10 / 19
1
10
しおりを挟む
みんなと離れ離れになるのは寂しい。しかし、私もいつかは出ていく日が来ると思っていたけれど、こんなに早く。しかも、めんどくさそうなとこに行くの…思わず泣けてきてしまう。
「大丈夫か?ライザ」
ヴェイン様が優しくなでてくれる。ロイド兄さまが出て行ってからはこの役目はヴェイン様だ。転生しているから、私の方が実質年上なのに、さらに泣けてくる。
「ううっ」
「何とかならないんですか父上」
「こればかりは教会との関わりだ。陛下でも難しいだろう」
「残念ながら、孤児院で育ったということ自体が教会の宣伝として使われてしまうでしょう」
確かに、孤児が一生懸命頑張って聖女になったって言ったら、みんなすごいってなっちゃうよね。
「ここにいるのは難しいですけど、王都にいるぐらいはなんとかできるかもしれません」
「本当ですか母上!」
「大丈夫なのか?」
「はい、ここで重要なのは、ライザの適性が光だけ突出していないということです。歴代聖女様は皆さん光だけか多くても2属性でした。4属性、それも全てSランクだということに何か意味があるかもしれません。また、教会は明言しておりませんが闇属性に対して、やや否定的です。きっとこの結果を見れば、即座に聖女とは言わないでしょう」
「そこを陛下にお願いするのか!」
「はい、王国から見ればライザはどのみち優秀な魔法使いですから、必ず保護します。教会の決定が下る前に優秀な魔法使い候補として保護したとして、教会にはまだまだ幼いため、国で身柄を一時預かるとするのです」
「やや苦しいが、それ以外に出来なさそうだな」
「ご迷惑をおかけします…」
「いいのよ、あなたは娘のようなものだから。この件は私が王都に向かって直接話しますわ」
「いいのでしょうか、本当にそこまで…」
「遠慮しないで。それに今の魔法学園の学園長は私の担任だった方だから、私が直接行った方がいいわ」
「ありがとうございます」
「それと…」
夫人が領主様に目配せする。領主様もうなずいているけど、何だろう?
「ヴェイン、良くも悪くも今日この日を迎えたのは、我々のせいでもある。ライザを守ってやりなさい」
「わかりました、父上」
いや、どゆこと?
「ヴェイン様はお前が心配だからついていってくださるのだよ」
神父様に言われてヴェイン様を見る。任せろという顔だ。
「でもでも、私の方が強いし、ご迷惑おかけしますけどいいんですか?」
きっと住み慣れた土地を離れるのはすごく苦労すると思うんです。引っ越しって大変だし、友人関係も結構リセット入りますしね。
「お前なぁ。もうちょっと言い方あるだろ。まあ、俺の方が弱いのはそうだけど、お前うっかりしてるからな。それに貴族の身分が役に立つことがあるかもしれないだろう?」
そっか、確かに王都に行ったらきっとバンバン貴族がいて、あら、視界に入りませんでしたわ、おーほっほっほっ!!とかいう人もいるんだろうなぁ。
「あっ、でも、ヴェイン様かっこいいから逆に私がいじめられるかも」
「なっ!そんなわけないだろ!」
急に怒ってどうしたんだろう、変なの。
「そういえば神父様はどうされるおつもりですか?」
「私ですか。とりあえずは明日に司教様に連絡して、本部にどのように伝えるか返事を下さいというつもりです。そうすれば少し時間は稼げるでしょうから」
「良いのですか?それではあなたの立場が…」
「もともと王都を追い出された身ですし、この子たちの将来が関わってきますからね」
そういって神父様が私の頭に手を置く。この手とももう少しでお別れかぁ。
「すまないな」
「いえいえ、教会が本来あるべき姿なら、私も一言いう立場ですが、あれだけ豪勢な本部を見てしまうとどうしても…」
「それじゃあ、急だけどライザちゃん、明日までに準備よろしくね?」
「へっ?」
「何ボケてんだよ。王都に向かうんだろ」
「ええーーーっ!」
私の絶叫とともにこの会議は打ち切りとなったのだった。
「大丈夫か?ライザ」
ヴェイン様が優しくなでてくれる。ロイド兄さまが出て行ってからはこの役目はヴェイン様だ。転生しているから、私の方が実質年上なのに、さらに泣けてくる。
「ううっ」
「何とかならないんですか父上」
「こればかりは教会との関わりだ。陛下でも難しいだろう」
「残念ながら、孤児院で育ったということ自体が教会の宣伝として使われてしまうでしょう」
確かに、孤児が一生懸命頑張って聖女になったって言ったら、みんなすごいってなっちゃうよね。
「ここにいるのは難しいですけど、王都にいるぐらいはなんとかできるかもしれません」
「本当ですか母上!」
「大丈夫なのか?」
「はい、ここで重要なのは、ライザの適性が光だけ突出していないということです。歴代聖女様は皆さん光だけか多くても2属性でした。4属性、それも全てSランクだということに何か意味があるかもしれません。また、教会は明言しておりませんが闇属性に対して、やや否定的です。きっとこの結果を見れば、即座に聖女とは言わないでしょう」
「そこを陛下にお願いするのか!」
「はい、王国から見ればライザはどのみち優秀な魔法使いですから、必ず保護します。教会の決定が下る前に優秀な魔法使い候補として保護したとして、教会にはまだまだ幼いため、国で身柄を一時預かるとするのです」
「やや苦しいが、それ以外に出来なさそうだな」
「ご迷惑をおかけします…」
「いいのよ、あなたは娘のようなものだから。この件は私が王都に向かって直接話しますわ」
「いいのでしょうか、本当にそこまで…」
「遠慮しないで。それに今の魔法学園の学園長は私の担任だった方だから、私が直接行った方がいいわ」
「ありがとうございます」
「それと…」
夫人が領主様に目配せする。領主様もうなずいているけど、何だろう?
「ヴェイン、良くも悪くも今日この日を迎えたのは、我々のせいでもある。ライザを守ってやりなさい」
「わかりました、父上」
いや、どゆこと?
「ヴェイン様はお前が心配だからついていってくださるのだよ」
神父様に言われてヴェイン様を見る。任せろという顔だ。
「でもでも、私の方が強いし、ご迷惑おかけしますけどいいんですか?」
きっと住み慣れた土地を離れるのはすごく苦労すると思うんです。引っ越しって大変だし、友人関係も結構リセット入りますしね。
「お前なぁ。もうちょっと言い方あるだろ。まあ、俺の方が弱いのはそうだけど、お前うっかりしてるからな。それに貴族の身分が役に立つことがあるかもしれないだろう?」
そっか、確かに王都に行ったらきっとバンバン貴族がいて、あら、視界に入りませんでしたわ、おーほっほっほっ!!とかいう人もいるんだろうなぁ。
「あっ、でも、ヴェイン様かっこいいから逆に私がいじめられるかも」
「なっ!そんなわけないだろ!」
急に怒ってどうしたんだろう、変なの。
「そういえば神父様はどうされるおつもりですか?」
「私ですか。とりあえずは明日に司教様に連絡して、本部にどのように伝えるか返事を下さいというつもりです。そうすれば少し時間は稼げるでしょうから」
「良いのですか?それではあなたの立場が…」
「もともと王都を追い出された身ですし、この子たちの将来が関わってきますからね」
そういって神父様が私の頭に手を置く。この手とももう少しでお別れかぁ。
「すまないな」
「いえいえ、教会が本来あるべき姿なら、私も一言いう立場ですが、あれだけ豪勢な本部を見てしまうとどうしても…」
「それじゃあ、急だけどライザちゃん、明日までに準備よろしくね?」
「へっ?」
「何ボケてんだよ。王都に向かうんだろ」
「ええーーーっ!」
私の絶叫とともにこの会議は打ち切りとなったのだった。
1
お気に入りに追加
128
あなたにおすすめの小説
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
【完結】ああ……婚約破棄なんて計画するんじゃなかった
岡崎 剛柔
恋愛
【あらすじ】
「シンシア・バートン。今日この場を借りてお前に告げる。お前との婚約は破棄だ。もちろん異論は認めない。お前はそれほどの重罪を犯したのだから」
シンシア・バートンは、父親が勝手に決めた伯爵令息のアール・ホリックに公衆の面前で婚約破棄される。
そしてシンシアが平然としていると、そこにシンシアの実妹であるソフィアが現れた。
アールはシンシアと婚約破棄した理由として、シンシアが婚約していながら別の男と逢瀬をしていたのが理由だと大広間に集まっていた貴族たちに説明した。
それだけではない。
アールはシンシアが不貞を働いていたことを証明する証人を呼んだり、そんなシンシアに嫌気が差してソフィアと新たに婚約することを宣言するなど好き勝手なことを始めた。
だが、一方の婚約破棄をされたシンシアは動じなかった。
そう、シンシアは驚きも悲しみもせずにまったく平然としていた。
なぜなら、この婚約破棄の騒動の裏には……。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
婚約破棄されたので、契約不履行により、秘密を明かします
tartan321
恋愛
婚約はある種の口止めだった。
だが、その婚約が破棄されてしまった以上、効力はない。しかも、婚約者は、悪役令嬢のスーザンだったのだ。
「へへへ、全部話しちゃいますか!!!」
悪役令嬢っぷりを発揮します!!!
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
政略結婚は不幸の種 知らない間に織物職人は第二王子の婚約者になっていました
枝豆
恋愛
ニルス国エーリル領、織物職人をしていたアイリーンはその技術と出自のために王城に軟禁されてしまいます。
全ては誤解…のハズ。
そのうち帰れるだろうと呑気に構えているけれど、本当に帰ることが出来るのか…?
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる