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第4話 ヤンデレ義妹
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あぁ、お義兄様……♡
やっぱり本気を出したお義兄様は強くてカッコよくて、最高です……♡
今は実力を隠して最底辺の落ちこぼれと呼ばれてるなんていうものだから、武術を極めることもやめてしまったのかと思いましたが、全然そんなことはなかった。
お兄様が祇園の攻撃を受け止めた瞬間、わたしはつい笑みがこぼれてしまいましたよ。
もしお義兄様が動かなければ、わたしはモデルの仕事に致命的な影響を及ぼすほどの傷を負うことになったので、これは大きな賭けでした。けれど、危険な勝負にでた甲斐があったってもんです。
やっぱりお兄様はこうでなくちゃ。誰からも羨望の眼差しを向けられる最強の存在でなければ。昔、わたしたちが通っていた道場でそうだったように。
そして誰の手も届かない存在であるお義兄様を、わたしだけが独占することに興奮するんです……。
お兄様は知らなかったかもしれないけれど、わたし、本当は変態なんです♡
わたしがお兄様の義理の妹になったことだって……ただの偶然じゃないんですよ?
だから早く、実力隠しなんか辞めて、昔みたいなカッコイイお義兄様に戻ってください。
そして、わたしだけのお義兄様に……んあぁ、もうっ、想像するだけでお義兄様への愛が溢れてきちゃうぅぅん……♡
あぁんっ♡ んぁっ、お義兄様っ♡ お義兄様ぁっ♡
お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡
今にわたしだけの最強なお義兄様にしてあげるからね……逃げちゃだめだよ♡
◇
廊下は静まり返っていた。俺と祇園はわずかに距離をとった状態で睨み合いを続けている。
さて……どうしたものか。正直、次の一手を繰り出すことは避けたい。一撃目を防いだだけならまだ……いやそれでも十分にやらかしてしまった感があるが、まだ誤魔化しようもある。
しかし、次の攻撃まで完全に受け止めてしまったら……。
……わざと攻撃を受けるか? 正直あんな大男の攻撃を真っ向から受けたくはないが、実力が露見するよりはマシか。
そう、覚悟を決めたとき。
「おい、てめぇら何やってる」
廊下に女性の声が響き渡った。振り返ると、元ヤンと噂のつり目の女性教師、紫藤 美嘉先生が立っていた。
革ジャンにレザーパンツ。髪は暗めの茶髪に肩上のショートヘアと落ち着いているが、やはり噂に違わぬ奇抜さがにじみ出ている。
大人にしては小柄な方かもしれないが、スタイルがよく脚も長い。俺は彼女の授業を受けたことも、担当のクラスになったこともないが、廃部寸前の空手部を顧問として支えていると聞いたことがある。
「祇園……てめぇは噂通り問題児のようだな。昨日の入学式には欠席するしなぁ」
「あぁん? 誰だよおまえは」
「アタシはてめぇの担任だ。わかったらさっさと教室入れ」
「あぁっ! 俺に指図すんじゃねぇ!!」
祇園が紫藤先生に殴りかかる。しかしその瞬間――
「……ッ!」
紫藤先生が目にもとまらぬ速さで回し蹴りを繰り出した。彼女の爪先は祇園の目の前でピタリと止まる。
一瞬ひるんだ祇園の拳が紫藤先生の脚に激突するが、彼女は片足で立った状態だと言うのにビクともしなかった。
「中学ではてめぇの思い通りだったかもしれないが、ここでも同じだとは思わないことだ」
そう言うと紫藤先生は蹴り上げた脚を地面に下ろし、何事もなかったかのように教室へと入って行く。
祇園は悔しがっているのか沈黙していたが、やがて口元に笑みを浮かべた。
「ふふふふ……ふはははははっ! 面白い! 俺と対等に喧嘩できるヤツが2人もいるとはなぁ! 実力者が潜んでるって噂の高校に来た甲斐があったってもんだ!」
祇園は両手を広げ、高らかに歓喜の声を上げた。どうやら悔しがっていたわけではないようだ。
「おい、男。おまえの名前は――」
そして、俺がいた場所を振り返るが……。
「おいっ! どこ行きやがった!」
ふっ、俺ならとっくに物陰に隠れている。紫藤先生が注目をかっさらって行ってくれたのはありがたかった。
伊達に実力隠しを続けてないからな。気配を消すことなどお手の物なのさ。朱音すら俺がいなくなったことに気付いていなかったようで「お義兄様っ!?」とキョロキョロしている。
さて……これからどうやって誤魔化すか。
まずは保健室に行こう。……別に怪我してないけど。
やっぱり本気を出したお義兄様は強くてカッコよくて、最高です……♡
今は実力を隠して最底辺の落ちこぼれと呼ばれてるなんていうものだから、武術を極めることもやめてしまったのかと思いましたが、全然そんなことはなかった。
お兄様が祇園の攻撃を受け止めた瞬間、わたしはつい笑みがこぼれてしまいましたよ。
もしお義兄様が動かなければ、わたしはモデルの仕事に致命的な影響を及ぼすほどの傷を負うことになったので、これは大きな賭けでした。けれど、危険な勝負にでた甲斐があったってもんです。
やっぱりお兄様はこうでなくちゃ。誰からも羨望の眼差しを向けられる最強の存在でなければ。昔、わたしたちが通っていた道場でそうだったように。
そして誰の手も届かない存在であるお義兄様を、わたしだけが独占することに興奮するんです……。
お兄様は知らなかったかもしれないけれど、わたし、本当は変態なんです♡
わたしがお兄様の義理の妹になったことだって……ただの偶然じゃないんですよ?
だから早く、実力隠しなんか辞めて、昔みたいなカッコイイお義兄様に戻ってください。
そして、わたしだけのお義兄様に……んあぁ、もうっ、想像するだけでお義兄様への愛が溢れてきちゃうぅぅん……♡
あぁんっ♡ んぁっ、お義兄様っ♡ お義兄様ぁっ♡
お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡ お義兄様♡
今にわたしだけの最強なお義兄様にしてあげるからね……逃げちゃだめだよ♡
◇
廊下は静まり返っていた。俺と祇園はわずかに距離をとった状態で睨み合いを続けている。
さて……どうしたものか。正直、次の一手を繰り出すことは避けたい。一撃目を防いだだけならまだ……いやそれでも十分にやらかしてしまった感があるが、まだ誤魔化しようもある。
しかし、次の攻撃まで完全に受け止めてしまったら……。
……わざと攻撃を受けるか? 正直あんな大男の攻撃を真っ向から受けたくはないが、実力が露見するよりはマシか。
そう、覚悟を決めたとき。
「おい、てめぇら何やってる」
廊下に女性の声が響き渡った。振り返ると、元ヤンと噂のつり目の女性教師、紫藤 美嘉先生が立っていた。
革ジャンにレザーパンツ。髪は暗めの茶髪に肩上のショートヘアと落ち着いているが、やはり噂に違わぬ奇抜さがにじみ出ている。
大人にしては小柄な方かもしれないが、スタイルがよく脚も長い。俺は彼女の授業を受けたことも、担当のクラスになったこともないが、廃部寸前の空手部を顧問として支えていると聞いたことがある。
「祇園……てめぇは噂通り問題児のようだな。昨日の入学式には欠席するしなぁ」
「あぁん? 誰だよおまえは」
「アタシはてめぇの担任だ。わかったらさっさと教室入れ」
「あぁっ! 俺に指図すんじゃねぇ!!」
祇園が紫藤先生に殴りかかる。しかしその瞬間――
「……ッ!」
紫藤先生が目にもとまらぬ速さで回し蹴りを繰り出した。彼女の爪先は祇園の目の前でピタリと止まる。
一瞬ひるんだ祇園の拳が紫藤先生の脚に激突するが、彼女は片足で立った状態だと言うのにビクともしなかった。
「中学ではてめぇの思い通りだったかもしれないが、ここでも同じだとは思わないことだ」
そう言うと紫藤先生は蹴り上げた脚を地面に下ろし、何事もなかったかのように教室へと入って行く。
祇園は悔しがっているのか沈黙していたが、やがて口元に笑みを浮かべた。
「ふふふふ……ふはははははっ! 面白い! 俺と対等に喧嘩できるヤツが2人もいるとはなぁ! 実力者が潜んでるって噂の高校に来た甲斐があったってもんだ!」
祇園は両手を広げ、高らかに歓喜の声を上げた。どうやら悔しがっていたわけではないようだ。
「おい、男。おまえの名前は――」
そして、俺がいた場所を振り返るが……。
「おいっ! どこ行きやがった!」
ふっ、俺ならとっくに物陰に隠れている。紫藤先生が注目をかっさらって行ってくれたのはありがたかった。
伊達に実力隠しを続けてないからな。気配を消すことなどお手の物なのさ。朱音すら俺がいなくなったことに気付いていなかったようで「お義兄様っ!?」とキョロキョロしている。
さて……これからどうやって誤魔化すか。
まずは保健室に行こう。……別に怪我してないけど。
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