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瘴気の渦、完遂前日 * (リクエストのつもりだったんです……泣)
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うっすらと意識が浮上して来た朝。いつもヴァルに抱き込まれた状態で起きるのに、今日はモフモフ感が無くて、隣にいる筈のヴァレリーを探して手を動かす。
「ん……ヴァル?」
いない事がわかり、起きてモゾモゾとシーツから顔をだすと、ベッドの横で着替えをしていたヴァレリー。
「すまない……起こしてしまったか……?」
優しい声で俺にキスをし、シーツごと俺を持ち上げて横抱きにするヴァレリーに身体を預ける。うん……安心、安定のモフモフ……!
スリスリと首の毛並みを堪能しつつ、ヴァレリーに朝の挨拶をしようとシーツから両手を出して、ヴァレリーの顔を包み込む。すると、パラリ……と俺の上半身を覆っていたシーツがはだけ、裸の上半身が外気に触れる。
「おはよう、ヴァル」
「ああ、おはよう」
ヴァレリーの口に軽く触れた後、口を開いて舌を絡ませて深くキスをする俺達。ヴァルはキスをしながらも、片手で俺を抱えもう片方の手で俺の尻を揉み始める。
「んっ……んぅっ……んんっ!」
キスの後に俺の顔を舐め、そして俺のまだ柔らかい穴に指を挿れる。昨夜も愛されまくった俺の穴は、すぐに濡れ始め、容易くヴァレリーの指を迎え入れてしまう。
「んあっ!ヴァルっ、仕事、だろっ?」
「ああ。だが、こんな魅力的なトウヤを見せられては、コレが黙ってなくてな」
甘く囁きながらヴァレリーが昂った自身を布越しに擦りつけてくると、敏感な俺の身体は期待から白い白濁を溢れさせてしまう。
「あっんっ!駄目、だって!ヴァルの、服、を汚し、ちゃうっ!」
「汚せばいい。その分コレを鎮めてくれるならな」
穴に指をグイっと入れながら俺を抱き寄せ、膝を跨がせれた俺。ヴァルは自身を服から取り出すと、ズルリと穴から指を引き抜く。
「ぁんっ!……あ、あっ……ヴァルっ……挿れ、ないの?」
ゆるゆると自身を穴に擦りつけるだけで、なかなか挿れて来ないヴァレリーに、つい催促してしまった俺。
その言葉にヴァレリーは俺の腰を掴み、挿れてくれると思って待っていた俺の顔を舐めて話しだす。
「トオヤ……もうそろそろ今回の瘴気の渦の終息が近い。俺はどうやら功労者になるようだが、今回の報奨は辞退して部下に譲ろうと思う」
「んっ、ヴァル……優しいね」
ヴァレリーからの報告を聞いている間も、俺は思わず腰を振っていたらしい。そして、パクパクとヴァル自身を待つ穴に、自ら腰を落としていき、ヴァレリーを少しずつ飲み込んで行く。
「……でも、トオヤからの報奨は欲しい。なぁ、トオヤ。頑張った俺に褒美をくれないか?」
「んっんあっ!動いちゃ、駄目っ!俺、が、挿れるんだってっ!……あぅんっ!」
イタズラするように腰を突き動かすヴァレリーのおかげで、ズクンと深いところまで飲み込んでしまった俺。喘ぎつつなんとかヴァレリーの首に腕を回し、鼻と鼻をくっつけてヴァレリーに尋ねてみる。
「んっ!……ヴァルは、何が欲しい?」
「トオヤがくれる物なら何でも」
「そっか。じゃ、その日までヴァルに何をあげるか、秘密でもいい?」
「ああ。だから、約束だっ!」
「待っ、あ“ぁ”あ“っ!」
いきなり奥に突き上げられ、了承するよりも喘ぎ声をあげる俺に、嬉しそうにヴァレリーは激しく律動を開始させる。
「あっ、んっ、ああ、あっ……っ!」
乳首を吸われ、首や耳を舐められ、ズチュズチュと律動されながらも、なんとか了承の意味でヴァレリーの口にキスをする。
すると、また当然のようにヴァレリーに激しく求められーーーーー
◇
「ーーで?何で人様の性行為を、俺は聞かされているわけ?」
「いや……その。晋さんにどれくらいの頻度でカレッド殿下に抱かれているのか聞きたくて」
「~っ!言うか!馬鹿!」
「あれ?意外に晋さん純情?」
はい、また突然に失礼。
朝方から激しく愛されて、起きたらもうヴァレリーが出勤していた為、ポーションを飲んで晋さんのカワタ温泉に遊びに来ている俺。
しかも、俺の願いで漫画喫茶のカフェに連れて来てもらっているんだ。で、今ココ。
勿論、護衛の獣人さんも連れて来ているぞ?アミューズメントパーク以来よくお世話になっている、虎獣人のマークさんと、豹獣人のホグさん。それにジャガー獣人のフォルさんとピューマ獣人のサッドさん。
……サッドさんの顔が不機嫌なのは気になるけど……まあ、基本的に仲良くなった護衛さん達だ。
因みに、晋さんの方の今日の護衛は、こちらもアミューズメントパーク以来の、白狼のワイルさんと狼獣人のゲイツさんとキリヤさん。黒狼イゲルさんは今日は討伐組なんだってさ。
そんでもって、白狼のワイルさんもご機嫌斜めなんだけど……?
まあ、ゲイツさんとキリヤさんが「気にしないで下さいっ!」って言うからさ。空気を読む日本人はツッコミませんよ。
「とりあえず半分本気だったけど、それは置いといて……何をあげるといいと思う?」
「本気だったんかい……!ったく。トオヤ自身をプレゼントすればいい話だろうに」
「意外性が欲しい」
「じゃ、裸エプロン?メイド服?もしくは、ベビードール?」
「……既にやった……」
「はあああ?……お前ら、何やってんだよ?てか、よくやれたな……」
「……メイドさん達がノリノリだったんだよ」
「ああ、うん……察した。その件は置いといて……アレ、どうすんだ?」
晋さんが指差す先では、不自然に目を避ける壁際の護衛さん達。唯一、ワイルさんだけは平然としてるけど……
っ!うわ、やべえ!晋さんにだけ話しているつもりでも、獣人みんな耳良いから筒抜けだったのか……!うわぁ、恥ずい……!
「んー……なあ、ワイル?お前なんか良い案ある?」
晋さん!何故あえて話しを広めるんだ!……で、ワイルさん。そんなに俺をジッと見ないで下さい……!
「……だったらトオヤ様が一日中ヴァレリー団長の世話をしたら良いじゃないですか。出来たら家の中だけで。……番だったら、他の雄に可愛い顔を見せたくないし、いつだって抱きたいし、挿れたまま飯食わせたいし。むしろ酒を飲んでガンガン掘らせてあげて、朝までトオヤ様の中に挿れっぱなしにさせてあげたら喜ぶんじゃないですか?」
うおう……なんて明け透けな……!と言うか、言えない……ほぼ毎日似たような事をされているとは……!しかも言い切るワイルさんの目線の先には……
「……お前、何故俺を見て言うんだ……!」
晋さんをジッと見て言うもんだから、晋さん顔赤くしてるし。
アレ?ワイルさんって晋さんが好きだったりする?でもカレッド様の番だって理解してるし、直属の部下だよなぁ……?
「あくまで一般的な獣人の希望ですけど」
なんでもないようにサラっと言うし……多分本当に獣人達の意見なんだよな……?にしたってワイルさん、顔色変えずによく言えるよ。聞いてるこっちが恥ずかしい……!
「ワイル……お前も雄だったんだなぁ」
う”っ、晋さん!貴方がそれ言うか……?なんとな~く俺でも分かるぞ?
「……お望みであれば、シン様に獣人の気持ちをご理解頂くように致しましょうか?」
「いや、揶揄って悪かった!うん、マジでごめん!だから降ろしてくれ!カレッドにまたしつっこくマーキングされちまうって!」
「以後、俺を挑発しないようにして下さい」
「ハイハイ」
揶揄われて少し怒ったのか、晋さんをヒョイっと抱き上げて部屋から出ようとしていたワイルさん。晋さんからのストップにすぐ応じたものの「チッ」と舌打ちしたのを聞いてしまった。
……晋さんよ。ど天然にも程があるだろう?
とはいえ、気づかないならそのままの方がいいか。うん、俺は何も気づいてないぞ?
「うん、ワイルさんの意見を参考にして考えてみるよ!と言うか、最近晋さんがハマっている事があるんだって?」
思わず会話を無理矢理変更してみたけどさあ。
まさか、晋さんがハマってる事ってコレとは……
◇
『獣人戦隊!ファイブレンジャー!』
漫画喫茶の大画面に映し出されたのは、毎週日曜日の子供達に大人気のスーパー戦隊モノ。何故コレを選択したんだ、晋さんよ……?
俺の目線に気付いた晋さんがニヤニヤしながら「見てろって」と、前に座る両国の護衛達に目を向ける。
そう。コレを流す際に晋さんは護衛達に「見て貰いたいモノがある」と言ってわざわざ目の前に座らせたんだ。
そして始まるオープニング。
爆発の中現れるファイブレンジャー。ドラゴレッド(竜人)、レオパードブルー(豹獣人)、ラビピンク(兎獣人)、ワイルドグリーン(白狼獣人)、イーグルイエロー(鷲獣人)が一人ずつアップ紹介されて、変身していく場面が流れる。
「何故必ず後ろで爆発が起こる?」(狼獣人ゲイツ)
「いや、そもそも変身する必要があるのか?」(虎獣人マーク)
「待て待て、それより体型が変化したぞ?」(狼獣人キリヤ)
「ブハっ!ワイル!お前いつからこんな部隊入ったよ!」(ジャガー獣人フォル)
「ブッッ!ヴァレリー団長あんなポーズとるかぁ?」(ピューマ獣人サッド)
注*以下護衛の会話に(名前/種族)を記します。
この時点で既にツッコミを入れる護衛の皆さん。それに対して、俺はどうしてもみんなの反応に目がいく。
ゲイツさんは何気に驚いているのか尻尾が太くなっているし、マークさんに至っては尻尾をゆるく振っているし、キリヤさんは尻尾で床をタシタシ叩いている。
フォルさんとサッドさんに至っては最初から爆笑しているから尻尾がピーンとしているわけで……
「晋さん……!俺、もうやばい……!」
「早えよ!コレからだろう!」
俺はみんなの反応に悶え、晋さんはニヤニヤ継続中。
唯一普通なのは、白狼のワイルさん。晋さんの様子を横目に「また始まった……」とか言ってる。一回は見た事あるんだろうなぁ。
そして画面の中では敵の人型の魔物達が現れ、それぞれが必殺技を出して魔物を倒していく場面が流れると……
「ほう……!攻撃魔法が使えるのか……!」(マーク/虎)
「アイテムボックスもあるみたいだな」(キリヤ/狼)
「あの剣はどうやって研ぐんだ……?」(ゲイツ/狼)
「ワイル!ワイル!あの技やって見てくれ!」(フォル/ジャガー)
「ブッハ!光ってる!ワイルが光ってる!」(サッド/ピューマ)
真面目に攻撃について評論し始めた三人に、腹を抱えて笑い出す二人。ワイルさんは「ハイハイ」とか言って流してたけど。
物語が始まってからも、真面目にツッコミを入れる5人の様子に終始ニヤニヤ顔の晋さんと、護衛獣人さん達の観察に忙しい俺。
だって護衛獣人さん達、集中して真剣に見ているから、普段は抑えている動作が出るんだよ。常に耳や尻尾はピクピク動いているし、身体の毛をブワっと大きくさせたり、唸ったりするんだぜ?……マジでギャップにやられた。
そしてやっぱり出たよ。この質問。
「何故、攻撃前に長々演説するんだ?」(キリヤ/狼)
「今攻撃されたらヤバいだろうに……!」(ゲイツ/狼)
「魔物は何故倒されると爆発するんだ?」(マーク/虎)
コレにはよっぽど不思議だったのか尻尾がみんな揺れてたり、床をタシタシしてたもんだから、俺の目も尻尾の動きと一緒になってしまった。
フォルさんサッドさんは終始「行け!」「そこだ!」と楽しんでいて、見ていて微笑ましかったけどさ。因みに、晋さんこの時点で腹を抱えて笑っていた。どうやらコレが見たかったらしい。
そしてワイルさんの爆弾発言。
「敵一人に対して5人掛かりはどうなんだ?」
コレに対しては画面が返答していたけど……(例「卑怯だぞ!」と言う敵に対して)
『自分本意なお前達と比べるな!俺たちには世界の運命がかかっているんだ!』
「「「「「「おお!」」」」」」
「……認めているのか……!」
ワイルさん以外の護衛獣人さん達が感動しているのに対し、ワイルさんは一人ツッコミ。このみんなの反応に、既に笑いすぎてヒューヒューと過呼吸気味になっている晋さん。
笑いすぎている人の隣って結構冷静になるんだなぁ、とテーブルに突っ伏している晋さんに水を渡しながら変な感心をしていた俺。
その後エンディングを迎えた時に、ワイルさん以外がそれぞれのカラーの決めポーズを覚えて、生で『獣人戦隊』組まれた時には俺も腹を抱えて笑った。
だって、ラビピンクが重なったんだぜ?しかも体格のいいジャガー獣人のフォルさんがやるんだ。めっちゃ似合わねえ……!
こうやって護衛達がワイワイ笑いながら決めポーズをとるのが、晋さん的にツボらしい。だから新しい護衛がつくと必ず見せてるんだと。
まあ、気持ちは分かる。なんか、朝とは違う意味で体力を消耗したけどさ。
……こうして笑っていられるのは、やっぱりヴァレリー達が頑張っているからなんだよなぁ。
うん、まずは今日しっかりお迎えしようかな。
賑やかな仲間に囲まれながら、俺は明日のヴァレリーの報奨を何にするか真剣に考え始めた。
ーーーーーー
遅くなりました!
すみません!
そんな中でアクセスありがとうございます!
さて、実はコレリクエスト(ムーンさんの方もやってたんです)のつもりで書き出した回だったのですが……
なんと!リクエストを間違えるという大失態を書き切って気付いた回なんです。
リクエストは『戦闘アニメを獣人が見ている様子』だったのですが、『戦隊モノを獣人が見る様子』に勘違いしたままやらかしたのです……嗚呼情けない……!
とりあえず本編の方は、お分かりのように必ず含めていますが、またリクエスト回がもう一回増えるかもしれません。
という事をしでかす白葉ですが、皆さんのいいねが力になります……!
出来たら力を下さい!
そして明日もまた夕方更新になります。宜しければアクセスしてみて下さいね!
「ん……ヴァル?」
いない事がわかり、起きてモゾモゾとシーツから顔をだすと、ベッドの横で着替えをしていたヴァレリー。
「すまない……起こしてしまったか……?」
優しい声で俺にキスをし、シーツごと俺を持ち上げて横抱きにするヴァレリーに身体を預ける。うん……安心、安定のモフモフ……!
スリスリと首の毛並みを堪能しつつ、ヴァレリーに朝の挨拶をしようとシーツから両手を出して、ヴァレリーの顔を包み込む。すると、パラリ……と俺の上半身を覆っていたシーツがはだけ、裸の上半身が外気に触れる。
「おはよう、ヴァル」
「ああ、おはよう」
ヴァレリーの口に軽く触れた後、口を開いて舌を絡ませて深くキスをする俺達。ヴァルはキスをしながらも、片手で俺を抱えもう片方の手で俺の尻を揉み始める。
「んっ……んぅっ……んんっ!」
キスの後に俺の顔を舐め、そして俺のまだ柔らかい穴に指を挿れる。昨夜も愛されまくった俺の穴は、すぐに濡れ始め、容易くヴァレリーの指を迎え入れてしまう。
「んあっ!ヴァルっ、仕事、だろっ?」
「ああ。だが、こんな魅力的なトウヤを見せられては、コレが黙ってなくてな」
甘く囁きながらヴァレリーが昂った自身を布越しに擦りつけてくると、敏感な俺の身体は期待から白い白濁を溢れさせてしまう。
「あっんっ!駄目、だって!ヴァルの、服、を汚し、ちゃうっ!」
「汚せばいい。その分コレを鎮めてくれるならな」
穴に指をグイっと入れながら俺を抱き寄せ、膝を跨がせれた俺。ヴァルは自身を服から取り出すと、ズルリと穴から指を引き抜く。
「ぁんっ!……あ、あっ……ヴァルっ……挿れ、ないの?」
ゆるゆると自身を穴に擦りつけるだけで、なかなか挿れて来ないヴァレリーに、つい催促してしまった俺。
その言葉にヴァレリーは俺の腰を掴み、挿れてくれると思って待っていた俺の顔を舐めて話しだす。
「トオヤ……もうそろそろ今回の瘴気の渦の終息が近い。俺はどうやら功労者になるようだが、今回の報奨は辞退して部下に譲ろうと思う」
「んっ、ヴァル……優しいね」
ヴァレリーからの報告を聞いている間も、俺は思わず腰を振っていたらしい。そして、パクパクとヴァル自身を待つ穴に、自ら腰を落としていき、ヴァレリーを少しずつ飲み込んで行く。
「……でも、トオヤからの報奨は欲しい。なぁ、トオヤ。頑張った俺に褒美をくれないか?」
「んっんあっ!動いちゃ、駄目っ!俺、が、挿れるんだってっ!……あぅんっ!」
イタズラするように腰を突き動かすヴァレリーのおかげで、ズクンと深いところまで飲み込んでしまった俺。喘ぎつつなんとかヴァレリーの首に腕を回し、鼻と鼻をくっつけてヴァレリーに尋ねてみる。
「んっ!……ヴァルは、何が欲しい?」
「トオヤがくれる物なら何でも」
「そっか。じゃ、その日までヴァルに何をあげるか、秘密でもいい?」
「ああ。だから、約束だっ!」
「待っ、あ“ぁ”あ“っ!」
いきなり奥に突き上げられ、了承するよりも喘ぎ声をあげる俺に、嬉しそうにヴァレリーは激しく律動を開始させる。
「あっ、んっ、ああ、あっ……っ!」
乳首を吸われ、首や耳を舐められ、ズチュズチュと律動されながらも、なんとか了承の意味でヴァレリーの口にキスをする。
すると、また当然のようにヴァレリーに激しく求められーーーーー
◇
「ーーで?何で人様の性行為を、俺は聞かされているわけ?」
「いや……その。晋さんにどれくらいの頻度でカレッド殿下に抱かれているのか聞きたくて」
「~っ!言うか!馬鹿!」
「あれ?意外に晋さん純情?」
はい、また突然に失礼。
朝方から激しく愛されて、起きたらもうヴァレリーが出勤していた為、ポーションを飲んで晋さんのカワタ温泉に遊びに来ている俺。
しかも、俺の願いで漫画喫茶のカフェに連れて来てもらっているんだ。で、今ココ。
勿論、護衛の獣人さんも連れて来ているぞ?アミューズメントパーク以来よくお世話になっている、虎獣人のマークさんと、豹獣人のホグさん。それにジャガー獣人のフォルさんとピューマ獣人のサッドさん。
……サッドさんの顔が不機嫌なのは気になるけど……まあ、基本的に仲良くなった護衛さん達だ。
因みに、晋さんの方の今日の護衛は、こちらもアミューズメントパーク以来の、白狼のワイルさんと狼獣人のゲイツさんとキリヤさん。黒狼イゲルさんは今日は討伐組なんだってさ。
そんでもって、白狼のワイルさんもご機嫌斜めなんだけど……?
まあ、ゲイツさんとキリヤさんが「気にしないで下さいっ!」って言うからさ。空気を読む日本人はツッコミませんよ。
「とりあえず半分本気だったけど、それは置いといて……何をあげるといいと思う?」
「本気だったんかい……!ったく。トオヤ自身をプレゼントすればいい話だろうに」
「意外性が欲しい」
「じゃ、裸エプロン?メイド服?もしくは、ベビードール?」
「……既にやった……」
「はあああ?……お前ら、何やってんだよ?てか、よくやれたな……」
「……メイドさん達がノリノリだったんだよ」
「ああ、うん……察した。その件は置いといて……アレ、どうすんだ?」
晋さんが指差す先では、不自然に目を避ける壁際の護衛さん達。唯一、ワイルさんだけは平然としてるけど……
っ!うわ、やべえ!晋さんにだけ話しているつもりでも、獣人みんな耳良いから筒抜けだったのか……!うわぁ、恥ずい……!
「んー……なあ、ワイル?お前なんか良い案ある?」
晋さん!何故あえて話しを広めるんだ!……で、ワイルさん。そんなに俺をジッと見ないで下さい……!
「……だったらトオヤ様が一日中ヴァレリー団長の世話をしたら良いじゃないですか。出来たら家の中だけで。……番だったら、他の雄に可愛い顔を見せたくないし、いつだって抱きたいし、挿れたまま飯食わせたいし。むしろ酒を飲んでガンガン掘らせてあげて、朝までトオヤ様の中に挿れっぱなしにさせてあげたら喜ぶんじゃないですか?」
うおう……なんて明け透けな……!と言うか、言えない……ほぼ毎日似たような事をされているとは……!しかも言い切るワイルさんの目線の先には……
「……お前、何故俺を見て言うんだ……!」
晋さんをジッと見て言うもんだから、晋さん顔赤くしてるし。
アレ?ワイルさんって晋さんが好きだったりする?でもカレッド様の番だって理解してるし、直属の部下だよなぁ……?
「あくまで一般的な獣人の希望ですけど」
なんでもないようにサラっと言うし……多分本当に獣人達の意見なんだよな……?にしたってワイルさん、顔色変えずによく言えるよ。聞いてるこっちが恥ずかしい……!
「ワイル……お前も雄だったんだなぁ」
う”っ、晋さん!貴方がそれ言うか……?なんとな~く俺でも分かるぞ?
「……お望みであれば、シン様に獣人の気持ちをご理解頂くように致しましょうか?」
「いや、揶揄って悪かった!うん、マジでごめん!だから降ろしてくれ!カレッドにまたしつっこくマーキングされちまうって!」
「以後、俺を挑発しないようにして下さい」
「ハイハイ」
揶揄われて少し怒ったのか、晋さんをヒョイっと抱き上げて部屋から出ようとしていたワイルさん。晋さんからのストップにすぐ応じたものの「チッ」と舌打ちしたのを聞いてしまった。
……晋さんよ。ど天然にも程があるだろう?
とはいえ、気づかないならそのままの方がいいか。うん、俺は何も気づいてないぞ?
「うん、ワイルさんの意見を参考にして考えてみるよ!と言うか、最近晋さんがハマっている事があるんだって?」
思わず会話を無理矢理変更してみたけどさあ。
まさか、晋さんがハマってる事ってコレとは……
◇
『獣人戦隊!ファイブレンジャー!』
漫画喫茶の大画面に映し出されたのは、毎週日曜日の子供達に大人気のスーパー戦隊モノ。何故コレを選択したんだ、晋さんよ……?
俺の目線に気付いた晋さんがニヤニヤしながら「見てろって」と、前に座る両国の護衛達に目を向ける。
そう。コレを流す際に晋さんは護衛達に「見て貰いたいモノがある」と言ってわざわざ目の前に座らせたんだ。
そして始まるオープニング。
爆発の中現れるファイブレンジャー。ドラゴレッド(竜人)、レオパードブルー(豹獣人)、ラビピンク(兎獣人)、ワイルドグリーン(白狼獣人)、イーグルイエロー(鷲獣人)が一人ずつアップ紹介されて、変身していく場面が流れる。
「何故必ず後ろで爆発が起こる?」(狼獣人ゲイツ)
「いや、そもそも変身する必要があるのか?」(虎獣人マーク)
「待て待て、それより体型が変化したぞ?」(狼獣人キリヤ)
「ブハっ!ワイル!お前いつからこんな部隊入ったよ!」(ジャガー獣人フォル)
「ブッッ!ヴァレリー団長あんなポーズとるかぁ?」(ピューマ獣人サッド)
注*以下護衛の会話に(名前/種族)を記します。
この時点で既にツッコミを入れる護衛の皆さん。それに対して、俺はどうしてもみんなの反応に目がいく。
ゲイツさんは何気に驚いているのか尻尾が太くなっているし、マークさんに至っては尻尾をゆるく振っているし、キリヤさんは尻尾で床をタシタシ叩いている。
フォルさんとサッドさんに至っては最初から爆笑しているから尻尾がピーンとしているわけで……
「晋さん……!俺、もうやばい……!」
「早えよ!コレからだろう!」
俺はみんなの反応に悶え、晋さんはニヤニヤ継続中。
唯一普通なのは、白狼のワイルさん。晋さんの様子を横目に「また始まった……」とか言ってる。一回は見た事あるんだろうなぁ。
そして画面の中では敵の人型の魔物達が現れ、それぞれが必殺技を出して魔物を倒していく場面が流れると……
「ほう……!攻撃魔法が使えるのか……!」(マーク/虎)
「アイテムボックスもあるみたいだな」(キリヤ/狼)
「あの剣はどうやって研ぐんだ……?」(ゲイツ/狼)
「ワイル!ワイル!あの技やって見てくれ!」(フォル/ジャガー)
「ブッハ!光ってる!ワイルが光ってる!」(サッド/ピューマ)
真面目に攻撃について評論し始めた三人に、腹を抱えて笑い出す二人。ワイルさんは「ハイハイ」とか言って流してたけど。
物語が始まってからも、真面目にツッコミを入れる5人の様子に終始ニヤニヤ顔の晋さんと、護衛獣人さん達の観察に忙しい俺。
だって護衛獣人さん達、集中して真剣に見ているから、普段は抑えている動作が出るんだよ。常に耳や尻尾はピクピク動いているし、身体の毛をブワっと大きくさせたり、唸ったりするんだぜ?……マジでギャップにやられた。
そしてやっぱり出たよ。この質問。
「何故、攻撃前に長々演説するんだ?」(キリヤ/狼)
「今攻撃されたらヤバいだろうに……!」(ゲイツ/狼)
「魔物は何故倒されると爆発するんだ?」(マーク/虎)
コレにはよっぽど不思議だったのか尻尾がみんな揺れてたり、床をタシタシしてたもんだから、俺の目も尻尾の動きと一緒になってしまった。
フォルさんサッドさんは終始「行け!」「そこだ!」と楽しんでいて、見ていて微笑ましかったけどさ。因みに、晋さんこの時点で腹を抱えて笑っていた。どうやらコレが見たかったらしい。
そしてワイルさんの爆弾発言。
「敵一人に対して5人掛かりはどうなんだ?」
コレに対しては画面が返答していたけど……(例「卑怯だぞ!」と言う敵に対して)
『自分本意なお前達と比べるな!俺たちには世界の運命がかかっているんだ!』
「「「「「「おお!」」」」」」
「……認めているのか……!」
ワイルさん以外の護衛獣人さん達が感動しているのに対し、ワイルさんは一人ツッコミ。このみんなの反応に、既に笑いすぎてヒューヒューと過呼吸気味になっている晋さん。
笑いすぎている人の隣って結構冷静になるんだなぁ、とテーブルに突っ伏している晋さんに水を渡しながら変な感心をしていた俺。
その後エンディングを迎えた時に、ワイルさん以外がそれぞれのカラーの決めポーズを覚えて、生で『獣人戦隊』組まれた時には俺も腹を抱えて笑った。
だって、ラビピンクが重なったんだぜ?しかも体格のいいジャガー獣人のフォルさんがやるんだ。めっちゃ似合わねえ……!
こうやって護衛達がワイワイ笑いながら決めポーズをとるのが、晋さん的にツボらしい。だから新しい護衛がつくと必ず見せてるんだと。
まあ、気持ちは分かる。なんか、朝とは違う意味で体力を消耗したけどさ。
……こうして笑っていられるのは、やっぱりヴァレリー達が頑張っているからなんだよなぁ。
うん、まずは今日しっかりお迎えしようかな。
賑やかな仲間に囲まれながら、俺は明日のヴァレリーの報奨を何にするか真剣に考え始めた。
ーーーーーー
遅くなりました!
すみません!
そんな中でアクセスありがとうございます!
さて、実はコレリクエスト(ムーンさんの方もやってたんです)のつもりで書き出した回だったのですが……
なんと!リクエストを間違えるという大失態を書き切って気付いた回なんです。
リクエストは『戦闘アニメを獣人が見ている様子』だったのですが、『戦隊モノを獣人が見る様子』に勘違いしたままやらかしたのです……嗚呼情けない……!
とりあえず本編の方は、お分かりのように必ず含めていますが、またリクエスト回がもう一回増えるかもしれません。
という事をしでかす白葉ですが、皆さんのいいねが力になります……!
出来たら力を下さい!
そして明日もまた夕方更新になります。宜しければアクセスしてみて下さいね!
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なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~
ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。
*マークはR回。(後半になります)
・ご都合主義のなーろっぱです。
・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。
腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手)
・イラストは青城硝子先生です。
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