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第三章 女騎士(クッころさん)奮闘記
第32話 もうお酒は飲ませません…
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*本日、お昼に1話投稿しています。
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
よろしくお願いいたします。
********
タロウの口車に乗って、自分のことをクッころさんと呼べと言うエクレア様。
気が乗らないけど、ご指示なのでクッころさんと呼ばせてもらうよ。
おいら達は、湯船の側にしゃがんで体を洗うことにしたんだ。
まずは、クッころさんのキレイな金髪からだね。
桶にお湯を汲み、泡泡の実を適当に放り込んで良く泡立てたらタップリと髪につけていく。
髪全体に泡泡の実をすり潰したお湯が馴染んだら解すように洗って行くんだけど…。
長すぎるよ、クッころさんの髪の毛、泡泡の実をすり潰したお湯が幾らあっても足りないの。
しかも、あんまり長いんで洗うこと自体も大変、これ自分一人じゃ絶対に洗えないね。
この長さじゃ、召使いに洗ってもらうと言うのも仕方ないと思ったよ。
何とか、髪の毛を洗い終えたおいらは、クッころさんの体を洗うことにしたんだけど…。
「おい、マロン、くすぐったいって。」
「あっ、ゴメン!」
クッころさんが最初に言っていた通り、確かに浴衣を着てたら洗い難かったんだ。
腋の所から手を入れて背中を洗おうとすると、脇の下がこすれてくすぐったいとか。
首から手を入れて背中を洗おうとすると、おいらの身長じゃ背中の中ほどにも手が届かないとか。
「ええい、鬱陶しいですわ。
マロン、やっぱり、こんな浴衣は邪魔です。」
洗っている途中で焦れたクッころさん。
おいらの制止も聞かずに、浴衣を脱ごうとジタバタし始めたんだ。
自分で着替えすらできないクッころさん、濡れて体に張り付く浴衣に悪戦苦闘してたけど。
「えいっ!」
掛け声と共に、遂に浴衣を脱ぎ捨てたクッころさん。
それと共に、そのたわわに実った二つの桃が露わになって…。
おいらと真正面で話をしていたタロウの目の前に惜しげもなく晒しちゃった。
こいつまた何か奇声を上げるかと身構えたんだけど…。
妙な叫び声は聞こえてこなかった。
珍しい事もあるもんだとタロウを見ると、なんと驚くことに。
タロウの前のお風呂のお湯が赤く染まってた…。
ビックリして視線をタロウに移すと、その鼻から今も血が滴り落ちてんの。
「タロウ、鼻血、鼻血、お風呂のお湯が汚れちゃうよ。
早く、お風呂から上がって!」
クッころさんのたわわな桃を凝視して固まっていたタロウだったけど。
おいらが声をかけると慌ててお風呂から上がったよ。
「ねえ、マロン。
あの少年はなんで、あんなに血を流しているのかしら。」
のんきにそんなことを尋ねてくるクッころさん。
あなたのそのたわわなモノの刺激が強すぎたんですとは言えなかったよ。
「お風呂にゆっくり浸かりすぎてのぼせたんですよ、きっと。」
そう答えといたよ。
でも、タロウってスケベそうな割には結構純情なんだね。
あのくらいで、鼻血を吹き出すなんて。
クッころさんが浴衣を脱いじゃったから、そのまま体中を洗ったよ。
幸い、浴室には男の人の姿が無かったので、今のうちにと隈なくね。
全部洗い終わってから、また浴衣を着けさせたタイミングで男の人が入って来たんだ。
ぎりぎりセーフって感じだったの。
「良い湯加減ですね。
あの少年が、のぼせるまでお湯に浸かっている気持ちがわかるわね。」
お湯に浸かったクッころさんは吞気にそんなことを言ってた。
おいら、どっと疲れたよ。
********
その後、ゆっくりお湯に浸かったおいら達は、晩ごはんを買うため市場に寄って帰ることにしたんだ。
今日からしばらく二人暮らしなので、お得なパンの実を丸ごと買って。
お肉やら、野菜やらの料理を適当に買って帰るの。
うん? 今回は野菜も買うのかって?
さすがにクッころさんに『ゴミスキルの実』を食べさせる訳にはいかないからね。
お肉だけではなく野菜も買わなくちゃ、胃もたれしちゃうよ。
でも、どうしよう『ゴミスキルの実』、なんとかクッころさんに見られないように食べないと。
クッころさんと二人で適当に晩ごはんの惣菜を買って歩いてると。
「ねえ、マロン、わたくし、少々お酒を嗜みたいのですが。
買って頂けませんこと。」
クッころさんが控えめに要求してきたんだ。
今使っているお金はさっきクッころさんから渡されたお金だから、遠慮することないのに。
それを伝えると、満面の笑みを浮かべたクッころさん、嬉々として酒屋へ入って行った。
酒屋から出てきたクッころさんは、シードルの入った瓶を二つ抱えて大喜びだったんだ。
そんなクッころさんの嬉しそうな顔を見て、おいらもほっこりしてた。
この時は、なんでさっき、クッころさんがあんなに遠慮がちな様子だったのかを知る由もなかったんだ。
そして今、おいらはクッころさんにお酒を買うことを許したのを心の底から後悔してた。
「だ~から、うちの父さまったら、お~ぼ~なのよね!
女が騎士になるなんて、まかりなら~んなんて言うのよ。
おかげで、礼儀作法やら刺繍やらばっかり、毎日、毎日、ちまちま、ちまちまやらされて~。
も~、うんざり!」
見事な絡み酒でした…。クッころさん、酒癖悪すぎだよ!
どうやら、あまりに酒癖が悪いので、周囲の人に酒を飲むのを止められていたみたい。
今日は、誰も止める人がいないんで飲もうと思ったんだね。
それで、今の言葉、聞き逃せないこと言ってたよね。
『女が騎士になる事は許さない』って、クッころさんの父親が言っていたって。
なんだ、クッころさん、なんちゃって騎士じゃない。
道理でひ弱な体をしてると思った。
だいたい、甲冑着けると動けなくなるって、甲冑の意味ないもんね。
「父さまったら、おに~さまや弟にばかりレベルを分け与えてしまって。
全然わたくしには分けてくれませんのよ~。
だから~、わたくしだけ~、何時まで経ってもレベルゼロなのですよ~。
酷いと思いませんか~!」
レベルを分け与える?
どう言うこと? レベルって強い魔物を倒して上げるんじゃなかったの?
もしかして、ワイバーンを倒してもレベルが上がらなかったのって…。
そもそも、レベルに対する認識が違ってたのかな。
クッころさんの愚痴を聞いてたら思わね情報が手に入ったよ。
「ねえ、ちゃんときいているの!マロン!
だからね、わたくし、もう、ほんと~に、腹を立ててたのよ~。
そんな時ね~、この町にわいば~んがでたって聞いたのよ~!
これは、ちゃんすって思ったのよ~。
ワイバーンを一人で狩ってレベルを~、独り占めしよ~って!
そんでね~、宝物庫から~、甲冑と~、お金を~しっけ~してきたのよ~。」
この人無茶苦茶だよ。レベルゼロで何の策もなくワイバーンに挑むつもりだもん。
チャンスでも、何でもないって。
この人の方が、タロウよりよっぽど『勇者』だよ。
でも、ワイバーン倒すとちゃんとレベル上がるんだ…。
おいら、いったい何を見落としてるんだろう?
まだ読み出ない方は、お手数をおかけしますが一話戻ってお読みください。
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タロウの口車に乗って、自分のことをクッころさんと呼べと言うエクレア様。
気が乗らないけど、ご指示なのでクッころさんと呼ばせてもらうよ。
おいら達は、湯船の側にしゃがんで体を洗うことにしたんだ。
まずは、クッころさんのキレイな金髪からだね。
桶にお湯を汲み、泡泡の実を適当に放り込んで良く泡立てたらタップリと髪につけていく。
髪全体に泡泡の実をすり潰したお湯が馴染んだら解すように洗って行くんだけど…。
長すぎるよ、クッころさんの髪の毛、泡泡の実をすり潰したお湯が幾らあっても足りないの。
しかも、あんまり長いんで洗うこと自体も大変、これ自分一人じゃ絶対に洗えないね。
この長さじゃ、召使いに洗ってもらうと言うのも仕方ないと思ったよ。
何とか、髪の毛を洗い終えたおいらは、クッころさんの体を洗うことにしたんだけど…。
「おい、マロン、くすぐったいって。」
「あっ、ゴメン!」
クッころさんが最初に言っていた通り、確かに浴衣を着てたら洗い難かったんだ。
腋の所から手を入れて背中を洗おうとすると、脇の下がこすれてくすぐったいとか。
首から手を入れて背中を洗おうとすると、おいらの身長じゃ背中の中ほどにも手が届かないとか。
「ええい、鬱陶しいですわ。
マロン、やっぱり、こんな浴衣は邪魔です。」
洗っている途中で焦れたクッころさん。
おいらの制止も聞かずに、浴衣を脱ごうとジタバタし始めたんだ。
自分で着替えすらできないクッころさん、濡れて体に張り付く浴衣に悪戦苦闘してたけど。
「えいっ!」
掛け声と共に、遂に浴衣を脱ぎ捨てたクッころさん。
それと共に、そのたわわに実った二つの桃が露わになって…。
おいらと真正面で話をしていたタロウの目の前に惜しげもなく晒しちゃった。
こいつまた何か奇声を上げるかと身構えたんだけど…。
妙な叫び声は聞こえてこなかった。
珍しい事もあるもんだとタロウを見ると、なんと驚くことに。
タロウの前のお風呂のお湯が赤く染まってた…。
ビックリして視線をタロウに移すと、その鼻から今も血が滴り落ちてんの。
「タロウ、鼻血、鼻血、お風呂のお湯が汚れちゃうよ。
早く、お風呂から上がって!」
クッころさんのたわわな桃を凝視して固まっていたタロウだったけど。
おいらが声をかけると慌ててお風呂から上がったよ。
「ねえ、マロン。
あの少年はなんで、あんなに血を流しているのかしら。」
のんきにそんなことを尋ねてくるクッころさん。
あなたのそのたわわなモノの刺激が強すぎたんですとは言えなかったよ。
「お風呂にゆっくり浸かりすぎてのぼせたんですよ、きっと。」
そう答えといたよ。
でも、タロウってスケベそうな割には結構純情なんだね。
あのくらいで、鼻血を吹き出すなんて。
クッころさんが浴衣を脱いじゃったから、そのまま体中を洗ったよ。
幸い、浴室には男の人の姿が無かったので、今のうちにと隈なくね。
全部洗い終わってから、また浴衣を着けさせたタイミングで男の人が入って来たんだ。
ぎりぎりセーフって感じだったの。
「良い湯加減ですね。
あの少年が、のぼせるまでお湯に浸かっている気持ちがわかるわね。」
お湯に浸かったクッころさんは吞気にそんなことを言ってた。
おいら、どっと疲れたよ。
********
その後、ゆっくりお湯に浸かったおいら達は、晩ごはんを買うため市場に寄って帰ることにしたんだ。
今日からしばらく二人暮らしなので、お得なパンの実を丸ごと買って。
お肉やら、野菜やらの料理を適当に買って帰るの。
うん? 今回は野菜も買うのかって?
さすがにクッころさんに『ゴミスキルの実』を食べさせる訳にはいかないからね。
お肉だけではなく野菜も買わなくちゃ、胃もたれしちゃうよ。
でも、どうしよう『ゴミスキルの実』、なんとかクッころさんに見られないように食べないと。
クッころさんと二人で適当に晩ごはんの惣菜を買って歩いてると。
「ねえ、マロン、わたくし、少々お酒を嗜みたいのですが。
買って頂けませんこと。」
クッころさんが控えめに要求してきたんだ。
今使っているお金はさっきクッころさんから渡されたお金だから、遠慮することないのに。
それを伝えると、満面の笑みを浮かべたクッころさん、嬉々として酒屋へ入って行った。
酒屋から出てきたクッころさんは、シードルの入った瓶を二つ抱えて大喜びだったんだ。
そんなクッころさんの嬉しそうな顔を見て、おいらもほっこりしてた。
この時は、なんでさっき、クッころさんがあんなに遠慮がちな様子だったのかを知る由もなかったんだ。
そして今、おいらはクッころさんにお酒を買うことを許したのを心の底から後悔してた。
「だ~から、うちの父さまったら、お~ぼ~なのよね!
女が騎士になるなんて、まかりなら~んなんて言うのよ。
おかげで、礼儀作法やら刺繍やらばっかり、毎日、毎日、ちまちま、ちまちまやらされて~。
も~、うんざり!」
見事な絡み酒でした…。クッころさん、酒癖悪すぎだよ!
どうやら、あまりに酒癖が悪いので、周囲の人に酒を飲むのを止められていたみたい。
今日は、誰も止める人がいないんで飲もうと思ったんだね。
それで、今の言葉、聞き逃せないこと言ってたよね。
『女が騎士になる事は許さない』って、クッころさんの父親が言っていたって。
なんだ、クッころさん、なんちゃって騎士じゃない。
道理でひ弱な体をしてると思った。
だいたい、甲冑着けると動けなくなるって、甲冑の意味ないもんね。
「父さまったら、おに~さまや弟にばかりレベルを分け与えてしまって。
全然わたくしには分けてくれませんのよ~。
だから~、わたくしだけ~、何時まで経ってもレベルゼロなのですよ~。
酷いと思いませんか~!」
レベルを分け与える?
どう言うこと? レベルって強い魔物を倒して上げるんじゃなかったの?
もしかして、ワイバーンを倒してもレベルが上がらなかったのって…。
そもそも、レベルに対する認識が違ってたのかな。
クッころさんの愚痴を聞いてたら思わね情報が手に入ったよ。
「ねえ、ちゃんときいているの!マロン!
だからね、わたくし、もう、ほんと~に、腹を立ててたのよ~。
そんな時ね~、この町にわいば~んがでたって聞いたのよ~!
これは、ちゃんすって思ったのよ~。
ワイバーンを一人で狩ってレベルを~、独り占めしよ~って!
そんでね~、宝物庫から~、甲冑と~、お金を~しっけ~してきたのよ~。」
この人無茶苦茶だよ。レベルゼロで何の策もなくワイバーンに挑むつもりだもん。
チャンスでも、何でもないって。
この人の方が、タロウよりよっぽど『勇者』だよ。
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