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留守番のトオヤ達[美香月さん!リクエストありがとうございます!『アミューズメントパーク』『犬獣人視点』]その壱

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 「え?また召喚店舗増えてるって?」

 ヴァレリー達が戦っている中、『宮殿』で大人しく暇を持て余していた俺。なんと執事スタッフから召喚店舗が増えている事を告げられたんだ。
 
 「はい、どうやら今回の召喚店舗に関しましては、我が宮殿右翼棟には収まりきれないようで、単体での召喚になるようでございます」

 「へ?収まりきれないって……何が来たのさ?」

 ステータスを開いて確かめてみた俺の反応は……

 「うっわあ!来た!コレ!晋さん、晋さーん!」

 ビッカーカメラで購入済みの魔導スマホで、思わず晋さんに連絡してしまうほどテンションが上がったわ!

 連絡すると晋さんも「マジで⁉︎」と一緒に喜び、どうせならと帰って来たディグラン殿下にお願いをしてみたところーーーー


    ◇


 「やって来ました!『アミューズメントパーク・クガ』!」

 エントランス中央で両手を開き、軽快な音楽と楽しげな乗り物満載のアミューズメントパークの雰囲気を取り込む俺。

 あ、勿論一人じゃないぞ?

 「すっげえなぁ!俺、○ィズニー○ンド以来だわ!」

 「お、晋さんも行ってたか!でもこのアミューズメントパーク、他の遊園地の要素も入ってるぜ!」

 「ああ、ありゃ確かに……」

 晋さんが目線をやる先には、白い木組みで青いレールのまるでアート作品の様なジェットコースターが悠然とその迫力を伝えてくる。

 「アレって!傾斜角80度、急降下や360度のきりもみ回転のアレか……⁉︎」

 「何?トオヤ知ってんの?」

 お?晋さん乗った事ねえな……?こりゃいい!なんてニヤリと悪巧みをする俺を見る晋さんの後ろを、小型犬獣人さん達がトテトテと歩いてくる。

 「トオヤ様~!アレ凄い建物ですねっ!」
 「シン様?此処はどんな事が出来るんですか?」
 「不思議なところですねー」
 「うわあ、結構みんな入って来てるや」

 あああああああああ!今日も可愛い晋さんのスタッフさん達よ……!お耳ピクピク、尻尾ピンとしてブンブンなんて……!俺にとってはご褒美です……!

 「シン様?此処はどういう施設なのですか?」
 「屋台の獣人も入れるとは……?」
 「こんなに人間がいるところなんて……!」
 「でもシン様やトオヤ様のように匂いは感じないぞ?」

 そしてその横には本日の晋さん護衛担当の牙狼部隊より、黒狼獣人イゲルさんと真っ白狼獣人(多分ツンドラ狼かな?)ワイルさん、銀と白の斑らな狼獣人ゲイツさん、黒と茶色がまざった狼獣人キリヤさん達も興味深々。

 「トオヤ様、牙狼部隊の案内は俺達がやりますよ!」
 「思いっきり楽しませて(怖がらせて)やります!」
 「あれ?諸経費貰った?」
 「お前……また買い食いするつもりか?」

 更に本日の俺の護衛担当、虎獣人のマークさん(可愛いハートマークの模様が目の上にあるのがチャームポイント)、豹獣人のホグさん(頭の斑点の模様の位置が北斗七星そのもの)、ジャガー獣人フォルさん(騎士団で一番立派な筋肉と体格の持ち主)、ピューマ獣人サッドさん(尻尾が生まれつき短い)も当然一緒だ!

 あ、気づいた?俺も……ようやく……!ようやくセレリオ国獣人さん達の見分けがついて来たんだ!まあ、本当に特徴ある獣人さんだけだけどさ。

 それに、そもそも俺のギフトの公開はしないって話はどうした?って思うよなぁ。

 ……それには涙ぐましい俺と晋さんの犠牲があるわけよ。そう、まずは互いの伴侶に了解をもらうのが大変だった。

 なんでかって?それは、俺が相談した時のディグラン様のこの言葉がきっかけだ。

 「瘴気の渦も順調に縮小して来たし、当初より数も減ってきたからなぁ……ここらで1日両国合同討伐の日を作って、騎士や協力者を労うのも良いだろう。ん?騎士達の該当者をどうやって決めるかって?此処は公平に『くじびき』だろうな。しかも当たった奴が討伐だ!」

 そう。ディグラン様、カレッド殿下は全体責任者だから、当然討伐組。そして両国の騎士団長と副団長は、どちらかがお休み出来るという事で、公平にじゃんけんを教えてやったら……

 「ぬおおおおおおおお!」
 「ヴァレリー団長!何故、何故ぐーを出したのです!」

 「「うおおおおおおおおおん!」」

 そうなんだ……勝ち取ったのはクレッシェルド国側クオーンさんとイゲルさん。クオーンさんがパーで勝った時には、勝利の雄叫びをあげる程真剣だったそうだ。

 因みに、両陣営の騎士選抜戦はもっと凄い事になっていた。クジを引く前に全員が祈るもんだから、「早く引け!」「お前は討伐に行くべきだ!」「当たれ!」「無駄な足掻きをやめろ!」と周囲から野次が飛ぶ飛ぶ。

 果ては俺達の護衛担当や外れが出る度に、歓声より大きなブーイングが発生。かと思いきや、外れの最後の一枠が埋まった時の絶望たるや……思わず、討伐から外れた獣人達が討伐組を励ます程しばらくの間悲壮感が漂ったという。

 で、その結果というかいつも通りというか……ヴァレリーとカレッド殿下が番と共にいられない苛立ちが募り、俺達に対して「「行くのは駄目だ!」」に繋がり……

 「ヴァレリー、お帰り!」(ハグと同時にディープキス)
 「カレッド?一緒にお風呂行こう?」(浴衣を少し着崩す)
 「ヴァル?いっぱい愛して……?」(裸でシーツだけを羽織って誘う)
 「カレッドぉ……抱いて?」(普段は言わない晋さんから誘う)

 という、要らぬ苦労をさせられる事になった晋さんと俺。

 まあ、最後には大人げ無かったと反省した(たっぷり俺達を味わった)二人が許可はくれたけど……俺と晋さんが2日振りに会えた時には、二人でため息を吐きながらお互いを労ったもんだ。

 そして掴んだお披露目当日!

 討伐組には悪いが、代わりにその日は華々しくみんなで送り出して、今此処ってワケ。

 因みに、セレリオ国側は獣人達の反応を見る為にテストケースとして前日入りしていた為、案内も出来るようにしといた。

 で、俺は既に獣人の反応を知っているからこそ、此処からの案内は、ダックスフンド獣人のクリィ君!君にお願いするとしよう!


 ーカワタ温泉 番頭クリィ視点ー

 ええっと……トオヤ様からポンッと肩を叩かれたんだけど?ってえええ?ぼ、僕が皆さんを案内するんですかぁ?

 ……あ、違う?ふう、良かったあ。だって、僕ら此処がなんの施設かさえまだわかってないんだもん。

 だから、僕らのご主人のシン様の隣を歩くトオヤ様に連れられて、最初に向かった先はピカピカ光る魔導具箱?がいっぱいある建物。この『あみゅうずめんとぱあく』の中にある『カワタぷれいらんど』って所らしいよ?

 でもその建物に入った途端、驚いて両耳を伏せちゃった!だって、音の洪水だよ!すっごい賑やか!

 ……良かったぁ、トオヤ様から耳栓貰っといて。だっておかげで色々な曲が混ざってたってわかるもん。

 あ、騎士獣人さん達はトオヤ様に言伝してちょっと離れるみたい。どこ行くんだろ?

 僕らカワタ温泉組は小型犬獣人が多いから、大型犬獣人さんや牙狼部隊の狼獣人さんは憧れなんだよね。しかも黒狼のイゲルさんってなかなか会えないから僕ドキドキしてたんだ、実は。

 あ、この事は秘密だよ?ってチワワ獣人のピューリにはバレてるかなぁ?なんか目線でいいの?って聞いてきてるんだ。良いの!……見てるだけで、十分だよ……

 ん?トオヤ様が僕らを呼んでる?

 みんなで目を合わせてトオヤ様に近づいたら、なんかまた胸を押さえて壁に寄りかかっちゃったけど⁉︎

 シン様曰く、持病持ちなんだって。お可哀想に……

 トオヤ様はシン様に負けず劣らず魅力的な人で、それに儚げな印象を持つから本当に心配だよ……

 「クリィ、トオヤの事は本気で気にすんな。それよりみんな、コレ好きだろう?」

 そんなトオヤ様の様子を全く気にしないシン様。でもそのシン様が指差すキラキラした箱の中には……!

 「アレって!シン様がこの間お土産で買って来てくれた……!」

 「そ、『○ッチ』。美味かったんだろう?」

 そう、この間トオヤ様のギフト帰りに僕らにお土産を買って来てくれたシン様。アレ『ブッ○」って言ってソーセージの様な見た目で、味が本当に美味しかったんだ!

 確か『ちきん』と『らむ』と『びいふ』っていうトオヤ様の世界のお肉を混ぜて作られた、僕ら犬獣人が最も好む味だったんだ!食べ終わっちゃった時は全員尻尾が下がってたのを、シン様覚えてくれてたんだなぁ……!

 「シン様!どうやってアレが取れるんですか⁉︎」
 「僕らも取れます?」
 「あ、僕もやりたい!」
 「僕もー!!」

 あの時の味を思いだした僕らが、尻尾をブンブン振り、思わずクウーンって鳴きながらシン様に集まると、横で見ていたであろうトオヤ様が「ぐううっ!」と言って更にかがみ込んでしまったんだ!

 コレには僕らもビックリ!

 「ほっとけ、ほっとけ。ほらクリィ、クレーンゲームのやり方教えるからこっち来い」

 ええええ……?良いのかなぁ。あんなに苦しそうなのに。

 でも僕もあの味を思いだすと、やっぱり欲しくなってシン様の側に行って教わったんだ。

 でも驚いちゃったよ!あの味が銅貨5枚(5百円)で買えるなんて!!シン様も「こっちの方が凄え安い」って言ってたし、絶対お得なんだろうな。

 って思っていたけど、コレ難しいよお……

 「あー……クレーンが二本爪タイプかあ」

 僕ら全員一巡しても取れないんだもん。トオヤ様と話していたシン様が近くに来て教えてくれたんだけど、コレって難しいんだって。

 だから安いのかあ……と、全員耳をペタンとして尻尾を股の間に入れる姿になってたらね……

 「シン様?俺もやってみて良いですか?」

 「イゲル?お前、あっちどうした?」

 「ワイルに任せて来ましたよ。一人もシン様やトオヤ様に付いていないなんて本来あり得ませんし」

 「ふーん……」

 ビックリしたあ!イゲルさんが僕の横に立ってたんだ!そして僕と目線があったら、「コレのやり方教えてくれ、クリィ」って僕の名前を呼んでくれたんだ!

 だから僕、前に進んでやり方を教える為に一度操作して見せてたらね……

 「そのままやっててくれ」

 って、僕の手に上からイゲルさんの手が重なって、そのまま操作する事になったんだ!

 えええええええ!

 もう僕の頭はパニック!!頭の中でアワアワしてたら、「ここだ!」ってイゲルさんが僕の手を一緒にボタンを押したんだ!すると、ガコンッ!って音がして、『○ッチ』の入った箱が出てきたんだよ!

 嬉しくって嬉しくって、僕思わずイゲルさんに抱きついちゃった!

 「イゲルさん!凄い!ありがとう!」

 ハッと気付くと急に恥ずかしくなって、パッと離れてイゲルさんを見上げたら……イゲルさん、口を片手で覆って横を向いていたんだ。

 あっ……僕、失礼な事しちゃった……!

 シュンとして尻尾を股の間に思わず入れたら、ポスッと僕の頭に触れて撫でてくれる大きな手。

 「いや、その……良かったな」

 イゲルさんが僕とちゃんと目を合わせて笑って言ってくれたんだ!嬉しすぎて「はいっ!」って頷いて、僕尻尾ブンブン振っちゃった。

 「なんて尊い……!」
 「トオヤ、お前は少し黙ってろ」

 なんか横からトオヤ様とシン様のそんな会話が聞こえてきたけど、『とおとい』ってなんだろうね?

 ー牙狼部隊 ツンドラ狼獣人 ワイル視点ー

 「ん?どうしたワイル?」

 「あー、やっとうちの副団長が動き出した所見てた」

 「ああ、イゲル副団長って戦闘時は頼りがいあるが、恋愛については奥手だよなぁ」
 「そうそう。でもまあ、仕方ねえんじゃね?だって競争率の高いカワタ温泉の番頭さんだろ?それじゃなくとも、あそこの職員みんな競争率高えし」
 「ああ、あの四人はファンクラブあるよなぁ」

 イゲル副団長の恋の様子を見てたら、俺以外の牙狼部隊のメンバーが集まって来やがった。邪魔するのもなんだしなぁ……

 「おーい!そろそろいいかあ?折角自由に動けるんだ!次、行くぞ!」

 お、丁度いい。虎獣人のマークが呼んでる。

 「おら。ゲイツ、キリヤ行こうぜ。アイツらどうやら俺達と勝負したいらしいぞ?どっちが耐えれるか、だとよ」
 「お!やる気だな?」
 「牙狼部隊をなめられちゃ困る」

 急に闘争心を剥き出しにしてニヤリとして先に行った二人を横目に、イゲルに合図を出して俺も続く。

 ……まあ、今の俺達にそうそう怖いもんなんてねえからなぁ。

  ーーーーーーーーーーーー

 美香月さん!リクエストありがとうございます!
 そして案の定、楽しみ過ぎて、一話じゃ終わりませんでした…!
 ええ、こうなったらリクエストコンプリートしましょう!
 しばらくお付き合い頂けたら嬉しいです♪
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