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迷子のアリアスその2

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 「試練に勝つことさえ出来ればあの人もここに来ることが出来ます。しかし......」
 私はその言葉を聞いて愕然した。だって、アリアスが試練を乗り越えることが出来なければ......永遠にこの森を彷徨う事になる。そして、死んでも尚この森に魂が囚われてしまう。
 「......そんなのいや」
 「ラティス?」
 「主人様?」
 「アリアスを救う方法ってあるの?」
 「......あります」
 「教えて!」
 「......ごめんなさい」
 「どうして!?どうして教えてくれないの!?」
 「私の口から言うことは出来ません。ルールーを破るわけにはいきません」
 緑のレイセリファには頼れない。自分で考えないと......。
 「私......戻る」
 「何処に戻る気だ?」
 「この森に戻る」
 「駄目です!もう二度と戻れないかもしれないんですよ」
 「それでもいい。アリアスのことはまだ心からは許せてないけど......恨んでいるかもしれないけど......それ以上にアリアスが好きなの!」
 「......」 
 「このままアリアスを置いて行ってしまうくらいなら......この森を彷徨う方がマシだよ!」
 「主人様本気なんだなぁ?」    
 「当たり前だよ。アリアスは私の......ニーアスだった頃のたった一人の妹だから!」
 「わかりました。そこまで言うなら止めません。ですが......必ず二人で戻って来ると約束してもらえますか?」
 「わかった」
 「俺様達も......」
 「なりません!」
 「え?」
 「レイセリファはここに足を踏み入れる時点ルールーを破っているのに......引き返す?そんなの認められません」
 「だが、主人様だけ行かせるわけには......」
 「納得はいかないのはわかります。ですが抑えてください。お願いします」
 「此処は緑のレイセリファの言う通りにするしかなかろう」
 「そうね。悔しいけど......これ以上の言い争いは時間の無駄よ」
 「お前らまで!?」
 「カセリ大丈夫だよ。絶対に戻って来るから」
 「主人様......約束しろよ」
 「うん」
 私は元来た道を引き返した。
 その頃アリアスは
 「お前のせいで......私は死んだ‼︎」
 「セリファを抜かれた!」
 「この世界から離れることが出来ない‼︎」
 「お前が憎い‼︎」
 「あ、ああ......あああ......」
 忘れていた。ラティスと一緒に居る時だけは忘れていられた。多くの人の命を奪い......セリファを奪い......その罪さえ償わずに今の今まで、のほほんと暮らして居た。どうして忘れていたんだろう?
 「ラティスも私のこと嫌いだよね?」
 そうだよ。ラティスが許すって言っても何処かでは怒っている。わかっていた事なのに......なにもわからないふりをして居た。情け無い。
 「お前が洗脳したせいで俺は妻と娘を殺してしまった!」
 「消えろ‼︎」
 「お前が死ねばいいんだ!」
 「どれだけ迷惑をかければ気が済むんだ?」
 「死ね!」
 「死ねー死ねー死ねー死ねー」
 「......うるさい」
 もう一度こいつらを洗脳すればこの悪夢から解放される?
 そう思ったアリアスなのであった。
 
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