162 / 580
第7章 できることから始めましょう
第160話 精霊さんをあてにしたらダメですよ
しおりを挟む
私の問い掛けに答えもせずに何事か考え込んでいたオークレフトさんですが…。
やや間をおいて俯いていた顔を上げると、私に向かって言いました。
「シャルロッテ様、やはり精霊さんに工房を建ててもらいましょう。
細かい注文を付けることが出来なくなくても良いです。
ここは、時間の節約を優先することにします。
精霊さんにお願いして頂けますか。」
「ええ、それは構わないけど…。
ねえ、ドリーちゃん、お願いしていいかしら?」
「うん?どんなものを造れば良いの?
私にできるものであれば作ってあげるよ。」
ドリーちゃんの返事を聞いてオークレフトさんが問い掛けます。
「四角い箱みたいな形の建物なら出来るんだね。
かなり大きい建物でも出来るのかい?」
「けっこう、大きなものまで出来るけど。
どのくらい?」
「ちょっと待っていてね。」
オークレフトさんはドリーちゃんを待たせて、何やらカバンの中を漁りだしました。
カバンから手を出した時に握られていたのは…。
「紐?」
何やら巻かれた細い紐の様なモノを手にすると、今度は森に入って枯れ枝を拾ってきました。
拾ってきた枯れ枝を紐の先に括り付けたかと思うと、地面の一ヶ所に突き刺します。
それからは、無言でその辺りを行った来たりして、紐を使って器用に地面に弧を描いたりしていました。
私達を置き去りにして、黙々と作業を続けること数十分。
オークレフトさんは、手にした布切れで汗を拭きながら戻ってきて言いました。
「いま、縄張りした上に建物を造ってもらえますか。
この形、大きさの建物であれば外観はどのような物でもいいです。
これだけの空間があれば機械はどうにでもレイアウトできると思いますので。」
そう言ってオークレフトさんが指し示したのは、紐を用いて囲まれて敷地の一画でした。
さっきの円弧は垂線を引くために描いていたのですか、見た目には正確な長方形に見えます。
「この大きさで建てれば良いんだね。
このくらいは簡単だよ!」
紐に囲まれた一画はかなりの大きさに見えますが、ドリーちゃんは自信満々に言葉を返しました。
オークレフトさんは元々機械の効率的なレイアウトを考えて建物を設計していたそうです。
ですが、なかなか、請け負ってくれる大工さんが見つからずに四苦八苦していると言います。
今は六月、大工さんは稼ぎ時ですからね。
雪深いこの地方では、建物の補修や建設が雪解けから一斉に始まります。
特に、毎年冬の間に積雪で傷んだ建物の補修が春に殺到します。
大工さんが手隙になるのはそれが一段落した後ですね。
この時期に大工さんを探すのは難しいと思います。
で、さっきから考え込んでいたのは、機械のレイアウトの方を建物に合わせられないかという事らしいです。
結局、十分な広さの空間があれば、機械のレイアウトはどうとでもなるという事のようです。
オークレフトさんは、土地が高価なアルビオン王国の感覚で建物を計画してきたようです。
ギリギリの面積の建物に効率的に機械を配置しようと。
購入した広い敷地を目にして、ドリーちゃんがタダで建物を建ててくれると聞いて考えが変わったそうです。
広い建物を建てれば良いじゃないかと…。
**********
「それで、シャルロッテ様、少々お願いしたいことがあるのですが。」
ドリーちゃんに工房の建設を頼むことが決まると、オークレフトさんが言いました。
何か、追加でして欲しいことがあるようです。
「どういったことかしら?
私で出来ることであれば、遠慮はいらないわ。
どうせ、工房の建設に関わる事なのでしょう。」
「そう言っていただけると有り難いです。
実は、ドリーさんに建てて頂く建物の基礎なんですが。
非常に重い機械を設置するものですから、丈夫な基礎を作って欲しいのです。
出来れば石積みの基礎にしてもらえれば有り難いのですが。
それと、工房の建物の下に水路を通していただきたいのです。」
これは、またずいぶんと手間ひまのかかる事を願い出たものですね。
石積みの基礎なんて、これから石工さんを頼んだらいったい何時になる事やら。
早々に建物を建てるという当初の目的が叶わなくなるではないですか。
「オークレフトさん、あなた、自分の言っていることが分かってらっしゃる?
あの機械が邪魔だから、早期にここに建物を建てて移してしまいたいの。
石造りの頑丈な基礎なんて、下手をしたら建物を建てるより時間が掛かるモノよ。
いったいどうしろと言うのですか。」
「やっぱり、無理ですか…。
大地の精霊さんに頼めば何とかなるかと思ってお願いしたのですが。」
「それは、ダメよ。何でも、精霊の力に頼ろうとするのはいけないことよ。
精霊は私の対等なパートナーであって、奴隷や召使いではないの。
さっきのドリーちゃんみたいに、精霊の方から自発的に協力を申し出てくれるのならともかく。
次々と新しいことを精霊に頼ろうとするのはダメ。」
最初にちゃんと精霊と私は対等な関係だと説明しておいたのですが…。
次々と人知を超える精霊の力を目にして、精霊に頼ればなんとかなると思ってしまったのでしょう。
すると、目の前にポンと大地の精霊ノミーちゃんが現れました。
「まいど!
さっすが、ロッテちゃん、良いこと言うね。
そうよ、何でも精霊に頼ろうとするのは間違いよ。
ましてや、あんたは私達の契約者じゃないんだから。
ドリーだってあんたのためではなく、アインが困ってたから協力することにしたんだからね。」
どうやら、ノミーちゃんは最初から聞いていたようですね。
いつもの、気風の良い笑い顔とは打って変わって、おかんむりです。
「そうねえ、そんなに頑丈な基礎が必要なら、やっぱり今回は工房はやめておきましょうか。
最初に言ったように、倉庫を建ててもらって、そこに機械を保管しておきましょう。」
「でも、そうなると工房は秋口までに完成しませんよ。
これから石積みが出来る職人を探してもすぐには見つからないでしょうし。
それから基礎工事を始めたのでは、建物を建てるのは来春になりますが。
よろしいのですか?」
ああ、オークレフトさんは知っていたのですね、リーナが傭兵として出て行く男の子のことを気に病んでいることを。
だから、自分の計画していた建物の設計を変更してまで、時間を優先させたのですか。
その方が、わたしやリーナの意に沿うと判断したから。
一応、この方なりに色々と配慮はしているのですね。
「なあに、ロッテちゃん。
なんか、事情があるの?」
ノミーちゃんの問い掛けに、私は現在計画していることを説明しました。
オークレフトさんに任せる工房で働き始める年頃の少年たちを雇い入れ、傭兵以外の選択肢を提供したいと考えていることを。
そして、少しでも早く計画を実現するために、オークレフトさんが配慮していたことも。
「なんだい、あんた、気が利かない様な面しているけど、いいとこあるじゃん。
そう言う事なら、力になるよ!」
私の話を聞いたノミーちゃんは、オークレフトさんの傍まで寄って行き、彼の肩を叩きながらそう言ったのです。
「ノミーちゃん、手伝ってくれるの?」
「それで、ロッテちゃんが喜ぶなら安いもんだって。
合点承知だよ!」
**********
「んじゃ、一気にやっちゃうよ!
丈夫な基礎を造りましょう~♪どんな重い物にもビクともしない頑丈な基礎を~♪
丈夫な基礎を造りましょう~♪地震が来ても揺るぎもしない安定した基礎を~♪」
ノミーちゃんは掛け声をかけると、のんきな鼻歌を交えながら術を行使し始めました。
すると、オークレフトさんが縄張りした長方形の区画が小刻みに振動し始めました。
その振動が収まると、その一画だけが堅い岩の岩盤に変わっていました。
オークレフトさんとノミーちゃん、それにドリーちゃんの三人で話し合ってもらいました。
私?、私が聞いてもチンプンカンプンですから。
その結果、建物が建つ部分を分厚い岩盤にしてしまうことにしたようです。
岩盤と言っても、その表面は磨いたようにまっ平です。
水平もバッチリとノミーちゃんが自信満々でした。
「次は水路を建物の床下に通せば良いんだね。
んじゃ、川上から掘って来て、今作った岩盤を削って、川下まで通すよ!」
水路を引く位置も予めオークレフトさんに紐で囲ってもらいました。
だいたい幅四ヤードほどの水路になるようです。
購入した敷地の一番川上に当たる位置から敷地に引き込んで、建物の床下を通って、敷地の一番川下に排水するそうです。
「川さん~♪川さん~♪お水を分けてくださいな~♪
流れの勢いそのままに~♪冬でも変わらぬ流れをくださいな~♪」
などと口ずさみながら、ノミーちゃんは見る見る間に水路を掘り進みます。
今作った岩盤もものともせずに削って、あっという間に川下に到達しました。
「素晴らしいです!これなら当初の計画以上に効率的なものが出来ます。
ノミーさん、ありがとうございます。」
「良いってことよ!これも全部、ロッテちゃんの喜ぶ顔を見るためだから。
あんたのためじゃないんだからね!誤解しないでよ!」
オークレフトさんの感謝の言葉に、少し照れたような顔のノミーちゃんはそんな風に返したのです。
素直じゃないんだから。
さて、肝心の工房ですが、流石に一日では建たないようです。
「出来たら、呼びに行くから館で待っていて!
三日はかからないと思うよ!」
流石に三日もここで完成を待っている訳には行きません。
お言葉に甘えて館で待つことにしました。
やや間をおいて俯いていた顔を上げると、私に向かって言いました。
「シャルロッテ様、やはり精霊さんに工房を建ててもらいましょう。
細かい注文を付けることが出来なくなくても良いです。
ここは、時間の節約を優先することにします。
精霊さんにお願いして頂けますか。」
「ええ、それは構わないけど…。
ねえ、ドリーちゃん、お願いしていいかしら?」
「うん?どんなものを造れば良いの?
私にできるものであれば作ってあげるよ。」
ドリーちゃんの返事を聞いてオークレフトさんが問い掛けます。
「四角い箱みたいな形の建物なら出来るんだね。
かなり大きい建物でも出来るのかい?」
「けっこう、大きなものまで出来るけど。
どのくらい?」
「ちょっと待っていてね。」
オークレフトさんはドリーちゃんを待たせて、何やらカバンの中を漁りだしました。
カバンから手を出した時に握られていたのは…。
「紐?」
何やら巻かれた細い紐の様なモノを手にすると、今度は森に入って枯れ枝を拾ってきました。
拾ってきた枯れ枝を紐の先に括り付けたかと思うと、地面の一ヶ所に突き刺します。
それからは、無言でその辺りを行った来たりして、紐を使って器用に地面に弧を描いたりしていました。
私達を置き去りにして、黙々と作業を続けること数十分。
オークレフトさんは、手にした布切れで汗を拭きながら戻ってきて言いました。
「いま、縄張りした上に建物を造ってもらえますか。
この形、大きさの建物であれば外観はどのような物でもいいです。
これだけの空間があれば機械はどうにでもレイアウトできると思いますので。」
そう言ってオークレフトさんが指し示したのは、紐を用いて囲まれて敷地の一画でした。
さっきの円弧は垂線を引くために描いていたのですか、見た目には正確な長方形に見えます。
「この大きさで建てれば良いんだね。
このくらいは簡単だよ!」
紐に囲まれた一画はかなりの大きさに見えますが、ドリーちゃんは自信満々に言葉を返しました。
オークレフトさんは元々機械の効率的なレイアウトを考えて建物を設計していたそうです。
ですが、なかなか、請け負ってくれる大工さんが見つからずに四苦八苦していると言います。
今は六月、大工さんは稼ぎ時ですからね。
雪深いこの地方では、建物の補修や建設が雪解けから一斉に始まります。
特に、毎年冬の間に積雪で傷んだ建物の補修が春に殺到します。
大工さんが手隙になるのはそれが一段落した後ですね。
この時期に大工さんを探すのは難しいと思います。
で、さっきから考え込んでいたのは、機械のレイアウトの方を建物に合わせられないかという事らしいです。
結局、十分な広さの空間があれば、機械のレイアウトはどうとでもなるという事のようです。
オークレフトさんは、土地が高価なアルビオン王国の感覚で建物を計画してきたようです。
ギリギリの面積の建物に効率的に機械を配置しようと。
購入した広い敷地を目にして、ドリーちゃんがタダで建物を建ててくれると聞いて考えが変わったそうです。
広い建物を建てれば良いじゃないかと…。
**********
「それで、シャルロッテ様、少々お願いしたいことがあるのですが。」
ドリーちゃんに工房の建設を頼むことが決まると、オークレフトさんが言いました。
何か、追加でして欲しいことがあるようです。
「どういったことかしら?
私で出来ることであれば、遠慮はいらないわ。
どうせ、工房の建設に関わる事なのでしょう。」
「そう言っていただけると有り難いです。
実は、ドリーさんに建てて頂く建物の基礎なんですが。
非常に重い機械を設置するものですから、丈夫な基礎を作って欲しいのです。
出来れば石積みの基礎にしてもらえれば有り難いのですが。
それと、工房の建物の下に水路を通していただきたいのです。」
これは、またずいぶんと手間ひまのかかる事を願い出たものですね。
石積みの基礎なんて、これから石工さんを頼んだらいったい何時になる事やら。
早々に建物を建てるという当初の目的が叶わなくなるではないですか。
「オークレフトさん、あなた、自分の言っていることが分かってらっしゃる?
あの機械が邪魔だから、早期にここに建物を建てて移してしまいたいの。
石造りの頑丈な基礎なんて、下手をしたら建物を建てるより時間が掛かるモノよ。
いったいどうしろと言うのですか。」
「やっぱり、無理ですか…。
大地の精霊さんに頼めば何とかなるかと思ってお願いしたのですが。」
「それは、ダメよ。何でも、精霊の力に頼ろうとするのはいけないことよ。
精霊は私の対等なパートナーであって、奴隷や召使いではないの。
さっきのドリーちゃんみたいに、精霊の方から自発的に協力を申し出てくれるのならともかく。
次々と新しいことを精霊に頼ろうとするのはダメ。」
最初にちゃんと精霊と私は対等な関係だと説明しておいたのですが…。
次々と人知を超える精霊の力を目にして、精霊に頼ればなんとかなると思ってしまったのでしょう。
すると、目の前にポンと大地の精霊ノミーちゃんが現れました。
「まいど!
さっすが、ロッテちゃん、良いこと言うね。
そうよ、何でも精霊に頼ろうとするのは間違いよ。
ましてや、あんたは私達の契約者じゃないんだから。
ドリーだってあんたのためではなく、アインが困ってたから協力することにしたんだからね。」
どうやら、ノミーちゃんは最初から聞いていたようですね。
いつもの、気風の良い笑い顔とは打って変わって、おかんむりです。
「そうねえ、そんなに頑丈な基礎が必要なら、やっぱり今回は工房はやめておきましょうか。
最初に言ったように、倉庫を建ててもらって、そこに機械を保管しておきましょう。」
「でも、そうなると工房は秋口までに完成しませんよ。
これから石積みが出来る職人を探してもすぐには見つからないでしょうし。
それから基礎工事を始めたのでは、建物を建てるのは来春になりますが。
よろしいのですか?」
ああ、オークレフトさんは知っていたのですね、リーナが傭兵として出て行く男の子のことを気に病んでいることを。
だから、自分の計画していた建物の設計を変更してまで、時間を優先させたのですか。
その方が、わたしやリーナの意に沿うと判断したから。
一応、この方なりに色々と配慮はしているのですね。
「なあに、ロッテちゃん。
なんか、事情があるの?」
ノミーちゃんの問い掛けに、私は現在計画していることを説明しました。
オークレフトさんに任せる工房で働き始める年頃の少年たちを雇い入れ、傭兵以外の選択肢を提供したいと考えていることを。
そして、少しでも早く計画を実現するために、オークレフトさんが配慮していたことも。
「なんだい、あんた、気が利かない様な面しているけど、いいとこあるじゃん。
そう言う事なら、力になるよ!」
私の話を聞いたノミーちゃんは、オークレフトさんの傍まで寄って行き、彼の肩を叩きながらそう言ったのです。
「ノミーちゃん、手伝ってくれるの?」
「それで、ロッテちゃんが喜ぶなら安いもんだって。
合点承知だよ!」
**********
「んじゃ、一気にやっちゃうよ!
丈夫な基礎を造りましょう~♪どんな重い物にもビクともしない頑丈な基礎を~♪
丈夫な基礎を造りましょう~♪地震が来ても揺るぎもしない安定した基礎を~♪」
ノミーちゃんは掛け声をかけると、のんきな鼻歌を交えながら術を行使し始めました。
すると、オークレフトさんが縄張りした長方形の区画が小刻みに振動し始めました。
その振動が収まると、その一画だけが堅い岩の岩盤に変わっていました。
オークレフトさんとノミーちゃん、それにドリーちゃんの三人で話し合ってもらいました。
私?、私が聞いてもチンプンカンプンですから。
その結果、建物が建つ部分を分厚い岩盤にしてしまうことにしたようです。
岩盤と言っても、その表面は磨いたようにまっ平です。
水平もバッチリとノミーちゃんが自信満々でした。
「次は水路を建物の床下に通せば良いんだね。
んじゃ、川上から掘って来て、今作った岩盤を削って、川下まで通すよ!」
水路を引く位置も予めオークレフトさんに紐で囲ってもらいました。
だいたい幅四ヤードほどの水路になるようです。
購入した敷地の一番川上に当たる位置から敷地に引き込んで、建物の床下を通って、敷地の一番川下に排水するそうです。
「川さん~♪川さん~♪お水を分けてくださいな~♪
流れの勢いそのままに~♪冬でも変わらぬ流れをくださいな~♪」
などと口ずさみながら、ノミーちゃんは見る見る間に水路を掘り進みます。
今作った岩盤もものともせずに削って、あっという間に川下に到達しました。
「素晴らしいです!これなら当初の計画以上に効率的なものが出来ます。
ノミーさん、ありがとうございます。」
「良いってことよ!これも全部、ロッテちゃんの喜ぶ顔を見るためだから。
あんたのためじゃないんだからね!誤解しないでよ!」
オークレフトさんの感謝の言葉に、少し照れたような顔のノミーちゃんはそんな風に返したのです。
素直じゃないんだから。
さて、肝心の工房ですが、流石に一日では建たないようです。
「出来たら、呼びに行くから館で待っていて!
三日はかからないと思うよ!」
流石に三日もここで完成を待っている訳には行きません。
お言葉に甘えて館で待つことにしました。
0
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
異世界転移したロボ娘が、バッテリーが尽きるまでの一ヶ月で世界を救っちゃう物語
京衛武百十
ファンタジー
<メイトギア>と呼ばれる人型ホームヘルパーロボット<タリアP55SI>は、旧式化したことでオーナーが最新の後継機に買い換えたため、データのすべてを新しい機体に引継ぎ、役目を終え、再資源化を迎えるだけになっていた。
なのに、彼女が次に起動した時にいたのは、まったく記憶にない中世ヨーロッパを思わせる世界だった。
要人警護にも使われるタリアP55SIは、その世界において、ありとあらゆるものを凌駕するスーパーパワーの持ち主。<魔法>と呼ばれる超常の力さえ、それが発動する前に動けて、生物には非常に強力な影響を与えるスタンすらロボットであるがゆえに効果がなく、彼女の前にはただ面倒臭いだけの大道芸に過ぎなかった。
<ロボット>というものを知らないその世界の人々は彼女を<救世主>を崇め、自分達を脅かす<魔物の王>の討伐を願うのであった。
チート狩り
京谷 榊
ファンタジー
世界、宇宙そのほとんどが解明されていないこの世の中で。魔術、魔法、特殊能力、人外種族、異世界その全てが詰まった広大な宇宙に、ある信念を持った謎だらけの主人公が仲間を連れて行き着く先とは…。
それは、この宇宙にある全ての謎が解き明かされるアドベンチャー物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
かの世界この世界
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
特典付きの錬金術師は異世界で無双したい。
TEFt
ファンタジー
しがないボッチの高校生の元に届いた謎のメール。それは訳のわからないアンケートであった。内容は記載されている職業を選ぶこと。思いつきでついついクリックしてしまった彼に訪れたのは死。そこから、彼のSecond life が今始まる___。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる