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第8話 ボーイッシュちゃんとダウナーちゃん
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1年生のフロアに降り、朱音の居場所を突き止めるべく適当な教室を当たる。
「神堂 朱音のクラスを教えてほしい」
そう問いかければ、大抵の生徒は俺を朱音のファンだと勝手に推測してくれることだろう。もし今朝の騒動を見ていた者であったとしても、俺のような冴えない男子の顔をはっきりと記憶している人間などさほどいないはずだ。
まずは最も近い1組の教室に入る。
扉付近の1番後ろの席で、机を囲んでいる2人の女子生徒に声をかけた。片方はショートヘアで活発そうな小柄のボーイッシュタイプ、もう片方は背が高めでロングヘアのぐたーっとしたダウナータイプ。
なぜかロングヘアの方は制服ではなく体操着だった。
彼女たちの周りには、なんだかわからないけれどウサギの着ぐるみやらウィッグやら、パーティーグッズのようなものが錯乱している。
「朱音ならー、このあとの部活動説明会の中でファッションショーをやるんですよー」
ぐたーっとしたダウナーちゃんがゆったりとした口調で答えた。どうやらふたりは朱音の知り合いだったらしい。
「ファッションショー?」
「はいっ! 朱音ってば今、中高生から最も注目されてる人気モデルでしょう? だからほら、客引きって言うか。学校側から依頼されたんです!」
そう答えたのはボーイッシュちゃんだ。
なるほど、確かに部活に入るつもりがない生徒の中でも、神堂 朱音がショーをやるとなれば説明会に出てみようという気になる者もいるかもしれない。
「それでそれで! わたしも朱音のサポート役として出るんですよ~。ほら先輩っ、見てください。可愛いウサちゃんですよっ!」
ボーイッシュちゃんはウサ耳を付けた状態で、両手を耳に見立ててぴょんぴょんさせる。耳が4本ある……。
というかウサ耳つけてサポートって……バニーガールの格好でもするのだろうか。
「わたしはー、ぷろじぇくたー? の操作とかー。なんかそういうのですー。知らんけどー」
ダウナーちゃんは機材関係のサポートをするらしい。なんか色々と心配だが……。
役に立つのか立たないのか、よくわからない情報まで仕入れてしまった感はあるが、確かな収穫もあった。
2人にお礼を告げて教室を出たとき、マイクアナウンスを告げるピンポンパンポンというチャイムが鳴った。
『部活動説明会を開始します。参加を希望する1年生のみなさんは、体育館に集まってください』
どうやら部活動説明会が始まるらしい。廊下には一瞬にして新入生の群れが流れ込んでくる。
と、そのとき……廊下の先に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
人目を引くブロンドのハーフアップ。スラっとした長い脚。モデルのような……というか実際にモデルを務めている彼女は周りの生徒とはしない抜群のプロポーションをしている。
――朱音だ。
俺は彼女を追いかけるが、新入生の波に飲み込まれてしまい、思うように動けない。なぜか朱音は体育館とは逆方向に向かっているので、俺は川の流れに逆らうように1年生の群れをかき分けて進まなければならなかった。
なんとか朱音がいた場所までたどり着いたころ、彼女はすでに昇降口から外に出ていた。
一体どこに行くつもりなのだろう……。
そう思いながら、俺は彼女の後を追った。
「神堂 朱音のクラスを教えてほしい」
そう問いかければ、大抵の生徒は俺を朱音のファンだと勝手に推測してくれることだろう。もし今朝の騒動を見ていた者であったとしても、俺のような冴えない男子の顔をはっきりと記憶している人間などさほどいないはずだ。
まずは最も近い1組の教室に入る。
扉付近の1番後ろの席で、机を囲んでいる2人の女子生徒に声をかけた。片方はショートヘアで活発そうな小柄のボーイッシュタイプ、もう片方は背が高めでロングヘアのぐたーっとしたダウナータイプ。
なぜかロングヘアの方は制服ではなく体操着だった。
彼女たちの周りには、なんだかわからないけれどウサギの着ぐるみやらウィッグやら、パーティーグッズのようなものが錯乱している。
「朱音ならー、このあとの部活動説明会の中でファッションショーをやるんですよー」
ぐたーっとしたダウナーちゃんがゆったりとした口調で答えた。どうやらふたりは朱音の知り合いだったらしい。
「ファッションショー?」
「はいっ! 朱音ってば今、中高生から最も注目されてる人気モデルでしょう? だからほら、客引きって言うか。学校側から依頼されたんです!」
そう答えたのはボーイッシュちゃんだ。
なるほど、確かに部活に入るつもりがない生徒の中でも、神堂 朱音がショーをやるとなれば説明会に出てみようという気になる者もいるかもしれない。
「それでそれで! わたしも朱音のサポート役として出るんですよ~。ほら先輩っ、見てください。可愛いウサちゃんですよっ!」
ボーイッシュちゃんはウサ耳を付けた状態で、両手を耳に見立ててぴょんぴょんさせる。耳が4本ある……。
というかウサ耳つけてサポートって……バニーガールの格好でもするのだろうか。
「わたしはー、ぷろじぇくたー? の操作とかー。なんかそういうのですー。知らんけどー」
ダウナーちゃんは機材関係のサポートをするらしい。なんか色々と心配だが……。
役に立つのか立たないのか、よくわからない情報まで仕入れてしまった感はあるが、確かな収穫もあった。
2人にお礼を告げて教室を出たとき、マイクアナウンスを告げるピンポンパンポンというチャイムが鳴った。
『部活動説明会を開始します。参加を希望する1年生のみなさんは、体育館に集まってください』
どうやら部活動説明会が始まるらしい。廊下には一瞬にして新入生の群れが流れ込んでくる。
と、そのとき……廊下の先に見覚えのある後ろ姿を見つけた。
人目を引くブロンドのハーフアップ。スラっとした長い脚。モデルのような……というか実際にモデルを務めている彼女は周りの生徒とはしない抜群のプロポーションをしている。
――朱音だ。
俺は彼女を追いかけるが、新入生の波に飲み込まれてしまい、思うように動けない。なぜか朱音は体育館とは逆方向に向かっているので、俺は川の流れに逆らうように1年生の群れをかき分けて進まなければならなかった。
なんとか朱音がいた場所までたどり着いたころ、彼女はすでに昇降口から外に出ていた。
一体どこに行くつもりなのだろう……。
そう思いながら、俺は彼女の後を追った。
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