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幕間 俺が書いていたWeb小説の世界に転生したと思ったらモブキャラだった件
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意識が呼び覚まされたとき、なぜか俺は洞窟の中で倒れていた。
どういうことだ?
俺――流線 遥人は街中を歩いている最中、路地裏で通り魔に殺されたはずなのに。
……ハッ! まさか、これは異世界転生か?
俺は王道の異世界転生、転移モノのストーリーが好きで、自分でも書いて小説投稿サイトに投稿していた。
大手の小説投稿サイトで異世界転生、転移の隔離措置が取られ、現地追放モノが流行ってからも、その追放今更もう遅いすら下火になって異世界恋愛が人気になり始めた今でも、俺はやはり王道の異世界転生ストーリーが好きだった。
俺は家で親や妹との仲が悪く、学校でも陰キャぼっちとバカにされている典型的な落ちこぼれだ。
そんな、自分に見立てた冴えない主人公が異世界に転生して、チートを手に入れてハーレム、無双、俺TUEEEすることのなんと気持ちいいことか!!
俺は上手くいかない現実を、すべてWeb小説を書いて発散することで釣り合いを取っていた。
とは言え初心者の俺が書いたのは、いじめのない異世界に転生した主人公がひたすら可愛い美少女たちとイチャイチャするというなんのひねりもないもので、ストーリー構成もめちゃくちゃだし、文章もやたら小難しくて改行もしてないからブックマーク数1、pv数10とかだった。
やがて、小説投稿活動もモチベーションが下がりまくって、アカウントを削除した。
もう何もかも嫌になって、行く当てもなくさまよっていたときに俺は死んで転生したというわけだ。
それにしても……異世界転生さえしてしまえばこっちのもんだ!
ハーレム、無双、俺TUEEEが待ってるぜ!
俺はさっそく近くにある地底湖で、自分を反響させて容姿を確認することにした。
頼む、金髪慧眼のイケメンであってくれ!!
恐る恐るのぞき込むと、そこには見覚えのある男の姿があった。
「これラインハルトじゃねえかあああああぁぁぁぁっ!!」
なんてことだ……ラインハルトは俺が書いていた小説のモブキャラである。
イラストは存在してないわけだから見覚えがあるというというのは間違えかもしれない。頭の中で想像していた容姿とでもいうべきだろうか。
冴えないモブキャラの姿がそこにあった。
ラインハルトは特別優れたスキルもない『THE 普通』のモテない冒険者で、モテる主人公の対比として登場させたキャラクターだ。
そんなキャラクターに自分の流線 遥人という名前をもじってラインハルトなどと名前を付けたのは、ある種の自分に対する皮肉である。
「というかこれ、Web小説のネタに使えるんじゃね?」
タイトルは『俺が書いていたWeb小説の世界に転生したと思ったらモブキャラだった件』。
「いや、ってかもうこの世界Web小説とかないじゃん。何考えてるんだ……」
それにしてもモブキャラ転生か……一体なぜこんなことになったのか。
転生にテンションが上がってたさっきまでとは打って変わり、今になって急に冷静に転生した理由とか考え始めてしまう。
「もしかして、俺が小説を消したからこの世界がバグったのか?」
俺がラインハルトになったということは、本来の彼はどこに行ってしまったのか。
「まさか、現実世界で流線 遥人になっていたり……」
いや、そんなわけないか。
仮にそうだったとしても、今までの俺となんら変わらない陰キャぼっちとして生活しているはずだ。
自分の分身のような存在として描いたラインハルトが、学園一の美少女である黒羽 鳳蝶さんと仲良くなったり、俺が密かに恋心を抱いていた吉田 万梨乃さんをいじめから助けたり、険悪な関係になっていた妹と仲直りしたり……そんなライトノベルみたいな展開、現実ではありえないのだから。
どういうことだ?
俺――流線 遥人は街中を歩いている最中、路地裏で通り魔に殺されたはずなのに。
……ハッ! まさか、これは異世界転生か?
俺は王道の異世界転生、転移モノのストーリーが好きで、自分でも書いて小説投稿サイトに投稿していた。
大手の小説投稿サイトで異世界転生、転移の隔離措置が取られ、現地追放モノが流行ってからも、その追放今更もう遅いすら下火になって異世界恋愛が人気になり始めた今でも、俺はやはり王道の異世界転生ストーリーが好きだった。
俺は家で親や妹との仲が悪く、学校でも陰キャぼっちとバカにされている典型的な落ちこぼれだ。
そんな、自分に見立てた冴えない主人公が異世界に転生して、チートを手に入れてハーレム、無双、俺TUEEEすることのなんと気持ちいいことか!!
俺は上手くいかない現実を、すべてWeb小説を書いて発散することで釣り合いを取っていた。
とは言え初心者の俺が書いたのは、いじめのない異世界に転生した主人公がひたすら可愛い美少女たちとイチャイチャするというなんのひねりもないもので、ストーリー構成もめちゃくちゃだし、文章もやたら小難しくて改行もしてないからブックマーク数1、pv数10とかだった。
やがて、小説投稿活動もモチベーションが下がりまくって、アカウントを削除した。
もう何もかも嫌になって、行く当てもなくさまよっていたときに俺は死んで転生したというわけだ。
それにしても……異世界転生さえしてしまえばこっちのもんだ!
ハーレム、無双、俺TUEEEが待ってるぜ!
俺はさっそく近くにある地底湖で、自分を反響させて容姿を確認することにした。
頼む、金髪慧眼のイケメンであってくれ!!
恐る恐るのぞき込むと、そこには見覚えのある男の姿があった。
「これラインハルトじゃねえかあああああぁぁぁぁっ!!」
なんてことだ……ラインハルトは俺が書いていた小説のモブキャラである。
イラストは存在してないわけだから見覚えがあるというというのは間違えかもしれない。頭の中で想像していた容姿とでもいうべきだろうか。
冴えないモブキャラの姿がそこにあった。
ラインハルトは特別優れたスキルもない『THE 普通』のモテない冒険者で、モテる主人公の対比として登場させたキャラクターだ。
そんなキャラクターに自分の流線 遥人という名前をもじってラインハルトなどと名前を付けたのは、ある種の自分に対する皮肉である。
「というかこれ、Web小説のネタに使えるんじゃね?」
タイトルは『俺が書いていたWeb小説の世界に転生したと思ったらモブキャラだった件』。
「いや、ってかもうこの世界Web小説とかないじゃん。何考えてるんだ……」
それにしてもモブキャラ転生か……一体なぜこんなことになったのか。
転生にテンションが上がってたさっきまでとは打って変わり、今になって急に冷静に転生した理由とか考え始めてしまう。
「もしかして、俺が小説を消したからこの世界がバグったのか?」
俺がラインハルトになったということは、本来の彼はどこに行ってしまったのか。
「まさか、現実世界で流線 遥人になっていたり……」
いや、そんなわけないか。
仮にそうだったとしても、今までの俺となんら変わらない陰キャぼっちとして生活しているはずだ。
自分の分身のような存在として描いたラインハルトが、学園一の美少女である黒羽 鳳蝶さんと仲良くなったり、俺が密かに恋心を抱いていた吉田 万梨乃さんをいじめから助けたり、険悪な関係になっていた妹と仲直りしたり……そんなライトノベルみたいな展開、現実ではありえないのだから。
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