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猫科の皆さん、水は平気ですか?

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 あの後、話しをなんとか逸らす事に成功!……ふう、まいったぜ。

 ん?ヴァレリーの膝には乗りっぱなしだぞ?それはそれ、もふもふはもふもふだ。

 で、その状態で聞き出したのは、院長先生のお悩み……ではなくて孤児院のお風呂状況。いつもはタライに水やお湯を入れてタオルで拭くだけという、簡単なものだった。

 「意外……!王家がバックに居るから、お風呂あると思ってたけど」

 「トオヤ様。お風呂に入れるのは基本貴族だけですわ。それにウチの職員には、イエーナをはじめイエネコ種が多くいますし……」

 院長先生が言うには、何故かイエネコ種だけは先天的に水が苦手だそうで、職員や孤児達もイエネコ種が多い為取り付けてないらしい。

 「えーと、イエーナさん。もし、今お風呂に入れるとしたら……?」

 「!!(ガタガタブルブル……!)」

 「あ、その、マッサージやケアはどうですか?」

 「!(ほっ……)それなら是非!」

 「成る程」

 そりゃそうか……!人間、それもとりわけ日本人が風呂好きなだけであって、全ての種族が風呂が好きとはいえないもんなぁ。さて、どうするか……?

 ステータスウィンドウを出して、スパ・リゾート『宮』をタップしようとしていた俺。うーん、と唸っていたらステータスウィンドウからパラリ……と現れた一枚のチラシ。

 なんだと思って手に取ってみると、そこにはスパ・リゾート『宮』の概要と様々なコースや特集全身エステコースの概要がついているじゃねえか!

 ……おい、遂に宣伝までするようになったのか……!俺のギフトよ……!

 なんて思ってチラシを広げている俺の手元を覗きこむヴァレリーが、気になるコースを見つけたらしい。

 「ほう……!『番限定!個室露天風呂パック』は良いな。『高級個室で存分に番と愛を深めましょう!』とは。ふむ!」

 なんともヴァレリーらしい選択。……そういや、ヴァレリーやスタッグさん達はお風呂平気だったよなぁ。

 そう思ってヴァレリーに聞いてみたら、猫科の大型種は平気らしいんだ。因みにスナドリネコ種やヤマネコ種は大丈夫だってさ(院長先生談)

 そしていつの間にか、ヴァレリーからチラシを受け取ったメイドさん達。

 「あら?うぉーたーぱーく?水遊びが好きな子供達が好きそうですわ」
 「まあ!『貴方の美を追求する露天エステコース』って素敵ですわ!」
 「まあ!『スウィーツ宮』のスウィーツ本日全品半額ですって!」
 「きゃあ!『ビュッフェレストラン・宮』で銀貨1枚で食べ放題ですって!それに、スタッグ様!見て下さいませ!『ドリンクバーにてワイン貯蔵庫解禁!貴方のお好きなワインを見つけて下さいませ』ですって!」
 
 「ぬ!見せてくれ!……うおっ、『仕事にお疲れの貴方を応援!温泉と飲み比べツアーパック銀貨二枚』!!!こ、これは!」

 「スタッグ様、私にもよろしいですか?……まあ!『お得な団体割引実地中!初回割限定、先着一組50名様までお一人銅貨3枚でフリーパス券(エステ/ウォーターパーク/ビュッフェレストラン『宮』一日使い放題)を販売』!!!!イエーナ!」
 「ええ、院長先生!皆を起こして来ますわ!」
 「あ、イエーナ!今大人子供合わせて42名で宜しいですわね!」
 「まあ、全員一度に出かけられるなんて!」

 「「「「「「「トオヤ様!」」」」」」」

 おおう……!順繰りにチラシが回って行ったと思いきや、みんな目がキラッと光って俺に頼み込んできたよ……!

 「ええと……全員で行きましょうか」

 「「「「「「ええ!」」」」」」「「おお!」」

 まあ、元々連れていく気だったから良いけど、決定してから動きの速い事速い事。

 院長先生やスタッグさんやウチのメイドさん達も手伝い、不思議がる子供達や職員さんを丸めこみ、整列させて食堂に待機させることおよそ30分(半々刻っていうのか?)。

 俺はヴァレリーにずっと抱かれた状態で待機。そして食堂に移動した現在も、ヴァレリーに縦抱っこされております。孤児院の全員に俺がヴァレリーの番だと認知させる為だってさ。

 うん、ずっとヴァレリーをモフれるから大歓迎だ!……まあ、孤児院の年長さんには刺激が強いので、ある程度は我慢してるけどさ。

 「皆さん、準備いいですか~?出しますよー?」

 俺の間抜けな声に、子供より大人がいい返事をかえしてくるのは気にしないようにしよう。子供達は不思議そうな顔で大人を見上げているからなぁ。(しかし、可愛い!)

 そして俺の声を合図として食堂の壁に召喚されたのは、椰子の木がレリーフとして刻まれた大型スイングドア(熱感知開閉式)。

 驚きの大歓声が食堂に響く中、まずは慣れた俺達が先陣を切って入って行くと……そこはまるで常夏の島!

 照りつける暑さに立派な椰子の木。空気が香水のように程よく甘く俺達を包み込み、スチールギターをベースにしたウクレレミュージックが俺達を歓迎してくれる。

 そしてキョロキョロと子供達や職員さん達が戸惑う中、この施設の獣人型スタッフさん達(AI搭載)が歓迎に出て来てくれた。

 「ようこそ!スパ・リゾート『宮』へ!皆さんに夢のような一日へご案内致します!」


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 すみません!忙しくて短めですm(__)m明日はもっと長めに更新予定です( ̄▽ ̄;)タブン……
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