673 / 848
第二十章 王都の民の憩いの場を造ったよ
第673話 王都はかなり危いらしい…
しおりを挟む
宰相が乗り気になっていた王都に地下貯水池を造ろうって計画。
実現可能な計画が出来たと思ったら、莫大な工事費を要するらしい。
それでも、宰相は地下貯水池を造りたいと思っているようで。
おいらが最優先にと指示している街道整備を後送りするか、増税を検討出来ないかなんて言うんだ。
そんな訳で、タロウの屋敷を訪ねたよ。
「何々、マロンちゃんが私に相談しに来るなんて珍しい。
どんなことかしら?」
もうすっかり陽が高くなっている時間なのに、寝起きのような格好で気だるげに尋ねるマリアさん。
どうやら、前に言ってたように自堕落な生活を満喫しているみたいだね。
そう、地下貯水池の言い出しっぺのマリアさんに相談しに来たんだ。
恐らくこの大陸の人間で一番博識な人だからね。
問い掛けに答えて、おいらは地下貯水池の建設に膨大な予算が必要なことをマリアさんに説明したんだ。
「そんな訳で、国庫の状況から言うと地下貯水池を造るのは難しいみたいだけど。
宰相はどうしても造りたいって言うんだ。
そのために、街道整備の予算を削るか、増税するかも検討して欲しいって。
おいら、そうまでして地下貯水池って必要かなって思うの。」
水の問題は王都だけのことだけど、街道整備は国全体に関わることだからね。
王都の人達の利便を図るために、その他の地域に住む人の生活改善を後回しにするのはどうかと思うよ。
おいらが、そんな事を話すと。
「うーん、物事の優先順位なんて人それぞれだからね。
マロンちゃんがこの国の王様なんだから。
自分のやりたいようにすれば良いんじゃない。」
いきなり突き放すような事を言うマリアさん。
「いや、それじゃ、相談しに来た意味が無いじゃない。
元々、地下貯水池のことを言い出したのはマリアさんだよ。」
「うん? 私、地下貯水池なんて言ってないわよ。
私が提案したのは公衆浴場だもの。
マロンちゃんが、そんなモノを造ったら遠出できないと渋ったから。
貯水池を造ればと言ったんじゃない。
マロンちゃんが、毎日公衆浴場へ水を供給すれば貯水池は要らないでしょう。」
「嫌だよ、毎日、お風呂に水を張りに行くなんて。
それじゃ、まるで公衆浴場の奴隷みたいじゃない。
それに、宰相は地下貯水池を王都の生活用水にも使いたいんだ。
使える真水が増えれば、王都はもっと発展するって。」
おいらが恒常的にお風呂の水張りする事は出来ないと言ったら、マリアさんが貯水池を造れば良いと言ったんだからね。
それを聞いて宰相が飛びついたんだ。マリアさんにはもっと真剣に相談に乗ってもらえないと。
おいらがマリアさんに詰め寄ると…。
「ハハハ、冗談よ。 真面目に答えてあげるわ。
そうね、治水はとても大事よ。
人は水が無いと生きていけないし。
農作物を作るのにも、水が欠かせないもの。
そして、この街はとても危いわ。」
それまでにこやかに笑っていたマリアさんが、急にマジな表情になったよ。
「危いって、何が?」
「宰相さんは気付いて無いようだけど…。
この街は異常よ。
これだけの規模で、僅かな数の井戸に依存しているのですもの。
井戸なんて、いつ涸れてもおかしく無いのよ。
テルルの古代都市では水が枯れて放棄されたものが少なくないらしいし。」
マリアさん、歴史とかの知識は乏しいと自嘲気味に言ってたけど。
そんなマリアさんでも知っているくらい、水の枯渇が都市に致命的な影響を与えた事例は多いらしいの。
少ない井戸に依存しているこの街は綱渡りをしてるようなものだって。
そんなにヤバいのなら、もっと早く言ってよ…。
「そうね、これだけの都市なら。
水源地帯から水道を引っ張って来てもおかしくないわ。
後は王都の外を流れている川の水を浄化して使うかね。」
マリアさんが生まれる数千年前、古代テルルでは水道橋や地下トンネルで水源から延々と飲み水を引いて来た例があるそうなんだ。
「いやいや、水道橋や地下トンネルなんて、それこそ予算が無いよ。
第一、水を取れる水源なんて何処にあると言うの。
迂闊なところから水を取っちゃったら、今使っている人が困るでしょう。
王都の外を流れる川だって、淀んでいて飲み水には使えそうもないよ。
浄化するって言っても、どうすれば良いの?」
「そうね、この国は高山地帯が無いから、大河は無いのよね。
王都の外を流れている川だって、流量は大したことないものね。
それに、今のこの大陸の技術ではあの川の水を飲み水まで浄化するのは難しいかしら。
昔と変わらないとすれば、魔物の領域を水源とする川があった筈だけど…。
魔物領域の縁に沿って、無人の地域を流れていて海まで注いでいるの。
あの川が今でもあれば、利用している人はいないと思うけど。」
なに、その危険地帯…、そんなところから水を引くなんて自殺行為だよ。
「どれも難しそうだね。
でも、井戸水だけに依存しているのは危ないと言うなら。
やっぱり、地下貯水池は造っておいた方が良いのかな。
地下貯水池なら、おいらが真水を溜めておけるし。
増税はしたくないから、街道整備を後回しにして…。
その分で浮いた人手を地下工事に使えば良いか。」
おいらが、渋々、当面の街道整備事業を縮小しようかと考えていると。
「マロンちゃん、それ本気で言ってる?
そもそも、何で地下貯水池を造るのに銀貨五百万枚も必要なのよ。」
「だって、かなりの難工事になるみたいだし。
人もいっぱい雇い入れないといけないみたいで…。
人件費だけでも銀貨二百万枚を超えるらしいよ。」
「だから、それよ!
マロンちゃん、このお屋敷の中庭を知っているのでしょう。
海と繋がっている池。
あれ、どうやって造ったのか思い出してみてよ。」
中庭の池って、長時間陸上で暮らすことが出来ないハゥフルとシレーヌのためにムルティが…。
「って、アレをおいらにやれと?
おいらでも出来るのかな…。」
キレイな海水が必要な『海の民』の二人のために、ムルティが中庭に大穴を開けて海まで繋いだんだ。
その場所にある土砂を『積載庫』に収めるって荒業を使って。
「たぶん出来るんじゃない。
アカシアちゃんなんて、研究所の敷地を丸々一瞬にして収めちゃったし。
なんなら、私も手伝うわよ。
公衆浴場を創ってとお願いしたのは私だから。」
事も無げ気にそんなことを言うマリアさん。
邪魔な土や岩を『積載庫』に放り込んで地下に大きな空洞を造れば良いと、おいらに言ってるよ。
まあ、それなら予算は少なくて済みそうだね。
マリアさんが手伝ってくれるなら、何とかなるかも知れないし。
因みに、マリアさん、地下貯水池が完成したら、次は魔物の領域から水路を引けなんて言ってるよ。
同じ方法で…。それじゃ、おいら、土木作業員みたいじゃない。
とは言え。
もしそれが可能なら、街道整備はこのまま続けることが出来るね。
おいらの『積載庫』でムルティみたいな事が可能かどうか、一度試してみる価値はありそうだよ。
実現可能な計画が出来たと思ったら、莫大な工事費を要するらしい。
それでも、宰相は地下貯水池を造りたいと思っているようで。
おいらが最優先にと指示している街道整備を後送りするか、増税を検討出来ないかなんて言うんだ。
そんな訳で、タロウの屋敷を訪ねたよ。
「何々、マロンちゃんが私に相談しに来るなんて珍しい。
どんなことかしら?」
もうすっかり陽が高くなっている時間なのに、寝起きのような格好で気だるげに尋ねるマリアさん。
どうやら、前に言ってたように自堕落な生活を満喫しているみたいだね。
そう、地下貯水池の言い出しっぺのマリアさんに相談しに来たんだ。
恐らくこの大陸の人間で一番博識な人だからね。
問い掛けに答えて、おいらは地下貯水池の建設に膨大な予算が必要なことをマリアさんに説明したんだ。
「そんな訳で、国庫の状況から言うと地下貯水池を造るのは難しいみたいだけど。
宰相はどうしても造りたいって言うんだ。
そのために、街道整備の予算を削るか、増税するかも検討して欲しいって。
おいら、そうまでして地下貯水池って必要かなって思うの。」
水の問題は王都だけのことだけど、街道整備は国全体に関わることだからね。
王都の人達の利便を図るために、その他の地域に住む人の生活改善を後回しにするのはどうかと思うよ。
おいらが、そんな事を話すと。
「うーん、物事の優先順位なんて人それぞれだからね。
マロンちゃんがこの国の王様なんだから。
自分のやりたいようにすれば良いんじゃない。」
いきなり突き放すような事を言うマリアさん。
「いや、それじゃ、相談しに来た意味が無いじゃない。
元々、地下貯水池のことを言い出したのはマリアさんだよ。」
「うん? 私、地下貯水池なんて言ってないわよ。
私が提案したのは公衆浴場だもの。
マロンちゃんが、そんなモノを造ったら遠出できないと渋ったから。
貯水池を造ればと言ったんじゃない。
マロンちゃんが、毎日公衆浴場へ水を供給すれば貯水池は要らないでしょう。」
「嫌だよ、毎日、お風呂に水を張りに行くなんて。
それじゃ、まるで公衆浴場の奴隷みたいじゃない。
それに、宰相は地下貯水池を王都の生活用水にも使いたいんだ。
使える真水が増えれば、王都はもっと発展するって。」
おいらが恒常的にお風呂の水張りする事は出来ないと言ったら、マリアさんが貯水池を造れば良いと言ったんだからね。
それを聞いて宰相が飛びついたんだ。マリアさんにはもっと真剣に相談に乗ってもらえないと。
おいらがマリアさんに詰め寄ると…。
「ハハハ、冗談よ。 真面目に答えてあげるわ。
そうね、治水はとても大事よ。
人は水が無いと生きていけないし。
農作物を作るのにも、水が欠かせないもの。
そして、この街はとても危いわ。」
それまでにこやかに笑っていたマリアさんが、急にマジな表情になったよ。
「危いって、何が?」
「宰相さんは気付いて無いようだけど…。
この街は異常よ。
これだけの規模で、僅かな数の井戸に依存しているのですもの。
井戸なんて、いつ涸れてもおかしく無いのよ。
テルルの古代都市では水が枯れて放棄されたものが少なくないらしいし。」
マリアさん、歴史とかの知識は乏しいと自嘲気味に言ってたけど。
そんなマリアさんでも知っているくらい、水の枯渇が都市に致命的な影響を与えた事例は多いらしいの。
少ない井戸に依存しているこの街は綱渡りをしてるようなものだって。
そんなにヤバいのなら、もっと早く言ってよ…。
「そうね、これだけの都市なら。
水源地帯から水道を引っ張って来てもおかしくないわ。
後は王都の外を流れている川の水を浄化して使うかね。」
マリアさんが生まれる数千年前、古代テルルでは水道橋や地下トンネルで水源から延々と飲み水を引いて来た例があるそうなんだ。
「いやいや、水道橋や地下トンネルなんて、それこそ予算が無いよ。
第一、水を取れる水源なんて何処にあると言うの。
迂闊なところから水を取っちゃったら、今使っている人が困るでしょう。
王都の外を流れる川だって、淀んでいて飲み水には使えそうもないよ。
浄化するって言っても、どうすれば良いの?」
「そうね、この国は高山地帯が無いから、大河は無いのよね。
王都の外を流れている川だって、流量は大したことないものね。
それに、今のこの大陸の技術ではあの川の水を飲み水まで浄化するのは難しいかしら。
昔と変わらないとすれば、魔物の領域を水源とする川があった筈だけど…。
魔物領域の縁に沿って、無人の地域を流れていて海まで注いでいるの。
あの川が今でもあれば、利用している人はいないと思うけど。」
なに、その危険地帯…、そんなところから水を引くなんて自殺行為だよ。
「どれも難しそうだね。
でも、井戸水だけに依存しているのは危ないと言うなら。
やっぱり、地下貯水池は造っておいた方が良いのかな。
地下貯水池なら、おいらが真水を溜めておけるし。
増税はしたくないから、街道整備を後回しにして…。
その分で浮いた人手を地下工事に使えば良いか。」
おいらが、渋々、当面の街道整備事業を縮小しようかと考えていると。
「マロンちゃん、それ本気で言ってる?
そもそも、何で地下貯水池を造るのに銀貨五百万枚も必要なのよ。」
「だって、かなりの難工事になるみたいだし。
人もいっぱい雇い入れないといけないみたいで…。
人件費だけでも銀貨二百万枚を超えるらしいよ。」
「だから、それよ!
マロンちゃん、このお屋敷の中庭を知っているのでしょう。
海と繋がっている池。
あれ、どうやって造ったのか思い出してみてよ。」
中庭の池って、長時間陸上で暮らすことが出来ないハゥフルとシレーヌのためにムルティが…。
「って、アレをおいらにやれと?
おいらでも出来るのかな…。」
キレイな海水が必要な『海の民』の二人のために、ムルティが中庭に大穴を開けて海まで繋いだんだ。
その場所にある土砂を『積載庫』に収めるって荒業を使って。
「たぶん出来るんじゃない。
アカシアちゃんなんて、研究所の敷地を丸々一瞬にして収めちゃったし。
なんなら、私も手伝うわよ。
公衆浴場を創ってとお願いしたのは私だから。」
事も無げ気にそんなことを言うマリアさん。
邪魔な土や岩を『積載庫』に放り込んで地下に大きな空洞を造れば良いと、おいらに言ってるよ。
まあ、それなら予算は少なくて済みそうだね。
マリアさんが手伝ってくれるなら、何とかなるかも知れないし。
因みに、マリアさん、地下貯水池が完成したら、次は魔物の領域から水路を引けなんて言ってるよ。
同じ方法で…。それじゃ、おいら、土木作業員みたいじゃない。
とは言え。
もしそれが可能なら、街道整備はこのまま続けることが出来るね。
おいらの『積載庫』でムルティみたいな事が可能かどうか、一度試してみる価値はありそうだよ。
1
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
妹しか愛していない母親への仕返しに「わたくしはお母様が男に無理矢理に犯されてできた子」だと言ってやった。
ラララキヲ
ファンタジー
「貴女は次期当主なのだから」
そう言われて長女のアリーチェは育った。どれだけ寂しくてもどれだけツラくても、自分がこのエルカダ侯爵家を継がなければいけないのだからと我慢して頑張った。
長女と違って次女のルナリアは自由に育てられた。両親に愛され、勉強だって無理してしなくてもいいと甘やかされていた。
アリーチェはそれを羨ましいと思ったが、自分が長女で次期当主だから仕方がないと納得していて我慢した。
しかしアリーチェが18歳の時。
アリーチェの婚約者と恋仲になったルナリアを、両親は許し、二人を祝福しながら『次期当主をルナリアにする』と言い出したのだ。
それにはもうアリーチェは我慢ができなかった。
父は元々自分たち(子供)には無関心で、アリーチェに厳し過ぎる教育をしてきたのは母親だった。『次期当主だから』とあんなに言ってきた癖に、それを簡単に覆した母親をアリーチェは許せなかった。
そして両親はアリーチェを次期当主から下ろしておいて、アリーチェをルナリアの補佐に付けようとした。
そのどこまてもアリーチェの人格を否定する考え方にアリーチェの心は死んだ。
──自分を愛してくれないならこちらもあなたたちを愛さない──
アリーチェは行動を起こした。
もうあなたたちに情はない。
─────
◇これは『ざまぁ』の話です。
◇テンプレ [妹贔屓母]
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング〔2位〕(4/19)☆ファンタジーランキング〔1位〕☆入り、ありがとうございます!!
大きくなったら結婚しようと誓った幼馴染が幸せな家庭を築いていた
黒うさぎ
恋愛
「おおきくなったら、ぼくとけっこんしよう!」
幼い頃にした彼との約束。私は彼に相応しい強く、優しい女性になるために己を鍛え磨きぬいた。そして十六年たったある日。私は約束を果たそうと彼の家を訪れた。だが家の中から姿を現したのは、幼女とその母親らしき女性、そして優しく微笑む彼だった。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる