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外の世界へ

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 ニールとリアの救出には成功した。あとはティアお姉様だけ。この時期だとあの日か。

 あの日というのはティアお姉様のお見合いだ。だけど本人の意思などガン無視されたお見合い。ティアお姉様には生涯を添い遂げたいと思っていた人が居た。その人の名前がペルリン.シュタイン男爵だ。

 彼は位が低くて姉との結婚を反対され帰国へと返された人。

 私は彼が嫌いではなかった。なぜなら三百五十七回目の死。死ぬ直前に助けようとしてくれた人だから。でもそのせいでティアお姉様と一緒に死んでしまったひとりでもある。私のせいで人が犠牲になるのは嫌だ。だからこそ私が大切に想う人達は守り通そうと思った。

 「ぜぇぜぇ。俺はクマラン.ダクリンだ。俺の婚約者になるからにはまず相性が良くないとな?だから早くしよう」

 「......はい」
 この家からは逃げられないのだろうか?ペルリンに会いたい。彼の優しさや誠実さ忠実さに惹かれた。彼の笑顔はまるで太陽みたいだった。

 「貴方様に私は......従いま......」

 「する必要なんてありません!」

 バーン

 「ルミエール⁉︎」

 「き、貴様は‼︎今この瞬間がとても大切なのかわかっているのか?」

 「わかりません。姉には生涯を誓い合った人が居るのです。だからこの結婚は頑固反対します」
  
 「......ルミエール」

 「ティアお姉様行こう」

 「う、うん!ルミエール‼︎」
  
 「駄目だ!お前は家のために尽くす‼︎それが長女の役目だ」

 「お父様。いい加減にしないとこの家ごと焼き払いますよ?」

 ビクッ

 「クマラン様」

 「な、なんだ?」

 「自分の私利私欲のために誰かを犠牲にするのは楽しいですか?」

 「なんだと⁉︎」

 「ルミエール‼︎クマラン様に謝るんだ!」

 「嫌ですよ⁇そんな臭そうなおっさんに謝る道理はありませんから」

 「なっ!なっ⁉︎」

 「も、申し訳ございません‼︎我が娘が多大なるご迷惑をおかけいたしました。どうかお許しを!」

 「この二人を差し出せ。そうすれば許してやる。この二人は今日からこの俺の奴隷だ。ぐふふ」

 「......気持ち悪い」

 「は......」

 「ルミエール⁇お前今なんて言った?」

 「気持ち悪い言っていたんです」

 「なんだ......と⁇」

 「このデブで‼︎吹き出物だらけで‼︎体臭がここからでもとても臭くて‼︎相手を見下しているような人が選ばれる立場にあって?」

 「このクソアマが!」

 「ファイアボール」

 「うわっ⁉︎」

 「次は当てます」

 「クソ女が!」

 「私達は貴方達の奴隷なんかじゃない。選ぶ権利もある。だからこの家を出ます。あの時話した通りです」

 「お前ひとりではないのか?」

 「誰がたったひとりでこの家を出ると言いました?」

 「そ、それは......」

 「あともうひとつ言っておきます」
 
 「な、なんだ?」

 「私達は貴方達と完全に決別しますし新たにシャイニング家を名乗ります」

 「何を馬鹿なことを!」

 「馬鹿でもなんでもいい。私は......私達は!貴方達家族を軽蔑します」

 「ぐっ!」

 「すぐに本家のシャイニング家を追い越し分家にあたりますが......こっちを本家だと言えるぐらい権力を大きくさせるつもりですので悪しからず」

 「くそ!」

 「じゃあペルリン様が居る故郷に行こう」

 「ルミエールありがとう」

 「これからはシャイニング家は誰よりも強く優しい公爵家にして行こう」

 「おお!」

 多分皆んなはお金や住む家のことを心配していると思う。でも安心して。そこは抜かりなく調べ尽くしましたから。

 この屋敷には私のためにと大婆様が残してくれた大金がある。それも私しかわからない場所にある。私の元部屋の隠し部屋だ。それを知っているのは私と大婆様だけだ。大婆様はペルリン様が居る母国に居る。だから住むところには困らない。いつか私にその家を継いでほしいとも言われた。だから安心して。シャイニング家は......本家だけは私が潰す!私がシャイニング家の当主になり今のシャイニング家を潰せば私の怒りも収まるだろう。そう思っている。あの日までは。

 「何年も外の世界を知らない公爵家の娘か。面白い。この俺様が直々に会いに行ってやるよ」

 この男に出会わなければあんな悲劇は起きなかったのに......今でもあの日のことを後悔するのであった。
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