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第13話 いじめから助けた美少女から気に入られる①
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騒動が起こってから数日。
玄場や太見が学校から追放されたことで、このクラスは以前よりも穏やかな雰囲気に変わっていた。
吉田さんがクラスメイトからいじめられることもなくなったし、むしろ最近では西園 桃加さんを始めとしたクラスの女子たちと楽しそうに話しているところをよく見かける。
そんな光景を見るたびに、あいつらと戦ってよかったと心から思う。
かくいう俺はというと……相変わらずぼっちである。
たまに女子たちからは太見の悪事を暴いたことを感謝されたりするんだけど、俺が彼女たちに微笑み返すと顔を赤くして押し黙ってしまうのだ。
やっぱり太見を倒してくれたことには感謝しているけど、キモい陰キャとは仲良くしたくないということだろうか。うぅ……。
男子たちからは相変わらず嫌われている気がする。学園一の美少女である黒羽さんに気に入られているだけでも嫉妬の対象だったのに、太見の件で暴れまくったせいでもはや腫れ物扱いされている。
まぁ、特に害はないので嫌われるくらい別になんともない。
あ、嫉妬と言えば最近は黒羽さんの件だけではなく……
「あ、あの……流線くんっ、今日は一緒にお昼を食べませんか?」
今、目の前で弁当を抱えながらもじもじしている美少女の件もある。
最近染めた明るめの茶髪にウェーブがかかったミディアムヘア。以前かけていた眼鏡はコンタクトに変えたことで彼女本来の美人な容姿が全面的に表れている。
今まで膝下の長さだったスカートも、今は結構短くなっている。
吉田 万梨乃さんはあの一件以来ずいぶんと見た目が変わった。理由はわからないけど。
しかもそれだけでなく、今まではどこへ行っていたのか姿を消していた休み時間も教室にいて、俺に話しかけてくることが増えていた。
隠し持っていた本来の美しさを表に出したことで、学園一の美少女にも劣らない女子へと化けた吉田さんはただでさえクラス中から注目されていたのに、なにやら俺と仲良くしているもんだから大変なことになった。
そして今日はなんと、昼食まで一緒に食べようと言ってきたのだ。
「俺はもちろんいいけど、いつもここに来て一緒に食べている人がいるから、その人に大丈夫か聞いてからでもいい?」
「あっ、もっ、もちろんっ! というか私こそ勝手なこと言っちゃってごめんなさい……」
うっ、そんな申し訳なさそうな顔をされると罪悪感が……。
「あ、大丈夫! ちゃんとその人に吉田さんのことも紹介するし、すぐに仲良くなれると思うよ」
黒羽さんだって、俺みたいな陰キャぼっちと2人きりで食べるより吉田さんのような可愛い女の子が一緒の方がいいだろう。多分。
「あの、その人って女の子ですか? もしかして流線くんの彼女さんとか……」
――ガラァ
と、吉田さんがなんだかすごく見当外れなことを言っていた気がするけど、扉が開いて1人の女子生徒が姿を見せたことで会話は一時中断された。
そしてすぐに教室中からは、彼女の登場に「うおおおぉぉぉ!!」みたいな歓喜の声があがる。
一瞬でこれだけの注目を集めることのできる女子生徒とは、言うまでもなく学園一の美少女である黒羽 鳳蝶《あげは》である。
玄場や太見が学校から追放されたことで、このクラスは以前よりも穏やかな雰囲気に変わっていた。
吉田さんがクラスメイトからいじめられることもなくなったし、むしろ最近では西園 桃加さんを始めとしたクラスの女子たちと楽しそうに話しているところをよく見かける。
そんな光景を見るたびに、あいつらと戦ってよかったと心から思う。
かくいう俺はというと……相変わらずぼっちである。
たまに女子たちからは太見の悪事を暴いたことを感謝されたりするんだけど、俺が彼女たちに微笑み返すと顔を赤くして押し黙ってしまうのだ。
やっぱり太見を倒してくれたことには感謝しているけど、キモい陰キャとは仲良くしたくないということだろうか。うぅ……。
男子たちからは相変わらず嫌われている気がする。学園一の美少女である黒羽さんに気に入られているだけでも嫉妬の対象だったのに、太見の件で暴れまくったせいでもはや腫れ物扱いされている。
まぁ、特に害はないので嫌われるくらい別になんともない。
あ、嫉妬と言えば最近は黒羽さんの件だけではなく……
「あ、あの……流線くんっ、今日は一緒にお昼を食べませんか?」
今、目の前で弁当を抱えながらもじもじしている美少女の件もある。
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今まで膝下の長さだったスカートも、今は結構短くなっている。
吉田 万梨乃さんはあの一件以来ずいぶんと見た目が変わった。理由はわからないけど。
しかもそれだけでなく、今まではどこへ行っていたのか姿を消していた休み時間も教室にいて、俺に話しかけてくることが増えていた。
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そして今日はなんと、昼食まで一緒に食べようと言ってきたのだ。
「俺はもちろんいいけど、いつもここに来て一緒に食べている人がいるから、その人に大丈夫か聞いてからでもいい?」
「あっ、もっ、もちろんっ! というか私こそ勝手なこと言っちゃってごめんなさい……」
うっ、そんな申し訳なさそうな顔をされると罪悪感が……。
「あ、大丈夫! ちゃんとその人に吉田さんのことも紹介するし、すぐに仲良くなれると思うよ」
黒羽さんだって、俺みたいな陰キャぼっちと2人きりで食べるより吉田さんのような可愛い女の子が一緒の方がいいだろう。多分。
「あの、その人って女の子ですか? もしかして流線くんの彼女さんとか……」
――ガラァ
と、吉田さんがなんだかすごく見当外れなことを言っていた気がするけど、扉が開いて1人の女子生徒が姿を見せたことで会話は一時中断された。
そしてすぐに教室中からは、彼女の登場に「うおおおぉぉぉ!!」みたいな歓喜の声があがる。
一瞬でこれだけの注目を集めることのできる女子生徒とは、言うまでもなく学園一の美少女である黒羽 鳳蝶《あげは》である。
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