53 / 145
迷子のアリアスその2
しおりを挟む
「試練に勝つことさえ出来ればあの人もここに来ることが出来ます。しかし......」
私はその言葉を聞いて愕然した。だって、アリアスが試練を乗り越えることが出来なければ......永遠にこの森を彷徨う事になる。そして、死んでも尚この森に魂が囚われてしまう。
「......そんなのいや」
「ラティス?」
「主人様?」
「アリアスを救う方法ってあるの?」
「......あります」
「教えて!」
「......ごめんなさい」
「どうして!?どうして教えてくれないの!?」
「私の口から言うことは出来ません。ルールーを破るわけにはいきません」
緑のレイセリファには頼れない。自分で考えないと......。
「私......戻る」
「何処に戻る気だ?」
「この森に戻る」
「駄目です!もう二度と戻れないかもしれないんですよ」
「それでもいい。アリアスのことはまだ心からは許せてないけど......恨んでいるかもしれないけど......それ以上にアリアスが好きなの!」
「......」
「このままアリアスを置いて行ってしまうくらいなら......この森を彷徨う方がマシだよ!」
「主人様本気なんだなぁ?」
「当たり前だよ。アリアスは私の......ニーアスだった頃のたった一人の妹だから!」
「わかりました。そこまで言うなら止めません。ですが......必ず二人で戻って来ると約束してもらえますか?」
「わかった」
「俺様達も......」
「なりません!」
「え?」
「レイセリファはここに足を踏み入れる時点ルールーを破っているのに......引き返す?そんなの認められません」
「だが、主人様だけ行かせるわけには......」
「納得はいかないのはわかります。ですが抑えてください。お願いします」
「此処は緑のレイセリファの言う通りにするしかなかろう」
「そうね。悔しいけど......これ以上の言い争いは時間の無駄よ」
「お前らまで!?」
「カセリ大丈夫だよ。絶対に戻って来るから」
「主人様......約束しろよ」
「うん」
私は元来た道を引き返した。
その頃アリアスは
「お前のせいで......私は死んだ‼︎」
「セリファを抜かれた!」
「この世界から離れることが出来ない‼︎」
「お前が憎い‼︎」
「あ、ああ......あああ......」
忘れていた。ラティスと一緒に居る時だけは忘れていられた。多くの人の命を奪い......セリファを奪い......その罪さえ償わずに今の今まで、のほほんと暮らして居た。どうして忘れていたんだろう?
「ラティスも私のこと嫌いだよね?」
そうだよ。ラティスが許すって言っても何処かでは怒っている。わかっていた事なのに......なにもわからないふりをして居た。情け無い。
「お前が洗脳したせいで俺は妻と娘を殺してしまった!」
「消えろ‼︎」
「お前が死ねばいいんだ!」
「どれだけ迷惑をかければ気が済むんだ?」
「死ね!」
「死ねー死ねー死ねー死ねー」
「......うるさい」
もう一度こいつらを洗脳すればこの悪夢から解放される?
そう思ったアリアスなのであった。
私はその言葉を聞いて愕然した。だって、アリアスが試練を乗り越えることが出来なければ......永遠にこの森を彷徨う事になる。そして、死んでも尚この森に魂が囚われてしまう。
「......そんなのいや」
「ラティス?」
「主人様?」
「アリアスを救う方法ってあるの?」
「......あります」
「教えて!」
「......ごめんなさい」
「どうして!?どうして教えてくれないの!?」
「私の口から言うことは出来ません。ルールーを破るわけにはいきません」
緑のレイセリファには頼れない。自分で考えないと......。
「私......戻る」
「何処に戻る気だ?」
「この森に戻る」
「駄目です!もう二度と戻れないかもしれないんですよ」
「それでもいい。アリアスのことはまだ心からは許せてないけど......恨んでいるかもしれないけど......それ以上にアリアスが好きなの!」
「......」
「このままアリアスを置いて行ってしまうくらいなら......この森を彷徨う方がマシだよ!」
「主人様本気なんだなぁ?」
「当たり前だよ。アリアスは私の......ニーアスだった頃のたった一人の妹だから!」
「わかりました。そこまで言うなら止めません。ですが......必ず二人で戻って来ると約束してもらえますか?」
「わかった」
「俺様達も......」
「なりません!」
「え?」
「レイセリファはここに足を踏み入れる時点ルールーを破っているのに......引き返す?そんなの認められません」
「だが、主人様だけ行かせるわけには......」
「納得はいかないのはわかります。ですが抑えてください。お願いします」
「此処は緑のレイセリファの言う通りにするしかなかろう」
「そうね。悔しいけど......これ以上の言い争いは時間の無駄よ」
「お前らまで!?」
「カセリ大丈夫だよ。絶対に戻って来るから」
「主人様......約束しろよ」
「うん」
私は元来た道を引き返した。
その頃アリアスは
「お前のせいで......私は死んだ‼︎」
「セリファを抜かれた!」
「この世界から離れることが出来ない‼︎」
「お前が憎い‼︎」
「あ、ああ......あああ......」
忘れていた。ラティスと一緒に居る時だけは忘れていられた。多くの人の命を奪い......セリファを奪い......その罪さえ償わずに今の今まで、のほほんと暮らして居た。どうして忘れていたんだろう?
「ラティスも私のこと嫌いだよね?」
そうだよ。ラティスが許すって言っても何処かでは怒っている。わかっていた事なのに......なにもわからないふりをして居た。情け無い。
「お前が洗脳したせいで俺は妻と娘を殺してしまった!」
「消えろ‼︎」
「お前が死ねばいいんだ!」
「どれだけ迷惑をかければ気が済むんだ?」
「死ね!」
「死ねー死ねー死ねー死ねー」
「......うるさい」
もう一度こいつらを洗脳すればこの悪夢から解放される?
そう思ったアリアスなのであった。
0
お気に入りに追加
642
あなたにおすすめの小説
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
チートな幼女に転生しました。【本編完結済み】
Nau
恋愛
道路に飛び出した子供を庇って死んだ北野優子。
でもその庇った子が結構すごい女神が転生した姿だった?!
感謝を込めて別世界で転生することに!
めちゃくちゃ感謝されて…出来上がった新しい私もしかして規格外?
しかも学園に通うことになって行ってみたら、女嫌いの公爵家嫡男に気に入られて?!
どうなる?私の人生!
※R15は保険です。
※しれっと改正することがあります。
前世で医学生だった私が、転生したら殺される直前でした。絶対に生きてみんなで幸せになります
mica
ファンタジー
ローヌ王国で、シャーロットは、幼馴染のアーサーと婚約間近で幸せな日々を送っていた。婚約式を行うために王都に向かう途中で、土砂崩れにあって、頭を強くぶつけてしまう。その時に、なんと、自分が転生しており、前世では、日本で医学生をしていたことを思い出す。そして、土砂崩れは、実は、事故ではなく、一家を皆殺しにしようとした叔父が仕組んだことであった。
殺されそうになるシャーロットは弟と河に飛び込む…
前世では、私は島の出身で泳ぎだって得意だった。絶対に生きて弟を守る!
弟ともに平民に身をやつし過ごすシャーロットは、前世の知識を使って周囲
から信頼を得ていく。一方、アーサーは、亡くなったシャーロットが忘れられないまま騎士として過ごして行く。
そんな二人が、ある日出会い….
小説家になろう様にも投稿しております。アルファポリス様先行です。
世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない
猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。
まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。
ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。
財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。
なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。
※このお話は、日常系のギャグです。
※小説家になろう様にも掲載しています。
※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。
【古代召喚魔法】を悪霊だとよばれ魔法学園を追放されました。でもエルフの王女に溺愛されて幸せです。だから邪魔する奴らは排除していいよね?
里海慧
ファンタジー
「レオ・グライス。君は呪いの悪霊を呼び寄せ、危険極まりない! よって本日をもって退学に処す!!」
最終学年に上がったところで、魔法学園を退学になったレオ。
この世界では魔物が跋扈しており、危険から身を守るために魔法が発達している。
だが魔法が全く使えない者は、呪われた存在として忌み嫌われていた。
魔法が使えないレオは貴族だけが通う魔法学園で、はるか昔に失われた【古代召喚魔法】を必死に習得した。
しかし召喚魔法を見せても呪いの悪霊だと誤解され、危険人物と認定されてしまう。
学園を退学になり、家族からも見捨てられ居場所がなくなったレオは、ひとりで生きていく事を決意。
森の奥深くでエルフの王女シェリルを助けるが、深い傷を負ってしまう。だがシェリルに介抱されるうちに心を救われ、王女の護衛として雇ってもらう。
そしてシェリルの次期女王になるための試練をクリアするべく、お互いに想いを寄せながら、二人は外の世界へと飛び出していくのだった。
一方レオを追い出した者たちは、次期女王の試練で人間界にやってきたシェリルに何とか取り入ろうとする。
そして邪魔なレオを排除しようと画策するが、悪事は暴かれて一気に転落していくのだった。
※きゅんきゅんするハイファンタジー、きゅんファン目指してます。
世界樹の下で
瀬織董李
ファンタジー
神様のうっかりで死んでしまったお詫びに異世界転生した主人公。
念願だった農民生活を満喫していたある日、聖女の代わりに世界樹を救う旅に行けと言われる。
面倒臭いんで、行きたくないです。え?ダメ?……もう、しょうがないなあ……その代わり自重しないでやっちゃうよ?
あれ?もしかしてここ……乙女ゲームの世界なの?
プロット無し、設定行き当たりばったりの上に全てスマホで書いてるので、不定期更新です
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~
桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。
両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。
しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。
幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる