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ヴァレリーへのご褒美 2 とエピローグ
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穏やかに流れるクラシック。
貸し切りの大ホール。
満天の夜空を投影された天井。
そして、さまざまなスイーツが彩られたケーキバイキング。
……まさか此処までムードを出されるとは……!
俺に専属でついている女性獣人スタッフに、何杯目かの果実水を注いで貰い、乾いた口内を少しずつ潤す。
いやいやいや……俺、此処まで用意しろって言ってなかったよな……?
雰囲気たっぷりの店内に圧倒された俺だけど、思いはずっとヴァレリーとの思いを振り返っていた、と言うかメイドさんに誘導されたと言うか……
だって、そもそも俺言ってないんだって!ニューマートの後ファッションパレス『Q』に行けって。
「うえ!俺の字そっくり!へ?俺の色に染まって欲しい?えええ!こんな事書いたの⁉︎」
今メイドさんから、ヴァレリーにこのメモを渡したと報告されている俺。はい?執事スタッフの指示ぃ?
「『トオヤ様の思いは我らも同調出来る為、嘘は言っておりませぬ』と執事長はおっしゃっておりましたわ。そしてトオヤ様が着ているその服にも覚えがございますでしょう?」
「あ、やっぱり?番の儀式の服だけど……白メインの黒のアクセントがあるからヴァレリーの色って事かぁ」
「そうですわ。折角のトオヤ様の思いを更に彩らせてもらえたらと、我ら協力させて頂きましたが……ご迷惑でしたでしょうか?」
「それはないよ。驚いたけどさ。うん、ありがとう」
「有難き幸せ」
……未だにギフトがどうなっているのかさっぱりだけど、ただ俺を優先するのだけはわかっているからな。この際受け入れたもん勝ちだな。
「トオヤ様。ヴァレリー様がご到着致しました」
俺が一人納得していると、ヴァレリーが来たことをメイドさんに教えてもらい、俺も立ってヴァレリーを迎える。
カツカツカツ……とブーツの男と共に執事に案内されて現れたヴァレリー。その姿を見て悶える俺。
うおおおお!ヴァレリーさん、男振り上がってる!騎士服すっげー似合ってるよ!!!
「トオヤ!」
悶える俺を見つけて走り出し側までくると、両手を俺の脇に入れて俺を高く上に持ち上げるヴァレリー。
「アハッ!ヴァレリーどうだった?」
「ああ!トオヤに会いたくて堪らなくなったが、面白かったぞ?」
「そっか。じゃ、ヴァルちょっと座って。今度こそ、ご褒美渡すからさ」
「ああ、わかった」
そう言って俺が座っていたテーブル席に座ったのは良いけど、やっぱり俺は安定のヴァレリーの膝の上。うん、そうなるだろうなぁって思ってた。
メイドスタッフは慌てる事なく、ヴァレリー用のホットココアと俺用のコーヒーを用意する。季節のデザートタルトも添えて。
用意が整うと「御用がございましたら、すぐにお呼び下さい」と言ってスッとホールの隅に下がっていった。
それを横目に見ていたヴァレリーは、居なくなった途端にグルグル喉を鳴らしながら俺に顔を擦りつけてくる。
「ヴァレリー、ちょっとだけ待って。ご褒美見せるから」
少し残念に思いつつもヴァレリーの動きを一度止めさせ、俺はテーブルに用意していた箱を手に取る。
……本当はヴァレリーに開けてもらいたかったけど、俺を横抱きにしているからなぁ。
そう思い直し、パカっと箱を開けて中を見せる。
「トオヤ?これは……?」
「うん。これファッションパレス『Q』で見つけてたんだ。あのさ、俺の元いた世界では伴侶になったら、同じモノを身に着ける習慣があるんだ」
「ほう。それで首飾りなのか……!」
「ううん。本当は指輪なんだ。でも、ヴァル騎士だろ?手だって武器として使う職業だからさ。……俺、指輪じゃなくて首飾り……ネックレスにしたんだ」
そう言ってヴァレリーの首に腕を回し、プラチナネックレスをつけてあげたんだ。着けてあげた理由は……
「ヴァレリー。ネックレスを贈る事って、俺の世界では『あなたを独り占めにしたい』『わたしのもとを離れないで』って意味があるんだ。
……俺さ、絆されるようにヴァレリーの番になったわけじゃないよ?そりゃ多少は流されたけどさ。でも、心が疲弊していた俺を、癒して、あっためて、満たしてくれたのはヴァレリーだけだ。
実は、この世界に来て気づいたけど……俺、独占欲強いんだ。ヴァレリーを毎日ブラッシングするのも、俺だけがやりたい。俺だけがヴァレリーの疲れを癒してやりたい。
そして、ヴァレリーも同じであって欲しい」
俺はポケットからもう一つのプラチナネックレスを取り出す。
「俺はヴァレリーだけのもの。ヴァレリーも俺に着けてくれる?」
ヴァレリーの手の平にネックレスを渡すと、ネックレスを握りそのまま俺を抱きしめるヴァレリー。
「トオヤ……!俺の、俺だけの番!ああ、勿論だとも!…………覚悟しろよ、トオヤ。一生、俺の側を離してやれないからな……!」
「ああ、望むところだ……!それで、ね?ヴァレリー。そろそろ俺にも着けて?」
「ああ。愛しいトオヤの仰せのままに」
ひとしきり俺の首筋に顔を擦り付けた後、器用に俺にネックレスをつけてくれたヴァレリー。
「ずっと俺と一緒に居てくれる?」
「ああ、喜んで。なぁ……トオヤ、お前は俺と番って幸せか?」
「むしろ、もっと幸せにしてくれるんだろ?」
「当然だな」
◇
「『ーー二人はその後に訪れた発情期に愛を深め、トオヤは子を腹に宿しました。そして、月日は立ちーーー』」
「ヴァレッド!まあた、トオヤ様の本読んでいるのかぁ?」
「だって、父さん達の本だもん。父さんはトオヤ母さんを離さないし、聞けないんだ。どうすれば、トオヤ母さんみたいな番を俺も持てるのかって……!」
「まあなあ……ウチの両親だっていつだってベッタベタにくっついているからなぁ。俺も、シン母さんに聞けねえからなぁ」
「ああ、カリヤのとこもそうだもんね。っていうか、また逃げてきたの?今度は何?」
「聞いてくれよ!俺の勉強科目もっと増やすっていうんだぞ!俺、鍛錬したいのに……!」
「鍛錬って名の水遊びだろう?まあた、ウォーターパークとアスレチックパーク行きたいだけのくせに」
「まあ、ヴァレッドにはバレるか。って事で行こうぜ!」
「ちょ、ちょっと!いきなり掴むな!この馬鹿狼!」
「ほー、俺に挑戦するのか?甘ったれ雪豹が?」
「言ったな?待ってろ!今この本置いてくるから!」
そう言って僕は急いで王宮の僕の部屋へダッシュする。
あ、ごめん!置いてきぼりにしてたね。僕はヴァレッド・ベルシェンド、6歳だよ!ヴァレリー父さんとトオヤ母さんの第五子なんだ。
ん?なんでヴァレリー父さんの家で住んでないのかって?
なんかね、王家からトオヤ母さんに城に永住して欲しいって言われたんだって。ヴァレリー父さん怒ってたらしいけど、結局は王家に仕える立場だからね。諦めたんだって。
え?なになに?なんでセレリオ王宮に、クレッシェルド国の王子がいるんだって?
あ、わかっちゃった?カリヤってクレッシェルド国の第六王子なんだ。アイツ、本当によくこっちに逃げてくるんだよ。
だって、セレリオ国とクレッシェルド国は王家のみ使える転移の扉があるんだ。これトオヤ母さんの力だよ?凄いでしょう!
今の王様同士はライバルだけど、転移者同士が仲良くってさ。結局、国を巻き込んで行き来出来る扉を開けたんだって。
おかげでクレッシェルド国王もシン様連れて良くくるよ?
僕もカリヤに連れられてクレッシェルド国に行った事はあるけど、シン様の力も凄くってさ!温泉ってすっごい気持ちいいんだ!僕大好きだよ!
あ、そうそう、もう一人セレリオ国には転移者がいるんだけど……
「こぉら!ヴァレッド!お前には成人用の本はまだ早いって言っただろう!」
「うわぁ!何でここにハルキいるのさ!っていうか今回は子供用だもん!」
「ほう……!『今回』とはねぇ……」
あ、マズイ……!僕って正直だから……!
そう、僕の襟首を掴んでいるのが、もう一人の転移者ハルキ。僕らの教育係なんだ。
初めは王宮外で住んでたんだけど、ハルキの馴れ初めの本が国中に広がって、居づらくなってトオヤ母さんにお願いに来たみたい。
ん?ハルキの番って誰?って?
あっそうか!こっちで有名すぎて忘れてた!ハルキの番は、国1番の商人『ラーヴァロ商会』の会長で虎獣人のグラム・ラーヴァロ。えっとね……よくわかんないけど国のオモテとカゲを仕切っているんだって。
今はクレッシェルド国にも出店して大忙しだけど、ハルキとの時間は絶対譲らないくらい溺愛しているんだよ?だってハルキってば、毎日すっごいグラム臭いんだ!ってイタイ!
「頭叩かなくても良いじゃないか!」
「今また臭いって思ったろ?」
「うっ!なんでわかるのさ!」
「生まれた時から見ているからな。ほら、諦めろ」
「ヤダヤダー!カリヤが待ってるんだってー!」
首を掴まれたまま連れて行かれそうになって、ついカリヤの事を話してしまった僕。……あ、ハルキの眉ピクピクしてる。うわぁ、カリヤ……ごめん……!
「……よし、わかった。カリヤ王子も纏めて勉強だな。さあ、行くぞー、ヴァレッド!」
「ええええええ!待ってってばー!」
うわあ!もう逃げられないや!ごめん!ここまでみたい!あ、でもね、一つ教えてあげる。
獣人国にはまだ国はいっぱいあるんだ!そして転移者は各国に散らばっているんだよ?
そう!また本が出るんだって!
今度は竜人国が舞台。
どんな話だろうねー!「楽しみだなぁ!」
「そうか。そんなに勉強が好きならもっと時間を取ろうか?」
「いやああああ!違うのーーーーー!!」
おわり
ーーーーーーーーーーーー
最後まで読んで頂きありがとうございました!!!!
本編はこれにて完結です。ただ時々番外編を上げるかもしれませんが。←予定は未定。
少し休養期間を経て前世勇者の更新にかかりたいと思いますが、こちらはゆっくり更新になる予定です。
何せ現実が忙しくなってしまった……!
という事でしばらくこちらの活動が難しいですが、忘れないでくだされば嬉しいです!
皆さん本当にありがとうございました!!
貸し切りの大ホール。
満天の夜空を投影された天井。
そして、さまざまなスイーツが彩られたケーキバイキング。
……まさか此処までムードを出されるとは……!
俺に専属でついている女性獣人スタッフに、何杯目かの果実水を注いで貰い、乾いた口内を少しずつ潤す。
いやいやいや……俺、此処まで用意しろって言ってなかったよな……?
雰囲気たっぷりの店内に圧倒された俺だけど、思いはずっとヴァレリーとの思いを振り返っていた、と言うかメイドさんに誘導されたと言うか……
だって、そもそも俺言ってないんだって!ニューマートの後ファッションパレス『Q』に行けって。
「うえ!俺の字そっくり!へ?俺の色に染まって欲しい?えええ!こんな事書いたの⁉︎」
今メイドさんから、ヴァレリーにこのメモを渡したと報告されている俺。はい?執事スタッフの指示ぃ?
「『トオヤ様の思いは我らも同調出来る為、嘘は言っておりませぬ』と執事長はおっしゃっておりましたわ。そしてトオヤ様が着ているその服にも覚えがございますでしょう?」
「あ、やっぱり?番の儀式の服だけど……白メインの黒のアクセントがあるからヴァレリーの色って事かぁ」
「そうですわ。折角のトオヤ様の思いを更に彩らせてもらえたらと、我ら協力させて頂きましたが……ご迷惑でしたでしょうか?」
「それはないよ。驚いたけどさ。うん、ありがとう」
「有難き幸せ」
……未だにギフトがどうなっているのかさっぱりだけど、ただ俺を優先するのだけはわかっているからな。この際受け入れたもん勝ちだな。
「トオヤ様。ヴァレリー様がご到着致しました」
俺が一人納得していると、ヴァレリーが来たことをメイドさんに教えてもらい、俺も立ってヴァレリーを迎える。
カツカツカツ……とブーツの男と共に執事に案内されて現れたヴァレリー。その姿を見て悶える俺。
うおおおお!ヴァレリーさん、男振り上がってる!騎士服すっげー似合ってるよ!!!
「トオヤ!」
悶える俺を見つけて走り出し側までくると、両手を俺の脇に入れて俺を高く上に持ち上げるヴァレリー。
「アハッ!ヴァレリーどうだった?」
「ああ!トオヤに会いたくて堪らなくなったが、面白かったぞ?」
「そっか。じゃ、ヴァルちょっと座って。今度こそ、ご褒美渡すからさ」
「ああ、わかった」
そう言って俺が座っていたテーブル席に座ったのは良いけど、やっぱり俺は安定のヴァレリーの膝の上。うん、そうなるだろうなぁって思ってた。
メイドスタッフは慌てる事なく、ヴァレリー用のホットココアと俺用のコーヒーを用意する。季節のデザートタルトも添えて。
用意が整うと「御用がございましたら、すぐにお呼び下さい」と言ってスッとホールの隅に下がっていった。
それを横目に見ていたヴァレリーは、居なくなった途端にグルグル喉を鳴らしながら俺に顔を擦りつけてくる。
「ヴァレリー、ちょっとだけ待って。ご褒美見せるから」
少し残念に思いつつもヴァレリーの動きを一度止めさせ、俺はテーブルに用意していた箱を手に取る。
……本当はヴァレリーに開けてもらいたかったけど、俺を横抱きにしているからなぁ。
そう思い直し、パカっと箱を開けて中を見せる。
「トオヤ?これは……?」
「うん。これファッションパレス『Q』で見つけてたんだ。あのさ、俺の元いた世界では伴侶になったら、同じモノを身に着ける習慣があるんだ」
「ほう。それで首飾りなのか……!」
「ううん。本当は指輪なんだ。でも、ヴァル騎士だろ?手だって武器として使う職業だからさ。……俺、指輪じゃなくて首飾り……ネックレスにしたんだ」
そう言ってヴァレリーの首に腕を回し、プラチナネックレスをつけてあげたんだ。着けてあげた理由は……
「ヴァレリー。ネックレスを贈る事って、俺の世界では『あなたを独り占めにしたい』『わたしのもとを離れないで』って意味があるんだ。
……俺さ、絆されるようにヴァレリーの番になったわけじゃないよ?そりゃ多少は流されたけどさ。でも、心が疲弊していた俺を、癒して、あっためて、満たしてくれたのはヴァレリーだけだ。
実は、この世界に来て気づいたけど……俺、独占欲強いんだ。ヴァレリーを毎日ブラッシングするのも、俺だけがやりたい。俺だけがヴァレリーの疲れを癒してやりたい。
そして、ヴァレリーも同じであって欲しい」
俺はポケットからもう一つのプラチナネックレスを取り出す。
「俺はヴァレリーだけのもの。ヴァレリーも俺に着けてくれる?」
ヴァレリーの手の平にネックレスを渡すと、ネックレスを握りそのまま俺を抱きしめるヴァレリー。
「トオヤ……!俺の、俺だけの番!ああ、勿論だとも!…………覚悟しろよ、トオヤ。一生、俺の側を離してやれないからな……!」
「ああ、望むところだ……!それで、ね?ヴァレリー。そろそろ俺にも着けて?」
「ああ。愛しいトオヤの仰せのままに」
ひとしきり俺の首筋に顔を擦り付けた後、器用に俺にネックレスをつけてくれたヴァレリー。
「ずっと俺と一緒に居てくれる?」
「ああ、喜んで。なぁ……トオヤ、お前は俺と番って幸せか?」
「むしろ、もっと幸せにしてくれるんだろ?」
「当然だな」
◇
「『ーー二人はその後に訪れた発情期に愛を深め、トオヤは子を腹に宿しました。そして、月日は立ちーーー』」
「ヴァレッド!まあた、トオヤ様の本読んでいるのかぁ?」
「だって、父さん達の本だもん。父さんはトオヤ母さんを離さないし、聞けないんだ。どうすれば、トオヤ母さんみたいな番を俺も持てるのかって……!」
「まあなあ……ウチの両親だっていつだってベッタベタにくっついているからなぁ。俺も、シン母さんに聞けねえからなぁ」
「ああ、カリヤのとこもそうだもんね。っていうか、また逃げてきたの?今度は何?」
「聞いてくれよ!俺の勉強科目もっと増やすっていうんだぞ!俺、鍛錬したいのに……!」
「鍛錬って名の水遊びだろう?まあた、ウォーターパークとアスレチックパーク行きたいだけのくせに」
「まあ、ヴァレッドにはバレるか。って事で行こうぜ!」
「ちょ、ちょっと!いきなり掴むな!この馬鹿狼!」
「ほー、俺に挑戦するのか?甘ったれ雪豹が?」
「言ったな?待ってろ!今この本置いてくるから!」
そう言って僕は急いで王宮の僕の部屋へダッシュする。
あ、ごめん!置いてきぼりにしてたね。僕はヴァレッド・ベルシェンド、6歳だよ!ヴァレリー父さんとトオヤ母さんの第五子なんだ。
ん?なんでヴァレリー父さんの家で住んでないのかって?
なんかね、王家からトオヤ母さんに城に永住して欲しいって言われたんだって。ヴァレリー父さん怒ってたらしいけど、結局は王家に仕える立場だからね。諦めたんだって。
え?なになに?なんでセレリオ王宮に、クレッシェルド国の王子がいるんだって?
あ、わかっちゃった?カリヤってクレッシェルド国の第六王子なんだ。アイツ、本当によくこっちに逃げてくるんだよ。
だって、セレリオ国とクレッシェルド国は王家のみ使える転移の扉があるんだ。これトオヤ母さんの力だよ?凄いでしょう!
今の王様同士はライバルだけど、転移者同士が仲良くってさ。結局、国を巻き込んで行き来出来る扉を開けたんだって。
おかげでクレッシェルド国王もシン様連れて良くくるよ?
僕もカリヤに連れられてクレッシェルド国に行った事はあるけど、シン様の力も凄くってさ!温泉ってすっごい気持ちいいんだ!僕大好きだよ!
あ、そうそう、もう一人セレリオ国には転移者がいるんだけど……
「こぉら!ヴァレッド!お前には成人用の本はまだ早いって言っただろう!」
「うわぁ!何でここにハルキいるのさ!っていうか今回は子供用だもん!」
「ほう……!『今回』とはねぇ……」
あ、マズイ……!僕って正直だから……!
そう、僕の襟首を掴んでいるのが、もう一人の転移者ハルキ。僕らの教育係なんだ。
初めは王宮外で住んでたんだけど、ハルキの馴れ初めの本が国中に広がって、居づらくなってトオヤ母さんにお願いに来たみたい。
ん?ハルキの番って誰?って?
あっそうか!こっちで有名すぎて忘れてた!ハルキの番は、国1番の商人『ラーヴァロ商会』の会長で虎獣人のグラム・ラーヴァロ。えっとね……よくわかんないけど国のオモテとカゲを仕切っているんだって。
今はクレッシェルド国にも出店して大忙しだけど、ハルキとの時間は絶対譲らないくらい溺愛しているんだよ?だってハルキってば、毎日すっごいグラム臭いんだ!ってイタイ!
「頭叩かなくても良いじゃないか!」
「今また臭いって思ったろ?」
「うっ!なんでわかるのさ!」
「生まれた時から見ているからな。ほら、諦めろ」
「ヤダヤダー!カリヤが待ってるんだってー!」
首を掴まれたまま連れて行かれそうになって、ついカリヤの事を話してしまった僕。……あ、ハルキの眉ピクピクしてる。うわぁ、カリヤ……ごめん……!
「……よし、わかった。カリヤ王子も纏めて勉強だな。さあ、行くぞー、ヴァレッド!」
「ええええええ!待ってってばー!」
うわあ!もう逃げられないや!ごめん!ここまでみたい!あ、でもね、一つ教えてあげる。
獣人国にはまだ国はいっぱいあるんだ!そして転移者は各国に散らばっているんだよ?
そう!また本が出るんだって!
今度は竜人国が舞台。
どんな話だろうねー!「楽しみだなぁ!」
「そうか。そんなに勉強が好きならもっと時間を取ろうか?」
「いやああああ!違うのーーーーー!!」
おわり
ーーーーーーーーーーーー
最後まで読んで頂きありがとうございました!!!!
本編はこれにて完結です。ただ時々番外編を上げるかもしれませんが。←予定は未定。
少し休養期間を経て前世勇者の更新にかかりたいと思いますが、こちらはゆっくり更新になる予定です。
何せ現実が忙しくなってしまった……!
という事でしばらくこちらの活動が難しいですが、忘れないでくだされば嬉しいです!
皆さん本当にありがとうございました!!
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