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第二十章 王都の民の憩いの場を造ったよ
第691話 これが異世界知識チートと言うものらしい…
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さて、話は変わってハテノ男爵領騎士団『花小隊』と芸人集団『STD四十八』を招いての開業記念公演だけど。
とても好評でチケットは二十日間連日完売だったよ。
でも、二十日目で『パパ活』娘達の連続観覧記録は途絶えたから、出演者との一日デート権は該当者無しだったの。
そのため、一日デートのために開けていた出演者のスケジュールが宙に浮いてちゃったの。
それに、王族専用船も出港準備万端だったんだ。
二十日間連続で公演を観覧したお客さんにプレゼントされる一日デートに提供すると約束してあったからね。
タロウが『オタク』の中から完全制覇する猛者がうじゃうじゃ現れるかもと言うから、船上パーティーの手配もしちゃったし。
そんな訳で…。
「私ゃ、長い事王都に住んでいるのに船に乗って沖に出るのは初めてだよ。
しかし、悪いね。私ゃ一度も公演を観に行ってないのにこうしてご相伴に与って。
王様が乗る船の上で、豪勢なメシと酒が食べ放題、飲み放題だなんて。」
「良いんだよ。
うちの宿六ったら、小娘に入れ込んで貯えを使い込んでたんだ。
このくらいの余禄が無かったら、あの宿六を絞め殺すところだったよ。」
おいらの前で顔馴染みのオバチャン二人がビールを片手にそんな会話を交わしていたよ。
二十日連続観覧は該当者無しだったけど、王室専用船の準備はしちゃったし。
何より、あんなに高価なチケットを買って連日沢山のお客さんが記念公演を見に来てくれたんだから。
感謝の気持ちを込めて、王室専用船を使った一日クルーズをプレゼントすることにしたんだ。
スケジュールの空いちゃった『花小隊』と『STD四十八』のみんなと一緒の懇親パーティも付いてるの。
もちろんクルーズのスケジュールには、二グループが歌や踊りを披露する時間を設けたよ。
そんな企画に、公演を観に来てくれたお客さんの中からクジ引きによる抽選で三百人を招待したんだ。
一回のクルーズの定員百人で三回に分けてのプランだよ。
配布したスタンプカードと引き換えに、押された判の数だけクジを引けることにしたの。
やっぱり、何度も見に来てくれた人と一回だけの人が同じ確率じゃ不公平だからね。
当選者には当たった順に、その場で希望する日の乗船券を配布したんだ。
複数回当たった人は、複数日の乗車券を受け取っても良いし、同じ日の乗車券を複数受け取っても良いの。
『花小隊』や『STD四十八』のファンなら、自分で何度も乗りたいだろうし。
今目の前に居るオバチャンみたいに、友人を誘って乗船しても良いから。
まあ、複数当選したら転売する人も居るかも知れないけど、そこは大目に見ることにしたよ。
複数当選するってことは、一回銀貨二十枚もするチケットを何枚も買ってくれたのだからね。
因みに、今目の前で会話していた知り合いのオバチャンは、片方の旦那さんが『パパ活』娘に貢いでいたの。
旦那から取り上げたスタンプカードには、十個以上のスタンプが押されていたらしいよ。
おかげ(?)で乗船券を二枚ゲットできて、親しいオバチャンを誘ったんだって。
更にパーティ会場の一画では…。
「はーい! 今から『花小隊』、『STD四十八』のサイン会を始めまーす!
サインして欲しい方は、こちらにお並びくださーい!
サインはもちろん無料でーす。
色紙や無地のシャツ等お持ちでない方は、あちらで販売しておりまーす!」
良く通るシフォン姉ちゃんの声が響き、サイン会が始まっていたよ。
ひまわり会のお姉さん達が手際よく、お客さんを整列させたり、色紙なんかの販売をしてた。
この後、ミニコンサートが挟まれたりして一日クルーズはとても盛り上がってたよ。
流石に三日間付き合うことは出来なかったけど、タロウの報告では連日好評だったらしい。
**********
そして、公衆浴場だけど。
「出ました! 初の十回連続チャンピオン!
初代グランドチャンピオンの栄冠に輝いたのは、なんとまだ十三歳のマーサコさんです。」
司会のシフォン姉ちゃんの声が公演会場に響き、審査委員長のアルトがチャンピオンの頭に月桂冠を乗せてたよ。
その瞬間歓声が沸いて、公演会場は拍手喝采に包まれたんだ。
『パパ活』娘が湧いたことを受けて、お客さんに多額の出費を強いるイベントを禁止したところ。
公衆浴場の客寄せと収益基盤の強化のために、タロウが新しいイベントを企画したの。
『スタア誕生』と称したそのイベントは、公衆浴場の顔となる歌姫を発掘しようって企画だったよ。
我こそはと思う女の人なら身分を問わず参加できて、歌唱力その他を競うの。
歌を披露してもらうだけのイベントなのに、『その他』って何を競うのかと尋ねたら。
その人が持つ『華』を競うんだって。
タロウの故郷では『アイドル』と呼ばれていたらしいけど、ハッキリ言って歌唱力はイマイチでも良いみたい。
それより、人を惹き付ける魅力が大事なんだって。それを称して『華』と呼ぶらしい。
端的に言えば、ウエニアール国版の『花小隊』や『STD四十八』を生み出そうって企画だね。
グランドチャンピオンになった人には、ひまわり会専属の歌姫になってもらい。
公衆浴場二階の公演会場で定期的に公演をしてもらう他、各地で公演してもらう計画なんだって。
常時挑戦者を募っていて、週に一回、公衆浴場二階の公演会場で公開審査会を行うの。
毎回十人の審査委員で審査してその回のチャンピオンを決め、チャンピオンは翌週の挑戦者を迎え撃つ仕組みだよ。
九週連続でチャンピオンの座を防衛すると、グランドチャンピオンとしてひまわり会の専属に採用されるんだ。
この企画、『花小隊』や『STD四十八』を見出したアルトを審査委員長に据え。
公衆浴場の専属楽師として雇った耳長族のお姉さん、その歌声で聴く者を魅了する『海の民』のシレーヌ姉ちゃんに審査員をお願いしたんだけど。
それに加えて、毎回その週の観客から抽選で五人を一般審査員として採用することにしたんだ。ランダムに選んだお客さんからの評価も参考にしたいんだって。
公開審査会のチケットは銀貨一枚と手頃なことに加え、自分達も審査に加われるかもって期待があったんだろうね。
スタア誕生は毎週チケットが完売する公衆浴場の大人気イベントになったよ。
毎週最後に一曲披露してくれる謎の歌姫シレーヌ姉ちゃんとか、キワドイ服装で司会をするシフォン姉ちゃんがお目当てのお客さんも少なからずいたみたいだけど。
シレーヌ姉ちゃんを歌姫にしたら良いって? ダメだよ、あの人が人気者になって男の人が寄って来たら拙いもの。
文字通り、男の人を食べちゃうから。
タロウは、チャンピオンになれなかった参加者の中からも、目ぼしい人が居たら声を掛けているみたい。
ユニットを組ませてお抱えにするとか、グランドチャンピオンの人のバックコーラスに採用するとか言ってた。
もっとも、目ぼしい人を選ぶのはタロウじゃなくて、もっぱらアルトの役目らしいけどね。
今目の前で拍手喝采の祝福を受けている人は、歌唱力が抜群なのでソロで歌ってもらう予定らしいけど。
いずれは『STD四十八』ばりの大規模ユニットも組ませみたいって、タロウは夢を膨らませてた。
おいらの隣に立って。
「これぞ、異世界知識チートの本領発揮だぜ!」
なんて『チューニ病』が再発したのかと心配になる言葉を発したタロウ。
スタア誕生が好評なことに気を良くしたタロウは、第二弾、第三弾の企画も打ち出してたよ。
やっぱり公募で競わせるんだって、お笑い芸人と男性アイドルの志望者を。
柳の下のドジョウ、二匹目、三匹目が居れば良いね…。
とても好評でチケットは二十日間連日完売だったよ。
でも、二十日目で『パパ活』娘達の連続観覧記録は途絶えたから、出演者との一日デート権は該当者無しだったの。
そのため、一日デートのために開けていた出演者のスケジュールが宙に浮いてちゃったの。
それに、王族専用船も出港準備万端だったんだ。
二十日間連続で公演を観覧したお客さんにプレゼントされる一日デートに提供すると約束してあったからね。
タロウが『オタク』の中から完全制覇する猛者がうじゃうじゃ現れるかもと言うから、船上パーティーの手配もしちゃったし。
そんな訳で…。
「私ゃ、長い事王都に住んでいるのに船に乗って沖に出るのは初めてだよ。
しかし、悪いね。私ゃ一度も公演を観に行ってないのにこうしてご相伴に与って。
王様が乗る船の上で、豪勢なメシと酒が食べ放題、飲み放題だなんて。」
「良いんだよ。
うちの宿六ったら、小娘に入れ込んで貯えを使い込んでたんだ。
このくらいの余禄が無かったら、あの宿六を絞め殺すところだったよ。」
おいらの前で顔馴染みのオバチャン二人がビールを片手にそんな会話を交わしていたよ。
二十日連続観覧は該当者無しだったけど、王室専用船の準備はしちゃったし。
何より、あんなに高価なチケットを買って連日沢山のお客さんが記念公演を見に来てくれたんだから。
感謝の気持ちを込めて、王室専用船を使った一日クルーズをプレゼントすることにしたんだ。
スケジュールの空いちゃった『花小隊』と『STD四十八』のみんなと一緒の懇親パーティも付いてるの。
もちろんクルーズのスケジュールには、二グループが歌や踊りを披露する時間を設けたよ。
そんな企画に、公演を観に来てくれたお客さんの中からクジ引きによる抽選で三百人を招待したんだ。
一回のクルーズの定員百人で三回に分けてのプランだよ。
配布したスタンプカードと引き換えに、押された判の数だけクジを引けることにしたの。
やっぱり、何度も見に来てくれた人と一回だけの人が同じ確率じゃ不公平だからね。
当選者には当たった順に、その場で希望する日の乗船券を配布したんだ。
複数回当たった人は、複数日の乗車券を受け取っても良いし、同じ日の乗車券を複数受け取っても良いの。
『花小隊』や『STD四十八』のファンなら、自分で何度も乗りたいだろうし。
今目の前に居るオバチャンみたいに、友人を誘って乗船しても良いから。
まあ、複数当選したら転売する人も居るかも知れないけど、そこは大目に見ることにしたよ。
複数当選するってことは、一回銀貨二十枚もするチケットを何枚も買ってくれたのだからね。
因みに、今目の前で会話していた知り合いのオバチャンは、片方の旦那さんが『パパ活』娘に貢いでいたの。
旦那から取り上げたスタンプカードには、十個以上のスタンプが押されていたらしいよ。
おかげ(?)で乗船券を二枚ゲットできて、親しいオバチャンを誘ったんだって。
更にパーティ会場の一画では…。
「はーい! 今から『花小隊』、『STD四十八』のサイン会を始めまーす!
サインして欲しい方は、こちらにお並びくださーい!
サインはもちろん無料でーす。
色紙や無地のシャツ等お持ちでない方は、あちらで販売しておりまーす!」
良く通るシフォン姉ちゃんの声が響き、サイン会が始まっていたよ。
ひまわり会のお姉さん達が手際よく、お客さんを整列させたり、色紙なんかの販売をしてた。
この後、ミニコンサートが挟まれたりして一日クルーズはとても盛り上がってたよ。
流石に三日間付き合うことは出来なかったけど、タロウの報告では連日好評だったらしい。
**********
そして、公衆浴場だけど。
「出ました! 初の十回連続チャンピオン!
初代グランドチャンピオンの栄冠に輝いたのは、なんとまだ十三歳のマーサコさんです。」
司会のシフォン姉ちゃんの声が公演会場に響き、審査委員長のアルトがチャンピオンの頭に月桂冠を乗せてたよ。
その瞬間歓声が沸いて、公演会場は拍手喝采に包まれたんだ。
『パパ活』娘が湧いたことを受けて、お客さんに多額の出費を強いるイベントを禁止したところ。
公衆浴場の客寄せと収益基盤の強化のために、タロウが新しいイベントを企画したの。
『スタア誕生』と称したそのイベントは、公衆浴場の顔となる歌姫を発掘しようって企画だったよ。
我こそはと思う女の人なら身分を問わず参加できて、歌唱力その他を競うの。
歌を披露してもらうだけのイベントなのに、『その他』って何を競うのかと尋ねたら。
その人が持つ『華』を競うんだって。
タロウの故郷では『アイドル』と呼ばれていたらしいけど、ハッキリ言って歌唱力はイマイチでも良いみたい。
それより、人を惹き付ける魅力が大事なんだって。それを称して『華』と呼ぶらしい。
端的に言えば、ウエニアール国版の『花小隊』や『STD四十八』を生み出そうって企画だね。
グランドチャンピオンになった人には、ひまわり会専属の歌姫になってもらい。
公衆浴場二階の公演会場で定期的に公演をしてもらう他、各地で公演してもらう計画なんだって。
常時挑戦者を募っていて、週に一回、公衆浴場二階の公演会場で公開審査会を行うの。
毎回十人の審査委員で審査してその回のチャンピオンを決め、チャンピオンは翌週の挑戦者を迎え撃つ仕組みだよ。
九週連続でチャンピオンの座を防衛すると、グランドチャンピオンとしてひまわり会の専属に採用されるんだ。
この企画、『花小隊』や『STD四十八』を見出したアルトを審査委員長に据え。
公衆浴場の専属楽師として雇った耳長族のお姉さん、その歌声で聴く者を魅了する『海の民』のシレーヌ姉ちゃんに審査員をお願いしたんだけど。
それに加えて、毎回その週の観客から抽選で五人を一般審査員として採用することにしたんだ。ランダムに選んだお客さんからの評価も参考にしたいんだって。
公開審査会のチケットは銀貨一枚と手頃なことに加え、自分達も審査に加われるかもって期待があったんだろうね。
スタア誕生は毎週チケットが完売する公衆浴場の大人気イベントになったよ。
毎週最後に一曲披露してくれる謎の歌姫シレーヌ姉ちゃんとか、キワドイ服装で司会をするシフォン姉ちゃんがお目当てのお客さんも少なからずいたみたいだけど。
シレーヌ姉ちゃんを歌姫にしたら良いって? ダメだよ、あの人が人気者になって男の人が寄って来たら拙いもの。
文字通り、男の人を食べちゃうから。
タロウは、チャンピオンになれなかった参加者の中からも、目ぼしい人が居たら声を掛けているみたい。
ユニットを組ませてお抱えにするとか、グランドチャンピオンの人のバックコーラスに採用するとか言ってた。
もっとも、目ぼしい人を選ぶのはタロウじゃなくて、もっぱらアルトの役目らしいけどね。
今目の前で拍手喝采の祝福を受けている人は、歌唱力が抜群なのでソロで歌ってもらう予定らしいけど。
いずれは『STD四十八』ばりの大規模ユニットも組ませみたいって、タロウは夢を膨らませてた。
おいらの隣に立って。
「これぞ、異世界知識チートの本領発揮だぜ!」
なんて『チューニ病』が再発したのかと心配になる言葉を発したタロウ。
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