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第10章 動き出す時間
第237話 一見、微笑ましい光景ですが…
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事は急を要するとのことで、ジョージさんとミリアム首相は明日、私の館を訪ねて来てくることになりました。
今日中に段取りを付けて、一週間ほどの休暇をもぎ取って来るそうです。
私が、王都の館でお待ちしていますと告げてその場を辞そうとした時です。
「お父様達二人が帝都に赴くのは少しでも早い方が良いのでしょう。
もし、ロッテさんさえ良ければ、今日これから私をアルムハイムへ連れて行ってくださるかしら。
私の用件にお父様達は必要ございませんので、その方が時間を節約できますわ。」
トリアさんがそんなことを依頼してきました。
「ええ、それは別にかまわないけど。
今日の用件はこれで済んだから、特に予定はないの。
アルムハイムへ送って行くのは支障ないけど、いったい何をするつもりかしら。」
私が、念のため目的を尋ねると…。
「それは、今は、ヒ・ミ・ツ。」
トリアさんは思わせぶりな笑顔を見せて言います。
どうやら、教えてくれる気はないようです。
その場でトリアさんは、一足先にアルムハイムへ行くことについて、ジョージさんの許しを取り付けました。
**********
王宮から私の館に戻る馬車の中。
「ねえ、ロッテさん。
あなた、切り札を持ってらっしゃるでしょう?
セルベチア王の証。」
ギクッ!
トリアさんは、セルベチア王の王冠や王杖などを私がネコババしたことに気付いているようです。
ですが、ここはしらを切ることにします。
かまをかけているのかも知れませんしね。
第一、トリアさんが、何のための『切り札』と言っているか予想が付きませんでした。
何の目的に使うのか分からないまま、正直に言うにはアレは危険すぎるモノです。
「さあ、何の事かしら?」
「あら、そうですか。
まあ、良いですわ。
必要になったら出して頂きますので、先にお願いしておきますわ。
まさか、ネコババして換金しようなどと考えてはいないでしょうね。」
ギクッ、ギクッ!
「嫌ですわ、そんなことする訳ございませんでしょう。」
嘘です、そのまさかです…。
ほとぼりが冷めたらどこかのオークションで換金しようと思っていました。
図星を刺された私はとっさにそう答えましたが、少し声が上ずってしまいました。
私は少し後ろめたい気持ちでステラちゃんの待つ館に着いて、そこからアルムハイムへ跳んだのです。
そして、…。
「シャルちゃん、お姉ちゃん、とっても会いたかったわ!
今日もとっても可愛いわね!」
シャルちゃんを目にするなり開口一番そう叫んだトリアさん。
シャルちゃんの許に駆け寄るとギュッとその胸に抱きしめました。
トリアさんの豊満な胸に顔をうずめる形になり、シャルちゃんはとても苦しそうです。
でも、傍から見ていると本当に仲の良い姉妹に見えます。
この光景を目にした人は、シャルちゃんが男の子だなんて誰も思わないでしょう。
その晩、夕食後の事です。
「今日はみなさん、先にお風呂に入って頂けますか。
私はゆっくりシャルちゃんとお話がしたいので、後で二人で入浴したいのですが。
シャルちゃん、良いわよね?」
ソファーに腰掛けたトリアさんは、膝に乗せたシャルちゃんの頭をなでなでしながら尋ねました。
トリアさんがこの館を訪れた時は、すっかりそこがシャルちゃんの定位置です。
「はい、トリアお姉ちゃん。」
シャルちゃんは、トリアさんの方を振り返りあどけない笑顔で答えます。
ゆっくり話がしたいとトリアさんが言った通り、二人は大分長い時間温泉に浸かっていたようです。
私は眠くなったので、二人が温泉から上がるのを待たずに休ませてもらいました。
**********
翌朝、ハーブ畑での雑草との戦いを終えてリビングで一休みしていると。
シャルちゃんを連れたトリアさんが、部屋に入ってきました。
足にケガでもしたのでしょうか、トリアさんの足取りが少しぎこちない感じがします。
「おはようございます、トリアさん。
長湯した温泉でのぼせて、湯船の岩に足でもぶつけましたか?
少し、足取りがぎこちないようですが…。
痛むようなら、アクアちゃんに治療してもらいましょうか?」
「お気遣いいただき有り難うございます。
ですが、大したことございませんから、お気になさらないで。
それよりも、一つお願いがあるのですが…。」
足の治療を辞退したトリアさんが遠慮がちに言います。
「はい、なんでしょうか?」
「これを頂戴して帰りたいのですが、お願いできますか。」
そう言ってトリアさんが差し出したのは、奇麗に折りたたまれた白い布地です。
よく見ると、かなり大きな布のようです。
「シーツですか?
肌触りがお気に召したのでしたら、お持ちになってかまいませんよ。
たくさんあるモノですし。
よろしければ、新品のものをお持ちしましょうか?」
客室のシーツは、上質のリネンを使っています。
トリアさんの様な身分の高い方をお泊めしても差し支えないようにと配慮しての事です。
ですが、持ち帰られて困るほど高価ものでも、数が足りなくなるものでもありません。
すると、トリアさんから返ってきた言葉は。
「いえ、このシーツが欲しいのです。
かまいませんか?」
と言うものでした。
リネンは新品のモノより、何度か洗ったモノの方が肌触りが柔らかくなると言います。
お気に召したのであれば、何よりです。
「でしたら、そのままお持ちになってください。」
「そう、では、有り難く頂いて行くわ。
とっても嬉しいですわ、一生の宝物です。」
私が承諾すると、トリアさんは折りたたんだシーツを抱きしめて、感謝の言葉をくださいました。
でも、一生の宝物だなんて大袈裟です。
ただのシーツですよ。多少上質なモノではありますが…。
その後も、トリアさんは少し動きがぎこちない様子でした。
そんなトリアさんを心配してか、かいがいしくお世話するシャルちゃんの姿がとても微笑ましかったのです。
無知な私の目にはそう映ったのです。
**********
その日のお昼時、私はジョージさんとミリアム首相を迎えるため、アルビオンの館に戻りました。
そこで待っていると、やって来たのは本当に、国王であるジョージさんとミリアム首相の二人だけでした。
事務方はいらないのでしょうか…。
私がそれを尋ねると。
「ミリアム君は、父親も我が国の首相を務めた人物なのだ。
その関係で、ミリアム君は若い頃から事務仕事に使われてな。
実務能力も実務権限も兼ね備えているから、ミリアム君一人いれば十分さ。
大船に乗ったつもりで安心しなさい。」
ジョージさんが笑いながらそう返してくださいました。
可哀そうに、ミリアム首相、馬車馬のように働かされるのですね。
という事で、転移魔法に期待を膨らませるジョージさんとミリアム首相の二人を連れてアルムハイムへ転移します。
転移部屋からロビーまで歩いてくると、吹き抜けの二階部分にある窓ガラス越しにアルム山脈の峰々が見えます。
「あれが、アルム山脈かい。あんな急峻な山々は初めて見たよ。
確かにここは、もうアルム山脈の麓なのだね。
ロッテお嬢ちゃんの魔法は大したものだね。」
ジョージさんがロビーから見える光景を目にして感心していると、トリアさんがリビングから顔を出しました。
「お父様、ミリアム首相、お疲れ様です。
お父様、帝都へ伺う前に一つお話があります。
ミリアム首相、申し訳ございませんが少しお待ちになって頂けるかしら。」
ジョージさんと打ち合わせがあるようでしたので、ベルタさんにミリアム首相の接遇をお願いしました。
なにやら、私にも同席して欲しいとのことでしたので。
そして、トリアさんがこの館を訪れる度に滞在している部屋に場所を移しました。
今ここにいるのは、四人。
ジョージさん、私、トリアさん、そして背後からトリアさんに抱きかかえられるようにして立つシャルちゃんです。
「お父様、紹介いたします。
妹分のシャルちゃんです。とても可愛いでしょう。」
何事かと思えば、シャルちゃんを紹介したいだけですか。
私と同じことを考えたようで、ジョージさんは相好を崩して答えます。
「そうだね、実にキュートなお嬢さんだ。
初めまして、ビクトリアの父のジョージです。
一応は、アルビオン王国の国王をしているんだ。
国王と言っても飾りみたいなものだから、余り緊張しないで良いよ。
シャルちゃんみたいな可愛い子に身構えられたら、おじさん、寂しいから。
でも、シャルちゃんを紹介するなら、別にリビングでも良かったのでは?」
「ええ、実は私、この子と婚約しようと思うのです。
この子の了承は昨日取り付けました。」
ビックリです、私は言葉を失ってしまいしたが…。
ジョージさんは、驚く以前に混乱している様子です。
「ええっと、ビクトリアさん。
結婚というのは、男女でないと出来ないと知っていますよね。
妹分のシャルちゃんとは結婚は出来ないと思うのですが…。」
なんで娘に向かって敬語、というより話し方が変です、ジョージさん。
「シャルちゃんはこんなに可愛いですけど、立派な男の子なのですよ。」
シャルちゃんが男の子と聞いて、今度こそ驚愕の表情を見せたジョージさん。
「シャルちゃんが男の子というのはにわかに信じられないが。
仮にそうだとしてもだ、ビクトリア、お前は私の跡を継いで次期国王となるのだ。
私の子はお前しかいないのだから、それは自覚しているものだと信じていた。
王族の婚姻が簡単に決められるものでない事は、その歳になれば分かっておるだろうに。」
ジョージさんは、トリアさんを諭すように言いますが…。
「あら、お父様は、私のお腹の中にいるかも知れない子供に、父無し子になれと言うのですか?」
トリアさん、下腹部を撫でながら、特大の爆弾発言をかましてくれました。
と同時に幾つかの点が一本の線に繋がりました。
ぎこちない歩き方、一生の宝物と言われたシーツ、それに朝からかいがいしく動き回るシャルちゃん。
全然、微笑ましくなどないではありませんか…。
今日中に段取りを付けて、一週間ほどの休暇をもぎ取って来るそうです。
私が、王都の館でお待ちしていますと告げてその場を辞そうとした時です。
「お父様達二人が帝都に赴くのは少しでも早い方が良いのでしょう。
もし、ロッテさんさえ良ければ、今日これから私をアルムハイムへ連れて行ってくださるかしら。
私の用件にお父様達は必要ございませんので、その方が時間を節約できますわ。」
トリアさんがそんなことを依頼してきました。
「ええ、それは別にかまわないけど。
今日の用件はこれで済んだから、特に予定はないの。
アルムハイムへ送って行くのは支障ないけど、いったい何をするつもりかしら。」
私が、念のため目的を尋ねると…。
「それは、今は、ヒ・ミ・ツ。」
トリアさんは思わせぶりな笑顔を見せて言います。
どうやら、教えてくれる気はないようです。
その場でトリアさんは、一足先にアルムハイムへ行くことについて、ジョージさんの許しを取り付けました。
**********
王宮から私の館に戻る馬車の中。
「ねえ、ロッテさん。
あなた、切り札を持ってらっしゃるでしょう?
セルベチア王の証。」
ギクッ!
トリアさんは、セルベチア王の王冠や王杖などを私がネコババしたことに気付いているようです。
ですが、ここはしらを切ることにします。
かまをかけているのかも知れませんしね。
第一、トリアさんが、何のための『切り札』と言っているか予想が付きませんでした。
何の目的に使うのか分からないまま、正直に言うにはアレは危険すぎるモノです。
「さあ、何の事かしら?」
「あら、そうですか。
まあ、良いですわ。
必要になったら出して頂きますので、先にお願いしておきますわ。
まさか、ネコババして換金しようなどと考えてはいないでしょうね。」
ギクッ、ギクッ!
「嫌ですわ、そんなことする訳ございませんでしょう。」
嘘です、そのまさかです…。
ほとぼりが冷めたらどこかのオークションで換金しようと思っていました。
図星を刺された私はとっさにそう答えましたが、少し声が上ずってしまいました。
私は少し後ろめたい気持ちでステラちゃんの待つ館に着いて、そこからアルムハイムへ跳んだのです。
そして、…。
「シャルちゃん、お姉ちゃん、とっても会いたかったわ!
今日もとっても可愛いわね!」
シャルちゃんを目にするなり開口一番そう叫んだトリアさん。
シャルちゃんの許に駆け寄るとギュッとその胸に抱きしめました。
トリアさんの豊満な胸に顔をうずめる形になり、シャルちゃんはとても苦しそうです。
でも、傍から見ていると本当に仲の良い姉妹に見えます。
この光景を目にした人は、シャルちゃんが男の子だなんて誰も思わないでしょう。
その晩、夕食後の事です。
「今日はみなさん、先にお風呂に入って頂けますか。
私はゆっくりシャルちゃんとお話がしたいので、後で二人で入浴したいのですが。
シャルちゃん、良いわよね?」
ソファーに腰掛けたトリアさんは、膝に乗せたシャルちゃんの頭をなでなでしながら尋ねました。
トリアさんがこの館を訪れた時は、すっかりそこがシャルちゃんの定位置です。
「はい、トリアお姉ちゃん。」
シャルちゃんは、トリアさんの方を振り返りあどけない笑顔で答えます。
ゆっくり話がしたいとトリアさんが言った通り、二人は大分長い時間温泉に浸かっていたようです。
私は眠くなったので、二人が温泉から上がるのを待たずに休ませてもらいました。
**********
翌朝、ハーブ畑での雑草との戦いを終えてリビングで一休みしていると。
シャルちゃんを連れたトリアさんが、部屋に入ってきました。
足にケガでもしたのでしょうか、トリアさんの足取りが少しぎこちない感じがします。
「おはようございます、トリアさん。
長湯した温泉でのぼせて、湯船の岩に足でもぶつけましたか?
少し、足取りがぎこちないようですが…。
痛むようなら、アクアちゃんに治療してもらいましょうか?」
「お気遣いいただき有り難うございます。
ですが、大したことございませんから、お気になさらないで。
それよりも、一つお願いがあるのですが…。」
足の治療を辞退したトリアさんが遠慮がちに言います。
「はい、なんでしょうか?」
「これを頂戴して帰りたいのですが、お願いできますか。」
そう言ってトリアさんが差し出したのは、奇麗に折りたたまれた白い布地です。
よく見ると、かなり大きな布のようです。
「シーツですか?
肌触りがお気に召したのでしたら、お持ちになってかまいませんよ。
たくさんあるモノですし。
よろしければ、新品のものをお持ちしましょうか?」
客室のシーツは、上質のリネンを使っています。
トリアさんの様な身分の高い方をお泊めしても差し支えないようにと配慮しての事です。
ですが、持ち帰られて困るほど高価ものでも、数が足りなくなるものでもありません。
すると、トリアさんから返ってきた言葉は。
「いえ、このシーツが欲しいのです。
かまいませんか?」
と言うものでした。
リネンは新品のモノより、何度か洗ったモノの方が肌触りが柔らかくなると言います。
お気に召したのであれば、何よりです。
「でしたら、そのままお持ちになってください。」
「そう、では、有り難く頂いて行くわ。
とっても嬉しいですわ、一生の宝物です。」
私が承諾すると、トリアさんは折りたたんだシーツを抱きしめて、感謝の言葉をくださいました。
でも、一生の宝物だなんて大袈裟です。
ただのシーツですよ。多少上質なモノではありますが…。
その後も、トリアさんは少し動きがぎこちない様子でした。
そんなトリアさんを心配してか、かいがいしくお世話するシャルちゃんの姿がとても微笑ましかったのです。
無知な私の目にはそう映ったのです。
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その日のお昼時、私はジョージさんとミリアム首相を迎えるため、アルビオンの館に戻りました。
そこで待っていると、やって来たのは本当に、国王であるジョージさんとミリアム首相の二人だけでした。
事務方はいらないのでしょうか…。
私がそれを尋ねると。
「ミリアム君は、父親も我が国の首相を務めた人物なのだ。
その関係で、ミリアム君は若い頃から事務仕事に使われてな。
実務能力も実務権限も兼ね備えているから、ミリアム君一人いれば十分さ。
大船に乗ったつもりで安心しなさい。」
ジョージさんが笑いながらそう返してくださいました。
可哀そうに、ミリアム首相、馬車馬のように働かされるのですね。
という事で、転移魔法に期待を膨らませるジョージさんとミリアム首相の二人を連れてアルムハイムへ転移します。
転移部屋からロビーまで歩いてくると、吹き抜けの二階部分にある窓ガラス越しにアルム山脈の峰々が見えます。
「あれが、アルム山脈かい。あんな急峻な山々は初めて見たよ。
確かにここは、もうアルム山脈の麓なのだね。
ロッテお嬢ちゃんの魔法は大したものだね。」
ジョージさんがロビーから見える光景を目にして感心していると、トリアさんがリビングから顔を出しました。
「お父様、ミリアム首相、お疲れ様です。
お父様、帝都へ伺う前に一つお話があります。
ミリアム首相、申し訳ございませんが少しお待ちになって頂けるかしら。」
ジョージさんと打ち合わせがあるようでしたので、ベルタさんにミリアム首相の接遇をお願いしました。
なにやら、私にも同席して欲しいとのことでしたので。
そして、トリアさんがこの館を訪れる度に滞在している部屋に場所を移しました。
今ここにいるのは、四人。
ジョージさん、私、トリアさん、そして背後からトリアさんに抱きかかえられるようにして立つシャルちゃんです。
「お父様、紹介いたします。
妹分のシャルちゃんです。とても可愛いでしょう。」
何事かと思えば、シャルちゃんを紹介したいだけですか。
私と同じことを考えたようで、ジョージさんは相好を崩して答えます。
「そうだね、実にキュートなお嬢さんだ。
初めまして、ビクトリアの父のジョージです。
一応は、アルビオン王国の国王をしているんだ。
国王と言っても飾りみたいなものだから、余り緊張しないで良いよ。
シャルちゃんみたいな可愛い子に身構えられたら、おじさん、寂しいから。
でも、シャルちゃんを紹介するなら、別にリビングでも良かったのでは?」
「ええ、実は私、この子と婚約しようと思うのです。
この子の了承は昨日取り付けました。」
ビックリです、私は言葉を失ってしまいしたが…。
ジョージさんは、驚く以前に混乱している様子です。
「ええっと、ビクトリアさん。
結婚というのは、男女でないと出来ないと知っていますよね。
妹分のシャルちゃんとは結婚は出来ないと思うのですが…。」
なんで娘に向かって敬語、というより話し方が変です、ジョージさん。
「シャルちゃんはこんなに可愛いですけど、立派な男の子なのですよ。」
シャルちゃんが男の子と聞いて、今度こそ驚愕の表情を見せたジョージさん。
「シャルちゃんが男の子というのはにわかに信じられないが。
仮にそうだとしてもだ、ビクトリア、お前は私の跡を継いで次期国王となるのだ。
私の子はお前しかいないのだから、それは自覚しているものだと信じていた。
王族の婚姻が簡単に決められるものでない事は、その歳になれば分かっておるだろうに。」
ジョージさんは、トリアさんを諭すように言いますが…。
「あら、お父様は、私のお腹の中にいるかも知れない子供に、父無し子になれと言うのですか?」
トリアさん、下腹部を撫でながら、特大の爆弾発言をかましてくれました。
と同時に幾つかの点が一本の線に繋がりました。
ぎこちない歩き方、一生の宝物と言われたシーツ、それに朝からかいがいしく動き回るシャルちゃん。
全然、微笑ましくなどないではありませんか…。
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