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第2話 学校で陰キャぼっちな俺が仲良くできるわけがない……と思っていたら
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推しのVTuberが自分の通っている高校に転校してきた……それも同じクラス!
いくら陰キャぼっちとして枯れてしまっている俺でも、そんなシチュエーションに興奮しないわけがない。
もちろん、VTuberの世界観に重きを置いていて、その中の存在までは見たくないという人もいるだろう。それもまた1つの正しい価値観だと思う。
けど俺は北条レイナという存在を、人間性も話し方もすべて含めてすべてを好きになったのだ。
だからもし直接会って、仲良くなれるのならば……それ以上に嬉しいことはない。
「じゃあホームルームを終了するー。南條は初めてで何かわからないことがあったら、後ろの席の乃木川にでも聞いてくれー」
岬《みさき》先生がいつも通りの気だるそうな話し方でそう告げて教室を出て行くと、1限目が始まるまでの準備時間、もとい自由時間が始まった。
よし! レイナさんに……いや、ここでは南條 美玲奈さんに挨拶をしに行こう!
そう思い、俺は苗字のおかげで(このクラスの席は名前の順のため)運よく前の席になった南條さんに話しかけようと立ち上がったのだが……。
「美玲奈ちゃん可愛いね~、俺とLINE交換しようよ」
クラスで目立っている陽キャ、伊藤《いとう》 隼人《はやと》が俺をドンッと突き飛ばし、南條さんに話しかける。
くそっ……俺が起き上がると、すでに南條さんはクラスメイト達に囲まれていて、そこには入る余地など存在しなかった。
席に戻るにも、俺の机は伊藤 隼人が足を上げて座っており、到底戻れる状態じゃない。
ふざけるな、机が汚れるだろ。
そう思ったが、そんなことを口に出すことすら出来ない。それが俺、乃木川 慧人のクラスでの立ち位置なのだ。
教室という空間においては、カーストの高さがすべてだ。
レイナさんの配信は毎日見ているし、もし仮にリアルタイムで見れないときがあってもアーカイブで追っている。
きっとこの中で自分が、彼女のことを1番知っている自信がある。
けれど、この教室において俺と彼女は陰キャぼっちと人気者の転校生。リスナーとライバーじゃない。
普段はVTuberをオタク趣味だとか言ってバカにしているクソ陽キャの方が、彼女と話して仲良くなっていく。
……こんなことなら、こんな形で出会いたくなかったな。
そう思いながら、俺は教室を出ることにした。
「金髪美少女金髪美少女金髪美少女金髪美少女銀髪美少女金髪美少女金髪美少女金……」
となりの席のオタクくんが何か言っていたが、今の俺には何も耳に入ってこなかった。
◇
「じゃーホームルームおしまいー。先生は職員室で寝るー」
帰りのホームルームが終わり、俺はいつも通りすぐに教室を出ることにした。
「美玲奈ちゃん、俺が学校を案内してやるよ」
伊藤が南條さんに何か言っているが、もう何も考えないことにした。考えたって、どうせモヤモヤして絶望するだけだ。
昇降口に行き、俺は靴をはき替える。
「あっ、待って!」
しかし、ふいに肩を叩かれた。
振り返ると、そこには金髪ミディアムヘアの美少女が立っていた。
レイナさん……じゃなくて――
「南條さん……どうして」
「乃木川くん、わたし学校のことわからないから、案内してくれないかな?」
いくら陰キャぼっちとして枯れてしまっている俺でも、そんなシチュエーションに興奮しないわけがない。
もちろん、VTuberの世界観に重きを置いていて、その中の存在までは見たくないという人もいるだろう。それもまた1つの正しい価値観だと思う。
けど俺は北条レイナという存在を、人間性も話し方もすべて含めてすべてを好きになったのだ。
だからもし直接会って、仲良くなれるのならば……それ以上に嬉しいことはない。
「じゃあホームルームを終了するー。南條は初めてで何かわからないことがあったら、後ろの席の乃木川にでも聞いてくれー」
岬《みさき》先生がいつも通りの気だるそうな話し方でそう告げて教室を出て行くと、1限目が始まるまでの準備時間、もとい自由時間が始まった。
よし! レイナさんに……いや、ここでは南條 美玲奈さんに挨拶をしに行こう!
そう思い、俺は苗字のおかげで(このクラスの席は名前の順のため)運よく前の席になった南條さんに話しかけようと立ち上がったのだが……。
「美玲奈ちゃん可愛いね~、俺とLINE交換しようよ」
クラスで目立っている陽キャ、伊藤《いとう》 隼人《はやと》が俺をドンッと突き飛ばし、南條さんに話しかける。
くそっ……俺が起き上がると、すでに南條さんはクラスメイト達に囲まれていて、そこには入る余地など存在しなかった。
席に戻るにも、俺の机は伊藤 隼人が足を上げて座っており、到底戻れる状態じゃない。
ふざけるな、机が汚れるだろ。
そう思ったが、そんなことを口に出すことすら出来ない。それが俺、乃木川 慧人のクラスでの立ち位置なのだ。
教室という空間においては、カーストの高さがすべてだ。
レイナさんの配信は毎日見ているし、もし仮にリアルタイムで見れないときがあってもアーカイブで追っている。
きっとこの中で自分が、彼女のことを1番知っている自信がある。
けれど、この教室において俺と彼女は陰キャぼっちと人気者の転校生。リスナーとライバーじゃない。
普段はVTuberをオタク趣味だとか言ってバカにしているクソ陽キャの方が、彼女と話して仲良くなっていく。
……こんなことなら、こんな形で出会いたくなかったな。
そう思いながら、俺は教室を出ることにした。
「金髪美少女金髪美少女金髪美少女金髪美少女銀髪美少女金髪美少女金髪美少女金……」
となりの席のオタクくんが何か言っていたが、今の俺には何も耳に入ってこなかった。
◇
「じゃーホームルームおしまいー。先生は職員室で寝るー」
帰りのホームルームが終わり、俺はいつも通りすぐに教室を出ることにした。
「美玲奈ちゃん、俺が学校を案内してやるよ」
伊藤が南條さんに何か言っているが、もう何も考えないことにした。考えたって、どうせモヤモヤして絶望するだけだ。
昇降口に行き、俺は靴をはき替える。
「あっ、待って!」
しかし、ふいに肩を叩かれた。
振り返ると、そこには金髪ミディアムヘアの美少女が立っていた。
レイナさん……じゃなくて――
「南條さん……どうして」
「乃木川くん、わたし学校のことわからないから、案内してくれないかな?」
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