10 / 56
本編
10
しおりを挟む
「おい、聞こえたかガーランド」
「ああ、これで負けられなくなったな」
ガーランドは剣を引き、改めて構え直した。こいつのこんなやる気のある姿を見るのは1年ぶりぐらいだろうか?本当に今日はタイミングが良かったな。そう思いカイラスも構え直す。
「わかってるな?」
「勝負は一度きり、だろ?」
フッとお互い笑い合うと、俺はやや上段にカイラスは剣を引いて構える。お互いぴたりと止まると、一息つく。勝負は一瞬―――。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「せやぁぁぁぁ!」
カイラスの突きが俺をとらえようとする瞬間、剣を斜めに薙ぐようにして外に押し出そうとする。このまま、押し切れる…わけはないか。すぐにカイラスは体制を変え切りかかる。その刹那、俺も剣の向きを変え一閃する。
ギィン
2つの大きな音が中庭に響き渡った。
「そこまでっ!」
カレンの合図で勝負はここまでとなった。
「決めたと思ったんだけどなぁ」
「こっちのセリフだ。まさか勝ちきれないとはな」
「さすがに士官学校時代の轍は踏まないさ。あれで懲りて突きは控えるようになったからな」
「それでも、何かあっても対応しきれると思っていた」
「婚約者の前でかっこつけられなくて残念だったな」
「確かに。恥ずかしいところを見せるわけにもいかないし、鍛錬を怠らないようにしないとな」
「お前、偽者じゃないだろうな」
「なんだそれは?」
「まあいいや。どうだったか感想を聞こうじゃないか」
そういって俺たちはティアナのもとへと向かった。
「ど、どっちが勝ったの?」
思わず口にしてしまったがあまりのやり取りについていけなかった。悔しいけれど私では全く入れないレベルの高さだ。
「私にもわかりかねます。ただ、これ以上やらせるとお互いに譲らなくなってしまうので…」
「そうなんだ…」
きっとその時はどうなったのかは聞いてはいけないのだろう。むしろ今の私は聞きたくないとも思ってしまった。最後の瞬間は鬼気迫るものがあったと思ったが、それでもカレンさんから見ればまだ、止められる範囲だというのだ。この感動を誰かに伝えたい。わかってくれそうなのは一人ぐらいしか思い浮かばないけど。
「おや、お話も終わってこちらに来られるようですね」
さっきまでガーランド様はカイラス様とお話をされていたけど満足した様子でこっちに来ていた。
「か、かっこいい…」
「ん、そうか?」
「えっ、聞こえてました?」
「バッチリね。で、どっちが?」
私の体はガーランド様の方を向いていたのにわかり切った顔でカイラス様が話しかけてくる。この人はちょっと性格が悪いのかもしれない。
「し、知りません!…ところでさっきはどっちが勝ったのですか?」
「残念ながら引き分けだな。相討ちといったところか」
そういってガーランド様は自分の脇とカイラス様の肩口を指さす。そこには確かに剣で付いた傷があった。
「大丈夫ですか!ケガはっ!」
「心配ない。二人ともケガには気を付けているから」
「よかった~」
一気に肩の力が抜けた。
「何せ、手合わせをして、僕が傷を負えば闇討ちでもしたんだろう。ガーランドだったら返り討ちにあったんだろうとつまらない噂になるからね」
「そうなんですね。あまりにすごい打ち合いだったので心配で…」
「ティアナ様、騙されてはいけません。実際にそう噂されたことが何度もあるから言われてるんです」
「いやだってあれは…」
「年甲斐もなく他家の庭でケガをした、させたの噂が立つこと自体褒められたことではありません」
ピシャリというカレンにガーランド様もカイラス様もばつの悪そうな顔をしている。本当に何度もあったことなのだろう。
「でも、すごいです。お二人の実力は私が今まで見た中でも1番です」
「まあね。だからこそ、こいつにも騎士団に来てほしいんだけどな」
「王家のために剣を振るい、ひいてはそれが国民のためにもなる。騎士団も警備隊も関係ない」
「さすがはガーランド様っ!」
私がガーランド様の言葉に感銘を受けているとカレンさんとカイラス様はこめかみを押さえていた。何かあったのだろうか?
「カレン、このお嬢様は外に出してはいけない気がするよ」
「そうでしょうとも、わたくしの方で立派に囲います」
「おい…」
なんだか3人で盛り上がられているようです。しかし、そんなことより興奮冷めやらぬ私は、この後汗をかいたため入れ替わりでお風呂に入ったガーランド様たちが上がってくると、士官学校時代のことや剣術のことなどを尋ねていた。2人ともずっと答えてくれるのでそのまま話し続けていると…。
「おっと、そろそろいい時間だな。今日は休日を邪魔して悪かったな」
「あっ、すみません私ばかり話して」
「ティアナが謝ることはない。こいつ以外とも久しぶりに話したし、いろんな話題が聞けたからな」
「そうそう、でも、今度来る時はちゃんと手紙か連絡するよ」
「別に構わないが…」
「かわいい婚約者殿といちゃついているところに出くわしたくはないからね」
「さっさと帰れっ!」
悪態をつきながらもわざわざ見送りに行くガーランド様を見て、仲良しだなあと思った。
カイラス様が帰ってからは直ぐに夕食となった。食べて帰る日もあるらしいけど、今日はそこまで食材がないということでちょっと残念だったかも。
「せっかく来た初日なんだから、家族水入らずがいい」
そういわれて私はまたもや顔を赤らめてしまった。そうそう、この邸では使用人も少ないので、特に来客がいないときなどはロイさんやカレンさんと一緒に食べるそうだ。いいかと聞かれたが、ちょっと広めのお邸で4人しかいないのに、わざわざ控えてもらっているよりよっぽど落ち着くので喜んで受け入れた。
「実は実家にいる時もお母様がいない日なんかは隠れて一緒に食べてました。使用人の休憩室で食べたこともあるんですよ」
「それで料理などもなされるのですか?」
「いいえ、単純に冒険譚を読んでいる時に冒険者にあこがれて、野営の準備をと思って習い始めたの」
「それはまた…」
残念ながら、火をつけるのがうまくいかなくて断念したのだけれど。その縁で料理長と仲良くなり、以降暇を見つけては練習に励んでいた。
「じゃあ、ティアナ様の手料理を食べられたりするのですか?」
「もちろんです。使用人の方も少ないので私もガンガン働きます」
「そこは気にしなくても大丈夫ですよ。我々は仕事でもありますので」
「そうだ。ティアナはまだ学生なんだからまずは勉強だな。あの学園は費用も掛かるのだろう?」
「そうですね。王立学園は男爵家の次女、三女はあきらめろというほどにはかかりますものね…。ですが、お食事ぐらいは作りますので期待しててください。何よりこういうことは剣と同じでなまってしまいますから!」
そういうと力こぶを作るように腕を上げて見せる。そんな形で1日目は終わりを迎えた。部屋の片づけ?ちゃんと戻ったらやるわ。ええきっと、必ずよ…。
「ああ、これで負けられなくなったな」
ガーランドは剣を引き、改めて構え直した。こいつのこんなやる気のある姿を見るのは1年ぶりぐらいだろうか?本当に今日はタイミングが良かったな。そう思いカイラスも構え直す。
「わかってるな?」
「勝負は一度きり、だろ?」
フッとお互い笑い合うと、俺はやや上段にカイラスは剣を引いて構える。お互いぴたりと止まると、一息つく。勝負は一瞬―――。
「はあぁぁぁぁぁ!」
「せやぁぁぁぁ!」
カイラスの突きが俺をとらえようとする瞬間、剣を斜めに薙ぐようにして外に押し出そうとする。このまま、押し切れる…わけはないか。すぐにカイラスは体制を変え切りかかる。その刹那、俺も剣の向きを変え一閃する。
ギィン
2つの大きな音が中庭に響き渡った。
「そこまでっ!」
カレンの合図で勝負はここまでとなった。
「決めたと思ったんだけどなぁ」
「こっちのセリフだ。まさか勝ちきれないとはな」
「さすがに士官学校時代の轍は踏まないさ。あれで懲りて突きは控えるようになったからな」
「それでも、何かあっても対応しきれると思っていた」
「婚約者の前でかっこつけられなくて残念だったな」
「確かに。恥ずかしいところを見せるわけにもいかないし、鍛錬を怠らないようにしないとな」
「お前、偽者じゃないだろうな」
「なんだそれは?」
「まあいいや。どうだったか感想を聞こうじゃないか」
そういって俺たちはティアナのもとへと向かった。
「ど、どっちが勝ったの?」
思わず口にしてしまったがあまりのやり取りについていけなかった。悔しいけれど私では全く入れないレベルの高さだ。
「私にもわかりかねます。ただ、これ以上やらせるとお互いに譲らなくなってしまうので…」
「そうなんだ…」
きっとその時はどうなったのかは聞いてはいけないのだろう。むしろ今の私は聞きたくないとも思ってしまった。最後の瞬間は鬼気迫るものがあったと思ったが、それでもカレンさんから見ればまだ、止められる範囲だというのだ。この感動を誰かに伝えたい。わかってくれそうなのは一人ぐらいしか思い浮かばないけど。
「おや、お話も終わってこちらに来られるようですね」
さっきまでガーランド様はカイラス様とお話をされていたけど満足した様子でこっちに来ていた。
「か、かっこいい…」
「ん、そうか?」
「えっ、聞こえてました?」
「バッチリね。で、どっちが?」
私の体はガーランド様の方を向いていたのにわかり切った顔でカイラス様が話しかけてくる。この人はちょっと性格が悪いのかもしれない。
「し、知りません!…ところでさっきはどっちが勝ったのですか?」
「残念ながら引き分けだな。相討ちといったところか」
そういってガーランド様は自分の脇とカイラス様の肩口を指さす。そこには確かに剣で付いた傷があった。
「大丈夫ですか!ケガはっ!」
「心配ない。二人ともケガには気を付けているから」
「よかった~」
一気に肩の力が抜けた。
「何せ、手合わせをして、僕が傷を負えば闇討ちでもしたんだろう。ガーランドだったら返り討ちにあったんだろうとつまらない噂になるからね」
「そうなんですね。あまりにすごい打ち合いだったので心配で…」
「ティアナ様、騙されてはいけません。実際にそう噂されたことが何度もあるから言われてるんです」
「いやだってあれは…」
「年甲斐もなく他家の庭でケガをした、させたの噂が立つこと自体褒められたことではありません」
ピシャリというカレンにガーランド様もカイラス様もばつの悪そうな顔をしている。本当に何度もあったことなのだろう。
「でも、すごいです。お二人の実力は私が今まで見た中でも1番です」
「まあね。だからこそ、こいつにも騎士団に来てほしいんだけどな」
「王家のために剣を振るい、ひいてはそれが国民のためにもなる。騎士団も警備隊も関係ない」
「さすがはガーランド様っ!」
私がガーランド様の言葉に感銘を受けているとカレンさんとカイラス様はこめかみを押さえていた。何かあったのだろうか?
「カレン、このお嬢様は外に出してはいけない気がするよ」
「そうでしょうとも、わたくしの方で立派に囲います」
「おい…」
なんだか3人で盛り上がられているようです。しかし、そんなことより興奮冷めやらぬ私は、この後汗をかいたため入れ替わりでお風呂に入ったガーランド様たちが上がってくると、士官学校時代のことや剣術のことなどを尋ねていた。2人ともずっと答えてくれるのでそのまま話し続けていると…。
「おっと、そろそろいい時間だな。今日は休日を邪魔して悪かったな」
「あっ、すみません私ばかり話して」
「ティアナが謝ることはない。こいつ以外とも久しぶりに話したし、いろんな話題が聞けたからな」
「そうそう、でも、今度来る時はちゃんと手紙か連絡するよ」
「別に構わないが…」
「かわいい婚約者殿といちゃついているところに出くわしたくはないからね」
「さっさと帰れっ!」
悪態をつきながらもわざわざ見送りに行くガーランド様を見て、仲良しだなあと思った。
カイラス様が帰ってからは直ぐに夕食となった。食べて帰る日もあるらしいけど、今日はそこまで食材がないということでちょっと残念だったかも。
「せっかく来た初日なんだから、家族水入らずがいい」
そういわれて私はまたもや顔を赤らめてしまった。そうそう、この邸では使用人も少ないので、特に来客がいないときなどはロイさんやカレンさんと一緒に食べるそうだ。いいかと聞かれたが、ちょっと広めのお邸で4人しかいないのに、わざわざ控えてもらっているよりよっぽど落ち着くので喜んで受け入れた。
「実は実家にいる時もお母様がいない日なんかは隠れて一緒に食べてました。使用人の休憩室で食べたこともあるんですよ」
「それで料理などもなされるのですか?」
「いいえ、単純に冒険譚を読んでいる時に冒険者にあこがれて、野営の準備をと思って習い始めたの」
「それはまた…」
残念ながら、火をつけるのがうまくいかなくて断念したのだけれど。その縁で料理長と仲良くなり、以降暇を見つけては練習に励んでいた。
「じゃあ、ティアナ様の手料理を食べられたりするのですか?」
「もちろんです。使用人の方も少ないので私もガンガン働きます」
「そこは気にしなくても大丈夫ですよ。我々は仕事でもありますので」
「そうだ。ティアナはまだ学生なんだからまずは勉強だな。あの学園は費用も掛かるのだろう?」
「そうですね。王立学園は男爵家の次女、三女はあきらめろというほどにはかかりますものね…。ですが、お食事ぐらいは作りますので期待しててください。何よりこういうことは剣と同じでなまってしまいますから!」
そういうと力こぶを作るように腕を上げて見せる。そんな形で1日目は終わりを迎えた。部屋の片づけ?ちゃんと戻ったらやるわ。ええきっと、必ずよ…。
0
お気に入りに追加
146
あなたにおすすめの小説
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
琴姫の奏では紫雲を呼ぶ
山下真響
恋愛
仮想敵国の王子に恋する王女コトリは、望まぬ縁談を避けるために、身分を隠して楽師団へ入団。楽器演奏の力を武器に周囲を巻き込みながら、王の悪政でボロボロになった自国を一度潰してから立て直し、一途で両片思いな恋も実らせるお話です。
王家、社の神官、貴族、蜂起する村人、職人、楽師、隣国、様々な人物の思惑が絡み合う和風ファンタジー。
★作中の楽器シェンシャンは架空のものです。
★婚約破棄ものではありません。
★日本の奈良時代的な文化です。
★様々な立場や身分の人物達の思惑が交錯し、複雑な人間関係や、主人公カップル以外の恋愛もお楽しみいただけます。
★二つの国の革命にまつわるお話で、娘から父親への復讐も含まれる予定です。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる