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第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記
第46話 間一髪、間にあったようです
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*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
クッころさんを救うべく飛び出そうとしたおいら。
その出鼻をくじくようにタロウのやつ、
「リ、リアル、クッころさんシチュ、キターーーーーー!」
なんて、叫びやがった。
********
三人の男の視線が一斉にこっちに向いたよ。
「何だぁ、おまえら、気持ち悪い声を上げやがって。」
アニキと呼ばれるおっさんが不機嫌な声を上げると。
「ああ、アニキ、あの男、最近町へやって来た少し頭のいかれた男ですぜ。
何か、心の病気を患ってて、突然変な叫び声を上げるとかで。
町の若い娘に気味悪がられているって噂ですぜ。」
下っ端の一人がタロウを指差して言ったんだ。
タロウ…、なんて不憫な…。
こんなゴロツキにまで噂が広がってるなんて。
おいらは、タロウを庇うように一歩前へ出て言ってやった。
「おっちゃん達、何やってんの。
貴族のお嬢様に乱暴を働いて無事で済むと思ってるの。」
「ああ、ガキが何を知ったようなことを言ってんだ。
無事で済むから、こうして頂いちまおうと思ってんだ。
この町じゃ、俺達ギルドの人間に歯向かうバカはいねえよ。
この貴族の姫さんのことだって、処分しちまえばみんなダンマリだ。
俺達ギルドのモンがこの姫さんをやっちまったと、誰がチクるかって。
姫さんは、この町には来なかったでお終いさ。」
このおっちゃん、クッころさんのことを闇に葬ってしまう気満々だね。
ギルドってヤバい連中だとは思ってたけど、貴族のお嬢様にまで手を出すなんて。
貴族の人に不埒なマネをしたら、王都辺りじゃ縛り首だと聞いたけど。
ギルドの奴ら、そんなのお構いなしみたい。ホント、やりたい放題だよ。
「アニキ、そんなガキ、ほっといて、さっさとやっちまいましょうぜ。
俺っち、本当にもう我慢できないっすよ。
そんなガキ、二人じゃ、何にも出来きないでしょうが。」
「まあ、少し待ちやがれ。
こんなガキでも、ギャアギャア騒がれたら集中できねえじゃねえか。
せっかく、貴族の姫さんの初物が味わえるんだ、堪能できなきゃ勿体ねえだろが。
先に俺がこの二人を絞めちまうよ。
なあに、年端のいかないチビが一人と頭のいかれた軟弱なガキが一人だ。
俺様の手に掛かれば、こんなガキ共なんて一捻りだぜ。
ささっと、片付けちまうから、ちょっと待ってろ。
それより、姫さんをちゃんと押さえつけとくんだぞ。
逃がしたりしたら承知しないからな。」
おいら達なんか放っておけと言う下っ端の言葉を無視して立ち上がったおっさん。
自分の脇に横たえてあった剣を抜いて、おいら達の方へ向かって来たよ。
子供相手に剥き身の剣を持ち出すなんて、殺す気満々だね。
おいらは、シューティング・ビーンズを詰めた布袋と錆びた包丁を足元に置いて。
手ぶらで、アニキと呼ばれるおっちゃんに対峙したんだ。
「なんだ、得物はなしか?
まあ、ガキが何を持っていても屁とも思わんがな。
観念したなら苦しまないように、一思いに殺ってやらぁ。
俺達のお楽しみを邪魔したんだ、悪く思うなよ。」
そんな言葉が終るか終わらないかのうちに、おいらに向かって剣を振り下ろしたおっちゃん。
遅い、遅いよ、そんなんじゃ『回避』が発動する必要も無いよ。
スッポンの突進に比べれば、おっさんの振り下ろす剣は止まって見えるくらい遅かったよ。
これで、アニキとか呼ばれて威張ってるなんて、冒険者ギルドの連中も大したことないね。
所詮はチンピラという事かな。
おいらは、そんなことを考えながら剣戟を躱して、おっちゃんの懐に入り込むと…。
その股間にぶら下がる小汚いモノを正確に蹴り上げたよ。だって、ズボン、脱いだままなんだもん…。
おいらの爪先がヒットする瞬間、当たり前のように『クリティカル』が発動して…。
「うごっ!」
おっちゃんは声にならない悲鳴を上げて、その場に倒れ込んだよ。
見ると、白目をむいて、ピクピクと痙攣して、口からは泡を吹いている。
これ、死んでないよね。
幾ら相手が悪人だとは言え、この歳で人殺しになるのはゴメンだかね。
だから、錆びた包丁は置いて来たんだ、ワイバーンですら一撃で殺っちゃう得物だからね。
********
目の前でアニキと呼ぶおっさんを倒され目を剥いた下っ端二人。
「てめえ!このクソガキ!
アニキになんてことしやがる!」
そんな風な怒声を上げると、やっぱり剣を振りかざしてきたんだ。
二人同時に迫って来るし、股間を同時に蹴り上げるのは無理だよね。
どうしたものかと迷っていると、二人はおいらの前方、左右から剣を振り下ろしたの。
やっぱり、止まって見えるほどの遅い剣速で。
おいらが、二人の剣を余裕で交わして懐に入り込むと、…。
剣を空ぶった二人が前のめりに体制を崩して、丁度いい高さに頭を下げたんだ。
おいら、その瞬間を見逃さずに、左右両手で二人のおでこにデコピンをくらわしたの。
当然、おでこにヒットする瞬間『クリティカル』が発動して…。
弾け飛ぶような勢いで、後ろに仰け反って倒れ込んだよ。
やっぱり、白目をむいて、ピクピクしてて起き上がってこないみたいだ。
おいらが、倒れている三人が起き上がってこないか警戒していると…。
「おい、マロン、大丈夫か? 何処もケガしてないか?」
タロウが慌てた様子で声を掛けてきた。
「うん、おいらは全然大丈夫。
それより、タロウ、紐かなんか持ってない?
こいつらを縛り上げたいんだけど。」
どうやら、タロウは紐を持ってきているようで、布袋を置いた場所まで戻ると袋の中を漁り始めた。
おいらは、タロウが袋の中を漁っている間に、三人の剣を『積載庫』にしまったよ。
こんな、連中に剣を持たしておいたら危ないからね。取り上げちゃわないと。
紐を持ってきてくれたタロウと一緒に三人を縛り上げている最中のこと。
「なあ、マロン、おまえ、よくあんな早い剣戟を躱せるもんだな。
俺ビックリしたぜ、マロンが斬られると思ったら躱してるんだもな。
それと、懐に入り込んだだろう、俺、一瞬マロンが消えたかと思ったぜ。
こっちの世界の連中は、みんな、マロンみたいに素早く動けるのか?」
そんな風にタロウが問い掛けてきたんだ。
それで初めて気付いたよ、三人の剣が遅かったんじゃなくて、おいらが素早くなったんだって。
おいらは、レベル四十で素早さも初期能力の八十一倍になっている。
そのおかげで、相手の動きがゆっくり見えるし、自分は目にもとまらぬ速さで動けるんだ。
確かに、これはレベル持ちにしか見えない光景かも知れない…。
********
三人を縛り上げたおいら達は、クッころさんを助けに行ったんだけど…。
クッころさん、よっぽど怖かったらしくて。
二人から解放された後も、その場で目を瞑って横たわったままだった。
「クッころさん、あの三人は退治したからもう大丈夫だよ。
何か、酷いことされたようだけど、何処かケガとかしていない?」
どうやら、気を失っているみたいで、おいらが声を掛けても返事がない。
その時。
「ぶっ!」
後から追いかけてきたタロウが、おいらの横に並んで噴き出したんだ。
何事かと思って、タロウの顔を窺うと…、凄い量の鼻血を吹き出してた。
「ちょっと、タロウどうしたの? 大丈夫?」
おいらが声をかけると、、タロウはクッころさんを指差して狼狽気味に言ったよ。
「だって、マロン、あれ。 俺、初めて見たんだ…。」
タロウの指さす方を振り返ると…。
さっき、おいら達が潜んでいた場所からだと、アニキと呼ばれるおっさんの陰になって見えなかったけど。
どういう訳か、押し倒されたクッころさんの革鎧とズボンが剥ぎ取られてた。
ぶっちゃけ、今、クッころさんはスッポンポンだった…。
タロウの奴、クッころさんを見て興奮してやんの。
おいら、慌ててクッころさんにズボンをはかせたよ。
やがて、目を覚ましたクッころさん。
「クッころさん、あの三人は退治したからもう大丈夫だよ。
何か、酷いことされたようだけど、何処かケガとかしていない?」
おいらが尋ねると…。
ズボンの中をゴソゴソとやって、何かを確認していたクッころさん。
「マロン、あなたに心から感謝いたしますわ。
わたくしの純潔を守ってくださって有り難う。
あんな連中に汚されようものなら、お父様、お母様に顔向けが出来ませんでしたわ。」
そう言っておいらに抱き付いて来たんだ。
どうやら、クッころさんは何処もケガなどしていないみたい。
間一髪、間に合ったのかな。
さて、後はあそこに転がしてある三人をどうするかだね。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
クッころさんを救うべく飛び出そうとしたおいら。
その出鼻をくじくようにタロウのやつ、
「リ、リアル、クッころさんシチュ、キターーーーーー!」
なんて、叫びやがった。
********
三人の男の視線が一斉にこっちに向いたよ。
「何だぁ、おまえら、気持ち悪い声を上げやがって。」
アニキと呼ばれるおっさんが不機嫌な声を上げると。
「ああ、アニキ、あの男、最近町へやって来た少し頭のいかれた男ですぜ。
何か、心の病気を患ってて、突然変な叫び声を上げるとかで。
町の若い娘に気味悪がられているって噂ですぜ。」
下っ端の一人がタロウを指差して言ったんだ。
タロウ…、なんて不憫な…。
こんなゴロツキにまで噂が広がってるなんて。
おいらは、タロウを庇うように一歩前へ出て言ってやった。
「おっちゃん達、何やってんの。
貴族のお嬢様に乱暴を働いて無事で済むと思ってるの。」
「ああ、ガキが何を知ったようなことを言ってんだ。
無事で済むから、こうして頂いちまおうと思ってんだ。
この町じゃ、俺達ギルドの人間に歯向かうバカはいねえよ。
この貴族の姫さんのことだって、処分しちまえばみんなダンマリだ。
俺達ギルドのモンがこの姫さんをやっちまったと、誰がチクるかって。
姫さんは、この町には来なかったでお終いさ。」
このおっちゃん、クッころさんのことを闇に葬ってしまう気満々だね。
ギルドってヤバい連中だとは思ってたけど、貴族のお嬢様にまで手を出すなんて。
貴族の人に不埒なマネをしたら、王都辺りじゃ縛り首だと聞いたけど。
ギルドの奴ら、そんなのお構いなしみたい。ホント、やりたい放題だよ。
「アニキ、そんなガキ、ほっといて、さっさとやっちまいましょうぜ。
俺っち、本当にもう我慢できないっすよ。
そんなガキ、二人じゃ、何にも出来きないでしょうが。」
「まあ、少し待ちやがれ。
こんなガキでも、ギャアギャア騒がれたら集中できねえじゃねえか。
せっかく、貴族の姫さんの初物が味わえるんだ、堪能できなきゃ勿体ねえだろが。
先に俺がこの二人を絞めちまうよ。
なあに、年端のいかないチビが一人と頭のいかれた軟弱なガキが一人だ。
俺様の手に掛かれば、こんなガキ共なんて一捻りだぜ。
ささっと、片付けちまうから、ちょっと待ってろ。
それより、姫さんをちゃんと押さえつけとくんだぞ。
逃がしたりしたら承知しないからな。」
おいら達なんか放っておけと言う下っ端の言葉を無視して立ち上がったおっさん。
自分の脇に横たえてあった剣を抜いて、おいら達の方へ向かって来たよ。
子供相手に剥き身の剣を持ち出すなんて、殺す気満々だね。
おいらは、シューティング・ビーンズを詰めた布袋と錆びた包丁を足元に置いて。
手ぶらで、アニキと呼ばれるおっちゃんに対峙したんだ。
「なんだ、得物はなしか?
まあ、ガキが何を持っていても屁とも思わんがな。
観念したなら苦しまないように、一思いに殺ってやらぁ。
俺達のお楽しみを邪魔したんだ、悪く思うなよ。」
そんな言葉が終るか終わらないかのうちに、おいらに向かって剣を振り下ろしたおっちゃん。
遅い、遅いよ、そんなんじゃ『回避』が発動する必要も無いよ。
スッポンの突進に比べれば、おっさんの振り下ろす剣は止まって見えるくらい遅かったよ。
これで、アニキとか呼ばれて威張ってるなんて、冒険者ギルドの連中も大したことないね。
所詮はチンピラという事かな。
おいらは、そんなことを考えながら剣戟を躱して、おっちゃんの懐に入り込むと…。
その股間にぶら下がる小汚いモノを正確に蹴り上げたよ。だって、ズボン、脱いだままなんだもん…。
おいらの爪先がヒットする瞬間、当たり前のように『クリティカル』が発動して…。
「うごっ!」
おっちゃんは声にならない悲鳴を上げて、その場に倒れ込んだよ。
見ると、白目をむいて、ピクピクと痙攣して、口からは泡を吹いている。
これ、死んでないよね。
幾ら相手が悪人だとは言え、この歳で人殺しになるのはゴメンだかね。
だから、錆びた包丁は置いて来たんだ、ワイバーンですら一撃で殺っちゃう得物だからね。
********
目の前でアニキと呼ぶおっさんを倒され目を剥いた下っ端二人。
「てめえ!このクソガキ!
アニキになんてことしやがる!」
そんな風な怒声を上げると、やっぱり剣を振りかざしてきたんだ。
二人同時に迫って来るし、股間を同時に蹴り上げるのは無理だよね。
どうしたものかと迷っていると、二人はおいらの前方、左右から剣を振り下ろしたの。
やっぱり、止まって見えるほどの遅い剣速で。
おいらが、二人の剣を余裕で交わして懐に入り込むと、…。
剣を空ぶった二人が前のめりに体制を崩して、丁度いい高さに頭を下げたんだ。
おいら、その瞬間を見逃さずに、左右両手で二人のおでこにデコピンをくらわしたの。
当然、おでこにヒットする瞬間『クリティカル』が発動して…。
弾け飛ぶような勢いで、後ろに仰け反って倒れ込んだよ。
やっぱり、白目をむいて、ピクピクしてて起き上がってこないみたいだ。
おいらが、倒れている三人が起き上がってこないか警戒していると…。
「おい、マロン、大丈夫か? 何処もケガしてないか?」
タロウが慌てた様子で声を掛けてきた。
「うん、おいらは全然大丈夫。
それより、タロウ、紐かなんか持ってない?
こいつらを縛り上げたいんだけど。」
どうやら、タロウは紐を持ってきているようで、布袋を置いた場所まで戻ると袋の中を漁り始めた。
おいらは、タロウが袋の中を漁っている間に、三人の剣を『積載庫』にしまったよ。
こんな、連中に剣を持たしておいたら危ないからね。取り上げちゃわないと。
紐を持ってきてくれたタロウと一緒に三人を縛り上げている最中のこと。
「なあ、マロン、おまえ、よくあんな早い剣戟を躱せるもんだな。
俺ビックリしたぜ、マロンが斬られると思ったら躱してるんだもな。
それと、懐に入り込んだだろう、俺、一瞬マロンが消えたかと思ったぜ。
こっちの世界の連中は、みんな、マロンみたいに素早く動けるのか?」
そんな風にタロウが問い掛けてきたんだ。
それで初めて気付いたよ、三人の剣が遅かったんじゃなくて、おいらが素早くなったんだって。
おいらは、レベル四十で素早さも初期能力の八十一倍になっている。
そのおかげで、相手の動きがゆっくり見えるし、自分は目にもとまらぬ速さで動けるんだ。
確かに、これはレベル持ちにしか見えない光景かも知れない…。
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三人を縛り上げたおいら達は、クッころさんを助けに行ったんだけど…。
クッころさん、よっぽど怖かったらしくて。
二人から解放された後も、その場で目を瞑って横たわったままだった。
「クッころさん、あの三人は退治したからもう大丈夫だよ。
何か、酷いことされたようだけど、何処かケガとかしていない?」
どうやら、気を失っているみたいで、おいらが声を掛けても返事がない。
その時。
「ぶっ!」
後から追いかけてきたタロウが、おいらの横に並んで噴き出したんだ。
何事かと思って、タロウの顔を窺うと…、凄い量の鼻血を吹き出してた。
「ちょっと、タロウどうしたの? 大丈夫?」
おいらが声をかけると、、タロウはクッころさんを指差して狼狽気味に言ったよ。
「だって、マロン、あれ。 俺、初めて見たんだ…。」
タロウの指さす方を振り返ると…。
さっき、おいら達が潜んでいた場所からだと、アニキと呼ばれるおっさんの陰になって見えなかったけど。
どういう訳か、押し倒されたクッころさんの革鎧とズボンが剥ぎ取られてた。
ぶっちゃけ、今、クッころさんはスッポンポンだった…。
タロウの奴、クッころさんを見て興奮してやんの。
おいら、慌ててクッころさんにズボンをはかせたよ。
やがて、目を覚ましたクッころさん。
「クッころさん、あの三人は退治したからもう大丈夫だよ。
何か、酷いことされたようだけど、何処かケガとかしていない?」
おいらが尋ねると…。
ズボンの中をゴソゴソとやって、何かを確認していたクッころさん。
「マロン、あなたに心から感謝いたしますわ。
わたくしの純潔を守ってくださって有り難う。
あんな連中に汚されようものなら、お父様、お母様に顔向けが出来ませんでしたわ。」
そう言っておいらに抱き付いて来たんだ。
どうやら、クッころさんは何処もケガなどしていないみたい。
間一髪、間に合ったのかな。
さて、後はあそこに転がしてある三人をどうするかだね。
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