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みんなと離れ離れになるのは寂しい。しかし、私もいつかは出ていく日が来ると思っていたけれど、こんなに早く。しかも、めんどくさそうなとこに行くの…思わず泣けてきてしまう。

「大丈夫か?ライザ」

ヴェイン様が優しくなでてくれる。ロイド兄さまが出て行ってからはこの役目はヴェイン様だ。転生しているから、私の方が実質年上なのに、さらに泣けてくる。

「ううっ」

「何とかならないんですか父上」

「こればかりは教会との関わりだ。陛下でも難しいだろう」

「残念ながら、孤児院で育ったということ自体が教会の宣伝として使われてしまうでしょう」

確かに、孤児が一生懸命頑張って聖女になったって言ったら、みんなすごいってなっちゃうよね。

「ここにいるのは難しいですけど、王都にいるぐらいはなんとかできるかもしれません」

「本当ですか母上!」

「大丈夫なのか?」

「はい、ここで重要なのは、ライザの適性が光だけ突出していないということです。歴代聖女様は皆さん光だけか多くても2属性でした。4属性、それも全てSランクだということに何か意味があるかもしれません。また、教会は明言しておりませんが闇属性に対して、やや否定的です。きっとこの結果を見れば、即座に聖女とは言わないでしょう」

「そこを陛下にお願いするのか!」

「はい、王国から見ればライザはどのみち優秀な魔法使いですから、必ず保護します。教会の決定が下る前に優秀な魔法使い候補として保護したとして、教会にはまだまだ幼いため、国で身柄を一時預かるとするのです」

「やや苦しいが、それ以外に出来なさそうだな」

「ご迷惑をおかけします…」

「いいのよ、あなたは娘のようなものだから。この件は私が王都に向かって直接話しますわ」

「いいのでしょうか、本当にそこまで…」

「遠慮しないで。それに今の魔法学園の学園長は私の担任だった方だから、私が直接行った方がいいわ」

「ありがとうございます」

「それと…」

夫人が領主様に目配せする。領主様もうなずいているけど、何だろう?

「ヴェイン、良くも悪くも今日この日を迎えたのは、我々のせいでもある。ライザを守ってやりなさい」

「わかりました、父上」

いや、どゆこと?

「ヴェイン様はお前が心配だからついていってくださるのだよ」

神父様に言われてヴェイン様を見る。任せろという顔だ。

「でもでも、私の方が強いし、ご迷惑おかけしますけどいいんですか?」

きっと住み慣れた土地を離れるのはすごく苦労すると思うんです。引っ越しって大変だし、友人関係も結構リセット入りますしね。

「お前なぁ。もうちょっと言い方あるだろ。まあ、俺の方が弱いのはそうだけど、お前うっかりしてるからな。それに貴族の身分が役に立つことがあるかもしれないだろう?」

そっか、確かに王都に行ったらきっとバンバン貴族がいて、あら、視界に入りませんでしたわ、おーほっほっほっ!!とかいう人もいるんだろうなぁ。

「あっ、でも、ヴェイン様かっこいいから逆に私がいじめられるかも」

「なっ!そんなわけないだろ!」

急に怒ってどうしたんだろう、変なの。

「そういえば神父様はどうされるおつもりですか?」

「私ですか。とりあえずは明日に司教様に連絡して、本部にどのように伝えるか返事を下さいというつもりです。そうすれば少し時間は稼げるでしょうから」

「良いのですか?それではあなたの立場が…」

「もともと王都を追い出された身ですし、この子たちの将来が関わってきますからね」

そういって神父様が私の頭に手を置く。この手とももう少しでお別れかぁ。

「すまないな」

「いえいえ、教会が本来あるべき姿なら、私も一言いう立場ですが、あれだけ豪勢な本部を見てしまうとどうしても…」

「それじゃあ、急だけどライザちゃん、明日までに準備よろしくね?」

「へっ?」

「何ボケてんだよ。王都に向かうんだろ」

「ええーーーっ!」

私の絶叫とともにこの会議は打ち切りとなったのだった。


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