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本編

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「~それでサーラったらひどいんですよ。早々に婚約者を決めて、週末はいっつも婚約者と過ごしてて。仲もよくて、『幸せを分けてあげられなくて残念』なんていうんですよ…」

「ティアナはサーラと仲がいいんだな。楽しい学園生活を送っているようで安心したよ」

ガーランド様と一緒に道すがら話をする。いろいろお話したいとは思っていたけれど、さっきから私ばかり話しているような気がする…そうだ!

「ガーランド様、朝は私がたくさんお話ししてしまっているので、帰りはガーランド様のお話を聞かせてください!」

「そんなに楽しい話はないがそれでもいいなら構わない」

「本当ですか。別に面白くなくてもいいですよ。普段していることとか、仕事中は何をされているとか何でもいいです!!」

「そうか、なら何か話を考えておくことにする」

楽しい時間はあっという間で校門までついてしまった。名残惜しいけれど送ってもらって遅刻したなんて不名誉をもらうわけにはいかないので、ここまでだ。

「送っていただいてありがとうございます。お仕事頑張ってください!」

「ティアナこそな」

私は校門のところからガーランド様が見えなくなるまで見送ってから校舎へと向かおうとする。すると、そこかしこから視線を感じる。何なんだろうと思いながらも教室へと向かった。

「おはよう~」

いつものように挨拶をして席に着く。淑女としてはちょっと礼節に欠けるけれど、ここは学園なんだしそこまで気を使うこともないとクラスメイト達も慣れた感じだ。

「おはよう、ティアナ。さっき窓から見てたけど騎士様に送ってもらってたよね。あの方がそうなの?」

「サーラったらみてたの?そうだよ、あの人がガーランド様よ」

「へぇ~中々優しそうな人ね。王宮警備隊だから一緒に途中まで来たの?」

「それもあるけど、危ないから今日から送り迎えしてくれるんだって、そんな必要ないのにね。でも、お話しできるから私はうれしいけど…」

だいたいこれまでも何にもなかったしと授業の準備をする。その横でガタタッッと音がする。

「ティアナを送り迎えですって…」

「あのレーガン嬢に警護…そもそも何者なんだよ」

「そういや校門で話してたな。ただの護衛じゃないのか…」

一気に教室がざわめく。私が男の人と一緒に登校しただけで何なのか。失礼なクラスだ。その後、授業が始まり1限目が終わると、クラスメイト達がさっとサーラを連れ出す。一体何なんだろう。普段彼女にはあんまり話しかけない令嬢もいる。


「サーラ様、一体どういうことか教えてくださらない?あの、ティアナ様が急に殿方と一緒に登校なさるなんて信じられないですわ?」

うん、まあ気持ちはわかるけど、落ち着いてください。あなた侯爵令嬢ですよね?仮面剥がれかけてます。

「え~と、なんでも夜会の時に不届き者を取り押さえた騎士様が気になっていると言ったら子爵様が縁談を進めたらしいですわ」

「それっていつなの!私のところにもない情報ですけど?」

伯爵令嬢のあなたが知らないなら、私も知らないことにしたいので適当に濁しましょう。

「さ、さあ、ですがティアナも急に決まったといっていたので、最近だと…」

「じゃあ、やっぱりもうティアナ様は剣術の授業は受けてくれないのか?」

ちょ…あなた婚約者いますよね。内容には気を付けて。はぁ、ティアナは飾らないところが受けて実際はおてんば姫と呼んでいるのは、高位の一部貴族や夜会に来るお姉さま方位だ。はつらつとした話し方が好まれて、身内の多いパーティーでは彼女も元気に話すので、おじさま方の受けもいい。しかし、本人に聞いて欲しいのだけど。

「さすがにそれは…騎士爵の方で面識もありませんので何とも言えませんね。本人に聞いたらいかがですか?」

「そんなことできるわけがないだろう。何を話していいか…それにあの笑顔を向けられたら…」

「ああ……」

アホですか。ああ、でも彼女に簡単に聞けそうな人が一人いましたね。その人を使わせてもらって解放してもらいましょう。

「では、グライム様にお願いしては?彼ならそういったこともなく聞けるのではないですか?」

「グライム様か…確かにあの単細…真っ直ぐな方ならうってつけだ。ありがとうサーラ嬢」

まだ、聞きたそうな人たちもそろそろ時間なのでお引き取りいただいた。これが続くのだろうか…。ちなみにグライムというのはグライム=バルクといい、バルク伯爵家の次男だ。2代に1代は騎士団長という武闘派で彼自身もかなりの腕前だという。実際にティアナも彼に対しては通算負け越しだ。特に入学時はともかく、最近は負けが込んでいて悔しがっていた。家で学ぶのに限りあるティアナとグライム様では全然違うと思うのだが当人は負けること自体が悔しいとのこと。

「まあ、これで次の時間は少なくともグライム様のところに話を持っていくでしょうし昼までは持つでしょう」

何もわかっていない顔でのほほんと席でペンを走らせている友人を見ながら私は席に戻ったのだった。


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