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第9話 七海 葉月を助ける
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――数分前。
シフトの時間を終え、バイトから上がる拓海。彼は店内にいる葉月と普人、そしてキッチンで料理を作っているオーナーに挨拶を済ませると事務所で着替えを済ませた。
そしていざ帰ろうと思い、店の出入口へと向かっていたとき。
「おい! これ違うじゃねぇか! こんなもん頼んでねぇぞ!」
店内から大きな声が響いて来た。
拓海があわてて引き上げると、普人が何事もなかったかのように突っ立っていた。
「野丸くん、なんか店内で大声が聞こえたんだけど……何かあったの?」
拓海は原作主人公の普人に問いかけるが、彼は拓海の方を振り返りもせず適当に答える。
「知らないよ。誰かオーダーの取り間違えでもしたんじゃないの?」
(誰かって……)
拓海は頭に血がのぼって行くのを感じた。
今店内には葉月と普人とオーナーの三人しかいない。オーナーは料理を作っており、葉月は料理を運んでいる
(さっきまでオーダーを取ってたのはあんただろ……なんで葉月さんを助けにいかないんだよ。オーナーだってさっきから見て見ぬふりで……あんたこの店の責任者だろうが)
拓海は気が付くと店内へと駆けだしていた。
「離せよ」
そして、理不尽に怒鳴っているサラリーマンの前に立ちふさがり、葉月さんの胸倉を掴んでいた腕を掴む。
「は? なんだよお前」
男は拓海を睨みつけてくる。
争いごとが嫌いな彼は、本来ならこんなことはしたくなかった。いまだって心臓ははち切れんばかりに脈打っている。
だが、それ以上に普人やオーナーのように酷い目に合っている女の子を見て見ぬふりするような男にはなりたくなかったのだ。
「オーダーを取り間違えたのはこちらの責任です。申し訳ございませんでした。ですが従業員に手を上げるのはあまりにも目に余る行為なので」
そう言って、拓海はスマートフォンを取り出すと警察に通報をした。
「おい、てめぇふざけたことしてんじゃねぇよ!」
サラリーマンが拓海の顔面に殴りかかった。
「ぐあっ」
警察と通話をしていた彼は直撃を受けて地面に倒れ込む。
「先輩っ、拓海先輩っ!」
先程まで硬直してしまっていた葉月はしゃがみ込み、拓海を支えた。
「おっ、お前が悪いんだからな!」
サラリーマンの男は走って逃げ出そうとするが、交番が近くにあったため警察はすぐに到着し、彼は確保された。
シフトの時間を終え、バイトから上がる拓海。彼は店内にいる葉月と普人、そしてキッチンで料理を作っているオーナーに挨拶を済ませると事務所で着替えを済ませた。
そしていざ帰ろうと思い、店の出入口へと向かっていたとき。
「おい! これ違うじゃねぇか! こんなもん頼んでねぇぞ!」
店内から大きな声が響いて来た。
拓海があわてて引き上げると、普人が何事もなかったかのように突っ立っていた。
「野丸くん、なんか店内で大声が聞こえたんだけど……何かあったの?」
拓海は原作主人公の普人に問いかけるが、彼は拓海の方を振り返りもせず適当に答える。
「知らないよ。誰かオーダーの取り間違えでもしたんじゃないの?」
(誰かって……)
拓海は頭に血がのぼって行くのを感じた。
今店内には葉月と普人とオーナーの三人しかいない。オーナーは料理を作っており、葉月は料理を運んでいる
(さっきまでオーダーを取ってたのはあんただろ……なんで葉月さんを助けにいかないんだよ。オーナーだってさっきから見て見ぬふりで……あんたこの店の責任者だろうが)
拓海は気が付くと店内へと駆けだしていた。
「離せよ」
そして、理不尽に怒鳴っているサラリーマンの前に立ちふさがり、葉月さんの胸倉を掴んでいた腕を掴む。
「は? なんだよお前」
男は拓海を睨みつけてくる。
争いごとが嫌いな彼は、本来ならこんなことはしたくなかった。いまだって心臓ははち切れんばかりに脈打っている。
だが、それ以上に普人やオーナーのように酷い目に合っている女の子を見て見ぬふりするような男にはなりたくなかったのだ。
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そう言って、拓海はスマートフォンを取り出すと警察に通報をした。
「おい、てめぇふざけたことしてんじゃねぇよ!」
サラリーマンが拓海の顔面に殴りかかった。
「ぐあっ」
警察と通話をしていた彼は直撃を受けて地面に倒れ込む。
「先輩っ、拓海先輩っ!」
先程まで硬直してしまっていた葉月はしゃがみ込み、拓海を支えた。
「おっ、お前が悪いんだからな!」
サラリーマンの男は走って逃げ出そうとするが、交番が近くにあったため警察はすぐに到着し、彼は確保された。
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