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馬車の中で

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 「うええええええええ‼︎」

 皆さんこんにちは。アリスハートです。私は今、車酔いをしています。馬車に乗って数分でこの有様って......アリスハートはどうやって移動していたのよ?

 「アリスハート大丈夫なのか?」

 「き、気持ち悪いよぉ。うぐっ!オロロロロロロロ‼︎」

 「はぁー。どうするんだこれ?」

 「うぅ......吐き気が止まらない」

 こんなにも馬車......いや。乗り物に弱いだなんて聞いてないよ!

 「空飛ぶか?」

 「えっ?」

 デン

 「行くぞ」
  
 デデン

 「三分で着く。吐くなよ?」

 デデデン

 「ええええええええええええ⁉︎」

 空飛べるの⁉︎

 シュルルル

 「ぎ、ぎゃあああああ⁉︎」

 早い早い⁉︎揺れる⁉︎

 「うぷっ!」

 また吐き気が!

 とある宗教

 「娘がこんなにも乗り物にも魔法にも耐性がないとは......」

 「ゼェゼェ」

 一分も持たなかった私。

 「少しづつ馬車で進むしかないか」

 ガタガタッ

 「うぶくっ」

 「吐くなよ」

 「気持ち悪い」

 死ぬ死ぬ!マジで死ぬ!お願いだから早く着いてよ!私の身が持たない‼︎

 ドクン

 「え......」

 今一瞬胸の鼓動が高鳴った?なにこれ?何かを感知したの?

 「アリスハート。お前は馬車の中でおとなしくしていろ」

 「えっ?パパ⁇」

 「おっほほ。先日はどうも!よくもわしの腕を切り落としたなぁ?この恨みここではらしておくべきじゃな」

 「何の用だ?」

 「わしの家族を返してもらおうと思っただけじゃよ?」

 「なにを言っている?アリスハートは俺の家族だ。実の娘だと鑑定結果も出た。だから貴様なんかにアリスハートと一緒にいる資格も権利もない」

 「それはお前さんも一緒じゃろ?あの子を見捨て探そうともしなかったお前さんに今更子育てができるとでも?」

 「......探しはした。だが、見つけるは愚か死体すら見なかった。跡形もなく消し飛んでしまったのだと勝手に思い込んでいた」

 「だったらそのままでよかろう?早くこっちに引き渡すのじゃ」

 「だが、もう二度と手放さないと決めた。だからアリスハートは俺が守る」

 「......」

 まさかモンゴルがこんなにも娘想いだとはねぇ⁇本物のアリスハートではないけど嬉しい。この話をアリスハートが聞いたら喜ぶのかなぁ?

 「今更喜ぶわけないでしょ⁇」

 「えっ?」

 ズーン

 「私はもう駄目。肉体もそうだし......魂さえも崩れかけているのよ?なのに今更父親が私を大事に想っていた⁇だからなに?あなたは愛されたかもしらないけど私は実の父に愛されなかった」

 「そ、それは......」

 「それどころか忘れられて、お互いに戦い合うまで気づいてもらえなかった」

 「......」

 「この気持ちはあなたにはわからない。あっさりと父の心を掴んだあなたにはわかりっこない‼︎」

 「......リス」

 「もう時間か......全てのものに不幸を!それが今の私の願いよ」

 「......」

 「あなた自身も不幸になればいい」

 「アリスハート‼︎」

 「うぅ......パパ⁇」

 「起きたか?三時間もよく寝てたな?」

 「えっ?三時間⁉︎」

 「ああ。もう家に着いたぞ」  
 
 「そ、それよりもあのおじちゃんたちはどうなったの?」

 「殺した」

 「は......」

 子供の前で躊躇いなく言うな!

 不思議な夢と共にモンゴルは根っからの騎士だと改めて思ったアリスハートなのであった。

 「あなただけが幸せなんて許さない。全てのものに復讐と不幸を!」
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