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第15話 すっかりなついてしまった妹
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「お、お兄ちゃん……。おかえり……!」
俺が帰宅すると、明里が玄関にやってきて出迎えてくれる。すっかりそれが日常的な光景となっていた。
「おう、ただいま明里」
「うにゃあ……♡」
俺が頭をなでると、まるで飼い主に甘える猫のように俺の身体に頬ずりをしてくる。妹はこの一ヶ月間で、すっかり兄へとなついてしまったのだ。
「お、お兄ちゃん。今日も明里と一緒にゲーム……」
「もちろん一緒にやるよ。その前にお風呂入ってきたいから、それまで待っててもらえる?」
「あ、明里も一緒に入る……」
「いやそれはダメでしょ!?」
ちょっと、なつきすぎてしまったようである……。
「すぐに行くから部屋で待ってて」
そういうと明里はむぅ~と頬をふくらませていたが、やがて納得してくれたのか「わかった」と言い、着替えを両手で抱えて自分の部屋にトコトコと向かって言った。
えっ、というか着替え用意してるとか、もしかして本当に一緒に入るつもりだったのか……!?
前言撤回、ちょっとどころではなく、妹は非常になつきすぎてしまったようである。
☆ ☆ ☆
「お兄ちゃん、遅い……」
風呂から上がり、冷蔵庫からペットボトルを2本持って明里の部屋に行くと、妹はペンギンのフードが付いた部屋着を着てゲームをしていた。
ちなみにこの着ぐるみのような部屋着だが……流線 遥人が持っていたライトノベルに出てくる妹キャラがパンダの着ぐるみパジャマを着ているのがあまりにも可愛くて、俺が可愛いと言っていたら、明里が対抗して買ってきてしまったのである。
妹いわく、本当はパンダを探したらしいのだが、手に入らなくてペンギンになってしまったとのこと。
「悪い悪い、ほら、明里の好きなリンゴジュース持ってきたから」
「えっへへぇ……お兄ちゃん大好き♡」
先程までふくれっ面をしていた明里は、一瞬にして上機嫌である。それから俺はソファーに座り、明里と一緒にゲームを始めるのだが……
「あの、明里……?」
「なに、お兄ちゃん……」
「なんでそこに座ってるの?」
そこ、というのは俺の膝の上である。最初はソファーに並んで座ってゲームをしていたはずなのだが、気が付くと俺の上に座っていた。
「お兄ちゃんが大好きだから♡」
「いや、それ答えになってないんだけど……」
まぁ、いいか。
今まで明里は、兄に甘えられず寂しい思いをしてきたのだろう。思う存分甘やかしてあげよう。
そう思い、俺は目の前に座る小さなペンギンの頭を優しくなでるのだった。
俺が帰宅すると、明里が玄関にやってきて出迎えてくれる。すっかりそれが日常的な光景となっていた。
「おう、ただいま明里」
「うにゃあ……♡」
俺が頭をなでると、まるで飼い主に甘える猫のように俺の身体に頬ずりをしてくる。妹はこの一ヶ月間で、すっかり兄へとなついてしまったのだ。
「お、お兄ちゃん。今日も明里と一緒にゲーム……」
「もちろん一緒にやるよ。その前にお風呂入ってきたいから、それまで待っててもらえる?」
「あ、明里も一緒に入る……」
「いやそれはダメでしょ!?」
ちょっと、なつきすぎてしまったようである……。
「すぐに行くから部屋で待ってて」
そういうと明里はむぅ~と頬をふくらませていたが、やがて納得してくれたのか「わかった」と言い、着替えを両手で抱えて自分の部屋にトコトコと向かって言った。
えっ、というか着替え用意してるとか、もしかして本当に一緒に入るつもりだったのか……!?
前言撤回、ちょっとどころではなく、妹は非常になつきすぎてしまったようである。
☆ ☆ ☆
「お兄ちゃん、遅い……」
風呂から上がり、冷蔵庫からペットボトルを2本持って明里の部屋に行くと、妹はペンギンのフードが付いた部屋着を着てゲームをしていた。
ちなみにこの着ぐるみのような部屋着だが……流線 遥人が持っていたライトノベルに出てくる妹キャラがパンダの着ぐるみパジャマを着ているのがあまりにも可愛くて、俺が可愛いと言っていたら、明里が対抗して買ってきてしまったのである。
妹いわく、本当はパンダを探したらしいのだが、手に入らなくてペンギンになってしまったとのこと。
「悪い悪い、ほら、明里の好きなリンゴジュース持ってきたから」
「えっへへぇ……お兄ちゃん大好き♡」
先程までふくれっ面をしていた明里は、一瞬にして上機嫌である。それから俺はソファーに座り、明里と一緒にゲームを始めるのだが……
「あの、明里……?」
「なに、お兄ちゃん……」
「なんでそこに座ってるの?」
そこ、というのは俺の膝の上である。最初はソファーに並んで座ってゲームをしていたはずなのだが、気が付くと俺の上に座っていた。
「お兄ちゃんが大好きだから♡」
「いや、それ答えになってないんだけど……」
まぁ、いいか。
今まで明里は、兄に甘えられず寂しい思いをしてきたのだろう。思う存分甘やかしてあげよう。
そう思い、俺は目の前に座る小さなペンギンの頭を優しくなでるのだった。
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