45 / 580
第3章 魔法使いの弟子
第44話 それも付き人の仕事です
しおりを挟む
「さて、もう一つこの家には重大な秘密があるの。
ここで暮らす以上はカーラにも知っておいてもらわないとならないわ。
実は私は魔法使いなの、そしてアリィシャちゃんは私の許で魔法を学ぶ弟子よ。」
私はそういって立てた人差し指の先に光の玉を浮かべて見せました。
「すごい、魔法って初めて見ました。
魔法も精霊と同じでお伽噺の中のものだと思ってました。まさか、本当にあるなんて。
え、じゃあ、秘密と言うことは教会に知られたら拙いという事ですか。」
おや、この子は魔女狩りのことを知っているのでしょうか、リーナですら知らなかったのに。
「カーラは魔女狩りのことを聞いたことがるのかしら?教会に知れれたら拙いと思うということは。」
「いいえ、魔女狩りというのは知りません。
昔は教会の宣教師が村々を回っては教会の教えを説いて回ったんだそうです。
その時に宣教師は村の子供を集めては悪い魔女の話をしたと家の婆さんに聞きました。
田舎の子供には手が届かない菓子を配ってくれたので、子供はみんな集まったそうです。
悪い魔女を見つけたら、教会が成敗するから、知らせるように伝えて回ったらしいです。」
カーラのお婆さんの子供の頃まで、教会はそんな刷り込みを子供にしていたのですね。
子供にまで密告させようとは、なんともはや…。
「教会のことは気にする必要はないの、この家のことは聖教の教皇庁の公認だから。
私が秘密だと言っているのは、私やアリィシャちゃんの持つ力を利用しようとするロクでもない輩が出てくるのを防ぐためよ。
カーラは最初森に入る道に気付かなかったでしょう。
あれは私の魔法で招かざる客の侵入を防いでいるの。
私はそんなことも出来るの、すごいでしょう。
我欲のために私を利用しようとする輩が出て来ても不思議ではないと思わない?
私はここでのんびりと暮らしたいのよ、変な輩に付き纏われるのは遠慮したいわ。」
「突然目の前に道が現われて驚いたのですが、あれはシャルロッテ様の魔法で隠してたのですか。
本当にすごい魔法ですね。秘密にしたいというのも納得です。
わかりました、精霊のことも、魔法のことも決して口には致しません。」
良い返事です。
カーラは小さな子を庇って自分が娼館へ行くと言った正義感の強い子です。
約束を違えることはないと信じても良いでしょう。
**********
「そうそう、聖教が公式にお目こぼししている魔法使いという事で思い出したわ。
一つ言い忘れていました。
私たちがいるこの場所はカーラの村があったクラーシュバルツ王国ではありません。
国というのは解りますか?」
流石に十四歳にもなれば、一応国という概念はおぼろげながらも理解しているようでした。
良かったです、アリィシャちゃんに国というものを理解させるのは大変でした。
「この辺りに別の国があると言うのは、村の物知りな婆さんからは聞いたことないです。
アルム山脈の山向こうにセルベチアという国があるってその婆さんに聞いたのですが…。」
カーラの話しでは、村では物知りなお婆さんがいて子供たちに必要な知識を教えているそうです。
どうやら、口伝で次の世代に知識を伝える役割を持った人がいるようです。
「ここは、アルムハイム伯国という名称の国です。
そして、私の名はシャルロット・フォン・アルムハイム、この国の女王です。
カーラは今日から女王の付き人となったのです、心して励むように。」
「はあ…、シャルロッテ様が女王様なのですか。
女王様がここで一人で住んでいたのですか?従者の一人もいないで?」
カーラは私が女王だといってもピンと来ないようです。
いえ、むしろ信じていないと言った方が正確でしょうか。
「国民が一人もいないのですよ。
しかも十五年間一度も館の敷地を出たことが無かったのです。
家事は殆んどブラウニー隊がやってくれます。
従者など必要がないでしょう。」
「国民がいないのですか?
王様って言うのは国民から取り立てた税で、贅沢な暮らしをしているのではないのですか?」
カーラが中々手厳しいことを訊いてきます。
王が国民から徴収した税で生活しているという事は知っているのですね。
「ええ、国民がいないので税収はありません。
ですから、ハーブ畑のバーブで乾燥ハーブや精油を作って販売しているのです。」
「それが女王様の仕事なのですか?
何か想像していたものと違うのですけど……。」
「そうですよ、我が国ではハーブ畑の手入れとハーブを使った製品の製造が女王の仕事なのです。
さっそく明日の朝からカーラにもハーブ畑の手入れを手伝ってもらいますからね。」
「それが女王様の付き人の仕事なのですか?」
「決まっているではないですか。私の仕事の手伝いは全て付き人の仕事なのです。」
「はあ、畑仕事は村でしていましたので、いくらでも手伝わせていただきます。
ただ、その仕事で、女王とか、その付き人とか言われても……。」
カーラは納得がいかないようで首を傾げています。まあ、追々慣れてもらえば良いです。
**********
さて、仕事の話が出たので、これからカーラにしてもらうことを説明しておきましょう。
「明日からの予定ですが、早朝からハーブ畑の草取りとハーブの摘み取りを行います。
朝七時から始めますので、朝六時には起きて着替えなどを済ましてください。
六時半にみんな揃って朝食をとりますのでこの隣にあるティールームに来るように。
ブラウニーが美味しい朝食を作ってくれますよ。
だいたい午前中いっぱいハーブ畑の手入れを手伝ってもらいます。
午後からは夕食の準備の時間まで、アリィシャちゃんと一緒に読み書きの勉強をしてもらいます。
読み書きの勉強に慣れてきたら、算術の勉強も始めますので心しておいてください。
勉強が終ったら夕食の準備をしますので、カーラも手伝ってください。」
まずは、読み書きと算術からです。
侍女に必要な言葉遣いや礼儀作法なのですが、リーナに謝礼を支払ってカーラを預かってもらおうと思っています。
侍女としての作法など私にはわからないので、リーナの侍女のヘレーナさんに指導してもらおうと思うのです。
あの人、性癖的には多大な問題を抱えていますが、侍女としての仕事面では非常に優秀です。
ズーリックへの旅に同行した約一週間でヘレーナさんの優秀さはよく解りました。
今度、リーナが訪れたときにでも相談してみるつもりです。
できれば今度の冬の間でも指導してもらえれば助かります。
「午後からはずっと勉強ですか?他に何かすることはないのですか?」
「ええ、午後からは夕食の準備の時間までみっちりと勉強してもらいます。
カーラを雇い入れるときの私とリーナの会話は聞いていましたか?
おそらく、一年以内にはアルビオン王国へ視察に行くことになると思います。
それまでには、読み書き計算が出来るようになってもらわないと困るのです。
できれば、私はアルビオン語も教えたいと考えています。
かなり詰め込むことになると思いますので、勉強時間はこれでも足りないくらいです。」
私の言葉にカーラは始める前からげんなりしています。
第一印象で感じた通り、やはりカーラは体を動かす方が得意で、頭を使うのは苦手だったのでしょう。
でも、私はカーラなら結構学習が捗るのではないかと思っています。
カーラと最初に話していて感じたのですが、この子はかなりの負けず嫌いだと思いました。
これからアリィシャちゃんの隣で勉強することになります。
私が見る限りアリィシャちゃんは非常に優秀です。
隣で学んでいる五歳児の方が良く出来るなんて、カーラが我慢できるとは思えないのです。
きっとアリィシャちゃんに負けないように頑張って勉強してくれると思うのです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
*お願い
9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
応援してくださる方がいらっしゃいましたら、本作品に投票して頂けるととても嬉しいです。
ぶしつけにこのようなお願いをして恐縮ですが、よろしくお願いします。
投票は、PCの方は表題ページの左上、「作品の情報」の上の『黄色いボタン』です。
スマホアプリの方は表題ページの「しおりから読む」の上の『オレンジ色のボタン』です。
ここで暮らす以上はカーラにも知っておいてもらわないとならないわ。
実は私は魔法使いなの、そしてアリィシャちゃんは私の許で魔法を学ぶ弟子よ。」
私はそういって立てた人差し指の先に光の玉を浮かべて見せました。
「すごい、魔法って初めて見ました。
魔法も精霊と同じでお伽噺の中のものだと思ってました。まさか、本当にあるなんて。
え、じゃあ、秘密と言うことは教会に知られたら拙いという事ですか。」
おや、この子は魔女狩りのことを知っているのでしょうか、リーナですら知らなかったのに。
「カーラは魔女狩りのことを聞いたことがるのかしら?教会に知れれたら拙いと思うということは。」
「いいえ、魔女狩りというのは知りません。
昔は教会の宣教師が村々を回っては教会の教えを説いて回ったんだそうです。
その時に宣教師は村の子供を集めては悪い魔女の話をしたと家の婆さんに聞きました。
田舎の子供には手が届かない菓子を配ってくれたので、子供はみんな集まったそうです。
悪い魔女を見つけたら、教会が成敗するから、知らせるように伝えて回ったらしいです。」
カーラのお婆さんの子供の頃まで、教会はそんな刷り込みを子供にしていたのですね。
子供にまで密告させようとは、なんともはや…。
「教会のことは気にする必要はないの、この家のことは聖教の教皇庁の公認だから。
私が秘密だと言っているのは、私やアリィシャちゃんの持つ力を利用しようとするロクでもない輩が出てくるのを防ぐためよ。
カーラは最初森に入る道に気付かなかったでしょう。
あれは私の魔法で招かざる客の侵入を防いでいるの。
私はそんなことも出来るの、すごいでしょう。
我欲のために私を利用しようとする輩が出て来ても不思議ではないと思わない?
私はここでのんびりと暮らしたいのよ、変な輩に付き纏われるのは遠慮したいわ。」
「突然目の前に道が現われて驚いたのですが、あれはシャルロッテ様の魔法で隠してたのですか。
本当にすごい魔法ですね。秘密にしたいというのも納得です。
わかりました、精霊のことも、魔法のことも決して口には致しません。」
良い返事です。
カーラは小さな子を庇って自分が娼館へ行くと言った正義感の強い子です。
約束を違えることはないと信じても良いでしょう。
**********
「そうそう、聖教が公式にお目こぼししている魔法使いという事で思い出したわ。
一つ言い忘れていました。
私たちがいるこの場所はカーラの村があったクラーシュバルツ王国ではありません。
国というのは解りますか?」
流石に十四歳にもなれば、一応国という概念はおぼろげながらも理解しているようでした。
良かったです、アリィシャちゃんに国というものを理解させるのは大変でした。
「この辺りに別の国があると言うのは、村の物知りな婆さんからは聞いたことないです。
アルム山脈の山向こうにセルベチアという国があるってその婆さんに聞いたのですが…。」
カーラの話しでは、村では物知りなお婆さんがいて子供たちに必要な知識を教えているそうです。
どうやら、口伝で次の世代に知識を伝える役割を持った人がいるようです。
「ここは、アルムハイム伯国という名称の国です。
そして、私の名はシャルロット・フォン・アルムハイム、この国の女王です。
カーラは今日から女王の付き人となったのです、心して励むように。」
「はあ…、シャルロッテ様が女王様なのですか。
女王様がここで一人で住んでいたのですか?従者の一人もいないで?」
カーラは私が女王だといってもピンと来ないようです。
いえ、むしろ信じていないと言った方が正確でしょうか。
「国民が一人もいないのですよ。
しかも十五年間一度も館の敷地を出たことが無かったのです。
家事は殆んどブラウニー隊がやってくれます。
従者など必要がないでしょう。」
「国民がいないのですか?
王様って言うのは国民から取り立てた税で、贅沢な暮らしをしているのではないのですか?」
カーラが中々手厳しいことを訊いてきます。
王が国民から徴収した税で生活しているという事は知っているのですね。
「ええ、国民がいないので税収はありません。
ですから、ハーブ畑のバーブで乾燥ハーブや精油を作って販売しているのです。」
「それが女王様の仕事なのですか?
何か想像していたものと違うのですけど……。」
「そうですよ、我が国ではハーブ畑の手入れとハーブを使った製品の製造が女王の仕事なのです。
さっそく明日の朝からカーラにもハーブ畑の手入れを手伝ってもらいますからね。」
「それが女王様の付き人の仕事なのですか?」
「決まっているではないですか。私の仕事の手伝いは全て付き人の仕事なのです。」
「はあ、畑仕事は村でしていましたので、いくらでも手伝わせていただきます。
ただ、その仕事で、女王とか、その付き人とか言われても……。」
カーラは納得がいかないようで首を傾げています。まあ、追々慣れてもらえば良いです。
**********
さて、仕事の話が出たので、これからカーラにしてもらうことを説明しておきましょう。
「明日からの予定ですが、早朝からハーブ畑の草取りとハーブの摘み取りを行います。
朝七時から始めますので、朝六時には起きて着替えなどを済ましてください。
六時半にみんな揃って朝食をとりますのでこの隣にあるティールームに来るように。
ブラウニーが美味しい朝食を作ってくれますよ。
だいたい午前中いっぱいハーブ畑の手入れを手伝ってもらいます。
午後からは夕食の準備の時間まで、アリィシャちゃんと一緒に読み書きの勉強をしてもらいます。
読み書きの勉強に慣れてきたら、算術の勉強も始めますので心しておいてください。
勉強が終ったら夕食の準備をしますので、カーラも手伝ってください。」
まずは、読み書きと算術からです。
侍女に必要な言葉遣いや礼儀作法なのですが、リーナに謝礼を支払ってカーラを預かってもらおうと思っています。
侍女としての作法など私にはわからないので、リーナの侍女のヘレーナさんに指導してもらおうと思うのです。
あの人、性癖的には多大な問題を抱えていますが、侍女としての仕事面では非常に優秀です。
ズーリックへの旅に同行した約一週間でヘレーナさんの優秀さはよく解りました。
今度、リーナが訪れたときにでも相談してみるつもりです。
できれば今度の冬の間でも指導してもらえれば助かります。
「午後からはずっと勉強ですか?他に何かすることはないのですか?」
「ええ、午後からは夕食の準備の時間までみっちりと勉強してもらいます。
カーラを雇い入れるときの私とリーナの会話は聞いていましたか?
おそらく、一年以内にはアルビオン王国へ視察に行くことになると思います。
それまでには、読み書き計算が出来るようになってもらわないと困るのです。
できれば、私はアルビオン語も教えたいと考えています。
かなり詰め込むことになると思いますので、勉強時間はこれでも足りないくらいです。」
私の言葉にカーラは始める前からげんなりしています。
第一印象で感じた通り、やはりカーラは体を動かす方が得意で、頭を使うのは苦手だったのでしょう。
でも、私はカーラなら結構学習が捗るのではないかと思っています。
カーラと最初に話していて感じたのですが、この子はかなりの負けず嫌いだと思いました。
これからアリィシャちゃんの隣で勉強することになります。
私が見る限りアリィシャちゃんは非常に優秀です。
隣で学んでいる五歳児の方が良く出来るなんて、カーラが我慢できるとは思えないのです。
きっとアリィシャちゃんに負けないように頑張って勉強してくれると思うのです。
**********
お読みいただき有り難うございます。
*お願い
9月1日から始まりましたアルファポリスの第13回ファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしています。
応援してくださる方がいらっしゃいましたら、本作品に投票して頂けるととても嬉しいです。
ぶしつけにこのようなお願いをして恐縮ですが、よろしくお願いします。
投票は、PCの方は表題ページの左上、「作品の情報」の上の『黄色いボタン』です。
スマホアプリの方は表題ページの「しおりから読む」の上の『オレンジ色のボタン』です。
0
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
かの世界この世界
武者走走九郎or大橋むつお
ファンタジー
人生のミス、ちょっとしたミスや、とんでもないミス、でも、人類全体、あるいは、地球的規模で見ると、どうでもいい些細な事。それを修正しようとすると異世界にぶっ飛んで、宇宙的規模で世界をひっくり返すことになるかもしれない。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
元銀行員の俺が異世界で経営コンサルタントに転職しました
きゅちゃん
ファンタジー
元エリート (?)銀行員の高山左近が異世界に転生し、コンサルタントとしてがんばるお話です。武器屋の経営を改善したり、王国軍の人事制度を改定していったりして、異世界でビジネススキルを磨きつつ、まったり立身出世していく予定です。
元エリートではないものの銀行員、現小売で働く意識高い系の筆者が実体験や付け焼き刃の知識を元に書いていますので、ツッコミどころが多々あるかもしれません。
もしかしたらひょっとすると仕事で役に立つかもしれない…そんな気軽な気持ちで読んで頂ければと思います。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
異世界ライフの楽しみ方
呑兵衛和尚
ファンタジー
それはよくあるファンタジー小説みたいな出来事だった。
ラノベ好きの調理師である俺【水無瀬真央《ミナセ・マオ》】と、同じく友人の接骨医にしてボディビルダーの【三三矢善《サミヤ・ゼン》】は、この信じられない現実に戸惑っていた。
俺たち二人は、創造神とかいう神様に選ばれて異世界に転生することになってしまったのだが、神様が言うには、本当なら選ばれて転生するのは俺か善のどちらか一人だけだったらしい。
ちょっとした神様の手違いで、俺たち二人が同時に異世界に転生してしまった。
しかもだ、一人で転生するところが二人になったので、加護は半分ずつってどういうことだよ!!
神様との交渉の結果、それほど強くないチートスキルを俺たちは授かった。
ネットゲームで使っていた自分のキャラクターのデータを神様が読み取り、それを異世界でも使えるようにしてくれたらしい。
『オンラインゲームのアバターに変化する能力』
『どんな敵でも、そこそこなんとか勝てる能力』
アバター変更後のスキルとかも使えるので、それなりには異世界でも通用しそうではある。
ということで、俺達は神様から与えられた【魂の修練】というものを終わらせなくてはならない。
終わったら元の世界、元の時間に帰れるということだが。
それだけを告げて神様はスッと消えてしまった。
「神様、【魂の修練】って一体何?」
そう聞きたかったが、俺達の転生は開始された。
しかも一緒に落ちた相棒は、まったく別の場所に落ちてしまったらしい。
おいおい、これからどうなるんだ俺達。
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる