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第3話 推しVTuberの転校生は陽キャ男子ではなく陰キャぼっちの俺に学校案内してほしいらしい
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放課後、南條さんが伊藤を始めとした陽キャたちと話している状況にモヤモヤしながら教室を出た俺。
しかし、なぜか下駄箱で靴をはき替えていると南條さんが話しかけてきた。どうして……。
「南條さん、クラスメイトと話してたんじゃ……来ちゃっていいの?」
「岬先生、わからないことあったら乃木川くんに聞いてほしいって言ってたし……それに、席近いのにまだ全然話せてなかったから」
ぐはっ!
推しからそんなことを言われて喜ばないオタクなどいるだろうか。しかし、ここで発狂してしまったら変に思われてしまうので俺はぐっと感動を心の中だけに留めた。
まぁ、岬先生が俺に聞いてほしいって言ったのは、なんかめっちゃ適当っぽかったけど。ただ単に後ろのだからってだけで、俺である必然性まったく感じてなかったけどね!
いずれにせよ岬先生グッジョブ! ありがとうございます!
「おい、美玲奈ちゃん待ってくれよ」
話していると、廊下側から伊藤の声がしてくる。最悪だ、せっかく南條さんと話す時間ができたのに、またあいつに邪魔される。
しかし、あいつが近づいてくるよりも早く南條さんは靴をはき替えると、俺の腕を掴んだ。
やっ、柔らかい……。
「乃木川くん、こっち」
「えっ、ちょ……」
南條さんは腕を掴んだまま、伊藤から逃れるかのように俺を外に引っ張って行く。
俺はドキドキしながら、彼女に連れられるまま校舎を出た。
◇
それからは南條さんが知っておきたいという教室や施設を一通り見て回り、最後に職員室に行くことになった。
俺が北条レイナのリスナーだということは、何度も喉まで出かかったが言わなかった。
もしかしたら本人はVTuberとしての活動と学校生活を切り分けて考えているかもしれないし、困らせてしまってもいけないと思ったからだ。
「失礼しまーす」
職員室に来たのは、南條さんが転校してきたばかりで色々と提出するものもあったりするということだったからだ。
岬先生の席に行くと、案の定彼女はデスクの上でべしゃーっとなって寝ていた。案の定と言ったのは、俺が今まで職員室に来た限り毎回こうだからだ。
「岬先生~、起きてくださーい」
南條さんが岬先生をゆさゆさして起こそうとする。
「うーんー。南條と乃木川かー。どうしたー?」
岬 美湖という教師は、一言でいえば残念美人である。
サイドテールにしている濃い茶髪。タレ目の美人で、こんなにいつも寝てるのに目のしたにクマがある。
せっかく綺麗なのに、残念感が出てしまうのはこのクマと気だるそうな口調、そしていつも上下ダルダルのジョージを着ているせいだろう。
色白な肌も、もはや不健康そうに見えてしまう。野菜ジュースとかあげたい。
「今、学校の案内してもらってました! 先生が紹介してくれた通り、乃木川くんに任せて正解でした!」
「紹介……? まあいいかー。乃木川はいいやつだろー?」
いや、先生紹介とかじゃなくてたまたま後ろにいた俺を適当に名前出しただけだから!
まぁ、でもそんなふうに褒めてもらえるのはめちゃくちゃ嬉しい。
「それで、まだ提出してない書類があって持ってきたんですけど」
「あー、忘れてたー」
そんなゆるーい時間を職員室で過ごした夜。
レイナさんの配信でまさかあんなことになるとは思いもしなかった――
しかし、なぜか下駄箱で靴をはき替えていると南條さんが話しかけてきた。どうして……。
「南條さん、クラスメイトと話してたんじゃ……来ちゃっていいの?」
「岬先生、わからないことあったら乃木川くんに聞いてほしいって言ってたし……それに、席近いのにまだ全然話せてなかったから」
ぐはっ!
推しからそんなことを言われて喜ばないオタクなどいるだろうか。しかし、ここで発狂してしまったら変に思われてしまうので俺はぐっと感動を心の中だけに留めた。
まぁ、岬先生が俺に聞いてほしいって言ったのは、なんかめっちゃ適当っぽかったけど。ただ単に後ろのだからってだけで、俺である必然性まったく感じてなかったけどね!
いずれにせよ岬先生グッジョブ! ありがとうございます!
「おい、美玲奈ちゃん待ってくれよ」
話していると、廊下側から伊藤の声がしてくる。最悪だ、せっかく南條さんと話す時間ができたのに、またあいつに邪魔される。
しかし、あいつが近づいてくるよりも早く南條さんは靴をはき替えると、俺の腕を掴んだ。
やっ、柔らかい……。
「乃木川くん、こっち」
「えっ、ちょ……」
南條さんは腕を掴んだまま、伊藤から逃れるかのように俺を外に引っ張って行く。
俺はドキドキしながら、彼女に連れられるまま校舎を出た。
◇
それからは南條さんが知っておきたいという教室や施設を一通り見て回り、最後に職員室に行くことになった。
俺が北条レイナのリスナーだということは、何度も喉まで出かかったが言わなかった。
もしかしたら本人はVTuberとしての活動と学校生活を切り分けて考えているかもしれないし、困らせてしまってもいけないと思ったからだ。
「失礼しまーす」
職員室に来たのは、南條さんが転校してきたばかりで色々と提出するものもあったりするということだったからだ。
岬先生の席に行くと、案の定彼女はデスクの上でべしゃーっとなって寝ていた。案の定と言ったのは、俺が今まで職員室に来た限り毎回こうだからだ。
「岬先生~、起きてくださーい」
南條さんが岬先生をゆさゆさして起こそうとする。
「うーんー。南條と乃木川かー。どうしたー?」
岬 美湖という教師は、一言でいえば残念美人である。
サイドテールにしている濃い茶髪。タレ目の美人で、こんなにいつも寝てるのに目のしたにクマがある。
せっかく綺麗なのに、残念感が出てしまうのはこのクマと気だるそうな口調、そしていつも上下ダルダルのジョージを着ているせいだろう。
色白な肌も、もはや不健康そうに見えてしまう。野菜ジュースとかあげたい。
「今、学校の案内してもらってました! 先生が紹介してくれた通り、乃木川くんに任せて正解でした!」
「紹介……? まあいいかー。乃木川はいいやつだろー?」
いや、先生紹介とかじゃなくてたまたま後ろにいた俺を適当に名前出しただけだから!
まぁ、でもそんなふうに褒めてもらえるのはめちゃくちゃ嬉しい。
「それで、まだ提出してない書類があって持ってきたんですけど」
「あー、忘れてたー」
そんなゆるーい時間を職員室で過ごした夜。
レイナさんの配信でまさかあんなことになるとは思いもしなかった――
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