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第四章 魔物暴走(スタンピード)顛末記
第81話 王宮にバカがやって来た
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それから、五日後、番外騎士団が整然と隊列をなして王都へ帰って来たんだ。
モカさんに言わせると、普段はキチンと隊列を組むことなんてしない連中なんだって。
今回、お行儀よく隊列を組んでいるのは、スタンピードを鎮めた凱旋のつもりなんだろうとか言ってた。
多分モカさんの長男であろう先頭の騎士は、馬上、自分の前に若く美しい娘さんを乗せて誇らしげにしてたよ。
それに続く騎士も、何人かは自分の前にキレイな娘さんを乗せてた。
スタンピードに見舞われた不幸な村から、果敢に娘達を救出した英雄を気取っているんだろうね。
まさか『自作自演』の救出劇だと言う事がバレているとは、夢にも思っていなだろうし。
町の人達は、何事が起ったのかと、呆然として騎士団が通り過ぎるのを眺めてたよ。
番外騎士団の連中って、本当に頭が足らないね。
英雄を気取りたかったら、先触れを出して『スタンピードの鎮圧』を王宮に報告しておかないと。
そうすれば、王宮の方で盛大な出迎えの準備をしただろうに…、まっ、ヤラセがバレてなければだけど。
今まで手柄を立てたことが無かったから、そんな事も知らなかったのかも知れないけど。
番外騎士団が駐屯地に入ってしばらくして、一人の騎士が村娘五人を伴なって王宮へやって来たんだ。
その騎士が番外騎士団の団長、モカさんの長男ということだった。
モカさんの長男は、騎士団の総本部を訪れ、スタンピードの鎮圧を誇らしげに報告したらしいよ。
辺境へ演習に赴いた際に偶然魔物のスタンピードに遭遇して、幾つもの町や村で魔物を撃退したって。
番外騎士団が到着した時には既に町や村は襲撃されていて、奮闘して撃退したものの救い出せたのは五人だけだって報告したそうなの。
報告を受けた騎士団の本部の人は、王様への連絡が付き次第モカさんの長男を謁見の間に通したんだ。
…事前の打ち合わせ通りに。
モカさんの長男もいきなり王様に謁見できるとは思ったいなかったようだけど…。
即座に謁見できると聞き、自分の働きがそれだけ評価されたものと思ったみたい。
嬉々として、謁見の間に入って来たよ。
王宮にある謁見の間、何故かおいらとタロウも紛れ込んいる。
おいらは、アルトから指示されていることがあるけど、タロウは全くのおまけだよ。
おいらも人のこと言えないけど、タロウって場違いも良いところだった。
一応、モカさんからそれらしい服を借りているけど、姿勢が悪いから完全に浮いてるの。
********
「騎士、キャラメル・シュアラ・ド・クレーム。
王の御前に参られよ。」
王様の斜め前に立つ偉そうな人が、モカさんの長男、キャラメルに呼びかけると。
キャラメルは、誇らしげな顔をして王様の前まで進んで跪いたんだ。
「そなたが、騎士キャラメルであるか。
先ほど、そなたがスタンピードを鎮圧したとの報告を受けたのであるが、それは真であるか。」
目の前に跪くキャラメルに王様は確認するように言葉を掛けたの。
「はは、いかにも。
私の騎士団が辺境にて演習中に、魔物の集団に襲われている町に遭遇いたしまして。
その町を襲撃していた魔物を全て退治、その後周囲の町や村を巡って魔物の討伐を行いました。
近隣の町や村は全て巡回いたしましたが、魔物の姿は見えずスタンピードは鎮圧したものと判断します。
ただ、残念なことに、我々が駆けつけた時には既にどの村も襲撃を受けており…。
助け出せたものは、あちらに並ぶ五名だけしかおりませんでした。」
最初、誇らしげに自分達の活躍を披露したキャラメル、最期の方では民を救えなかったことに沈痛な面持ちを浮かべたの。
中々の役者だね、ヤラセと言うことを知らなければ、騙される人もいそうだよ。
でもね…。
「そうであるか、ところで一つ尋ねるが。
その救出したとする者達、何故に皆妙齢な女子ばかりなのであるか?
子供や年寄り、何より男が一人もおらんのはいささか不自然だと思うのであるが?」
うん、ヤラセと知らなくても、よくよく考えたらそこって不自然極まるよね。
「うっ…。」
答えに詰まるキャラメル、そのくらい用意しておこうよ。普通、突っ込まれるって…。
「もう良い、そなたの三文芝居にそうそう付き合ってもおられん。
そなた、スタンピードを引き起こすために『ハエの王』を討伐したであろう。
『魔王』に手を出すことは王の勅により禁じた大罪であるぞ。
そのことは分かっておるのだろうな。
全く大変なことをしでかしてくれたものだ。
そなたのせいで、我が国は滅ぶところであったのだぞ。」
確かに、これ以上キャラメルの芝居には付き合ってはいられないよね。
王様のすぐそばでアルトが目を光らしているんだから…。
「畏れながら申し上げます。
陛下は何を証拠にそんなことを申させるのですか?」
キャラメルがしらを切ろうとすると…。
「団長、申し訳ないでやんす。
すっかり、洗い浚い白状しちまったでやんす。
俺達、本当にヤバいモンに手を出しちまったでやんすよ。
カイエンのアニキなんて、壊れちまってもう廃人でやんす。
もう、シラをきるのは無理でやんす。」
すぐさま下っ端騎士が、謁見の間に引っ立てられて来て言ったんだ。
「ちくしょう、カイエンのバカが下手を打ったんか。
おめえも、何べらべらしゃべってんだ。
『ハエの王』を倒したことなんて、魔物の領域での事だぞ。
誰も見た奴はいねえんだ、黙ってればバレねえだろうが。」
「無理でやんすよ。
『ハエの王』が倒されたことを知ってて、犯人を捜していた方がいるんですから。
とびっきりのヤバ筋の方が。」
キャラメルが文句を言うと、アルトからも脅されている下っ端はもう涙目だったよ。
「もうそのくらいで、良いであろう。
裏は全てとってあるのだ、禁を侵して国を危険に晒した罪は重いぞ。
そなたには、その命をもって償ってもらうこととする。」
キャラメルと下っ端のやり取りを聞いていた王様は、キャラメルにそう告げたんだ。
「何が、国を危険に晒しただ!
『ハエの王』は無事討伐し、スタンピードだって辺境の町を幾つか犠牲にしただけで収めたじゃねえか。
何処が危険に晒しているって言うんだ。
『ハエの王』を倒して俺はレベル五十まで上がったんだぞ。
最強クラスになった俺が国に仕えてやろうって言ってんだぜ。
それを思えば、辺境の町の一つや二つ安いもんだろうが。
それを、命をもって償えだって、バカ言ってんじゃねえぜ。」
キャラメルは居直って、王様に悪態をついたんだ。
「誰がそなた如きで鎮圧できるスタンピードを国の危機だと言った。
そなたはスタンピードを引き起こすことで、怒らしてはいけない方の怒りをかったのだよ。
おかげで、本当にこの国は滅ぶところだったわい。
そなたを命を差し出さんと、この国の危機は収まらんのだ。悪く思うでないぞ。」
王様は、横目でチラリとアルトを見ながら言ったんだ。
キャラメルの言葉にアルトが怒りを覚えているのではないかと戦々恐々としているみたい。
モカさんに言わせると、普段はキチンと隊列を組むことなんてしない連中なんだって。
今回、お行儀よく隊列を組んでいるのは、スタンピードを鎮めた凱旋のつもりなんだろうとか言ってた。
多分モカさんの長男であろう先頭の騎士は、馬上、自分の前に若く美しい娘さんを乗せて誇らしげにしてたよ。
それに続く騎士も、何人かは自分の前にキレイな娘さんを乗せてた。
スタンピードに見舞われた不幸な村から、果敢に娘達を救出した英雄を気取っているんだろうね。
まさか『自作自演』の救出劇だと言う事がバレているとは、夢にも思っていなだろうし。
町の人達は、何事が起ったのかと、呆然として騎士団が通り過ぎるのを眺めてたよ。
番外騎士団の連中って、本当に頭が足らないね。
英雄を気取りたかったら、先触れを出して『スタンピードの鎮圧』を王宮に報告しておかないと。
そうすれば、王宮の方で盛大な出迎えの準備をしただろうに…、まっ、ヤラセがバレてなければだけど。
今まで手柄を立てたことが無かったから、そんな事も知らなかったのかも知れないけど。
番外騎士団が駐屯地に入ってしばらくして、一人の騎士が村娘五人を伴なって王宮へやって来たんだ。
その騎士が番外騎士団の団長、モカさんの長男ということだった。
モカさんの長男は、騎士団の総本部を訪れ、スタンピードの鎮圧を誇らしげに報告したらしいよ。
辺境へ演習に赴いた際に偶然魔物のスタンピードに遭遇して、幾つもの町や村で魔物を撃退したって。
番外騎士団が到着した時には既に町や村は襲撃されていて、奮闘して撃退したものの救い出せたのは五人だけだって報告したそうなの。
報告を受けた騎士団の本部の人は、王様への連絡が付き次第モカさんの長男を謁見の間に通したんだ。
…事前の打ち合わせ通りに。
モカさんの長男もいきなり王様に謁見できるとは思ったいなかったようだけど…。
即座に謁見できると聞き、自分の働きがそれだけ評価されたものと思ったみたい。
嬉々として、謁見の間に入って来たよ。
王宮にある謁見の間、何故かおいらとタロウも紛れ込んいる。
おいらは、アルトから指示されていることがあるけど、タロウは全くのおまけだよ。
おいらも人のこと言えないけど、タロウって場違いも良いところだった。
一応、モカさんからそれらしい服を借りているけど、姿勢が悪いから完全に浮いてるの。
********
「騎士、キャラメル・シュアラ・ド・クレーム。
王の御前に参られよ。」
王様の斜め前に立つ偉そうな人が、モカさんの長男、キャラメルに呼びかけると。
キャラメルは、誇らしげな顔をして王様の前まで進んで跪いたんだ。
「そなたが、騎士キャラメルであるか。
先ほど、そなたがスタンピードを鎮圧したとの報告を受けたのであるが、それは真であるか。」
目の前に跪くキャラメルに王様は確認するように言葉を掛けたの。
「はは、いかにも。
私の騎士団が辺境にて演習中に、魔物の集団に襲われている町に遭遇いたしまして。
その町を襲撃していた魔物を全て退治、その後周囲の町や村を巡って魔物の討伐を行いました。
近隣の町や村は全て巡回いたしましたが、魔物の姿は見えずスタンピードは鎮圧したものと判断します。
ただ、残念なことに、我々が駆けつけた時には既にどの村も襲撃を受けており…。
助け出せたものは、あちらに並ぶ五名だけしかおりませんでした。」
最初、誇らしげに自分達の活躍を披露したキャラメル、最期の方では民を救えなかったことに沈痛な面持ちを浮かべたの。
中々の役者だね、ヤラセと言うことを知らなければ、騙される人もいそうだよ。
でもね…。
「そうであるか、ところで一つ尋ねるが。
その救出したとする者達、何故に皆妙齢な女子ばかりなのであるか?
子供や年寄り、何より男が一人もおらんのはいささか不自然だと思うのであるが?」
うん、ヤラセと知らなくても、よくよく考えたらそこって不自然極まるよね。
「うっ…。」
答えに詰まるキャラメル、そのくらい用意しておこうよ。普通、突っ込まれるって…。
「もう良い、そなたの三文芝居にそうそう付き合ってもおられん。
そなた、スタンピードを引き起こすために『ハエの王』を討伐したであろう。
『魔王』に手を出すことは王の勅により禁じた大罪であるぞ。
そのことは分かっておるのだろうな。
全く大変なことをしでかしてくれたものだ。
そなたのせいで、我が国は滅ぶところであったのだぞ。」
確かに、これ以上キャラメルの芝居には付き合ってはいられないよね。
王様のすぐそばでアルトが目を光らしているんだから…。
「畏れながら申し上げます。
陛下は何を証拠にそんなことを申させるのですか?」
キャラメルがしらを切ろうとすると…。
「団長、申し訳ないでやんす。
すっかり、洗い浚い白状しちまったでやんす。
俺達、本当にヤバいモンに手を出しちまったでやんすよ。
カイエンのアニキなんて、壊れちまってもう廃人でやんす。
もう、シラをきるのは無理でやんす。」
すぐさま下っ端騎士が、謁見の間に引っ立てられて来て言ったんだ。
「ちくしょう、カイエンのバカが下手を打ったんか。
おめえも、何べらべらしゃべってんだ。
『ハエの王』を倒したことなんて、魔物の領域での事だぞ。
誰も見た奴はいねえんだ、黙ってればバレねえだろうが。」
「無理でやんすよ。
『ハエの王』が倒されたことを知ってて、犯人を捜していた方がいるんですから。
とびっきりのヤバ筋の方が。」
キャラメルが文句を言うと、アルトからも脅されている下っ端はもう涙目だったよ。
「もうそのくらいで、良いであろう。
裏は全てとってあるのだ、禁を侵して国を危険に晒した罪は重いぞ。
そなたには、その命をもって償ってもらうこととする。」
キャラメルと下っ端のやり取りを聞いていた王様は、キャラメルにそう告げたんだ。
「何が、国を危険に晒しただ!
『ハエの王』は無事討伐し、スタンピードだって辺境の町を幾つか犠牲にしただけで収めたじゃねえか。
何処が危険に晒しているって言うんだ。
『ハエの王』を倒して俺はレベル五十まで上がったんだぞ。
最強クラスになった俺が国に仕えてやろうって言ってんだぜ。
それを思えば、辺境の町の一つや二つ安いもんだろうが。
それを、命をもって償えだって、バカ言ってんじゃねえぜ。」
キャラメルは居直って、王様に悪態をついたんだ。
「誰がそなた如きで鎮圧できるスタンピードを国の危機だと言った。
そなたはスタンピードを引き起こすことで、怒らしてはいけない方の怒りをかったのだよ。
おかげで、本当にこの国は滅ぶところだったわい。
そなたを命を差し出さんと、この国の危機は収まらんのだ。悪く思うでないぞ。」
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