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平民ヒロインに転生しました。

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ーーあれ、ここはどこ?


目はしっかり開けているのに、何故か視界がぼやけている。

さらに頭もボーッとする。

周りに誰もいないのか、物音ひとつしない。

確か私は、乙女ゲームをプレイしながら歩いていたら、巨大なトラックにはねられて……。

けど、体は痛くない。

…よし、ちょっと喋ってみよう。


「あう、あ…………うう!?あうあ!うっ!」


あ、あれ!?

普通に声を出そうとしているのに、うまく声が出ない。

なんだか赤ちゃんの話し方みたい。

………?

まさかとは思い、自分の手を見てみる。

ふっくらでぷにぷにしていて、ものすごく小さくて、まるで自分の手ではないような自分の手。

私はサーっと青ざめる。

急いで周りを見渡すと、ここはどこかの部屋で、木製のテーブルやイスが置いてあることがわかった。


ーーガチャ


扉の開く音が聞こえた。


「……あら?起きたのね」


不意に、優しい声で話しかけられて、何故だかすごく安心した。


「よーしよし、かわいいわねえ。私はあなたのお母さんですよー」


……お母さん!?

その人は私を抱き上げると、優しく優しく、私をあやした。

恥ずかしい、けど……それ以上に何だか嬉しい。

何で……?

すると、私のお母さんだと言うこの人は、部屋の中にあった鏡に、私の姿を写した。


「ほーら、あなたはこんなにかわいいのよ」

「……ばぶ!?」


私、この赤ちゃん(私だけどね)の容姿…見たことがある!

それは、私がよくプレイしている乙女ゲーム、『魔法の国でプリンスパラダイス!!』で、ヒロイン(名前設定あり)の過去が明かされる時に出てきたスチルで見た、ヒロインの赤ちゃんの頃の姿に瓜二つだった。

…ていうか、まんまだった。


「あう、あう……」


私は驚きのあまり口をパクパクさせる。

そして、当然のように鏡の中の赤ちゃんも驚いた表情で口をパクパクさせる。


「…うん、決めた。あなたの名前はエマよ!生まれてきてくれありがとう。愛しているわ
、エマ」


私のお母さんが、目に涙を浮かべながら、満面の笑みを私に向ける。

…うん、認めよう。

私は、この世界に生まれ変わったんだ。

しかも何故か、この乙女ゲームの世界で、前世の記憶を持ったまま、乙女ゲームのヒロインに転生した。












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