け出せる日が来る」
 「お前がラティス.ハンル.モールドか?神様に愛された奴は?」
 「くそ!あいつの魔力暴走しやがった!」
 「ニーアス。私はあんたが神様に愛された子なんて認めない‼︎」
 「キュウ!」
 「うさぎ?可愛い!」
 「キュウキュウキュウ‼︎」
 「わっ!?飛んだ!」
 「キュウウウ」
 「空を飛ぶのってこんなにも楽しいんだね」
 シュルルル
 「ラティス!手を伸ばせ」
 「どうせまた裏切られて殺されるだけ。何信じようとしているの⁇」
 「そ、それは......」
 「信じて裏切られたら傷付くのは私だよ?」
 「......」
 「ラティス!お前が自分を信じられないなら俺を信じら‼︎俺がラティスを信じてやる」
 「......ノワール」
 ギュッ
 「ありがとう」
 「私の洗脳であんたのお父様ももうあんたを好きじゃなくなっちゃったね?いひひひ」
 「私はアリアスなんかに負けない」
 「うざい」
 「キュウ!」
 「マロン」
 「何これ!風が強くなって......」
 ボオオオオオオ
 「このっ!消えた?違う。上!?」
 「やあああああああ‼︎」
 ドコォ
 「ああああ!?」
 「次は負けないから!」
 「私はレイセリファを全部集める」
 「ニーアス久しぶりね?」
 「お久しぶりです。アリアス皇女様」
 「今度こそ息の根止めてやるから」
 「私も絶対に負けない」
 「マロン⁇」
 「キュキュキュウ!」
 「い、いやだよ。行かないで。消えないでよ。マロン」
 「ラティス......いつも一緒」
 「ま、マロンが喋った!?」
 「マロンはラティスが大好き。ラティスもマロンが大好き。だから心はいつも一緒」
 「......ありがとう。マロン。いつまでも一緒だよ」
 「キュウ!」
 「俺を信じろって言ったよな?ラティス‼︎」
 「そうだね。ノワール‼︎」
 「ノワール⁇私に何を隠しているの⁇」
 「邪魔!」
 ボオオオオオオ
 「お、俺は昔大勢の人を殺した。アリアスにあんなことを言っておきながら大魔法使いになるために親友にも手を出して殺した」
 「......」
 言葉が出てこない。
 「幻滅したよな?こんな俺と一緒に居たくないよな......」
 「そんなことない!」
 「え?」
 「逆に聞くけど......なんで、ノワールは私が見捨てる前提で話しているの⁇」
 「......」
 「私は変わらない。私が知っているノワールが本当のノワールだよ。ノワールは私を助けてくれた。守ってくれた。だから私はノワールを見捨てたりなんてしない」
 そうだよ。ノワールにどんな過去があったって私は変わったりなんかしない。
 「前に言ったよね?自分を信じられなくなったらノワールを信じろって。だったらノワールも私を信じてよ。私はノワールを信じる!」
 「ラティス」
 「もしノワールが暗闇の底に落ちたのなら私が引っ張り上げるから!私がノワールの光になるから!」
 「さあ。出て来なさい。ラティス.ハンル.モールド。いいえ。ニーアス.サン.アイ.サーンドル‼︎」
 「アリアス.イン.ユーネス」
 「私の方が強い!私の風の方がずっと強くて最強なんだから!いひひひひ!」
 「アリアス‼︎」
 「あんたなんて大っ嫌いなんだから!」
 「私はアリアスを完全には嫌いになれない」
 「何を言っているの⁇意味わからない」
 「だってあの時の思い出は本物だから!」
 「うるさい‼︎あんたなんてすぐに殺してやるわよ!」
 「アリアス!もうやめて!レイセリファを使わないで!」
 「死ぬな!生きて!」
 シュル
 「なんで強い風......あんたも死ぬべきよね?」
 「ラティスに手を出すな」
 「私達は被害者です。陛下。貴方に愛されたかった。それなのに私達を見てくれなかった。また過ちを犯すのですか?」
 「アリアス。そのすまなかった。余が間違っていた。許してくれ」
 「お父様‼︎」
 「ラティス」
 「お父様⁇」
 「俺もそのすまなかった。あんなことを言ってお前を傷付けてしまった」
 「......」
 「ラティス⁇」
 「お父様の......」
 「え⁇」
 「馬鹿ああああ‼︎」
 ゴン
 「うぐっ!」
 「今ゴンッて!」
 「痛そう」
 「レイセリファに意志が戻った⁇」
 「俺様はお前を認めてやるよ」
 「俺はお前が好きだ。ラティス」
 「ごめんなさい。私は貴方の想いに応えることは出来ません」
 「ラティス!?」
 「ラティス!死なないで!」
 「君は生きてほしい」
 「私を止めて。ラティス。もう君にしか止められないの」
 「思い出した。私は皆んなをこの負の連鎖から解き放つんだった」
 思い出した記憶で少しだけ魔力も強くなった気がするのであった。
 「君が記憶を取り戻した時、私と本気でやり合える。楽しみにしてるよ。ラティス.ハンル.モールド」
 
  
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