白き時を越えて

蒼(あお)

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第5章雑談:柊

なくした道具

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「柊さんって、違う私に出会ったとき、
 道具をいくつかなくしたんですよね?」

「何故、そんなことを聞く?」
「長い間お世話になっているから、
 どういう道具をつかうのかな~、
 何をなくしたのかな~っていう
 単なる好奇心です」

「…………。
 なくしたのは、安全装置と
 空間遊泳許可証、
 ……重力制御装置もだったか?」

「なんか、大切そうな物ばかり
 なくしたのはよく分かりました」

「幸い、身分証まではなくさなかったからな。
 身分証さえあればどれもまた借りられる」

「なくしたものが、盗まれた可能性はないんでしょうか?」

「…………!?」
「……可能性、本当に無いんですか?」

「何を言っている?」
「だって、なんかそんな
 重要そうなものばっかり」

「いや……きっと時の中で落としたのだ。
 俺はそう思っている」
「……どうして?」

「…………」

根拠は、きっと無いんだろうな。
信じたい……というだけで。

でも……私の死体が“送りつけられて”
来ている以上、
少なくとも安全装置の中のデータは盗まれてる。

それを盗んだのは、
私なのか、それとも……。

「どちらにしろ、“時の中で落とした”と報告した。
 もう、関係ない……」

「あの、もしかしたら別の私……」

「道具は、時の中で落としたんだ!!」

「!」

「……すまない」
「いいですよ、別に。
 そういう可能性もあるんじゃないかな、って
 思っただけですから」

「…………」
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