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第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第83話 『ハエの王』誕生秘話(笑)
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キャラメルを『ハエ』の餌にして、新たな『ハエの王』を生み出す。
それに、どんな意味があるかと言うと…。
それは、王様にキツイお仕置きを与えた日のこと。
「それで、『ハエの王』を倒した愚か者だけど、そいつには『ハエ』の餌になってもらうわ。」
みんなの前で、そう言いだしたアルト。
「それは、単なる死罪では生温い、魔物の餌になる恐怖を味わせて死なせると言うことで?」
モカさんは、自分の長男の悲惨な末路を想像しているのか、顔を歪めながら問い掛けたんだ。
ことがことなだけに死罪になるのは仕方がないと諦めているみたいだけど、流石に魔物の餌は酷いと思ったみたい。
「違うわよ、そいつを餌にして新たな『ハエの王』を生み出すのよ。
私が、何のために『ハエの王』を討伐した愚か者を探していたと思っているの。
単に落とし前を付けさせるだけじゃないのよ。
一番の目的は奪われた『生命の欠片』を取り戻すことよ、新たな『ハエの王』を生み出すために。」
「新たな『ハエの王』を生み出すの?
何のために。』
新たな『ハエの王』を生み出すと言うアルトの真意が理解できなくて、おいらは尋ねたんだ。
「マロン、この国は『ハエの王』が生まれてから二百年、ほとんどその配下の『虫』に襲われていないの。
そのおかげで、質の悪い流行り病が蔓延することが無かったのよ。
でも、これからは違うわ。
このまま放置すると、『ハエの王』の支配下にあった『虫』共はてんでバラバラに他種族を襲い始めるわ。
そしたら、魔物領域に近い町や村は、はぐれの『虫』共にちょくちょく襲われるようになるわよ。
だから、新たな『ハエの王』を生み出して『虫』共を統率させるのよ。
他種族を襲わないようにね。」
『虫』型の魔物自体は弱いから、その辺の冒険者でも対処できるかも知れないけど。
怖いのは、奴らが持っている質の悪い『病原菌』だと、アルトは言うんだ。
襲われた町や村で蔓延するのは勿論のこと、商人や旅人が他へ持ち運ぶかもしれないって。
例えば、ここ王都とか、おいらが住む町とかにね。
質の悪い流行り病が蔓延するのを防ぐことが、『ハエの王』を生み出す最終的な目的なんだって。
「でも、珍しいね。
人の世界に無関心なアルトが、人のために『ハエの王』を生み出そうと言ってくれるなんて。」
おいらが、そんな感想を漏らすと。
「違うわよ、別に人の町に質の悪い流行り病が蔓延しようが、私の知った事ではないわ。
確かに、私の可愛いマロンにもしもの事があると困るけど。
そんなことになったら、マロンだけ妖精の森で保護すれば良いからね。
『虫』共は、人の町だけでなく妖精の森にも『病原菌』をばら撒くのよ。
汚染されたところに一々『妖精の泉』の水を撒いて歩くのが厄介でね。
その手間を省くために、せっかく私が『ハエの王』を生み出したというのに…。
何処かの愚か者が、討伐しちゃうから。ホント、いい迷惑だわ。」
「「「「『ハエの王』を生み出した?」」」」
アルトの言葉に、その場にいたみんなの疑問の声がハモったよ。
「そうよ、二百年前にこの国の愚王が攻めて来たでしょう。
『生命の欠片』が沢山手に入ったので、森のみんなに分けたんだけどね。
端数が出たんで、丁度良いから『虫』達を統率する『魔王』を創ろうと思ったのよ。
前々から思っていたんだけど、いざやろうと思うと『生命の欠片』が勿体なくてね。
あぶく銭が手に入ったみたいなものだから、助かったわ。」
レベル五十に相当する分の『生命の欠片』を端数と言い切るアルト。
いったい妖精の森の住民ってどんだけレベルが高いの…。
「二百年前に、余の先祖達から奪った『生命の欠片』がそんなことに使われとったとは…。
そのせいで、この国の王侯貴族は途轍もない苦労を強いられたと言うに。」
アルトの話を聞いて、そんな愚痴を漏らす王様。
いやいや、『生命の欠片』が奪われたのは自業自得だから、『妖精の森』に攻め込んだ『勇者』達だもん。
「何言ってんのよ。
私は感謝されこそすれ、恨み言を言われる筋合いはないわよ。
私が、『ハエの王』を生み出した恩恵で、この国の民は疫病を免れて来たのだから。
苦労を強いられたのは、一部の王侯貴族だけでしょう。
そんなの欲をかいた愚か者の自業自得じゃない。」
妖精のアルトにとっては人の身分制度なんて関係ないからね。
沢山の人達が恩恵を受けているんだから、そっちの方が良いと思うのは当たり前のことみたい。
王様、またアルトに睨まれて、小さくなってたよ。
そんな訳で、キャラメルを『ハエの王』を生み出すための餌にする事が決まったんだ。
因みに、本当ならプチっと殺っちゃって『生命の欠片』を回収してから『ハエ』の魔物に与えても良いんだけど。
それじゃあ、アルトの気が済まなかったみたい。
モカさんの指摘通り、キャラメルに『ハエ』の餌になる恐怖を味あわせる意味もあるみたいなんだ。
********
その時、おいらが疑問に思っていたこともアルトが教えてくれたよ。
アルトにレベルを奪われてこの国の王族はレベルが低いってのが理解できなくて聞いてみたんだ。
そしたら。
「まだ幼いマロンにこんな血生臭い話はしたくないのだけどね。
この国に限らず、人間の王国貴族は『親殺し』なのよ。
人間に限らず生き物は、寿命や病気で自然死すると『生命の欠片』を残さないの。
『生命の欠片』を奪うためには相手を殺して奪うしかないのよ。」
『親殺し』と言っても、無理やり親を殺す訳じゃないんだって。
王侯貴族は死期を悟ると後継ぎを寝所に呼んで自分を殺させるんだって。
そうやって、先祖からのレベルを代々引き継いでいく習わしになっているんだってアルトは言ってた。
この国は歴史が長いから、当時の王侯貴族にはレベル五十以上がゴロゴロいたみたいなんだ。
アルトの森を襲撃した時の愚王は、レベル七十という、人としては稀に見る高レベルだったらしいよ。
欲をかかずに地道に生きていれば、そのレベルが次の代に引き継がれたはずなのに。
レベルを奪うために妖精の森に攻め込んだ愚王は、そのレベルをアルトに奪われちゃったんだ。
大変なのは後を継いだ王よね。
本来なら、先代から引き継ぐはずのレベルが無いんだもの。
見逃してもらった末の王子、今の王様のご先祖は、当時レベル二十くらいしかなかったんだって。
因みに、その時の愚王は王子全員と、国内の主だった騎士を引き連れて妖精の森に攻め入ったらしい。
見逃してもらえた末の王子以外、皆殺しにされてことごとくレベルを奪われちゃったから。
その後の国の運営に苦労したみたい。
国を守るべき高レベルの騎士が激減したから、下手を打てば周囲の国の良いカモになっちゃうもんね。
それ以来、この国は周辺国のご機嫌を窺いながら攻め込まれないように下手下手にでて凌いできたらしい。
一方で、本来国で最も高レベルであるべき王族のレベルが低いので、有力貴族のご機嫌を窺う必要が出て来て。
結果として、不良貴族を野放しにする事態を招いているみたいだったよ。
因みに、今、アルトの前で身を縮こまらせている王様。
鼻歌まじりにワイバーンを狩ると言うもっぱらの噂だけど、…。
二百年かけてやっとそのくらいことが出来るまで王家のレベルが上がって、少し調子こいてたみたい。
色々と注意するのに耳を貸さないものだから、日頃からモカさんは困っていたみたいだよ。
それに、どんな意味があるかと言うと…。
それは、王様にキツイお仕置きを与えた日のこと。
「それで、『ハエの王』を倒した愚か者だけど、そいつには『ハエ』の餌になってもらうわ。」
みんなの前で、そう言いだしたアルト。
「それは、単なる死罪では生温い、魔物の餌になる恐怖を味わせて死なせると言うことで?」
モカさんは、自分の長男の悲惨な末路を想像しているのか、顔を歪めながら問い掛けたんだ。
ことがことなだけに死罪になるのは仕方がないと諦めているみたいだけど、流石に魔物の餌は酷いと思ったみたい。
「違うわよ、そいつを餌にして新たな『ハエの王』を生み出すのよ。
私が、何のために『ハエの王』を討伐した愚か者を探していたと思っているの。
単に落とし前を付けさせるだけじゃないのよ。
一番の目的は奪われた『生命の欠片』を取り戻すことよ、新たな『ハエの王』を生み出すために。」
「新たな『ハエの王』を生み出すの?
何のために。』
新たな『ハエの王』を生み出すと言うアルトの真意が理解できなくて、おいらは尋ねたんだ。
「マロン、この国は『ハエの王』が生まれてから二百年、ほとんどその配下の『虫』に襲われていないの。
そのおかげで、質の悪い流行り病が蔓延することが無かったのよ。
でも、これからは違うわ。
このまま放置すると、『ハエの王』の支配下にあった『虫』共はてんでバラバラに他種族を襲い始めるわ。
そしたら、魔物領域に近い町や村は、はぐれの『虫』共にちょくちょく襲われるようになるわよ。
だから、新たな『ハエの王』を生み出して『虫』共を統率させるのよ。
他種族を襲わないようにね。」
『虫』型の魔物自体は弱いから、その辺の冒険者でも対処できるかも知れないけど。
怖いのは、奴らが持っている質の悪い『病原菌』だと、アルトは言うんだ。
襲われた町や村で蔓延するのは勿論のこと、商人や旅人が他へ持ち運ぶかもしれないって。
例えば、ここ王都とか、おいらが住む町とかにね。
質の悪い流行り病が蔓延するのを防ぐことが、『ハエの王』を生み出す最終的な目的なんだって。
「でも、珍しいね。
人の世界に無関心なアルトが、人のために『ハエの王』を生み出そうと言ってくれるなんて。」
おいらが、そんな感想を漏らすと。
「違うわよ、別に人の町に質の悪い流行り病が蔓延しようが、私の知った事ではないわ。
確かに、私の可愛いマロンにもしもの事があると困るけど。
そんなことになったら、マロンだけ妖精の森で保護すれば良いからね。
『虫』共は、人の町だけでなく妖精の森にも『病原菌』をばら撒くのよ。
汚染されたところに一々『妖精の泉』の水を撒いて歩くのが厄介でね。
その手間を省くために、せっかく私が『ハエの王』を生み出したというのに…。
何処かの愚か者が、討伐しちゃうから。ホント、いい迷惑だわ。」
「「「「『ハエの王』を生み出した?」」」」
アルトの言葉に、その場にいたみんなの疑問の声がハモったよ。
「そうよ、二百年前にこの国の愚王が攻めて来たでしょう。
『生命の欠片』が沢山手に入ったので、森のみんなに分けたんだけどね。
端数が出たんで、丁度良いから『虫』達を統率する『魔王』を創ろうと思ったのよ。
前々から思っていたんだけど、いざやろうと思うと『生命の欠片』が勿体なくてね。
あぶく銭が手に入ったみたいなものだから、助かったわ。」
レベル五十に相当する分の『生命の欠片』を端数と言い切るアルト。
いったい妖精の森の住民ってどんだけレベルが高いの…。
「二百年前に、余の先祖達から奪った『生命の欠片』がそんなことに使われとったとは…。
そのせいで、この国の王侯貴族は途轍もない苦労を強いられたと言うに。」
アルトの話を聞いて、そんな愚痴を漏らす王様。
いやいや、『生命の欠片』が奪われたのは自業自得だから、『妖精の森』に攻め込んだ『勇者』達だもん。
「何言ってんのよ。
私は感謝されこそすれ、恨み言を言われる筋合いはないわよ。
私が、『ハエの王』を生み出した恩恵で、この国の民は疫病を免れて来たのだから。
苦労を強いられたのは、一部の王侯貴族だけでしょう。
そんなの欲をかいた愚か者の自業自得じゃない。」
妖精のアルトにとっては人の身分制度なんて関係ないからね。
沢山の人達が恩恵を受けているんだから、そっちの方が良いと思うのは当たり前のことみたい。
王様、またアルトに睨まれて、小さくなってたよ。
そんな訳で、キャラメルを『ハエの王』を生み出すための餌にする事が決まったんだ。
因みに、本当ならプチっと殺っちゃって『生命の欠片』を回収してから『ハエ』の魔物に与えても良いんだけど。
それじゃあ、アルトの気が済まなかったみたい。
モカさんの指摘通り、キャラメルに『ハエ』の餌になる恐怖を味あわせる意味もあるみたいなんだ。
********
その時、おいらが疑問に思っていたこともアルトが教えてくれたよ。
アルトにレベルを奪われてこの国の王族はレベルが低いってのが理解できなくて聞いてみたんだ。
そしたら。
「まだ幼いマロンにこんな血生臭い話はしたくないのだけどね。
この国に限らず、人間の王国貴族は『親殺し』なのよ。
人間に限らず生き物は、寿命や病気で自然死すると『生命の欠片』を残さないの。
『生命の欠片』を奪うためには相手を殺して奪うしかないのよ。」
『親殺し』と言っても、無理やり親を殺す訳じゃないんだって。
王侯貴族は死期を悟ると後継ぎを寝所に呼んで自分を殺させるんだって。
そうやって、先祖からのレベルを代々引き継いでいく習わしになっているんだってアルトは言ってた。
この国は歴史が長いから、当時の王侯貴族にはレベル五十以上がゴロゴロいたみたいなんだ。
アルトの森を襲撃した時の愚王は、レベル七十という、人としては稀に見る高レベルだったらしいよ。
欲をかかずに地道に生きていれば、そのレベルが次の代に引き継がれたはずなのに。
レベルを奪うために妖精の森に攻め込んだ愚王は、そのレベルをアルトに奪われちゃったんだ。
大変なのは後を継いだ王よね。
本来なら、先代から引き継ぐはずのレベルが無いんだもの。
見逃してもらった末の王子、今の王様のご先祖は、当時レベル二十くらいしかなかったんだって。
因みに、その時の愚王は王子全員と、国内の主だった騎士を引き連れて妖精の森に攻め入ったらしい。
見逃してもらえた末の王子以外、皆殺しにされてことごとくレベルを奪われちゃったから。
その後の国の運営に苦労したみたい。
国を守るべき高レベルの騎士が激減したから、下手を打てば周囲の国の良いカモになっちゃうもんね。
それ以来、この国は周辺国のご機嫌を窺いながら攻め込まれないように下手下手にでて凌いできたらしい。
一方で、本来国で最も高レベルであるべき王族のレベルが低いので、有力貴族のご機嫌を窺う必要が出て来て。
結果として、不良貴族を野放しにする事態を招いているみたいだったよ。
因みに、今、アルトの前で身を縮こまらせている王様。
鼻歌まじりにワイバーンを狩ると言うもっぱらの噂だけど、…。
二百年かけてやっとそのくらいことが出来るまで王家のレベルが上がって、少し調子こいてたみたい。
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